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行ってみたいな!あちこちへ
29 青龍について
しおりを挟むふわふわした光の玉に包まれて彼女は消えた。あの人って旦那さんかな?
俺の涙はもらい泣きかな…
ふと見ればストゥもティスも泣いている。
「何故でしょう。あの人が哀しむのはとても辛い…」
「なんだろうな。オレも無性に悲しくて泣かないでくれ、と叫びそうだった。」
2人がそう言った。何者だったんだろう?ストゥとティスのお母さんでたくさんの子供を亡くして夫を探している…
言葉の内容からすればこの世界の母親的な神様か何かかな?そうすると父親的な神様が見つからないって事になるから、この世界には神様不在?
…よく分からない。
でもあの消え方ならもうここには来ないような気がする。旦那さんを探しに行ったはずだ。宿の人に様子を見るように伝えよう。
まだ夜中なので寝る。
チビがまた寝てるけどとっても気持ち良さそうでほっとした。
朝、食堂へ行くと滂沱の涙を流す宿の主人に迎えられた。昨日の慈愛と哀しみの波動は宿にいた人全員に届いたらしい。
そしてあの人が哀しむ事が堪らない、と。
俺たちにまた来て欲しい、空いてればあの部屋にいくらでもタダで泊まって良い、と言ってくれた。
戸惑いながらも感謝を伝え、またぜひやらせてもらうと言って朝食を食べて出発した。
「びっくりしたね!」
主人が泣きっぱなしなのとか永久無料宿泊権とか、唐突だよ。
「そうだな。でもあの親父も驚いただろうな。」
「あの慈愛の波動に触れたら、しばらくは商売にならないかも知れませんね。」
次々とタダにしちゃって次に行った時潰れてないと良いけど。
チビが元気になって良かった!
「やっぱり女神様だったのかな?」
「真実は必要に応じて詳らかになるものです。」
真実はいつも1つ?
「考えても仕方がないから、あの人の幸せを祈ろう。」
西の街まではあと丸1日。夏至まで後3日。ギリギリだし、ノープランだよ。
移動しながら青龍に攻撃を当てる方法を考えよう!
前に聞いた時は夏至祭で会える、って事だけだったので休憩の時に青龍について改めて聞いて見た。
青龍は空の王。空を自在に飛び、変則的な動きで次々と攻撃を躱す。強靭な尾を一振りすれば衝撃波で矢も勢いを失う。雄々しい咆哮は数多の魔術を打ち砕く。
えーっと…
無理じゃない?
「それ攻撃が届いた人、いるの?」
「歴代国王は成功しています。」
あぁ… なるほど、やりそう。
「攻略方法かぁ…」
闇以外の全属性使えるからそれをどう活かすか。
空飛んでるから遠距離攻撃か、小細工で誘導して近距離攻撃か、拘束して集団攻撃か。
空を自由に飛びたいな、と呟いてみてもそんな魔道具は存在しない。
風魔術で舞い上げる事はできるけど制御できないと危険。火の魔術で爆発を起こして驚かせる、としてもすぐ馴れちゃいそう。
土属性は空中戦に向かないと思うし、竜に水なんて効かないよね。チビが大きかったら乗せてもらえたかな?
「ねぇ、何か作戦考えてる?」
「周りと一緒に暴れる。」
「タケルの指示に従います。」
ストゥはノープラン、ティスは丸投げ。
「きゅきゅー!!」
チビはやる気満々だ。
…うーん、うーん、うーん…
追い風は前に空気があるから強くすると押し潰される。それなら湿地でやったみたいに反転した渦を左右に発生させたらスピードアップはできそうだな…
いっそ真空が作れるなら地雷みたいにあちこちに真空を作り出してそこに流れ込む空気の流れに乗れば!と、思ったけど真空ってどうやったら作れるの?固定できるの?
色々考えてみても堂々巡り。
いや、まだ諦めずに考えていけばそのうち良い考えも浮かぶ!…はず。
ーーーーーーーーーーーーーーー
前回が長くなった分、こちらが短くなりました。すみません!
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「連れて行きたい日本へ」で
ストゥとタケルがラブホに行った時のいちゃいちゃが読めます。
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