行ってみたいな異世界へ

香月ミツほ

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行ってみたいな!あちこちへ

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別れを告げて家路を辿る。

嘘です。辿らず転移します。
荷物も軽くなって転移も楽々!

「それにしてもアイスクリームは大人気だったね。かき氷も。」

綿あめ作るタイミング逃したな。

「氷は作れても、ああいった冷たいデザートは誰も作りませんでしたから。」
「どっちも美味いが、かき氷の頭痛が面白かったな。」

「ゆっくり食べるとあんまり頭痛はしないけどね。」

「それじゃあ楽しみが半減する。」

チャレンジャーか。

「そうだ、ティスにまだ言ってなかった。今度、北東の鉱山に魔石を採掘に行きたいんだけど、良い?」
「良い依頼もなかったから普通に旅だがな。」
「構いません。大規模討伐ではないから、温泉も空いているんじゃないでしょうか。」
「3人で温泉旅行だね!」
「タケルの非常時回復用の魔石探しだろう。」

そうだけど。でも温泉旅行を兼ねても良いんじゃないかな?

「じゃぁ、準備でき次第出発で良い?」
「あぁ。それで良い。」
「もちろん私もです。」

鉱山地帯に向けては乗り合い馬車が毎日1便定期的に運行しているそうなので明日の朝の便に乗る。席は商業ギルドで予約する。途中では宿に泊まるけど向こうに着いたらテント生活なのでキャンプセットも用意。

のつもりだったけど3人分の席が空いていたのは明後日の便だった。
ショコラ買って行こう。

…シュクルさんの店は閉まっていた。

「どうしたんでしょうね。」

店舗兼住宅だったはずなので呼んでみる。

「こんにちはー!タケルです。」

シュクルさんはどうぞどうぞと家に入れてくれた。

「何かあったんですか?」

「実は…この国の気温が思いの外高く、ショコラが溶けてしまうのです。店内を冷やす事はできますが温度調節のできる箱まで用意すると価格が上がってしまいますし、持ち帰られた商品に責任が持てません。それで秋になるまで閉店する事になりました。」

秋まで食べられない!?

「うちの分の保冷容器を用意するから、予約販売して下さい!」

「確かにカフェに下ろさないかと言われています。向こうで容器を用意してもらってあちらの店内で提供してもらうなら可能ですね。」

明日、24個作ってもらう約束をした。
魔道具屋さんに寄ってちょうど良さそうな保冷容器を買ったんだけど、ストゥのロケットと似たような物が店頭にあって、俺の写真と同じ構図の別の人が描かれていた。
人気商品だそうだ。

うん、俺じゃないから恥ずかしくないよ!

鉱山地帯は寒暖差が激しいと言うので冬用の服も持って行く。
ほぼ使った事のない短剣と、青龍の鱗の装備も忘れずに。

…忘れずに?

何かを忘れているような気がする。
そうだ!スマホチェック忘れてた!充電機も持って行かないと。

慌ててチェックすると、未読が34件。

〈悪かった〉
【尊~!】
【戻って来~い!】
【既読お願い~】
〈尊、俺達の繋がりはこれしかないんだぞ。ちゃんとチェックしてくれ〉

この後も凪の愚痴と文句とスタンプと、時々樹の心配した言葉が入っていた。

そう言えば性生活の事を構われたんだっけ。
日本に居たら男同士で同棲してあれこれするなんて考えられないよね。音も人目も気になるし。
遮音結界さまさま。

《ごめん、もう怒ってないよ。友達の結婚パーティーへ行ってただけ。》
《ガーデンパーティーだから料理してた。》
《記念写真をA4で、こっちの2人のはペンダント用サイズで2枚、この写真は普通サイズで2枚お願い。》
《あとこれから泊まり込みで出かけるからまたしばらく間が空くかも。》

それだけ書き込んで終了する。
すっかり忘れてたねえさまの写真も頼めた。

お昼は外食だったし、夕飯は何にしようかな?

トマトと牛肉の卵炒め、冬瓜のスープ、チンジャオロース、モロヘイヤのお浸し…肉の塊がないな。油淋鶏も追加で。




チョコアイスを作ろうと思ってたけどココアがない。なのでバニラを作ってチョコチップを混ぜるのと、チョコソースを練り込むのに決めて、バニラアイスを作る。
あとは明日だ。

ふと、チビがあいらの所へ行ったまま戻って来ないのに思い至った。
いつもならお昼には帰って来るのに、既におやつを過ぎている。心配になって魔術糸を口元に寄せてチビに語りかけた。

「チビ?どうしたの?いつ帰って来る?」

すぐには反応がない。焦れながら待っていると、20分ほど経ってから返事が来た。

『まま…ちゅかれた…おひるねしてから かえりましゅ…』

遊び疲れたのかな?

「分かった。慌てなくても良いからね。」

「チビはどうしたんだ?」

「よく分からないけど、すごく疲れたみたい。お昼寝してから帰るって。」

「魔力の糸は便利ですね。普通の人間ではとても魔力が持ちませんが、さすが『特大』ですね。」

本当だ。なにか役割があるのかも、なんて考えちゃうほどだね。
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