行ってみたいな異世界へ

香月ミツほ

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行ってみたいな!あちこちへ

113 リールの悩み

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途中からストゥ視点です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



宴会は朝食も兼ねて浜で海鮮焼き。

元々用意してあったようでここで大漁の宴会は当たり前らしい。とくに加護を与えられた俺達3人がいるんだから豊漁間違いなし!と言う訳だ。

100人以上の人が集まったんじゃないかな?

当たり前のようにお酒を飲んでる…

「それにしてもストゥもちっこいのもスゲェな!こんなに大漁なのにいつもより網が軽かったぞ?」

ピスカートさんに感心されてめっちゃ気分が良い。好きな魚持ってけ、って言ってくれたからチビが変な顔の赤い魚を選んだ。

「ティスが描いたタケルに似てるな。」

うん、シュメール目だね。
ネットでも「死んだ魚の目をした生きた魚」って話題になってたなぁ。

「アカマツカサだな。」

大きさもそこそこでお土産としてちょうど良さそうだ。ピスカートさんが網の袋をくれたのでそれに入れてチビに待たせた。

いつの間にかグランさんも来ていて、ピスカートさんに水辺の王の護符を売り込んでいる。所有する全ての舟に護符を付けないか、って。何艘持ってるの?

30人乗れる大船1艘と10人乗りの船3艘と2~3人乗りの小舟が10艘。

大船にはすでに護符が付いてるから10人乗りの3艘には付けたいって事でお金の話になっていった。

小舟はそれほど沖まで行かないから、落ちても泳いで戻れば良いなんて、嵐の時はどうするんだろう?無理しないのかな?

お腹もいっぱいになったので、次は何をしようか…。

「海で泳ぐのでは?」

海水浴!!
泳ぎたい!でも、水着が無いなぁ。服だと重いよね…

「泳ぎたいけど、こっちで泳ぐ時ってどんな格好するの?」

「服のままか裸か…ふんどしだな。」
「じゃあ俺、泳げないじゃん!」

人気のない場所ならふんどしでも良いけど、人目があるなら無理だよ。服のままじゃぜったい溺れるし…

「タケルのお尻を晒すわけにはいきませんしね。」
「乳首もな。」

それはティスも同じだよ!

ストゥはふんどしだって格好良いから良いけども!!

「考えがある。多少、服が重くなっても加護で何とかなるだろう。」

ストゥに従って服を買いに行き、遊べる場所も教えてもらう。子供達がよく遊ぶ場所を教えてもらった。

「で、これをこうして…」

ストゥの考えはノースリーブのシャツと膝丈のイージーパンツの上からふんどしを締めて胸まで晒しを巻く、と言うものだった。

恥ずかしいか恥ずかしくないかで言えば恥ずかしいけど、子供達に珍しがられる程度の恥ずかしさだ。ふんどしの上にトランクスを履く事も考えたけど、それだと脱げそうだし。

上半身はここまでしなくても良いんじゃない?ってティスを見て納得した。

泳ぐぞー!

…あれ?
教えてもらった場所は泳ぐと言うより飛び込み場だった。
いや、水はめちゃくちゃ綺麗で小学生くらいの子供達がポンポン飛び込んでるよ。

でも高さが5mくらいある。

空を飛んだ事もあるけど、岩場で飛び降りるのは怖いんだよー…

「その格好なぁに?」
「お兄ちゃん怖いの?」
「あれー?見た事あるー!」
「神巫さまとお供の人だよ。」
「なにが怖いのー?」

うぅ…ちびっ子からの視線が痛い。

「タケル、抱っこしてあげますから。」

ってぇ!!
怖いものは怖いの!

絶対大丈夫だから、って抱き上げられてお姫様抱っこ…子供達が神巫さまがんばれーって言ってる。

「ちゃんと速さを調節しますから、安心して下さい。」

速さを調節?

と首を傾げた途端にティスがジャンプした。重力の方向が変わる感覚に声も出せずにしがみつくと、ティスがなにか呟いて落下する感覚がふわりとした浮遊感に変わる。

風の魔術でスピードコントロールしたみたい。

花びらが舞い落ちるようにゆらゆらと揺れながら着水すると、崖の上から歓声が上がった。次が来るからその場を少し離れると、大きな水柱を上げてストゥが飛び込んだ。

「わざと大きく水柱を作るのが良いらしいぞ。」

避けると次々に子供達が降って来る。

お兄ちゃん達すごいすごいと大はしゃぎだ。俺は運ばれただけ…。

どこから上に戻るのかと見回すとこっちだよー、と教えてくれる。結構な岩場をひょいひょい登る子供達は逞しい。魔道具を付けていない俺にはとても真似できそうもなかった。

もっと向こうへ行けば砂浜があると聞いて、そちらへ向かう。普通に泳ぐだけなら泳げるからね!!

子供達にお礼を言って砂浜を目指した。

加護のおかげか海の中で目を開けても全然痛くない。どこまでも透き通る水に差し込む光、小さくてカラフルな魚たちが群れをなしてキラキラ輝きながら舞い踊るのをうっとりと眺める。なんてキレイなんだろう。

やっぱり来て良かった。

砂浜について海から上がると、大漁宴会をしている所の端っこだった。なんだぁ。でもこの格好は恥ずかしいので目立たないようにこっそりと晒しとふんどしを外し、下に着ていたシャツとハーフパンツで町長の家に戻った。

「海キレイだった~♡」
「タケルと一緒に見られて幸せです。」
「海の中を泳ぐタケルには見惚れたぞ。」

ソファに3人並んでおしゃべりをしていると、左右から手が伸びて来てハーフパンツの裾をめくって脚を撫でられる。

「まだ昼間ぁ…あっ…」

ぴくんぴくんと反応するのを止められず、キスをされればバードキスでは物足りなくて自ら舌を伸ばしておねだりをする。そしてそのまま流された。




--------------------------------------------

「ん?」

オレの番が終わったから何か飲もうと部屋を出ると、食堂の向こうに見覚えのある顔を見つけた。

「リールか?」

声をかけるとぱっとこちらを見て、話をしていた人間に会釈をしてから近づいてきた。

「こ、こんにちは。」
「おう。あっちは良かったのか?」
「はい。ストゥさん達に用があって来たので…」
「そうか。部屋は今ちょっと…そこで良いか?」

食堂を指し示すとリールは頷いた。

冷えた果実水を2つもらって来て大きなテーブルの角に座った。

「果実水で良かったか?」
「は、はい!申し訳ないです。」
「いや、オレももらって来ただけだしな。」

笑いながらそう言うと、リールは恐縮しながらコップに口を付けた。

「あの、今日の用事は水辺の王の尾をもう少し分けて欲しいと言う事です。ただ…その…まとまった支払いが難しいので使った分を後払いでお願いできないか交渉して来いって…」

グラン…自分で来い!!

と、言いたいところだが何事も経験か。

「分かった。なら冒険者ギルドに預けておくから注文が入ったら尾の分だけ客に前払いさせてその金で支払いをしてくれ。30本も預けておけば足りるだろ。」
「はいっ!ありがとうございます。」

「ギルドに保管料取られるからその分もな。」

「…それ、高いんでしょうか?」

聞かされてないのか。多分、1本\1,000くらいだろうと言えばホッとした顔で無防備に微笑む。この顔と無防備さは間違いなくティスの弟だな。

「お前、モテるだろ。」

そう言ったらビキッと固まる。俯いて迷うような仕草の後、意を決したように顔を上げて言った。

「話を…聞いてもらえますか?」

そう言ったのに言い辛そうにしているので酒ももらって来て果実水に混ぜてやった。

「その…神巫の人とお供の人は…?」
「部屋で休んでるよ。」

そうですか、と言って飲み物を一口飲んだ。

「よくオレがあの2人を抱いてると勘違いされるが、オレとティス…神巫がお供のタケルの伴侶なんだ。2人でタケルを抱いてる。」

説明すると目をまん丸にして驚く。その顔はまだあどけなくてこんな話を聞かせて良いのか不安になる。だが、来年成人するなら、もう色々知っているだろう。

「僕…よく告白されるんですが、みんな僕を抱きたがるんです。でもピンとこなくて…」
「後ろに興味は?」
「…あまり。」
「ふふっ…ティスと同じだな。」

ティスが流されて受け役をやってたのは知ってるし、襲われる時は必ずそれを求められていた。

「あの人も…?」
「見た目はあんなだが元々タチだったんだろう。入れる方が良いみたいだぞ。」

ちゃんと納得できなきゃ断れば良い、そう言ってもまだ完全に受け止められてはいないようだ。

「そう言う話ならここより部屋の方が話し易いだろう。」

オレはリールを連れて部屋に戻った。

リールの肩に手を置き、扉を開けさせると、後背位で2人が絶頂を迎えるところだった。

「いっ…ぁあん!…ま、た…イっちゃ…」
「タケル、一緒に…」
「むり、待てな…ひぅぅっ!!」
「あっ…クッ、う…」

両方の乳首を摘まれ、可愛い陰茎をいやらしく揺らしながらティスの物を飲み込んで律動する腰。絶景。

「扉を閉めたいからもう少し進んでくれ。」

耳元に囁くとリールはギクシャクと命令に従った。

「あ…ティス…?」
「私はこっちですよ?」

タケルがリールをティスと間違えてティスがむっとする。

「え?…え?は?」

事態が飲み込めずキョロキョロとティスとリールの顔を見比べたタケルが絶叫した。

「い………いやーーーーーーーーーーーっっ!!ティスっ抜いて!やぁっ、ダメっ!動いちゃ…ひぁぁっ!」

まだ敏感な内部をティスが無意識に擦ってしまったようでタケルがまたぴゅくぴゅくと白濁を零した。

タケルを抱き上げて浄化をすると、苦手なそれがスムーズに出来る。加護のおかげか。

「も…もう!抜いてって言ったのに!!」
「タケルの願いを聞かなかったのは申し訳ないと思いますが、今、文句を言うべき相手はストゥでは?」

そうだった!と顔に書いてある。

「悪かったな。もう終わってるかと思ったんだが…」

ちゅっちゅっと額やこめかみやまぶたにキスを落とすとまだ感度が上がってるのか気持ち良さそうな顔になる。このまま始めたい。

「…ストゥ、早く説明して下さい。」

ティスが珍しく本気で怒っている。当たり前か。

「いや、実はリールが悩んでる内容がな、オレよりティスの話を聞かせた方が良いと思ったんだ。」
「だからって…!
タケルの痴態を見せるなんてよく出来ますね!タケルを離しなさい!!」

痴態と言われて茹でダコになるタケルが可愛い。渡したくないな。だが…

「ほれ、タケルを抱いてれば落ち着いて話せるか?」
「ストゥがタイミングを間違わなければ大抵は落ち着いてるんですけどね。」

タケルを離した途端にオレにだけジャバジャバと雨を降らせて風の渦が取り巻く。夏なのに寒い…
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