行ってみたいな異世界へ

香月ミツほ

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行ってみたいな!あちこちへ

134 もうすぐ結婚式

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翌日、また来てくれたソノールス公爵にウェーヌ様がどこにいるか知らないかと聞いてみたら、とても怪しい態度で知らないと言った。

「ウェーヌ様、この町に来てるんですか?」
「知らん!ウェーヌなんぞ知らん!」

いや、あの…

孫を知らないとか無理があるよ?

那海なみが心配してるんです。あ、公爵は那海に会いました?」
「…あやつか。会ったとも。場合によっては根性を叩き直してやらねばなるまい。」
「…それはぜひお願いしたいです。」
「うむ、時が来ればな。」

やる事が出来たとの事で最後に3日間鍛錬してくれて、他の町に行くそうだ。他の町で試験かな?





「今日、ソノールス公爵が若い美形連れて来たぞ。」
「どんな人!?」
「金髪で緑の瞳の…」
「この人!?」

保存しておいたウェーヌ様の画像を見せるとそうだと言う。
やっぱりソノールス公爵と一緒だったのか。ちゃんと会って話がしたい。

「ガルデナの絵を当てたんだ。」

え!?それ凄過ぎ!!

「それで?他に何か言ってなかった?」
「海がどうとか言ってたから南だろう。」

追いかけよう!

「ストゥ!ティス!ちょっとウェーヌ様に会いに行って来る!!チビ!」

浮遊具を転移で装着してチビを呼び、脚に掴まって運んでもらう。
しばらく飛んで、午後出発ならこの辺りと思われる地点も過ぎてモディさんの宿屋の手前でソノールス公爵達を見つけた。4人居る!!

「ウェーヌ様!」
「タケル!?」

馬を止めてこちらを見上げるウェーヌ様は戸惑っている。俺には秘密にしたかったのかな?

「引き止めてごめんなさい。那海が心配してるんです。無事だけは知らせてあげても良いですか?」
「ああ、それくらいは構わない。…と、言うか少し遠くへ行くと伝えて来たのだが…」

「…それ、1日2日の事だと思ってるんじゃないかな?」

「遠いと言ったのに?」

「俺達のいた国は1番遠くても空を飛べば1日かからないんです。それに、こちらに来てすぐワイバーンに運んでもらったりしたから…」

まぁ、飛行場から何時間もかかる所もあるけどね。

「そうなのか。」

「それで、ウェーヌ様の旅の目的は?」
「ここではなんだからそこの宿に行こう。」

ソノールス公爵達を待たせたままだった。



公爵達は早速、飲みに行ってしまったのでウェーヌ様と2人で部屋に行く。

ウェーヌ様がお茶を淹れてくれた。

「ありがとうございます!美味しいです。」

「上手く淹れられて良かった。色々できるようになりたいからペルから教わってね。」
「やっぱり、職探しなんですか?」

「…ま、まぁそうだ。那海を養いたくて、その…」
「那海はあんな子だけど、良いんですか?」
「那海は誰にでも分け隔てなく優しくて良い子だよ。」

アバタもエクボ!
あれはただの八方美人。お調子者なだけ!

「放っておくとどこへ飛んで行くか分かりませんよ?」
「そ!それは… そうなった時は… 何とかして追いかけるよ。」

うん、諦めるんじゃなくて良かった。

「冒険者になるんですか?」
「登録だけはしたよ。それからお爺様について色々な町の様子を見てるんだ。どんな職業があるかすら知らないから…」

王族として招待されて来たのでは分からない様々な事を学びたいって、真面目過ぎ!

それから那海にウェーヌ様の無事を伝え、証拠に画像を撮って送り、しばらく帰らない事を伝えた。

那海は文句を言ってたけど、なるべく早く戻る事を約束してもう少し待ってるって。でも遅くなるようなら追いかけるからチビ運んで、って勝手な事を。

…ちゃんとお願いするなら良いけどね!



無事を確認できて話がてきたのでケリルさんちに帰る。
浮遊魔道具を興味深そうに見てたから教えたけど、ワイバーンに引っ張ってもらえないと遅いよ?



ケリルさんちに帰ってストゥ達にウェーヌ様の事を報告して夕飯。この町は少し標高が高いようで、だいぶ寒くなって来たから今日はあったかいビーフシチュー。

あ!こっちでまだカレー作ってない。
2~3日おいて作ろうか。



食後にアドさんから発表があった。

「え~、俺もようやく腹をくくる事にした。カレン達、イーリス達と一緒に俺とローサの結婚式もやる。」

ファケレさんからも頼み込まれたらしい。もちろん、ファケレさんに頼んでもらうようお願いしたのはローサさんだ。好みの女の子からも、その家族からもこれだけ望まれて頑に渋っていたのはやっぱりアレなのか。アレが小さく見えたのは体も大きいけど手が大きいからじゃないかと思っています。

「結婚式まで後2週間しかないが、衣装はもう作ってあるし、タケルの提案で貸しアクセサリーも用意ができた。料理は増えるがそれほどでもないだろう。」

と、ケリルさんが補足した。
ケリルさんの仕事の関係で呼びたい人は共通だろうし、冒険者は誰が来るか分からない。後はカレンさんの相手のユーグさんの関係者と花嫁達の友達。ざっと200人くらいだって。

大変そうだから料理はがんがん手伝おう!!
なんならカップケーキパフォーマンスとかもやっちゃうよ!

楽しみだなぁ。




3組合同結婚式の話を樹と凪と那海に教えると樹が画像撮りまくれと指示を出す。
こっちの風景写真について、いくつかの映画制作会社から撮影場所を教えて欲しいと問い合わせが来ているそうだけど異世界だなんて言えないよね。

[ぼくも行きたい!寿三番叟ことぶきさんばそう、踊る!!]
寿三番叟ことぶきさんばそう?》
【お祝いの時に踊る舞。】
[私達の船出に大きな幸がありますように、って幸せを願う歌だから結婚式にお勧めなんだ~♡]
《みんな喜びそう!じゃぁ、近くなったら迎えに行くね。》
[うーん…ウェーヌ様いなくて寂しいからもうそっちに行きたいな…]
《王宮で待ってなくて良いの?》
[待ちたいけど待つの辛い…]
〈連絡取れないのか?〉
《ギルドに…いや、ペルさんに伝言頼めば伝わるかも!》
〈ペルさん?〉
《ウェーヌ様の有能侍従。》
[ん…言ってみる。]
【何だ、那海ペルさん苦手なのか?】
[…わかんない…]

ウェーヌ様命のペルさんからすると甘えまくる那海に警戒してるのかもね。

「こんな訳で明日、那海を連れて来るね。」
「あぁ、ケリルに話をしておこう。」



「タケル!新しい客人まろうどが結婚を祝ってくれるんですか!?」

ケリルさんのテンションが高い。

「はい、ぜひお祝いの舞いを披露したいと…」
「そうですか!いや、ありがたい。新たな客人まろうどは社交界でも大人気だそうで、お客も喜びます!」

おれは社交界とか興味なかったからさっさと冒険者になっちゃったけど、那海なみは出てるのか。もしかしてウェーヌ様の不安もそこから来てる?人懐こいからなぁ…

朝食後に迎えに行く事を伝えた。




心配だから付いて行くとティスが言ったけど、転移しないから大丈夫だと押しとどめ、ファケレさんの訓練に参加しておいてもらってチビと2人で飛んで行った。

「こんにちはー!」

今日は上空から直接王宮に入った。
なんか喜ばれてる。前に兄さま達に話をしてあったから見張りにはワイバーン急便の話が伝わっていました。色々聞かれて答えてたらウル兄さまが迎えに来てくれた。

チビに頼んで兄さまをぶら下げてもらったら見張りの人達もやりたがって交代で空を飛んだ。

お仕事いいの?

それから那海の部屋に行くと、遅いと文句を言われた。
ごめんw

「ごめんごめん、ワイバーンで空を飛ぶなんて初めての体験だったから嬉しくなっちゃってね。子供みたいにはしゃいじゃったよ。」

あっ、那海がきらきらイケメンスマイルに押されてる!!
ちょっと珍しい。

「もう、良いです。それよりコレ、ありがとうございました!」

コレとは円柱形の入れ物。
帽子入れ?

「何?それ。」
「ほら、画像を見せて作ってもらったの!これがなきゃね!!」

少し興奮気味の那海なみがそれを開けると中には日本髪のカツラが入っていた。

「えっ!すごい!!これ、こっちで作ったの?」
「そうだよ~!相談したら作ってくれるって言うから画像検索して結い方も調べて作ってもらったの。」

かんざしも作ってもらったそうで、円柱形の上の方にもう一段外れる所があってそこに入っていた。

「着付けは自分でできるの?」
「当たり前でしょ!でも帯が重いから手伝ってね。」
「役に立つかなぁ?」
「押さえたり持ち上げたりするだけだから大丈夫。」

それらを綺麗にしまって大切に梱包する。
そしてバルコニーから飛んで帰った。

途中、マグさんちにも顔を出し、西の町に戻るとケリルさんが熱烈に歓迎してくれた。

「これはこれはナミ様!ようこそお出で下さいました!何でもうちの娘達のために祝い舞を舞って下さるとか…ありがとうございます!」
「はじめまして、那海なみです。この度はおめでとうございます。誰も忘れられない程の良い結婚式にして見せますから、楽しみにして下さい!」

強気がすごい!
俺、こんな事絶対言えないよ?
でも3組合同で、目新しい料理が並んで、主役達全員が青龍の鱗を身につけて、日本舞踊を見られる、ってかなり豪華だなー。

俺達が持ち込んだアイベックス翔の肉もメニューに加えられ、野菜のゼリー寄せ、〇〇、カツサンド、デザートのアイスクリームには綿あめをトッピングして出す。
このコースメニューの後にパンとシチューとバーベキューで食べ放題になる、ってとんだけ盛りだくさん!?

バーベキューは冒険者がお祝いとして色々持って来てくれるから何が出てくるか分からないらしい。

…闇BBQ。

まぁ、鍋と違って見えてるし、味が混ざる事も無いのは安心だよね。
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