行ってみたいな異世界へ

香月ミツほ

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行ってみたいな!あちこちへ

75 真昼の宴はバトルが必須?

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今日はツマミだからトンカツも一口サイズにしてある。あ、枝豆の茹で具合はどうかな?

うん、美味しい!

冒険者の人が話しかけてきた。

「これ、春の大規模討伐で食べた気がするけど、タケルが作ったの?」
「はい。唐揚げです。こっちはカツで、これは未熟な大豆を茹でたもので、枝豆と言います。」

あれ?見覚えがあるような気もするけど思い出せない。その人は説明を聞きながらひょいパクとつまんで

「うま!全部美味い!!」

嬉しい言葉ににこにこしてたら、ティスが来て後ろから俺を抱き込んで言った。

「タケルは私とストゥのものですから。」

話の流れが見えない…

「この人は料理を褒めてくれただけだよ?」
「目つきが怪しいです。」

いや、それは欲目と言うものでは?

「…医療班の黒髪の可愛い子がちゅーしてくれる、って噂になってた子?」

ぎゃぁっ!!

「えぇっ!?タケルくんがそんな事を?」
「違います!治癒です!ちゅーじゃなくて治癒!!術に慣れてなくて治癒って声に出てただけです!」

「あ、俺、ちゅーしてもらったー。」
「おれもー!」
「オレしてもらってない~!!」

もう酔ってるのか!

「なになに?その子がちゅーしてくれるの?」
「してくれー!」

ドゴォッ!
「ぐはっ!」

バキッ!
「ンゴッ!」

ドカバキグシャと音がする度、おかしな声が聞こえる。

「タケルはオレ達のもんだと言ってるだろうが!」

え?
ストゥが人を殴ってるの?珍しい…
腕試しでしか殴らないと思ってた。

「先を越されましたか…」

ティスが残念そうで笑える。

「おう!上級サマが相手してくれんのか?」
「不意打ちとはやってくれる!!」

嬉々として殴り返しに来る冒険者達を千切っては投げ千切っては投げる。そのうちに研究者の人達も混ざり出して、なんだかストゥが怪獣みたいな扱いに…

「楽しそうだねー。」
「楽しそうですね。」
「タケルくん、カツ美味しいですね。」
「マグさん気に入りました?アラケル、この肉に使ってる塩は岩塩?」
「当たり。ローズマリーはそこにあるヤツ。」

ローズマリーってもっさもっさに育つよね。

『ままー!でじゃーと   たべたい!』

「え?もう?」

こくこく頷くチビ。

「じゃぁ、まずはかき氷にしようか。」
「きゅーーー!!」

嬉しそうに空を舞い踊る。
ティスがかき氷機を出してくれて、アラケルが氷を運ぶ。マグさんに良さそうな木製の器を出してもらって俺はシロップと練乳を並べた。

ストゥ達はまだ殴り合いを楽しんでいる。

先にマグさんとアラケルに説明しながら作って渡す。

「そう言えば、すごく大きなキウイが売ってたんだけどマグさんの成長促進剤は関係ありますか?」
「あるよ!色々試してみたらツタ以外にも効果が出る薬を作れたんだ!」
「蔓植物限定だけどね。」
「作物には変わりないんだから良いんです!」

「このキウイソース、その巨大キウイで作ったんだよ!すっごく美味しかった。蔓植物と言えば、ブドウとかスイカとかメロンとか?」
「あー、スイカとメロンは薬剤の量の調節が難しくてすぐ爆発するんだ。カボチャは危険な感じがするからまだ試してない。ブドウは実が生るまでに少し時間がかかるからまだ観察中だ。」

爆発…
ブドウは楽しみだなぁ。

「チビ、そろそろストゥ達を止めてくれる?」
『わかったー!』

ザバーーーーーーーー!

滝のような雨がストゥ達に襲いかかる。勝負に水を差した訳だね。

「チビ、なんだ?」
「きゅきゅ!」
「なんだよこれ!」
「すげぇな!」
「気持ち良いなー。」

暑い日差しの下で運動をした彼らにはかなり気持良かっただろう。

「はい、かき氷ですよー。」

みんなの分を作って配ると大好評でみんな3杯は食べてた。
それにいつの間にか人数も2人増えてた。お久しぶりのラティオさんとフォンスくん。

来たら戦いが始まってたんで駆けつけ3杯ならぬ駆けつけバトルとなったそうだ。研究者の人達はさすがに始めの20分しか参加できなかったみたいだけど。フォンスくんはバトルには参加せずにラティオさんを応援してました。

「それにしてもかき氷って美味いな!ぐぅっ…」

3杯目をかき込んでキーンとしながら言うラティオさん。

「ところでソレ何?ワイバーン?」
「そう、迷子になってたのを保護して、今は一緒に暮らしてるの。」
「可愛いじゃん。」
「きゅきゅ!」

フォンスくんは光属性だからチビは懐く。ナデナデされて嬉しそうだ。

「オレのだからな?」

ラティオさんが笑いを含んだ声でチビを牽制する。チビはラティオさんをじっと見ながらそーっとフォンスくんの首元に頬ずりする。

「オレのだと言ってるだろ!」

チビを捕まえようと出した手を躱し、追いかけっこを始める。ひらひらくるくる舞うように上手に躱す。かき氷を食べ終わった冒険者達が追いかけっこに参加してくれるので、チビがとっても嬉しそうだ。

追いかけっこに参加しない人はまたお酒を飲み始めた。
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