行ってみたいな異世界へ

香月ミツほ

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行ってみたいな!あちこちへ

77 パーティー、つまり酒盛り

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「フラれたし未練もないし!
ありのままのおれを受け入れてくれるマグが1番だから!!」
「マグさんは胸毛へーき?」
「生えるものは何でも育てたいくらいです。」

…植物じゃないけど。

「え?アラケル胸毛でフラれたの?」
「薄っすらしか生えてないのにね。」
「その話題から離れろ!」
「見せてみ?」
「やめろって!こら、何でマグが脱がそうとしてるんだよ!?」
「確認します。」

そう言って羽交い締めにされたアラケルのシャツのボタンを外して行く。

やっぱり薄っすらだ。

「ティスはこれでも気になるんだね。」
「タケルくんはどうなんですか?」
「俺は気にならないけど。」
「そうではなくて、全然生えてないんですか?」
「胸毛はないなー。」

ほら、とシャツをはだけて見せるとマグさんが不毛地帯ですね、って言った。

「いだだだだっ!!」

俺の胸を触ろうと手を伸ばした冒険者さんがストゥに腕を捻り上げられた。

「タケル、私たち以外に見せたらダメでしょう?」
「そうだったー。前にアラケルに触られた時泣いちゃったよねー。」

あはははは。
アホなやり取りが楽しい。

「それにしても、やっぱり覚えてもらえてないんだー…がっかりー。」

ん?冒険者さんが落ち込んでる。なんで?

「タケル、こいつはおれの幼なじみでグラーナって言うんだけど、知ってるのか?」

なんだか聞き覚えがあるような…?
黒に近い髪色で彫りもそれほど深くない。えーっと…

「あぁ!!森の研究施設で会った人だ!」

すっかり忘れてた。

「大規模討伐のときも気づいてくれないから忘れられたんだろうと思ってたけど、やっぱりショックだ~…」
「ご、ごめんなさい…」
「まぁ、仕方ないよ。タケルは1人でも俺達は複数だし、ちょっとしか会ってないしね。それにしてもストゥとミーティスが羨ましい!!」

くそー!飲むぞー!と結局また飲む口実になっている。そんなに落ち込んではいないみたいだ。


「…ところでなんでこんなに暑いの?熱帯夜?」
「暑い…?もう暑くありませんよ。」

だいぶ涼しくなっていると言う。でも俺は暑い。何で?

「…もしかして…」

アラケルが俺のグラスの匂いを嗅ぐ。

「すまん!この氷、酒だ。」

お酒が薄まらないように凍らせたお酒だったらしい。水分から凍って行くから外側は普通の氷で、中に濃いお酒が入った状態になってたようだ。

ロックって、薄めるために氷入れるものだと思ってた。

「あの…アラケルに触られるのが泣くほど嫌だったんですか?」
「あ、マグさんごめんね?アラケルが、って言うより好きな人以外にいやらしく触られるのが嫌だっただけだから。マグさんも嫌でしょ?」
「触られたことがないから分かりません。」
「ほら、嫌じゃない?」

やっぱり酔っていると判断力が低下するのかな?ついボタンを外して弄ってしまった。

「…んっ…」

あれー?マグさん嫌がってない?普通に感じてる?

「嫌じゃないの?」

ふにふにと胸を揉みながら聞いてみたら首を横に振る。乳首摘まんじゃえ!

「はぅっ…!」

「アラケルー、マグさん嫌がらないよー?」
「先ず手を離せ。見てるこっちが恥ずかしいだろ。」
「なになに?マグってそんな奴だったの?」

研究者の1人がやって来て触ろうとするのをアラケルが止めた。

「タケルはともかく、お前はダメだ!」
「何でだよ!?」
「受け同士ならじゃれ合いだからだ!」

俺、百合扱い?

「っや!」

反撃なのかマグさんに触られてすごく嫌な感じがした。

「やっぱり俺はダメだー。自分勝手でごめんなさい…」

「不思議ですね。」
「あっ、こら!」

「っ!…本当ですね。確かに相手を選ぶようです。」
「ひでぇ!」

マグさんはせっかくアラケルがガードしたのに、研究者の人に胸を触らせてイヤな感じを実証している。研究熱心…?

「いちいち試すな!」
「ふふふ…ごめんなさい、もうしません。」

ため息をつきながら文句を言われ、謝りながらも笑顔でアラケルの手を胸元に引き寄せて抱きしめる。見つめあってラブラブ…

「じゃあ、俺たちは部屋に行くから、みんな適当にしてくれ。」

あっ!これ結婚披露パーティーだった!
すっかり忘れてた。

主役が引っ込んだら街中なら宿をとったり酒場に行ったり、帰ったり飲み続けたり。ここならテントでも良いらしい。空いてる部屋は1つしかないから俺たち用だって。なんてざっくりしたパーティーだ。

ありがたく部屋を借りよう。お酒も飲んでしまったからもう寝よう。
それにしてもパーティーをする意味、あるのかな?

「酒を飲む口実だな。互いの交友関係を紹介する場でもある。」

「ラティオとフォンスの様に口実を口実に料理を食べに来る人もいますしね。」

「面白いね。朝ごはんは和食にするよ。」

フォンスくんは気に入るかな?





「タケル、私もアラケル達に当てられました。触れても良いですか?」

部屋に入って寄り添って、そんな事改めて聞かれたら恥ずかしいじゃないか。

「いつもはそんな事聞かないのに…」
「確かな答えが欲しいんです。」

頬を両手で包み込まれて至近距離で見つめられて、恥ずかしいのに顔を背ける事が出来ない。ティスの顔が近づいて、ドキドキして胸が苦しくなってくる。

息がかかるほど近づいて止まる。

キスしてくれないのがもどかしい。

「…キス、して?」

絞り出すようにおねだりを口にした。
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