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行ってみたいな!あちこちへ
74 アラケルとマグさんに祝福を
しおりを挟むパーティーに持って行くものは、アイスクリーム各種、かき氷機、綿あめ機、その他食材、調味料各種。
…食べ物ばっかり。
ストゥ達はお酒を持って行くそうだ。
馬がいない分、西の町から戻った時より転移の総量は少ない。大丈夫。
ティスがパーティーに行く前に青龍の鱗のペンダントを受け取りに行くと言うので、帰りにショコラとチョコレートソースとチョコチップを買って来てもらう。ストゥのロケットも受け取って来るそうだ。
俺はやっぱり恥ずかしいから、なるべく工房に行きたくないです。
チビはあいらに突つかれたのがまだ不満なようで、お土産を持たずに様子を見に行った。仲直りできると良いね。
「戻りました。転移しますか?」
ティスが機嫌良く急かす。
何で?
「このペンダントをしているとタケルを抱きしめているような気持ちになって幸せな気分なんです。」
「なるほどな。確かにそんな感じだ。」
ストゥもロケットを胸ポケットに入れて、そこに手を当ててうっとりとしている。
なんか恥ずかしい…
とにかく準備が出来たので、行き先の安全を確認して、転移!
マグさんちの庭。
「何度見ても凄いな!」
アラケルが庭のかまどで肉を焼いていた。マグさんはグラスを運んで来た。2人が転移に驚きながらもとても幸せな笑顔で出迎えてくれる。
「「「結婚おめでとう!!」」」
まずはお祝いを言って料理を手伝う事を伝える。ストゥとティスが荷物を降ろし、念のため保冷術式を書き込んだ護符を保冷容器に貼ってアイスが溶けないようにする。保冷力強化。
爪ウサギと鶏肉を唐揚げにし、トンカツも揚げて大量のカツサンドを作る。サラダとスープはアラケルが作っていたから不要。足りなくなったら作ろう。
「あ!枝豆忘れてた!」
持って来るつもりだったのに…
転移で行けるかな?王都から西と東北だから少し距離はあるけど…ストゥとティスに相談したら魔力補充用にティスを連れてけって。ティスはモバイルバッテリー?
2人で飛んで畑に顔を出す。
「こんにちは!」
人の気配に向かって声をかけると、数人が顔を上げた。
「おう!あんたらか。またこれが欲しいのか?」
「はい。友達の結婚パーティーで出したくて。」
「そんなら好きなだけ持ってって行け!祝いだ!」
お言葉に甘えて10株ほど収穫する。
「それだけじゃ足りないだろう。もっと持ってけ。」
「ありがとうございます!」
さらに10株もらい、枝から外す。レフェクが麻袋を持ってきてくれたのでそれに入れると、2袋になった。すごい量だ。
「レフェク、ありがとう。」
「べつに…」
笑顔でお礼を言うと真っ赤になってそっぽを向いた。
うぅっ!!…思い出した。あの時はお酒も入っていたからすっかり忘れていたけど恥ずかしい記憶が甦る。ティスがずいっと割って入ってにっこりと言った。
「忘れて下さい。」
威圧的な笑顔なのにレフェクは見惚れている。
「忘れて下さいね?」
もう一度念を押され、しどろもどろになりながら「努力する」とつぶやいて逃げるように離れて行った。努力するのか…そう言うのって無理すると逆効果な気がするけど、ごちゃごちゃ言う訳にもいかない。うん、時間が解決するのを待とう。
麻袋を抱えて転移で戻ると、さすがに少し疲れていた。ティスから貰うほどではないけど、少し休ませて貰う。
ストゥが茹でるだけならできると言ってくれたので、良い香りがしてきたら食べて茹で具合を見るよう伝えた。お祝いに来ていきなり休むのもなんだか申し訳ないけど、これからが長そうだから遠慮なく。
この前は普通の枝豆サイズだったけど今は普通の枝豆より大きい。サヤの端を切ったら4分くらいで茹だるんじゃないかな?どうだろう?
1時間ほど眠ったところで声をかけられた。
「起きられるなら乾杯するそうですが、どうですか?」
「起きる!起こしてくれてありがとう!!」
外に出ると15人ほど集まっていた。マグさんの関係者っぽい人が3人、冒険者らしき人達が7人、そして俺達3人。あ、チビもいる。やっぱりマグさんを気に入っているなぁ。
夕方にはもっと集まるかも、だって。
そんなゆる過ぎるパーティーって、開く側が大変な気がするけど…基本飲むばかりで酒とツマミは持ち寄るので細かい事は気にしないみたい。とにかく乾杯だ。
「今日は俺達のために集まってくれてありがとう!俺達の末長い幸せを見届けてくれる気の長いヤツはガンガン飲んでくれ!」
「アラケルとスラマグドゥスに祝福を!」
「「「「祝福を!」」」」
「きゅーーー!!」
なんだか面白い口上だ。マグさんはずっとニコニコしてる。そう言えば誰1人着飾っていないけど、主役も平服なの?
「それぞれだな。着飾りたいヤツは着飾るし、服に興味のないヤツは普段着だ。研究者も冒険者も、まぁ後者だろう。」
だよねー。
しかも主役のアラケルが焼けた肉を食べやすいように切り分けてるし、マグさんは食べる気満々だ。
まずはチビに唐揚げとトンカツとアラケルが焼いた肉を取り分ける。サラダはトマトだけを欲しがる。人間じゃないから好き嫌いしてもしかたないよね。
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「連れて行きたい日本へ」で
ストゥとタケルがラブホに行った時のいちゃいちゃが読めます。
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