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行ってみたいな異世界へ
23 出発
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夕飯も食べずに眠ってしまったので今朝はずいぶん早く目が覚めた。
昨日の事を思い出すと転がり回りそうになるが同時に下腹部に甘い痺れを覚えて戸惑う。2人ともヤバい…
気を取り直して朝ごはんとお弁当。お弁当は炊き込みご飯のおにぎりと唐揚げと味噌汁とからし菜のおひたし。しばらく家を空けるから残ってる豆腐を味噌汁に入れよう。そう言えばラップが無いのが地味に痛い。ラップって何でできてるんだっけ?樹脂?石油? まぁ、無い物は仕方がないので海苔があった事を感謝しよう。
土鍋で炊けるご飯は1食分なのでお弁当の炊き込みご飯を先に炊いて、おにぎりができたら朝ご飯用の白飯を炊く。味噌汁は同じで良いかな?豆腐と分葱の味噌汁を多めに作って2食分。鶏肉はタレにつけ込んで後で揚げる。からし菜はさっと茹でて完成。醤油は食べる時にかければ良し!
思い出した!
川魚の薫製も作って持って行くつもりだったのに作ってない!
置いて行ったら悪くなりそうだから唐揚げにして朝ご飯に出そう。小振りだから頭から丸ごと食べられて美味しい。サラダは千切りキャベツとアスパラとゆで卵で良いか。
魔術クッキングでもう1つ感動したのがキャベツを剥がすのがめっちゃ楽になったこと。なかなかきれいに剥がせなくて面倒だなーって思ってたのが、隙間に魔力通して押し上げると簡単きれいに剥がせちゃう。タマネギのみじん切り並に感動したね。
こんなもんかな?
鶏肉も味がしみ込んだから揚げよう。鶏肉の次が川魚。
半分くらい揚げた所でストゥさんが起きて来た。
「おはようございます!」
「おはよう。」
!?
俺の挨拶に返事をしながら近づき、後から抱きしめられる。体をねじって見上げるとそのまま唇を押当てられて熱い舌を絡められる。ちゃんと返事をするまで口にはキスしないんじゃなかったの?
「…んんっ!」
火の側でこんなキスされたら危ないのに…キスって本当に気持ち良い…って蕩けてたら揚げ物思い出した。
「焦げる!!」
その言葉にようやく離してくれたストゥさん。
鳥の唐揚げが2つ焦げた。
ぷっと頬を膨らませてむくれると焦げた唐揚げを口に放り込んで旨い!って言う。
もう!!
横からティスさんも手を伸ばして来てもう1つの焦げた唐揚げを口に入れる。
「美味しいですよ?なんで膨れてるんですか?」
ストゥさんのイタズラを言おうか迷っていたらティスさんにもキスされた。
朝から2人掛かりで口内を蹂躙されては料理が続けられないじゃないか!
「おはようのキスはもっと軽いのでお願いします…」
俺はそう言うのが精一杯だった。
**********************
一休みして調理を終え、朝食を食べてお弁当を詰める。
いよいよ遠征に出発だ!
ギルドの前には乗り合い馬車が並んでいる。まだ早い時間なので10人乗りの小型馬車だ。10人乗りで小型なのか。馬も道産子1頭しかいないしな。屋根の上に荷物を積んでくれるので室内は窮屈にならない。ただし、遅くなると20人乗りの馬車でも混んで屋根に乗るしかなくなるらしい。出発時間は決まっていなくて定員になりしだい出発だ。俺達が乗って9人。挨拶をして乗り込んで後1人を待っていると乗って来たのはアラケルさんだった。
「おはようございます。」
「おう…。」
笑顔で挨拶したけど気まずそうに顔を背けられた。恋敵だから仲良くなれないかな?
2人掛けと1人掛けの座席が進行方向に向かって3列並び、一番後は4人掛け。俺達は一番前の席にティスさんと俺、通路をはさんでストゥさんで座った。
アラケルさんはストゥさんの後。
途中では昼しか休憩が無い。トイレに行きたくなったら停めてもらって草むらで済ませる。男ばっかりだしそうなるのかな?
昼休憩の場所はキャンプ場のようになっていた。トイレがある!
外で絶対にできない訳じゃないけどトイレがあるならその方がありがたい。
現地集合のためここではまだ食事の配給はない。
持って来たお弁当を並べていたらアラケルさんが近づいて来た。
「この前は悪かった!!ティスの事はすっぱり諦めたから許してほしい。」
え?別に怒ってないけど。
泣いて嫌がってたから心配してくれてたらしい。けどあれは俺も迂闊だったし。
「じゃぁ仲直りですね。」
そう言ったらホッとした顔でテーブルについた。
ストゥさんが子供みたいにお弁当を抱え込んでやらねえぞ、って言った。
アラケルさんはがっかりした顔で持って来たサンドイッチを出す。飲み物は水筒だから分からない。
「卵サンドですか?」
この前俺が作ったのと同じ、スライスしたパン・ド・カンパーニュに野菜と卵フィリングがはさんである。
「これ、お前が考えたんだろ?食堂の新メニューになって大人気なんだ。」
卵サンドはあちらの世界の定番で俺が考えた訳じゃないよ。
「パンを薄く切って何かを挟むなんて考えもしなかったんだ。」
そこか!!
俺の料理を気に入ってくれたならこっちも食べてみる?って唐揚げを差し出す。目を輝かせて頬張ると涙を流さんばかりに感動しているようだ。大げさだなぁ。
あ…俺の分、全部食べたな?
ティスさんが苦笑いして俺に自分の分を分けてくれる。でも目の前であーんで食べさせるのはアラケルさんに厳しくない?
「全部食べちゃったお仕置きです。」
キラキラ笑顔が眩しいです。ストゥさんも張り合って食べさせようとするし、恥ずかしい。あーんしたけどね。味噌汁もカップに入れて分けてあげたら立ち直った。
**********************
馬車に揺られて進んで行くと風景が変わった。林と畑が交互にあって集落も点在していたそれまでとは違い、広い平原は緑の絨毯を敷き詰め小さな花が咲き乱れている。春真っ盛りだ。川も泉も無いので集落もなく、放牧に来る人が稀にいるだけ。だから自然が圧倒的な存在感を誇っている。
この平原に一方通行の結界を張って魔獣をおびき出して狩る。
局地的に見れば非道な行いも世界に許されている事が変わらぬサイクルで明らかとなっている。
民を守り国を守り大地を守る。
ちなみに入らずの森は現王と前王が2人で魔獣を蹴散らし、南東は王子3人が事に当たる。
王妃と王女は街を守る。北西は大量発生する動物がいないので春の討伐は必要ない。
王族……チートにも程がある。
ただ、この広い平原はずっと続いていて、狩り場につくのは明日の昼になる。今日はここで1泊だ。
夕飯は配給があるそうなので必要は無いが、食べたいなら自力で獲物を獲って来ても良い。ストゥさんとティスさんは喜々として狩りに出かける。アラケルさんが頼み込んで一緒に行く事になったようだ。
暇になったので調理場に行くと、ピタパンを焼いているのが見えた。作り方知りたい!
挨拶をしてパンの焼き方を教えて欲しいとお願いすると、ギルドでピタパンサンドを作ってたのを見ていた人がいて快く教えてもらえる事になった。
強力粉、砂糖、ベーキングパウダー、塩、水を捏ねてオーブンで焼く。ここには大きな石釜があるからあっという間に焼ける。家にもオーブンがあったと思うからやってみよう。
教えてもらったお礼に料理を手伝っていると、狩りに行った人達が戻って来た。
結局行った先で協力して9人みんなで野牛4頭と大ウサギ7匹を狩って来たようだ。
そこへ第2便の20人が到着した。
こっちには医療班の1人が残り、19人が狩りへ行く。第1便の9人も張り合ってもう1度行く。
今度は大鹿を狩って来た。野牛より大きい鹿を10頭。角も驚く程大きくてちょっと怖い。あ、大ウサギも3匹追加。
リクエストにお応えして大ウサギの唐揚げを作る。
揚げ物をする油って獣脂でも大丈夫かな?
捌いてもらったウサギ肉を一口大に切って下味を付けて置く。大きな中華鍋(?)に水と脂身を大量投入して油を煮出す。水が蒸発し終わったら唐揚げを揚げ始める。
暗くなってきた所で第3便25人が到着した。
獲物は狩ってきた人達の物だけど、後から来た人達とケンカになりかけたので先に来た人達が4個、調理班は2個、後から来た人達は明日狩ってくる約束で2個の配給になった。野牛と大鹿のステーキも同じ配分で分ける事になった。
**********************
明日に備えてみんな大人しく早寝する。荒くれ者っぽいけど自己管理のしっかりした冒険者だ。討伐終了日は目も当てられない状況になるらしいが。
ストゥさんのテントをティスさんが手伝って設置している間、思う所あって1人で魔術の練習をさせてもらっている。土の中から鉱物の成分を抽出できないかの実験だ。
魔力を紡いで地中に伸ばし、木の根のように広げる。そこにアルミニウムを吸い寄せる。手の中に魔力の糸を織ってこのアルミを吸着させて行く。
……アルミホイル、できた!!
魔方陣の勉強しなくてもこんなに色々できるんだ!
じゃぁ次は……同じ要領で珪砂を集めて魔力糸を積み重ねた所に集めて……
グラスの完成!!
ちょっと歪んだけど、透明なガラスができた。
凄い! これ希少鉱物も取り出せるんじゃない?
作り出す訳じゃないからレアメタルを集めるのは大変か。
「おーい、テントできたぞー!」
ストゥさんの声が聞こえたのでアルミホイルとグラスを持ってテントに入る。
「見て下さい!成功しました!!」
アルミホイルは理解しにくいと思ったのでグラスを見せる。でもどこから出したのかと首をひねっているので実際にやってみせる事にした。テントの前に連れ出し、手のひらの上でクルクルと指を動かし、地面をビシッと指差して深呼吸。手の上の魔力に珪砂を集めて固める。結晶が成長するようにグラスが出来上がって行く。さっきより歪みが少なくなった気がする。
得意満面で2人にできたてのグラスを見せると、凄く驚いてくれた。
特にティスさんは
立ったまま指先から地中に魔力糸を伸ばして地中の成分を集める?その前にグラスの形に糸を織って???あり得ない…、って。
魔力はガイドになる物があればまだしも何も無い所にどんどん伸ばして行く事ができるなんて聞いた事も無いらしい。チート?これチートなの?
「あんまり人に見せない方が良いですか?」
そう言うとティスさんが力一杯頷いた。
ふふふ、3人だけの秘密!
昨日の事を思い出すと転がり回りそうになるが同時に下腹部に甘い痺れを覚えて戸惑う。2人ともヤバい…
気を取り直して朝ごはんとお弁当。お弁当は炊き込みご飯のおにぎりと唐揚げと味噌汁とからし菜のおひたし。しばらく家を空けるから残ってる豆腐を味噌汁に入れよう。そう言えばラップが無いのが地味に痛い。ラップって何でできてるんだっけ?樹脂?石油? まぁ、無い物は仕方がないので海苔があった事を感謝しよう。
土鍋で炊けるご飯は1食分なのでお弁当の炊き込みご飯を先に炊いて、おにぎりができたら朝ご飯用の白飯を炊く。味噌汁は同じで良いかな?豆腐と分葱の味噌汁を多めに作って2食分。鶏肉はタレにつけ込んで後で揚げる。からし菜はさっと茹でて完成。醤油は食べる時にかければ良し!
思い出した!
川魚の薫製も作って持って行くつもりだったのに作ってない!
置いて行ったら悪くなりそうだから唐揚げにして朝ご飯に出そう。小振りだから頭から丸ごと食べられて美味しい。サラダは千切りキャベツとアスパラとゆで卵で良いか。
魔術クッキングでもう1つ感動したのがキャベツを剥がすのがめっちゃ楽になったこと。なかなかきれいに剥がせなくて面倒だなーって思ってたのが、隙間に魔力通して押し上げると簡単きれいに剥がせちゃう。タマネギのみじん切り並に感動したね。
こんなもんかな?
鶏肉も味がしみ込んだから揚げよう。鶏肉の次が川魚。
半分くらい揚げた所でストゥさんが起きて来た。
「おはようございます!」
「おはよう。」
!?
俺の挨拶に返事をしながら近づき、後から抱きしめられる。体をねじって見上げるとそのまま唇を押当てられて熱い舌を絡められる。ちゃんと返事をするまで口にはキスしないんじゃなかったの?
「…んんっ!」
火の側でこんなキスされたら危ないのに…キスって本当に気持ち良い…って蕩けてたら揚げ物思い出した。
「焦げる!!」
その言葉にようやく離してくれたストゥさん。
鳥の唐揚げが2つ焦げた。
ぷっと頬を膨らませてむくれると焦げた唐揚げを口に放り込んで旨い!って言う。
もう!!
横からティスさんも手を伸ばして来てもう1つの焦げた唐揚げを口に入れる。
「美味しいですよ?なんで膨れてるんですか?」
ストゥさんのイタズラを言おうか迷っていたらティスさんにもキスされた。
朝から2人掛かりで口内を蹂躙されては料理が続けられないじゃないか!
「おはようのキスはもっと軽いのでお願いします…」
俺はそう言うのが精一杯だった。
**********************
一休みして調理を終え、朝食を食べてお弁当を詰める。
いよいよ遠征に出発だ!
ギルドの前には乗り合い馬車が並んでいる。まだ早い時間なので10人乗りの小型馬車だ。10人乗りで小型なのか。馬も道産子1頭しかいないしな。屋根の上に荷物を積んでくれるので室内は窮屈にならない。ただし、遅くなると20人乗りの馬車でも混んで屋根に乗るしかなくなるらしい。出発時間は決まっていなくて定員になりしだい出発だ。俺達が乗って9人。挨拶をして乗り込んで後1人を待っていると乗って来たのはアラケルさんだった。
「おはようございます。」
「おう…。」
笑顔で挨拶したけど気まずそうに顔を背けられた。恋敵だから仲良くなれないかな?
2人掛けと1人掛けの座席が進行方向に向かって3列並び、一番後は4人掛け。俺達は一番前の席にティスさんと俺、通路をはさんでストゥさんで座った。
アラケルさんはストゥさんの後。
途中では昼しか休憩が無い。トイレに行きたくなったら停めてもらって草むらで済ませる。男ばっかりだしそうなるのかな?
昼休憩の場所はキャンプ場のようになっていた。トイレがある!
外で絶対にできない訳じゃないけどトイレがあるならその方がありがたい。
現地集合のためここではまだ食事の配給はない。
持って来たお弁当を並べていたらアラケルさんが近づいて来た。
「この前は悪かった!!ティスの事はすっぱり諦めたから許してほしい。」
え?別に怒ってないけど。
泣いて嫌がってたから心配してくれてたらしい。けどあれは俺も迂闊だったし。
「じゃぁ仲直りですね。」
そう言ったらホッとした顔でテーブルについた。
ストゥさんが子供みたいにお弁当を抱え込んでやらねえぞ、って言った。
アラケルさんはがっかりした顔で持って来たサンドイッチを出す。飲み物は水筒だから分からない。
「卵サンドですか?」
この前俺が作ったのと同じ、スライスしたパン・ド・カンパーニュに野菜と卵フィリングがはさんである。
「これ、お前が考えたんだろ?食堂の新メニューになって大人気なんだ。」
卵サンドはあちらの世界の定番で俺が考えた訳じゃないよ。
「パンを薄く切って何かを挟むなんて考えもしなかったんだ。」
そこか!!
俺の料理を気に入ってくれたならこっちも食べてみる?って唐揚げを差し出す。目を輝かせて頬張ると涙を流さんばかりに感動しているようだ。大げさだなぁ。
あ…俺の分、全部食べたな?
ティスさんが苦笑いして俺に自分の分を分けてくれる。でも目の前であーんで食べさせるのはアラケルさんに厳しくない?
「全部食べちゃったお仕置きです。」
キラキラ笑顔が眩しいです。ストゥさんも張り合って食べさせようとするし、恥ずかしい。あーんしたけどね。味噌汁もカップに入れて分けてあげたら立ち直った。
**********************
馬車に揺られて進んで行くと風景が変わった。林と畑が交互にあって集落も点在していたそれまでとは違い、広い平原は緑の絨毯を敷き詰め小さな花が咲き乱れている。春真っ盛りだ。川も泉も無いので集落もなく、放牧に来る人が稀にいるだけ。だから自然が圧倒的な存在感を誇っている。
この平原に一方通行の結界を張って魔獣をおびき出して狩る。
局地的に見れば非道な行いも世界に許されている事が変わらぬサイクルで明らかとなっている。
民を守り国を守り大地を守る。
ちなみに入らずの森は現王と前王が2人で魔獣を蹴散らし、南東は王子3人が事に当たる。
王妃と王女は街を守る。北西は大量発生する動物がいないので春の討伐は必要ない。
王族……チートにも程がある。
ただ、この広い平原はずっと続いていて、狩り場につくのは明日の昼になる。今日はここで1泊だ。
夕飯は配給があるそうなので必要は無いが、食べたいなら自力で獲物を獲って来ても良い。ストゥさんとティスさんは喜々として狩りに出かける。アラケルさんが頼み込んで一緒に行く事になったようだ。
暇になったので調理場に行くと、ピタパンを焼いているのが見えた。作り方知りたい!
挨拶をしてパンの焼き方を教えて欲しいとお願いすると、ギルドでピタパンサンドを作ってたのを見ていた人がいて快く教えてもらえる事になった。
強力粉、砂糖、ベーキングパウダー、塩、水を捏ねてオーブンで焼く。ここには大きな石釜があるからあっという間に焼ける。家にもオーブンがあったと思うからやってみよう。
教えてもらったお礼に料理を手伝っていると、狩りに行った人達が戻って来た。
結局行った先で協力して9人みんなで野牛4頭と大ウサギ7匹を狩って来たようだ。
そこへ第2便の20人が到着した。
こっちには医療班の1人が残り、19人が狩りへ行く。第1便の9人も張り合ってもう1度行く。
今度は大鹿を狩って来た。野牛より大きい鹿を10頭。角も驚く程大きくてちょっと怖い。あ、大ウサギも3匹追加。
リクエストにお応えして大ウサギの唐揚げを作る。
揚げ物をする油って獣脂でも大丈夫かな?
捌いてもらったウサギ肉を一口大に切って下味を付けて置く。大きな中華鍋(?)に水と脂身を大量投入して油を煮出す。水が蒸発し終わったら唐揚げを揚げ始める。
暗くなってきた所で第3便25人が到着した。
獲物は狩ってきた人達の物だけど、後から来た人達とケンカになりかけたので先に来た人達が4個、調理班は2個、後から来た人達は明日狩ってくる約束で2個の配給になった。野牛と大鹿のステーキも同じ配分で分ける事になった。
**********************
明日に備えてみんな大人しく早寝する。荒くれ者っぽいけど自己管理のしっかりした冒険者だ。討伐終了日は目も当てられない状況になるらしいが。
ストゥさんのテントをティスさんが手伝って設置している間、思う所あって1人で魔術の練習をさせてもらっている。土の中から鉱物の成分を抽出できないかの実験だ。
魔力を紡いで地中に伸ばし、木の根のように広げる。そこにアルミニウムを吸い寄せる。手の中に魔力の糸を織ってこのアルミを吸着させて行く。
……アルミホイル、できた!!
魔方陣の勉強しなくてもこんなに色々できるんだ!
じゃぁ次は……同じ要領で珪砂を集めて魔力糸を積み重ねた所に集めて……
グラスの完成!!
ちょっと歪んだけど、透明なガラスができた。
凄い! これ希少鉱物も取り出せるんじゃない?
作り出す訳じゃないからレアメタルを集めるのは大変か。
「おーい、テントできたぞー!」
ストゥさんの声が聞こえたのでアルミホイルとグラスを持ってテントに入る。
「見て下さい!成功しました!!」
アルミホイルは理解しにくいと思ったのでグラスを見せる。でもどこから出したのかと首をひねっているので実際にやってみせる事にした。テントの前に連れ出し、手のひらの上でクルクルと指を動かし、地面をビシッと指差して深呼吸。手の上の魔力に珪砂を集めて固める。結晶が成長するようにグラスが出来上がって行く。さっきより歪みが少なくなった気がする。
得意満面で2人にできたてのグラスを見せると、凄く驚いてくれた。
特にティスさんは
立ったまま指先から地中に魔力糸を伸ばして地中の成分を集める?その前にグラスの形に糸を織って???あり得ない…、って。
魔力はガイドになる物があればまだしも何も無い所にどんどん伸ばして行く事ができるなんて聞いた事も無いらしい。チート?これチートなの?
「あんまり人に見せない方が良いですか?」
そう言うとティスさんが力一杯頷いた。
ふふふ、3人だけの秘密!
1
「連れて行きたい日本へ」で
ストゥとタケルがラブホに行った時のいちゃいちゃが読めます。
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