行ってみたいな異世界へ

香月ミツほ

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行ってみたいな!あちこちへ

92 最高級の魔石

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魔石に魔力糸を絡めると、それを通じて魔力が戻って来る。

『まま だいじょぶ? どしたの?』

みんなに褒めちぎられてご満悦のチビだけど、俺が寝たままなのを心配して近づいて来た。

「大丈夫、ちょっと疲れちゃっただけ。チビ強くなったね。びっくりしちゃった。」
『チビ ちゅよい!』

決めポーズ!

小モグラにも中モグラにも魔石があるようで、俺が休んでいる間、みんなでモグラを捌いている。
そう言えば魔獣って魔石が採れる物なんだっけ?

「大型の魔獣や小さくても高位の魔獣は魔石を体内に持っていますが、普通の小型魔獣でこれだけ質の良い魔石を持っているなんて聞いた事がありません。コグマモグラもあの大きさで魔石は持っていませんでした。」

小モグラは1~2個、中モグラは5~6個、大モグラはこの大きいやつの他に3cm程度のの大きさのを5~6個持っていた。もしかして魔石で大きくなったのかな?

要救助者だった鉱夫達も一緒にモグラを捌いて「こんなに確実に魔石が採れるなんて!」と嬉しそうな悔しそうな声をあげていた。

モグラを捌き終わる頃には俺も回復して歩けるようになった。そしてパティエンスさんがキト風味のモグラ肉団子がまた食べたいと言うので、中型を2匹持ち帰る。キトはないからニンニク風味になるけど。

外に出ると途中で助けた人も含め、たくさんの人達が待っていてくれた。歩けると言ってるのにティスが降ろしてくれなくて恥ずかしい。報告はリーダー達に任せよう。
他の通路も埋まっていたようでこれから復旧工事だって。

俺達は採れた魔石の分配を話し合う。

小さい物は重量で山分けして、中くらいのは話し合いで決めた。問題は大モグラから出て来た大きな魔石。どれほどの価値になるかギルド職員でもすぐには決められないと言う。困った。

「タケルはこんな魔石を探しに来たんだろう?」

アルクスさんが言う。頷くと取り出したのはタルパだからとタルパの意見を聞く。

「あの…俺はタケルさんにお世話になったし、こんな凄い物は俺には分不相応だと思うからタケルさんに持っていて欲しいと思います。」
「お前はまだ苦労してないから…」

タルパの意見に先輩風を吹かすムラトさん。でもムラトさんも若いよね?

「おれ…タケルが持っているのが良いと思う。タケルの治癒の助けになれば、それはタケル以外のたくさんの人のためになる。」
「私も同意見です。」

パティエンスさんの擁護にタートリクスさんも乗る。アルクスさんも頷いているから 同意見なのだろう。

「おれはまだ初級かけだしで金はいくらあっても足りないとは思うけど、自力で稼ぎたいし、今回は山分けの魔石だけで考えられないほどの稼ぎだ。甘いと言われてもそんな大物は要らない。」

イアソンが言った。

「おれもタケルさんが持つのが良いと思う。」

ムラトさんの味方をするかと思ったトドリスさんもそう言ってくれた。

「確かにこれ1つで今回のそれ以外全部よりも価値がある訳ですが、私達が欲しいのはこれだけです。他の分け前は要りませんし、何なら追加でお金も払いましょう。」
「オレも取り分は放棄する。」
「そうだ、青龍の鱗も付けようか?」

「青龍の鱗!?」
『たからもの あげるの? あいらのはねも あげる?』
「それはチビのだから!!」

「そのワイバーンは何て?」

藍鸞あいらんの羽もあげるって…でもそれはこの子のだから。」

「藍鸞の…建国の尾羽なんて貰って、国を造る気ですか?」
「いや、それ欲しいなんて言ってないから!!」

あれ?ムラトさんは藍鸞の事、知ってる?魔術師寄りなのかな?

「もう判ったよ!俺ばっかごねててかっこ悪い!!取り分も最初の配分で良いし、大きいヤツはアンタの物だ!」
「ありがとう!!」

肩透かしなくらい早く目的の魔石が手に入ってしまった。ありがたい。
でもついでだから坑道の通路の復旧と補強を手伝って行こう。

炊き出しが用意されていたのでみんなで食べて肉団子は明日作る事にした。みんな疲れ切っていたので、テントを張って早々に休む。

魔力は取り戻したけど、疲れた…



翌日は昼近くまで寝てしまった。まぁ、急いで起きる必要もないんだけど…

昨日の中型モグラで肉団子を作ろうと材料と道具を並べていたらタルパが起きて来た。なんだか目がとろんとして動きも鈍い。ふらついているようにも見える。

「おはようタルパ、大丈夫?」

「…はい、大丈夫です。おはようございます…」

あんまり大丈夫じゃなさそうなんだけど、あれだけの数を討伐したんだから疲れて当然か。治癒してあげよう。
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