行ってみたいな異世界へ

香月ミツほ

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行ってみたいな!あちこちへ

閑話 とまどう少年

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レフェク視点の閑話です。読まなくても本編に何ら支障はありません。


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アイツはいかにも強そうな冒険者と変にきれいな冒険者と一緒にやって来た。
第1印象は「小さい」だ。年下に見えるけど冒険者見習いなら15歳のはず。冒険者を目指すために見習いやってるんだろうにミミズに怯えて役に立たない。

やる気あんのか?

おれでも倒せるミミズだけど、気配を探って地中にいる奴らを仕留めるのは無理だ。出て来た所をやっつけるしかない。それを2人はいとも簡単に仕留めて60匹以上の山を築いた。

強い冒険者に依頼するにはかなり金がかかるのに、コイツらは報酬は未熟な豆で良いと言う。
変わりモンだ。どうも小さいやつのためらしかった。

小さいやつは小さいワイバーンを連れている。
ワイバーンのチビは可愛いかった。おれに懐いて兄貴達には懐かない。いつもおれをバカにする兄貴達よりおれを選んでくれた可愛いチビ。

コイツらがおやじ達の「取れ立て新鮮な美味いもん食わせたい」欲望に火をつけたので宴会が始まった。
小さいのが未熟な大豆を塩茹でした。ただ塩茹でしただけなのに美味い!
それからかき揚げとか言うやつも食べたらサクッとしてめちゃくちゃ美味かった。

…ちょっと見直した。

果実酒を持っていってやると笑顔で受け取り、ちびちび飲んで美味しいと言う。
ぽっと赤くなった顔がかわい…

いやいやいや!

チビと遊んだだけでありがとうなんて言われて面食らう。
遊んで感謝される?何なんだ?
そしておれがイヤな事を言われてた事に勝手に怒ってる。

「なんでアンタが怒るの?」
「分かんないけど!何だか腹が立つの!」

ぷりぷり怒るコイツを珍しがる連れ。普段はあまり怒らないのか?
ゴツい連れが酒を取り上げ、こいつがコップ半分の酒で二日酔いになる事をバラす。大笑いだ。

年を聞いてみたら18歳だって。絶対ウソだ。

客人まろうどは幼く見えるの!しかたないの!これでも中級冒険者だよ!」

コイツ、びっくりの塊か。
連れは2人とも上級冒険者で、しかも2人ともコイツの伴侶だって。コイツは客人まろうどで治癒術師だと言うし、もう何に驚けば良いのか分からない。

あげく子供を産みたいなんて…

できる訳ないのに父ちゃんがやりまくれなんて煽る。客に言う言葉じゃないと思ったら兄貴達も同感だったようで殴ってた。

「無理に決まってんだろ。」

おれは思わずそう口にした。



その後酔っぱらったおやじは母ちゃんと兄貴達に連行されて行った。
1番上の兄貴が3人を客間に案内したのでチビを返そうとしたらおれから離れなかったのでおれの部屋でもう少し遊べる事になった。やっぱりチビは可愛い。

広くはないおれの部屋でかくれんぼするチビ。枕の下や机の下、カーテンの中。天井の隅に張り付いていた時はそれで隠れたつもりか!と言ってしまって喜ばれた。雨を降らせるワイバーンだけど、ティープーン1杯くらいの水を玉にして浮かべてあちこちへ落そうとするのをタオルで受け止める遊びもした。最初はおれのズボンの股間に落して誘われたから怒りそうになったけど、浄化するのを待って次の水玉を浮かべ、ここに落すぞ、とふわふわ浮かべたままタオルで受け止めるのを待っていたからこういう遊びがしたいのか、と気がついた。

ワイバーンてずいぶん面白い。

そんな感じで遊んでいたら疲れたようでおれの顔に乗って来た。顔は止めろ、と降ろしたらすでに寝ていた。

可愛すぎる。

でもどう寝かせば良いか分からないので返しに行く事にした。
客だから一応ノックしたけど、いつもの調子でドアを開けた。

まだそれほど遅くない時間なのに客間からは一切音がしなかった。それを変だと思わなかった。やっぱりおれは子供だ。おやじがさんざん煽ったんだからそう言う事をしているのは当然の流れだったのに…

ドアを開けると筋骨隆々のストゥってやつの上に小さなタケルが乗っていて、横からきれいなティスって人がタケルの…あそこを咥えていた。3人とも裸で何がどうなっているのか良く分からなかったけど、タケルが甲高い変な声を出していた。その声を思い出すと…下腹部に熱が集まる。なんでだ?

父ちゃんと母ちゃんがしてるのを見てしまった事もあったし、兄貴が恋人としてるのを見てしまった事もあるけど、ベッドの中だったり服を着たままだったりでこんなにはっきりと見た事はなかった。話だけは聞いていたけど…

驚いて固まっているおれの所にティスがチビを受け取りに来た。

隠しもしない身体は上気して汗が光っていて…勃っていた。顔も、見るだけで勃つような気がする。この時既に勃っていたから分からないけど。

しゃらん

そんな音が聞こえて操られる様に部屋を後にしたけど、ベッドに入っても全然眠れなかった。

あんなに小さいのにあの2人と?
あんなに可愛いのにあんなにいやらしい事を?

こんな時どうしたら良いか教えられていたのに、動転してすっかり忘れ、ただ悶々としていた。
明け方近くなってうとうとしたらタケルとティスに俺は服を剥ぎ取られて身体中舐められる夢を見た。

ものすごく気持良くて目が覚めると、下着の中がぬるっとして気持悪かった。

これが夢精。

知識はあったけど初めての経験。
ハッとしてみんなが起きる前にこっそり下着を洗いに行ったけどすぐ上の兄貴に見つかってしまった。

「精通したか!めでたいな!!」

そう言ってから色々うるさいことを語っていたけど、なにも家族に言いふらす事ないだろう!まったく腹立たしい。こんなんじゃアイツと顔を合わせられない。見送りに行けない。

おれは部屋に引きこもっている間中、ずっと2人の裸がちらついてむらむらしてしかたなかった。

またそのうち枝豆を受け取りに来るようだから、その時にはちゃんと謝ろう。見てしまってごめん、と。

見てしまって…見て……

思い出さない練習なんて初めてだ、とおれはため息をついた。そして何回も、今更思い出した、こんな時のなだめ方を…繰り返すはめになった。



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レフェクの夢に出てきたのは2人とも、が正解でした。(笑)

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