行ってみたいな異世界へ

香月ミツほ

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行ってみたいな!あちこちへ

11 出発前

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今日はシュクルさんの依頼を受けにギルドへいく。ギルドは早朝からやっているので開店前のシュクルさんと一緒に行く予定だ。だから早起きして朝食作り。

………?

………???

「ふっぎゃぁぁぁぁぁっ!!」

「何だ!?何があった?」


「…なにごとですか…?」

朝っぱらから思わずあげた絶叫にストゥが庭から、ティスが2階から駆けつける。

「コルが…、コルが!!」

食べて美味しい、性質の面白いコルが……
冷蔵庫の中で溶けて真っ黒になって異臭を放っていた。

「あー、腐ったのか。」
「こんなに突然腐るんですね。」
「…だから流通しないのか……」

がっかりしている俺を労わるようにティスが浄化してくれて、俺は朝食の準備をする。
コルで溶かした雷鹿らいがのお粥が作れなかった…

どうにか魔獣の肉を軟らかくする薬として腐る前に加工して保存できないかな?
シュクルさんの依頼の帰りに寄って来るべきか本気で悩む。

とにかく朝食。
カツサンドをリクエストされているのでサンドイッチを3種類作ろう。
パストラミサンドは千切りキャベツと薄切りのゆで卵入り。スモークサーモンサンドにはクリームチーズとスライスオニオンとレタス。コンソメスープ。野菜は中に入れるからサラダ作らなくていいよね。

朝食を食べたら3人揃ってシュクルさんのお店に出発~!



開店準備を弟子に任せて4人でギルドへ。
事情を話して依頼契約中から同席して即契約。

行き先は西の隣国の南の港町。

シュクルさんの故郷は隣国の更に2つ先の国。かなり遠い…
隣国の港町から西の国へカカオが運ばれているので、東に持って来たらどうだろうか、とウェルテクス国に来たそうだ。

船が遅れてしまい、荷が港に着くのは10日後。そして東方面に運ぶ他の荷を一緒に積み込むのに1日。そこから馬車で15日。つまり材料が届くのは順調に行って26日後。天候によっては更に遅くなる。

今の材料の在庫はギリギリ25日分。
順調でも間に合わないし他の商品を開発したり分けたりする余裕がない。馬で急げば往復20日。馬を治癒すればもう少し縮まるかも。

全部の荷を馬で運ぶのは無理なので1部を馬で先に引き取りに行く。ついでに追加の発注書も船主に届ける。

まだ乗馬に自信はないけど、必要は発明の母!!

…違うな。習うより馴れろ!

…まだ少し違う気もするけど、荷物のない往路で馴れてしまえば良いので何とかなるだろう。駆歩かけあしじゃなくて速歩はやあしだし。

馬を選んで予約して、20日も王都を離れるので【ティグリス】に顔を出すことにした。また来ると言う約束がひと月後では何だか不誠実な気がしたから。

ショコラを人数分買ってお土産にしたかったけど、材料ギリギリの今、30個以上買い占める訳にはいかない。…果物を買って行こう。

市場で勧められてサクランボを買った。例に漏れず粒が大きくて青梅くらいあるけど軟らかくて甘い。花見をした精霊樹の桜の実だそうで、生け贄が多いほど甘くなるらしい。

……ちょっと怖くなった…
酔っぱらいの魔力を吸って実った果実を子供に食べさせて良いのか…?

大丈夫だよね?

そんな不安を口にしたら2人に爆笑された。

「ぶははははっ!そんな事が気になんのか!?」
「ふふっ…タケルは不思議な考え方をするんですね。」

だってこう、生き血を啜る…みたいな。

「誰も死なないし、楽しい事して美味い実ができるなら万々歳だろ。」
「酔いつぶれるのはみっともないかも知れませんが、子供に隠すような事ではありませんよ。」

うん、父さんもよく潰れてたけど隠してはいなかったな。母さんに担がれて帰って来る事もあったっけ。

「【ティグリス】の庭にも1本植えてあって皆で花見するぞ。ただ子ども達と職員だけの魔力ではこれほど甘くならないから、きっとみんな喜ぶだろ。」

そうなんだ。来年の花見は【ティグリス】に行って魔力を注いで来よう。

そんな決意(笑)を胸に顔を出しに行く。
「タケルがサクランボくれたよー」と職員が言ったので子ども達がわっと喜んだ。

「さちゅらんぼ!だいしゅち!!」

パスカリスを初め、子ども達が跳ね回って喜んでいる。良かった。
お仕事で遠くに行くからお土産持って来るね、と言うと「おみやで!おみやで!」と喜んでくれる。喋り方が普通になっちゃうのは何歳くらいかな?

おやつは庭のサクランボのクラフティで、勧められて一緒に食べる。甘みは少ないけど加工するにはこのくらい酸味がある方が美味しいと思った。来年も魔力注がない方が良い?

食べてから少し遊んで帰る。

「またちてねー!!」


さて、夕飯は何にしよう?





中華出汁って何で作るんだろう?
市場で鶏を見ながらふと考えた。コンソメは野菜の出汁、ビーフコンソメなら牛の骨だよな。豚なら豚骨、鶏なら鶏ガラ。…中華出汁って何からできてるんだろう?

今さらだけど日本の情報が欲しい。

ラーメンとか麻婆豆腐とか中華丼とか食べたい!!でも材料が分からない……
鶏ガラも中華食材コーナーにあったから鶏ガラで作ってみようかな?ラーメンは無理でも中華丼は作れるだろう。

よし!今日は青椒肉絲と油淋鶏、麻婆豆腐にワカメスープだ!!サラダは中華ドレッシングを目指してみよう。

家では残った青椒肉絲を春巻きにもしてたけど、残らないだろうな。まぁ、千切りも油通しも魔術で簡単にできちゃうから、今度、普通の春巻きを作ろう。

あぁっ!!春雨ないじゃん!

ごま油と酢と醤油、すりごま。後何か入れるのかな?何かが物足りないんだけど分からない。うーん…、ま、いっか。千切りの大根と人参とレタスに刻んだトマトも乗せて。そう外れないだろう。

「美味い!」
「タケルの料理はなんでも美味しいですね…」

一言言ってガツガツ食べるストゥと、しっかり味わいながら食べてくれるティス。

「これは家庭料理だけど、中華料理は世界三大美食と言われてるんだよー。」

俺が作れるのは家庭料理レベルだけど。

「フランス料理は作れないけど、和食と中華料理は少しは作れる、かな。」

和食は今まで来た客人が調味料を持ち込んでくれてたお陰だ。中華は出汁と豆板醤と甜麺醤が作れないからなぁ。あと麺。中華麺!春雨!

もやしも欲しいけどこれは育てようか…

この国にはないけどチョコみたいに他の国ならあるかも知れないから諦めない!船主さんや商人さんに聞いてみよう。




「じゃあ、風呂入るか。」

食器を一緒に片付けて抱き上げられ、そのままお風呂に連れて行かれる。ティスが先に入って待っていた。

「もう洗い終わっちゃったの?」

「髪は洗いましたから背中を流してくれますか?」

俺がやりたがるからちゃんと待ててくれたみたい。
髪に香油を馴染ませてから器用にタオルで巻く。これもやらせてもらってる。

「じゃぁ背中洗うね。」

しなやかな筋肉のついた背中は滑らかで、簡単に洗い終わってしまう。物足りない…

「ティスの背中が終わったらオレの方な?」

ストゥに呼ばれてストゥの背中を洗う。モリモリの筋肉は自分では洗いにくいんじゃないかな?体重をかけて洗うと上手いと褒められた。

「それじゃあタケルが洗われる番ですね。」

椅子に座って髪を洗われ、流したら膝に乗せられる。泡を身体中に塗られ手で撫で回される。感じてしまうのは当たり前。

「ゃあん!…あぁ、ん… だめぇ… 気持ち良い、けど…今は違う気持良さが良い、の!!」

性的な快楽ではなく、麻の布で体を擦る健全な快感が欲しいのに。

「ひぁん!!」

ジタバタしていたら後孔につぷりと指を入れられた。指先を少し入れられただけで反射的に力を抜くようになってしまった。この先の快楽を期待している己のはしたなさに困惑する。

そのままの状態でストゥに身体を洗われた。

体を洗うだけの事に性的快楽が繋がってしまったらどうしてくれる!?
文句を言ってみたものの胸も背中も腰も丁寧に撫でられ、とっくに勃ち上がった中心がだらしなく雫をこぼさんとしているので既に手遅れかもしれない。

リラックスタイムのはずのお風呂が焦れるばかりになってしまった。
洗い終わって流したらストゥの膝で湯船につかる。ほうっと息を吐いて身体を凭れて力を抜けば中心に集まっていた熱は流れ出て行くように治まって来た。

かわりに少しだけ開いた足の間でストゥの物が起き上がって来た。

「ストゥ…これ…」

「タケルの肌に触れてたら当たり前の反応だから気にすんな。」

ほったらかしで良いらしい。でも、ついつい足を閉じてしまう。きゅ、きゅ、きゅ、と力を入れて軽く刺激すると質量が増えた。ちょっと面白い。

「おねだりか?」

くくっと笑いながら言われてイタズラしたかっただけ、と返事を返す。

「ならオレもイタズラするかな。」

がばっと足を開かれて持ち上げられると自分の恥ずかしい所が目の前に来る。

「何するの?」

困惑と羞恥と期待でそう聞くと「何も?」と返された。この格好で放置???
本当にこのままにされて困惑しているとティスが正面に来てじっと股間を見つめ始めた。恥ずかしさに蕾に力が入りぴくっとすると、ティスが嬉しそうに笑う。

「ティス…」

「恥ずかしいですか?」

当たり前な事を聞かれ、恥ずかしいと返事をする。

「恥ずかしいだけですか?」

カァッと顔が熱くなった。恥ずかしいけどこのまま舐められちゃうんじゃないかと考えてその感触を期待してもいる。
あうあうしながら言葉を探していると、下半身は勝手に血液を集めてゆっくりと持ち上がってくる。ティスが顔を近づけてふぅと息を吹きかけると、濡れているせいか空気の流れがはっきりと感じられ鼓動がいっそう速くなる。

ストゥが身じろぎをすると体積は増えても硬度は変わらない象徴がいつも以上の弾力でぷるんと揺れる。

「ーーーーーっ!」

こ、こ、こ、これ!恥ずかしすぎる!! やめて!揺すらないで!!

「ベッドに行きたい!お願い!お願いします!」

もう何がなんだか分からない……
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