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行ってみたいな!あちこちへ
53 枝豆大好き
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「まだちゃんと実ってもいない豆が欲しいなんてアンタらもの好きだな。」
「俺が育った所では普通の食べ方なんです。特にビールに1番合うと評判で…」
「ほう?」
おじさんの目がぎらりと光った。
「試しに3株ほど売って貰えませんか?」
おじさんは考え込んでいる。
「見た所アンタらは冒険者だな。なら金よりも地の竜を減らしてくれないか?土を肥えさせてくれるからと大事にしてたら増えて、今度は畑を荒らすようになっちまったんだ。」
バランスは大事だよね。
…で、地の竜…って事は…ミミズですね?
ミミズ………
「たいした大きさじゃない。」
そう言ってチラリと畑に視線をやり、
ひゅっ!ざしゅ!と音を立てて土に手を突き立てた。ずぼっと出て来る大きなミミズ…
確かに小説に出て来るような大蛇サイズではない。けど…でも…1mってじゅうぶん大き過ぎだから!!
「ダメか?地中を調べて貰おうかと思ったんだが…気配で探れるから無理するな。」
「休んでいて下さい。」
珍味なのに…と知らない人の声で聞こえた気がするけど、気のせいだよね!!あり得ないもんね!!
お言葉に甘えて畑の脇で遮音結界を張り、チビにしがみつく。たった30分程でティスが迎えに来た。
「ミミズに根を齧られて全滅する所だったよ。減らしてくれてありがとう!」
「根を齧るんですか?」
「あぁ、育ち過ぎたり増え過ぎたりするとな。今日も15株ほどダメにされたよ。」
「だったらそのダメになった株、貰えますか?」
「あぁ、このまま食べるんだったな。構わんが、本当に良いのか?これだけ地竜を片付けてくれたんだ。無事な株だってやるぞ?」
「もったいないです!せっかくここまで育てたのに食べないなんて!!」
ミミズを怖がって震えていた俺が食い意地だけは一人前だと笑われた。枝豆美味しいんだもん!
「調理しますから味見しませんか?」
農家の人達の目がぎらぎらん!と輝いた。
旬の野菜をあちこちから収穫して来てうちに来いと呼ばれた。お言葉に甘えます!
村の端にある大きな家は広い庭でバーベキューが出来る。井戸水で野菜を洗ってカマドで茹でたり焼いたり。俺は枝豆を枝から外し、大鍋で塩茹で。半分を鞘から取り出して枝豆のかき揚げも作った。
突然の試食会、と言うか宴会。
農家の人たちは恐る恐る、ストゥとティスとチビは何の迷いもなく枝豆を口に入れた。
「!!!」
言葉もなくビールを飲むのも忘れて枝豆を頬張る。1度では鍋に入らなかったのでおかわりもまだある。
「かき揚げも食べて下さいね。」
塩を振ってあるのでそのまま食べられる。
みんな思い出したようにビールを飲んでかき揚げを食べると、感動したように動かなくなった。サクッと音がしたから揚げ具合も大成功だね!
この家のお母さんも大喜びでバクバク食べてくれる。豪快だ。あれ?お父さんと子供が…男の子4人?
「ん?あぁ、こいつか?レフェクと言うんだが小さい頃体が弱くて今にも死にそうだったから少年の家に行かせなかったんだ。そうしたらどんどん元気になって、ここまで育った。」
「何だか良いですね。」
「?そんな事言う奴、初めてだ。」
今まで、元気になったのなら出ていけば良いのに、とかお前がいるから母親は女の子を産めないんじゃないかとか言われて来たらしく、レフェクが怪訝な顔で言った。
「何それ!ひどい!!余計なお世話じゃないか!!」
関係のない俺が憤った所で何にもならないんだけど、腹が立つ!!
「なんでアンタが怒るの?」
「分かんないけど!何だか腹が立つの!」
ぷりぷり怒る俺を珍しがるティス。
ストゥが俺のジュースを取り上げた。
「酒だ。」
「飲ませたらいけなかったの?」
ジュースだよね?
レフェクが酒である事を肯定した。ここでは果実酒くらい子供でも飲むから当たり前に渡したそうだ。
「タケルはお酒に弱いんです。コップ半分で二日酔いになります。」
全員に大爆笑された。ひどい!!
「タケルは見習いなの?なら15歳?見えないけど…」
「18歳です!」
また笑われてる。レフェクだけが笑わないでくれてるけど、疑いの眼差しだ。
「客人は幼く見えるの!しかたないの!これでも中級冒険者だよ!」
向こうでも小動物扱いだったけどさ!
「ミミズが怖くて震えてたのに中級?そっちの2人はすごかったけど。」
「2人とも上級だからね…」
「タケルは治癒術師ですから戦わなくて良いんです。危ない事なんてさせたくありません。」
「お!なんだアンタらできてんのか!?」
ティスに引き寄せられて抱きすくめられた。人目を気にしてよ!って慌ててたらおっちゃんが赤い顔で割り込んで来た。
「タケルは俺達の伴侶だ。できるなら家に閉じ込めておきたいくらいだが離れるのも心配でな。」
ストゥがそんな事言うの珍しい。
「うん、俺この世界が大好きだからいろんな所に行きたい。だから一緒にいろんな所に連れてって!いろんな料理したい!」
「良い嫁だな。うちの母ちゃんの次に良い嫁だ!」
何言ってんだい!と漫画の様に背中を叩かれて笑い合う夫婦。良い家族だな。
「…俺も子供産めたら良いのに…」
ついそんな言葉をこぼすと、やりまくってりゃ奇跡が起きるかも知れねぇぞ!とか言って息子達にまで殴られてるお父さん。
「無理に決まってんだろ。」
レフェクがジト目で切り捨てた。
「俺が育った所では普通の食べ方なんです。特にビールに1番合うと評判で…」
「ほう?」
おじさんの目がぎらりと光った。
「試しに3株ほど売って貰えませんか?」
おじさんは考え込んでいる。
「見た所アンタらは冒険者だな。なら金よりも地の竜を減らしてくれないか?土を肥えさせてくれるからと大事にしてたら増えて、今度は畑を荒らすようになっちまったんだ。」
バランスは大事だよね。
…で、地の竜…って事は…ミミズですね?
ミミズ………
「たいした大きさじゃない。」
そう言ってチラリと畑に視線をやり、
ひゅっ!ざしゅ!と音を立てて土に手を突き立てた。ずぼっと出て来る大きなミミズ…
確かに小説に出て来るような大蛇サイズではない。けど…でも…1mってじゅうぶん大き過ぎだから!!
「ダメか?地中を調べて貰おうかと思ったんだが…気配で探れるから無理するな。」
「休んでいて下さい。」
珍味なのに…と知らない人の声で聞こえた気がするけど、気のせいだよね!!あり得ないもんね!!
お言葉に甘えて畑の脇で遮音結界を張り、チビにしがみつく。たった30分程でティスが迎えに来た。
「ミミズに根を齧られて全滅する所だったよ。減らしてくれてありがとう!」
「根を齧るんですか?」
「あぁ、育ち過ぎたり増え過ぎたりするとな。今日も15株ほどダメにされたよ。」
「だったらそのダメになった株、貰えますか?」
「あぁ、このまま食べるんだったな。構わんが、本当に良いのか?これだけ地竜を片付けてくれたんだ。無事な株だってやるぞ?」
「もったいないです!せっかくここまで育てたのに食べないなんて!!」
ミミズを怖がって震えていた俺が食い意地だけは一人前だと笑われた。枝豆美味しいんだもん!
「調理しますから味見しませんか?」
農家の人達の目がぎらぎらん!と輝いた。
旬の野菜をあちこちから収穫して来てうちに来いと呼ばれた。お言葉に甘えます!
村の端にある大きな家は広い庭でバーベキューが出来る。井戸水で野菜を洗ってカマドで茹でたり焼いたり。俺は枝豆を枝から外し、大鍋で塩茹で。半分を鞘から取り出して枝豆のかき揚げも作った。
突然の試食会、と言うか宴会。
農家の人たちは恐る恐る、ストゥとティスとチビは何の迷いもなく枝豆を口に入れた。
「!!!」
言葉もなくビールを飲むのも忘れて枝豆を頬張る。1度では鍋に入らなかったのでおかわりもまだある。
「かき揚げも食べて下さいね。」
塩を振ってあるのでそのまま食べられる。
みんな思い出したようにビールを飲んでかき揚げを食べると、感動したように動かなくなった。サクッと音がしたから揚げ具合も大成功だね!
この家のお母さんも大喜びでバクバク食べてくれる。豪快だ。あれ?お父さんと子供が…男の子4人?
「ん?あぁ、こいつか?レフェクと言うんだが小さい頃体が弱くて今にも死にそうだったから少年の家に行かせなかったんだ。そうしたらどんどん元気になって、ここまで育った。」
「何だか良いですね。」
「?そんな事言う奴、初めてだ。」
今まで、元気になったのなら出ていけば良いのに、とかお前がいるから母親は女の子を産めないんじゃないかとか言われて来たらしく、レフェクが怪訝な顔で言った。
「何それ!ひどい!!余計なお世話じゃないか!!」
関係のない俺が憤った所で何にもならないんだけど、腹が立つ!!
「なんでアンタが怒るの?」
「分かんないけど!何だか腹が立つの!」
ぷりぷり怒る俺を珍しがるティス。
ストゥが俺のジュースを取り上げた。
「酒だ。」
「飲ませたらいけなかったの?」
ジュースだよね?
レフェクが酒である事を肯定した。ここでは果実酒くらい子供でも飲むから当たり前に渡したそうだ。
「タケルはお酒に弱いんです。コップ半分で二日酔いになります。」
全員に大爆笑された。ひどい!!
「タケルは見習いなの?なら15歳?見えないけど…」
「18歳です!」
また笑われてる。レフェクだけが笑わないでくれてるけど、疑いの眼差しだ。
「客人は幼く見えるの!しかたないの!これでも中級冒険者だよ!」
向こうでも小動物扱いだったけどさ!
「ミミズが怖くて震えてたのに中級?そっちの2人はすごかったけど。」
「2人とも上級だからね…」
「タケルは治癒術師ですから戦わなくて良いんです。危ない事なんてさせたくありません。」
「お!なんだアンタらできてんのか!?」
ティスに引き寄せられて抱きすくめられた。人目を気にしてよ!って慌ててたらおっちゃんが赤い顔で割り込んで来た。
「タケルは俺達の伴侶だ。できるなら家に閉じ込めておきたいくらいだが離れるのも心配でな。」
ストゥがそんな事言うの珍しい。
「うん、俺この世界が大好きだからいろんな所に行きたい。だから一緒にいろんな所に連れてって!いろんな料理したい!」
「良い嫁だな。うちの母ちゃんの次に良い嫁だ!」
何言ってんだい!と漫画の様に背中を叩かれて笑い合う夫婦。良い家族だな。
「…俺も子供産めたら良いのに…」
ついそんな言葉をこぼすと、やりまくってりゃ奇跡が起きるかも知れねぇぞ!とか言って息子達にまで殴られてるお父さん。
「無理に決まってんだろ。」
レフェクがジト目で切り捨てた。
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「連れて行きたい日本へ」で
ストゥとタケルがラブホに行った時のいちゃいちゃが読めます。
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