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始まりは断罪の目撃から
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義姉上との(楽しめなかった)ランチを終えた俺は午後の講義を終えた後、アリナ嬢の素行調査を開始した。
まずは高等部に兄姉がいる生徒に話を聞く所から始めようか、と声をかけたら驚きの量の情報が出た。しかも悪い方のやつばかり。やっぱりあいつヤバい奴じゃないか!もう止めたい頭痛い…
簡単にまとめると、聖教会でもやらかしていた「我、聖女ぞ」を学園でも繰り返し「異世界から連れてきた聖女だから気にかけてね」という王様からのお言葉を名目に「親しくしましょう」と声をかけたルーベンス殿下と愉快な仲間たち(兄上もいるよ)をあれよあれよという間に籠絡。彼らの婚約者達にやってもいない嫌がらせの罪を着せようと邁進しているのだそうだ。えげつないな。
勿論周囲からはやべぇ奴認定を早々にされており、今では近づくものはほぼいない状態らしい。
高等部だけの問題として捉えず、ことが落ち着くまで兄姉のいる生徒を通じて初等部と高等部の行来を控えさせているのだそうだ。素晴らしい対応ですね。
俺は愉快な仲間たちのメンバーに兄がいることで、学友からとても心配されていたらしい。ありがとう。そして問題から今まで目を逸らし続けていた件については申し訳ないと思う。
正直義姉上からの話がなかったら完全スルーした後に家庭崩壊ルートに入るところだった。
俺が避けても(兄上のせいで)向こうから来るじゃないかヤダー
胸焼けする程の情報を獲て、ラキアータ聖教会の敷地内にある自室へ戻った。
俺は闇属性という希少さから聖教会預かりの身となっており、一年の8割程をラキアータ聖教会に用意してもらった部屋で生活をしている。希少な加護故に能力のコントロール方法を教えられる人材が居ない&何か(力の暴走とか)があったときに対処出来るのがここしかない、というのが聞いている理由だ。
おそらく政治的な事もあるのだろうと勝手な推測をしている。光と闇の加護持ちは能力的に交渉カードになるだろうし。
ちなみに、メロディアス家の屋敷よりラキアータ聖教会の方がマッチェレル学園に近いので入学してから約半年、帰宅したのは片手で数える程しかない。通学時間の短縮は学生にとって替えがたいものだ、という事をどれだけの人が理解してくれるのかは判らないのだが。まぁ、俺だけが解っていればいい事なので深くは語るまい。
通学の便利さを優先してしまったが故に兄上の環境の変化に気が付けなかった点は、ちょっと悔しい。
自室に戻ってする事は、得た情報のまとめと裏付けを取る方法の検討。そして、これから起こるであろう事件の予測と被害を最小にするためにはどう動くべきかを考えること。大きく分けてこの2点だ。
情報のまとめと一部の裏付け(聖協会内部の動き)は比較的簡単にできた。マジでアリナ嬢の行動に困っていたようで「どうにかできるならしてください!」って何人かの神官に泣き縋られ、シスター達からは「あの方はいつ出ていくのかしら?」って真顔で物騒なことを言われた。そんな困ること、俺に言わないで。
ついでに聖女が行くはずだった浄化遠征を手伝って欲しい、とも。本題とついでが逆だと思うんだが。
裏付け聞き込みついでに「俺の事は聖女にはナイショで頼む」という保身も忘れない。まぁ、バレても味方は多そうだから、そうなった時に改めて考えよう。
今後についてだが、この世界が本当にアリナ嬢にとってのゲーム世界なら、最後には断罪とかいう婚約破棄イベントが起こるはずだ。もっとも、俺は乙女ゲームをプレイした経験がなく、前世で友人の彼女がハマっていて困っているとかいう聞きたくない惚気話からの情報しかないのだが。パズルとRPG以外もやっておくべきだったな。
おそらく断罪の舞台は卒業パーティーだろう。目立つから。それまでに攻略対象の婚約者に被せる罪をより多くでっち上げる裏工作をするのだろう。
義姉上の話から推測すると、令嬢方はアリナ嬢に対して最低でも一度は苦言を呈していると思われる。そもそも婚約者がいると判っている男に擦り寄っていくのがおかしいのであって、「婚前の男女は適切な距離を取るものですわよ」と言われて当然の案件なのだ。浮気寝取りは前世今世関係なくやっちゃダメなやつだ。俺的にも受け付けないジャンルだから関わりたくないんだよなぁ。
まぁ、苦言の言い回しなんかは貴族風味になっているだろうし、たとえそれがどストレートな言葉であったとしても全く通らないだろうというのがアリナ嬢であると集めた情報が俺に現実を突きつけてくる。
ああー、引き受けるんじゃなかったー!
協力は一部だけ、って言えばよかったー!
まずは高等部に兄姉がいる生徒に話を聞く所から始めようか、と声をかけたら驚きの量の情報が出た。しかも悪い方のやつばかり。やっぱりあいつヤバい奴じゃないか!もう止めたい頭痛い…
簡単にまとめると、聖教会でもやらかしていた「我、聖女ぞ」を学園でも繰り返し「異世界から連れてきた聖女だから気にかけてね」という王様からのお言葉を名目に「親しくしましょう」と声をかけたルーベンス殿下と愉快な仲間たち(兄上もいるよ)をあれよあれよという間に籠絡。彼らの婚約者達にやってもいない嫌がらせの罪を着せようと邁進しているのだそうだ。えげつないな。
勿論周囲からはやべぇ奴認定を早々にされており、今では近づくものはほぼいない状態らしい。
高等部だけの問題として捉えず、ことが落ち着くまで兄姉のいる生徒を通じて初等部と高等部の行来を控えさせているのだそうだ。素晴らしい対応ですね。
俺は愉快な仲間たちのメンバーに兄がいることで、学友からとても心配されていたらしい。ありがとう。そして問題から今まで目を逸らし続けていた件については申し訳ないと思う。
正直義姉上からの話がなかったら完全スルーした後に家庭崩壊ルートに入るところだった。
俺が避けても(兄上のせいで)向こうから来るじゃないかヤダー
胸焼けする程の情報を獲て、ラキアータ聖教会の敷地内にある自室へ戻った。
俺は闇属性という希少さから聖教会預かりの身となっており、一年の8割程をラキアータ聖教会に用意してもらった部屋で生活をしている。希少な加護故に能力のコントロール方法を教えられる人材が居ない&何か(力の暴走とか)があったときに対処出来るのがここしかない、というのが聞いている理由だ。
おそらく政治的な事もあるのだろうと勝手な推測をしている。光と闇の加護持ちは能力的に交渉カードになるだろうし。
ちなみに、メロディアス家の屋敷よりラキアータ聖教会の方がマッチェレル学園に近いので入学してから約半年、帰宅したのは片手で数える程しかない。通学時間の短縮は学生にとって替えがたいものだ、という事をどれだけの人が理解してくれるのかは判らないのだが。まぁ、俺だけが解っていればいい事なので深くは語るまい。
通学の便利さを優先してしまったが故に兄上の環境の変化に気が付けなかった点は、ちょっと悔しい。
自室に戻ってする事は、得た情報のまとめと裏付けを取る方法の検討。そして、これから起こるであろう事件の予測と被害を最小にするためにはどう動くべきかを考えること。大きく分けてこの2点だ。
情報のまとめと一部の裏付け(聖協会内部の動き)は比較的簡単にできた。マジでアリナ嬢の行動に困っていたようで「どうにかできるならしてください!」って何人かの神官に泣き縋られ、シスター達からは「あの方はいつ出ていくのかしら?」って真顔で物騒なことを言われた。そんな困ること、俺に言わないで。
ついでに聖女が行くはずだった浄化遠征を手伝って欲しい、とも。本題とついでが逆だと思うんだが。
裏付け聞き込みついでに「俺の事は聖女にはナイショで頼む」という保身も忘れない。まぁ、バレても味方は多そうだから、そうなった時に改めて考えよう。
今後についてだが、この世界が本当にアリナ嬢にとってのゲーム世界なら、最後には断罪とかいう婚約破棄イベントが起こるはずだ。もっとも、俺は乙女ゲームをプレイした経験がなく、前世で友人の彼女がハマっていて困っているとかいう聞きたくない惚気話からの情報しかないのだが。パズルとRPG以外もやっておくべきだったな。
おそらく断罪の舞台は卒業パーティーだろう。目立つから。それまでに攻略対象の婚約者に被せる罪をより多くでっち上げる裏工作をするのだろう。
義姉上の話から推測すると、令嬢方はアリナ嬢に対して最低でも一度は苦言を呈していると思われる。そもそも婚約者がいると判っている男に擦り寄っていくのがおかしいのであって、「婚前の男女は適切な距離を取るものですわよ」と言われて当然の案件なのだ。浮気寝取りは前世今世関係なくやっちゃダメなやつだ。俺的にも受け付けないジャンルだから関わりたくないんだよなぁ。
まぁ、苦言の言い回しなんかは貴族風味になっているだろうし、たとえそれがどストレートな言葉であったとしても全く通らないだろうというのがアリナ嬢であると集めた情報が俺に現実を突きつけてくる。
ああー、引き受けるんじゃなかったー!
協力は一部だけ、って言えばよかったー!
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