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行ってみたいな!あちこちへ
67 チビとの会話
しおりを挟む音に驚いて駆けつけたストゥが介抱してくれて、約1時間後に目を覚ました。ぶつかったのは青龍の契約印だったので衝撃だけで怪我はない。チビは?
まだ目を覚ましていなかったけど、心配でそっと撫でると途端にぱっちりと目を開けた。
『ままー!』
え?
可愛い子供の声がどこからともなく聞こえる。これって…チビの声?
「チビ、俺の事ママって呼んでたの?」
『うん!まま、いちばん だいしゅき!やしゃしい、いいにおい、ごはんおいしい!』
「ストゥ、チビの言葉聞こえる?」
「チビはいつも通りキューキュー言ってるだけだぞ。」
それはつまり、頭と頭をごっつんこしたせいでテレパシーが通じるようになるネタ?もしかして青龍の縁結び効果とか?
謎だ。
でも可愛いし、嬉しいから良いか。
「チビ、俺も大好き!」
ぎゅっと抱きしめてそう言うと
『すとぅも てぃすも だいしゅきだけど、ままがいちばん!あいらがにばん!』
「あいら?」
『おしょらのうえの おともだち!』
藍鸞で「あいら」か。なんか可愛い。毎日通ってるもんね。
『あいらもいいにおい。ままとおんなじ』
「どんな匂い?」
『……いいにおい。』
説明できないようだ。それはおいといて
「ぶつかった所、痛くない?」
『いたくない。ちび、ちゅよい!』
子供らしい返事も可愛い。
『おなかへった!』
そう言えば俺もお腹が空いたな。時間は午後2時を過ぎたあたり。ストゥがいつでも調理できるようにカマドや調理台を作ってくれていた。心配で側を離れられないから、とこの場で作っていたそうだ。
不安な時は身体を動かすに限るよね。
手早くスープを作り肉を焼き、持って来たパンを出す。コルも炒める。
簡単調理だけどお腹が空いてたのですごく美味しかった。
一息ついてコルを採り、ついでにコグマモグラも狩る事にした。洞窟に行く。
…?
洞窟がない。いや、見つからない。
入り口だったはずの所は土で塞がっている。中を探ってみると3mくらいの壁の向こうに洞窟が存在した。穴を開けるのは簡単だけど…
「どうする?」
「無理に狩らなくても良いか。」
そう結論を出した俺たちの前にウサギが飛び出した。爪ウサギだ。しかも…とてもやさぐれている。あんなキャラだっけ?
7匹ほどの群れで突然襲いかかって来たのを、ストゥがさくっと倒す。
「この辺の爪ウサギはずいぶんガラが悪いな。」
耳を掴んでぶら下げて顔を覗き込みながら、そんな感想を述べつつ手早く捌いて肉にする。キトも摘んで夕飯は肉団子にしよう。未だに自分では捌けないけど、肉になれば食材にしか見えなくなった。感謝はちゃんとしてるよ。3人分なら2匹で足りるから、残りは持ち帰ろう。
寝て起きれば魔力は回復するだろうし、今日は大事を取ってキャンプする。
ドーム型で弾力のあるテントはチビが大喜びでトランポリンにしている。うちのだから良いけど。
爪ウサギの2匹を夕飯に、思いついて2匹を薫製にしてみた。どの木をチップにしたら良いのか分からなくてストゥが削った木屑を使ったら香りが少なくてちょっと物足りなかったけど、おやつにしよう。キトを揉み込んで塩気をもう少し強くすればツマミにも良いな。
レタスのようだったキチシャは椿の葉っぱのように硬くなって、食べられなくなっていた。苦かった…
前にキクラゲを見つけた所でまたキクラゲ発見!触ってみたら確かに3分の1ほどは硬くなり、強く摘まむと表面がかしゃんと割れて中身はぷにゅっとしている。こんな感触のお菓子ってなかったっけ?あ!肝油ドロップ?じーちゃんが好きでよく食べ過ぎて怒られてたっけ。お菓子じゃなくてサプリだもんね。
3分の2はぷにぷになので食べられる!茹でてコルと和えて中華サラダ風にしよう。ついでにスープも中華風。
チビが突然、キクラゲのあった所に雨を降らせた。
すると見る見るうちにキクラゲが生えて来る。タイムラプスみたいだ。でも何で?
『おみじゅほちいって、きのこがゆうの』
「植物の声が聞こえるの?」
あ、きのこは菌だっけ。
『こえ、わかりゅの』
音として聞いてる訳ではないと言う事か。ちぎられるの痛がってない?
『いたくないって。きのこもちゅよい。』
痛覚が無いだけだと思うけど、痛がってなくて良かった。草を踏む度に悲鳴が聞こえたら病みそうだ。
「ご飯食べようか。」
『いたらきましゅ!』
「「いただきます。」」
チビは食べ終わってからせっせと優しい雨を降らせてあげている。この辺は雨が少ないのかな?
しばらく雨を降らせるとチビは疲れたようで、ぐっすりと眠った。
「ストゥも頭ぶつけてみる?」
「明日、やってみるか。」
笑いながら寝支度を整え、寄り添って眠りに落ちた。激しく求められるのも嬉しいけど、優しくいちゃいちゃするだけで眠るのって、胸がきゅんとする。幸せな夢が見られそうだ。
…そう言えばストゥの部屋で寝る約束してたのに、忘れてた…
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「連れて行きたい日本へ」で
ストゥとタケルがラブホに行った時のいちゃいちゃが読めます。
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