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行ってみたいな!あちこちへ
64 ティス指名依頼
しおりを挟む「ねえさま、これは通信機。調べたいことを指定すると結果を知らせてくれるんだ。他に写真も撮れます!」
通話はこっちでは出来ないから説明不要。
「しゃしん?」
「ねえさま、こっち向いてニッコリして!シュクルさんもこっち向いて笑って。」
パシャ
ねえさまは反射的にロイヤルスマイル、シュクルさんはキョトン。あはははは!
「はい、これが写真。」
2人に画像を見せると期待通りのビックリ顔。あれ?写真はプリントしたもので、こっちは画像?
それは良いとして。
「アイスなら溶けちゃうからその場で作らないといけないよね。」
でもお茶会で話より食べるのが優先てアリ?
「ぜひ作りたいとは思いますが、お茶会に拘らなくても良いのでは?」
「ここに食べに来られれば良いけど、それが出来ない子もいるの。屋敷から出るのは学園か訓練場だけ、と言う子がね。」
今回のお茶会は王宮主催だから許されるのか。でも確かに普通のショコラならお土産でも良いよね。
「?最初、お客さんとして呼んでたけど?」
「それは…その…」
ごにょごにょ言ってる。あんまりツッこまない方が良さそうだ。
「お茶会はいつなの?」
「ひと月後よ。」
近いのか遠いのか分からないな。
「とにかく私は誰かを押しのけてまでショコラを振る舞いたいとは思いませんし、この店もじゅうぶん繁盛しています。これ以上は望みません。」
職人だけど芸術家肌って言うか…のほほんとしてるよね。
「まだアイスクリームメーカーが試作品だから大量のアイスクリームは作れないし、また今度かな?」
がっかりするねえさまに後で写真をあげよう。
寄り道で遅くなってしまった買い物をして帰ると、ティスが帰っていた。
「お帰りなさい!」
と抱きしめられて濃厚なキスをされた。挨拶を超えてる…
「どうしたの?」
何かあったのだろうか?
「依頼が…2泊3日の護衛なんです!明日から貴族の息子のお使いの護衛で…」
「名指しの依頼かぁ。頑張って!」
「頑張るような難易度ではないんです。ただ気に入ったから、と…。今後の仕事を考えると断るべきではないし…依頼料もじゅうぶんだし…」
明日から、ってのも急だよね。
「なら今夜はタケルを独り占めしておけ。」
「はい…」
ティスがストゥの言葉に頷きながら俺をぎゅっと抱きしめる。
「いざとなったらティスを目標に転移できるから。」
そう言って笑ってキスをして、もう一度抱きついて落ち着かせている間にストゥは買って来た食材をキッチンに運んでくれていた。
明日はお弁当作ろう。
夕飯はストゥのリクエストのカツと唐揚げと、ティスの好きな茶碗蒸し。野菜サラダとお味噌汁。
「ところで護衛対象は何歳?」
成人してるのかな?
「15歳です。跡取りなので家業の見習いをしているようです。」
「どんな子?」
「…我が強く、よく我が儘を言います。周りが厳しく叱ってもめげません。」
「めげないんだ…。」
「教育が上手く行けば将来有望ではあるな。」
ストゥが笑う。
「使命を自覚するとか信念を持つとかできればな。」
「良い領主になると良いね。」
話のキリのいいところでくいくいと袖を引くチビ。唐揚げ持ってじっと見る。
「明日のお土産?」
「きゅう!」
「一緒に食べられるように明日はチビの分も持って行く?重いかな?」
「ぴゃ!きゅきゅきゅきゅー!」
おお…唐揚げを捧げ持って舞い踊っている。嬉しいんだね。
ストゥがチビを夜の散歩に連れ出してくれた。
「ティス、お風呂入ろ?」
頷くけど困り顔のティス。何がそんなに不安なの?
「転移ができる様になったから…いつか、日本へ帰ってしまうのではないかと不安で…」
転移ができる様になったと言っても、鱗2枚送るだけで魔力をごっそり持っていかれたんだけど…自分自身を日本に転移させるなんてできそうも無い。
あれ…? 今まで何人か日本に戻ったんじゃなかったっけ?みんな魔力量特大以上だったの?それとも他の要因があるの?あれー?
「ティス、俺は日本に戻る気なんてないよ。向こうには友達がいるけど、こっちには伴侶がいるんだよ。それにチビも。こんなに幸せなのに戻るなんてありえないよ。」
ティスが無言で抱きついてきた。
しばらく抱き合ってからティスを促してお風呂に入った。
身体を洗ってティスの膝に乗って向かい合わせで湯船に浸かり、ただぴったりと肌を合わせる。
「はぁ…気持ちいいね。」
そう呟くときゅうっと抱きしめる腕に力が入る。ティス、大好き。
普通に温まってお風呂を出る。
ベッドへ行ってもティスが弱々しくなったままだ。
「ティース!まだ安心できない?」
「…タケルが嘘をついていない事は解っています。でも気持ちがついていかないんです。」
時間が解決するのを待つしかないか。
「じゃあ今日はティスの側に居たい俺の気持ちを解ってもらえるように頑張るね。」
「え?」
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「連れて行きたい日本へ」で
ストゥとタケルがラブホに行った時のいちゃいちゃが読めます。
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