行ってみたいな異世界へ

香月ミツほ

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行ってみたいな!あちこちへ

116 お盆て…?

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夕飯を食べ終わって家に帰って、ティスのお許しが出た。

ティスの次にストゥといちゃいちゃできる事になったのでいつものように交代して裸で抱き合った時、違和感を感じた。そしてそのまま解れているので挿入、ってなったんだけど…

ティスの罰の恐ろしさがはっきりした。

奥まで入って肌が密着した時…

「い、痛! ストゥ、ごめん!痛いから…無理!!」

切られた陰毛が敏感な薄い皮膚に当たってちくちくして我慢できない。

「伸びるまでできないって事か…?」

ストゥが愕然とすると、ティスが悪い笑顔で微笑んだ。

「ストゥ、ごめんね? あの、口でする?」

「…いや、良い。気を使わせて悪いな。」

象徴までしょんぼりしてしまった。
そこに追い討ちをかけるように1回では満足できないでしょう?ってストゥの目の前で可愛がられてしまった。ティスは鬼かも知れない…





朝食は昨日無性に食べたくなったオムライス。

サラダとふわとろオムライスとスープ。肉が足りないであろうストゥのために、チキンソテーも添えた。もちろんティスにも。

ケチャップでハートを書いてみたけど多分伝わってないと思う。自己満足で良いんだ。

ティスが特に気に入ったらしい。
ティスは卵料理が好きなんだな。

今夜はお祭りで明日出発だから持ち物を準備しておく。途中でアラケルの所に寄って玄武の尾をお土産にあげる。アイスクリームメーカーとアイベックス翔の肉を忘れずに!

もしかしたら青龍の鱗も必要になるかも知れないから、何枚か持って行こう。

後は普通の旅支度。

午前中に準備が終わっちゃったのでアイスでも食べながらまったりしようと提案したら

「ちょっと出かけてくるわ。」

ストゥがそう言って出かけた。お祭りは夕方からだから遅くならないようにね。



「ティス…ストゥへの罰、重すぎない?」
「重すぎる?あれで?ストゥがあれくらいでめげるわけありません。きっとまたすぐに求めて来ますよ。」

いや、求められても痛くて受け止められないんだけど…。毛先を焼いたらチクチクしなくなるかな?

しばらくしてストゥが帰って来た。みんなの分の甚平を買って来てくれたようだ。
前に買った浴衣を着れば良いのに、と言ったら今日はこっちの方が良い、って。何か意味があるのかな?



屋台ー!

今回の屋台には食べ物屋さんとくじ引き屋さんがある。
掬い物は無い。

くじ引き屋さんの景品は子供向けのおもちゃから大人向けの魔道具、果ては胡散臭い伝説の武器防具まである。

「伝説の剣」「伝説の盾」「伝説の鎧」「伝説の兜」「伝説の鉢金」だって。

鉢金?

見覚えのある人が燃えていた。

「ラティオ!良い加減にしてよ!」
「あと1回!あと1回だけだから!!「伝説のサンダル」が!」

「ラティオ、少しは伴侶の言葉を聞いてやったらどうだ?」
「お?ストゥじゃないか。お前はこの楽しさが分からんのか。」
「分からん。」
「私も分かりません。」
「俺も分からないかな。」
「分かる訳ないよね!!」

満場一致で否定されて、ようやくあと1回を守ってくれた。「伝説のサンダル」なんてのもあったのか。欲しい?

ハズレのどうでも良い感じの物を5~6個抱えて物足りなそうにするラティオさん。

「とりあえず何か食べませんか?」

串焼きと一口ステーキとお酒と果物の蜜漬けを買って用意されたベンチで食べる。ラティオさんの残念な戦利品を肴にしていたら懐かしい物が混じっていた。

「カメレオンだー!」

本当はペーパーヨーヨーと言うらしいが、近所のお祭りでは「カメレオン」と言う名前だった。ハズレの景品だからまず手に入る。でもこれが好きで上の景品が当たってもこれをもらってたんだよなー。

そんな話をしたら、くれた。

ぴよーんぴよーんと伸びて楽しい。

「子供か。」

フォンス君にそう言われても懐かしくて楽しいんだもん!顔が緩む~!

ドンッ!

ドドドンドンッ!!

ドンドンカッカッ!

ドドドドドンッ!

何処からともなく太鼓の音がする。
和太鼓なのはお盆だからかな?

「広場に行きましょう。」

連れていかれた広場は本当に何もない広場…だったんだと思うけど、真ん中に櫓を組んで大太鼓を叩く姿は完全に日本の夏祭りだ。

ただし、提灯がランタンで笛がリコーダーっぽくて、服装に浴衣がほとんどいない。

甚平は3割くらいの人が着てるかな。

そして盆踊りのような他の何かのような踊り。

ティスとストゥに手を引かれて踊りの輪に入り、見よう見まねで踊る。2周で完璧に覚えた。だんだんスピードが上がり、速さにチャレンジする羽目になり、お酒が回ってハイになる。

めちゃくちゃ楽しい!!

ちゃんと踊れてるかも分からないほどに夢中になる頃に、遠雷が聞こえてきた。

遠雷と太鼓のリズムと笛の音が現実を切り離して行く。少しずつ朦朧としていく意識の中で、ストゥとティスの姿だけが浮かんで見える。

両手を伸ばして名を呼ぶも声は何処かに吸い込まれて自分の耳にすら届かない。

手を伸ばし、届かない事がもどかしくて焦れる。ただがむしゃらに2人の名を呼ぶ。

「ーーーーーーー!!」
ドォーーーーーーン!

耳に届かない自分の叫びに重なるように雷が落ちたような大きな音と、身体の痺れ。

一瞬、意識が遠のいた。





《ありがとう、身体借りるね》

頭の中でそんな声が聞こえ、身体の自由が奪われる。意識はあるのに身体が思うように動かない。

でも何故か怖くない。

ストゥとティスを見るとどこか違和感がある。
なんだろう?

ゆらりと揺れる身体を自分以外の意識が動かそうとしている。

だれ?




ピィーーーーーー!

高い笛の音が響くと身体の自由が戻って来る。

「「タケル!」」

名前を呼んで近づく2人の違和感の正体。それは…

ストゥにはクマ耳、ティスにはキツネ耳。いつの間にあんなの付けたんだろう?

「タケルは黒猫か。」
「なんて可愛らしいんでしょう!」

何のことを言ってるのか判らない。
見ればラティオさんにはゴールデンレトリバーの垂れ耳、フォンス君には…えっと…チワワ?の耳。
みんな割りとイメージのまんまだなー。

そして周りにはハムスターやタヌキ、牛、馬、羊…各種の耳や角を付けた人達が。
ここまでくれば当然ストゥ達の言葉が自分に付いたけもみみについて語っていると理解できる。

恐る恐る頭に手をやれば柔らかくて温かい耳が付いている。試しに自撮りをしてみればやっぱり黒猫の耳を付けた自分が写った。

なにこれぇ…

「お盆には転生前の動物の魂が人間を体験すると言われています。」
「今晩だけだがな。ほら、こっちも…」

驚く俺のお尻をするりと撫でるとここにも違和感が。
自分で触ってみると、服の下にはしっぽのような物が!!

「タケル、みんなで写真を撮りましょう。」
「う、うん、そうだね。」

「カメレオン」を魔術で固定して即席自撮り棒にして、俺達とラティオさん達で写真を撮る。
ストゥは熊だからしっぽは目立たないけど、ティスは納まりきらずにあらわになった。キツネのしっぽはふっさふさ♡だからね。

触りたい!

もふっ

もふもふもふ。

甚平の上下の間から触って良いよと言わんばかりのふぁさっとした尻尾が。
神々しいまでにキレイなしっぽ。

「タケルも出せ。」

ってストゥにズボンを引っ張られた。
だから浴衣じゃなくて甚平なのか。尾てい骨当たりから生えたしっぽを出すと際どい位置までズボンが下がる。でも上着がそこを隠すから恥ずかしくないんだ。ラティオさんもフォンス君もくるんと巻いたふさふさしっぽが可愛い。

自分のしっぽが揺れるのは不思議な感覚だ。

「街中でそんなに可愛くお尻を振ってはダメですよ。」

しっぽが揺れるのを楽しんでたのにティスにそんな事言われた。

「お尻を振るってのはこうでしょ?」

イタズラ心で腰をくねらせるとすぐにティスが釣れた。お尻を触りに来る。さっと避けてストゥにぺったり張り付いて熊しっぽの確認!

ズボンを引っ張って覗くとおにぎりサイズの丸いしっぽ。にぎにぎ。

「うっ…」
「感じるの? ふにゃ!」
「タケルはどうですか?」

なにコレ!?しっぽの付け根って気持良いの?普段尾てい骨触られてもここまで感じないのに…
自然にお尻を突き出しちゃう。

「ふっ…みゅぅ…にゃぁぁぁ…」

状態に引きずられてるのか猫みたいな声が出てしまう。ストゥの腰にしがみつきながら振り返ると俺は確かにお尻を振っていた。外なのになんでこんなにいやらしい動きしてんの?自分の身体なのにいつも以上に快楽に弱くなっている気がする。

ふと周りを見れば、カップルは大体同じような状態になっていた。

「お盆て…」
「タケル、転移できるか?家に帰ろう。」

歩いて帰れる距離だけど確かに早く帰りたい。すぐに3人で家の寝室に転移して脱がせ合って不思議でいやらしい光景を堪能する。

「ティスもお尻振って!」
「こうですか?」

ベッドに四つん這いになってこちらにお尻を向け、ふりふりと小さく揺らす。大事な所はしっぽで隠れてるけど、振り向いてイタズラな笑顔を向けるティスは可愛くて色っぽくて襲いたくなる。

後ろから近づいて脚とお尻の境目辺りをぺろっと舐めると小さく「あっ…」と言ってぴくんと反応する。片手でしっぽを撫でながら反対の手で胸の飾りを探ると声を殺して息を吐く。しっぽの付け根を甘噛みすれば背をしならせて身悶える。

「ティスぅぅぅぅぅ! かわいいぃぃぃ~!!」

ティスに背後から襲いかかってハァハァしてたら、俺がティスばっかり構うからか、ストゥも俺のしっぽの付け根を甘噛みした。

「はうんっ!」
「オレはオレで好きにするからタケルも好きにしてて良いぞ?」
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