行ってみたいな異世界へ

香月ミツほ

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行ってみたいな!あちこちへ

34 夏至祭(1)

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さぁ!!

夏至祭り本番だーーーー!

と、朝から気合いを入れたけど青龍が姿を現わすのは3時頃らしい。肩透かし!
それから日の入りまで約4時間追いかけっこをする。数に任せて波状攻撃だって。

周りの動きも見ながらやらなきゃ危ないな。ツタの成長具合はどうだろう?

って、すでにここからも見えてるけど…期待通りには行ってない。ジャックと豆の木みたいに空に向かって伸びるのを期待したのに、山になるばかり。

つる植物って、自立できないから捕まる所がないとダメだったね。

あと、植えた覚えのない所にも生えてるのは何故?

「チビが流したやつじゃないか?」

それだ!!

朝食の後で様子を見に行こう。
野菜スープと鶏肉のハーブ焼きサンド、コルと豚肉の味噌炒めサンド。とりあえず肉と野菜を挟む。スライストマト入りのハーブ焼きサンドが絶品だと言ってもらえた。





遠くから見て来ようと岩山に行くと見物人が集まっていた。登ったり降りたりしている。
実がったら心配だけど、大丈夫かな?

土が変われば効果も変わるはず、って媚薬効果強くなったらどうすんの!?

「タケルは心配し過ぎです。」

そうかなぁ?
ふと見れば遊んでいたチビがツタのバネみたいな部分に絡まっていた。何で?

身体を揺すっていたので抜け出せないのかと思って手を伸ばしたらびよーんとびっくり箱のおもちゃのように飛び出した。戻ってまた絡まる。

チビは本当に色んな遊びを思いつくなぁ。イタズラもいろいろ思いつくみたいだけど、チビにとっては俺に許されるか許されないかの違いだろう。

ツタのバネは人間の大人の重さではさすがに弾まないみたい…トランポリンになるなら使えたのに。

まだ花は咲いていないので実が生るのはもう少し先みたいでほっとした。

ツタを触っていると何か閃きそうなのに閃かない。喉まで出てるのになぁ…
とりあえず真ん中に鉄の支柱を立てて高さを稼ごう。鉄を多く含んだ岩だったので地中の鉄分を集めて固めると25mほどの支柱ができた。ふっふっふ…かなり高純度の鉄の支柱だ。世界七不思議のインドの錆びない鉄の柱みたいになるかも知れない!!きっとインド人もびっくりしてくれるはずだ。

高台にも支柱を作ろうとそちらへ向かうと、以前アラケルがくれたお酒入りの砂糖菓子が売っていた。
1粒が小さいから様子見にちょうど良いと考えて買った。

高台にも行って支柱を立てる。こっちは岩山ほどの鉄含有量はなく、どうにか15mを超えた程度だ。

チビが螺旋を描いて支柱を回りながら上昇する。てっぺんに乗ったような気がするけど見えない。何してるんだろう?

チビはすぐに降りてきて、俺にぺったりと貼りついた。

「どうしたの?」

そう言って撫でると満足げにきゅう、と鳴き肩に収まった。




お昼を食べる。でっかい中華まん!俺の顔が隠れるサイズだけど半分が生地だった。…美味しいけど食べにくい。チビと分けっこしても食べきれなかった。

何だか身体がぽかぽかして来た。べつにお酒が入っていた感じはしないんだけど…そう思って店主に聞いたら酒麹で生地を発酵させているそうだ。

身体が暖かくなる程度だから問題はなさそうだけど…

!!

「ストゥ!ティス!さっきのお菓子をたくさん買いたい!!」

ようやく作戦らしい事を思いついた。



量り売りしてたので大袋ごと買い占める。

「こんなにたくさんどうするんです?」
「上手く行くか分からないから秘密ー!」

そう言いながら実験だ。

一粒指で弾いて空中で加熱。ぼっと燃えて消えた。あれ?爆発しない。少し考えてもう一度。

森の王の加護を使って小さいけど速いつむじ風を起こす。中心が真空に近くなった所へお菓子を投げ入れるとぱんっと弾ける。そこをすかさず加熱すると

バンッ!大きめの花火くらいの爆発が起こった。

「やった!成功!目くらましだけど使えそうだね!」

「良くこんな事思いつきますね。」

「砂糖は炭素の塊だって聞いた事があったし高カロリーだし、中のお酒は発火するための起爆剤になるはずで…えっと…上手く爆散させられれば、って考えたんだ。」

「……よく分かりませんが。」
「何だかすごいな!」

ストゥが適当に感心した。そうそう、理由より結果。


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