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行ってみたいな異世界へ
21 花見客 vs 精霊樹
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招待されて行き着いた入らずの森では幻想的な光景が繰り広げられていた。
怪獣 vs 暴れる樹木
怪獣がこの国の王様で暴れる樹木はこの国最古の精霊樹。
暴れ桜とでも呼ぶべき入らずの森の精霊樹は長い年月をかけて王族と守護聖獣の魔力を糧とし動けるようになった。歩く事は出来ないけどそのうち歩き出しそうな予感。
王様は上半身裸で湯気立てながら桜の攻撃を躱したり受け止めたり往なしたりする。精霊樹は巻き付いて魔力を吸おうとする。樹木だけあって手数が多く攻防は延々と続く。
ここへ来たときは3分咲きだった花は30分が経過した現在、5分咲きになっている。魔力をエサに戦いを楽しんでいるユーキディウム王。前王陛下や殿下達が酒を飲みながらヤジだか声援だかを送っている。ストゥさんも混ざって応援してる。
うわぁ大迫力ぅ‥‥
あ、前王陛下が乱入した。
格闘技に興味がない俺には早過ぎて何が何だか分からない。ウェーヌ様のそばに座ってごちそうを頂く事しかできない。あ、王太子殿下と第2王子殿下が同時に参戦。
「ウルは参戦しないのか?」
ウェーヌ様の言葉に第3王子殿下はひらひらと手を振って
「こっちにも枝が伸びて来てるから客人と女性陣を守る事にするよ。」
「「「必要ない。」」」
ウェーヌ様とウィオラねえさまと王妃殿下が口を揃える。
この国の王族はこの世界の中でも特に戦闘力が高いので近衛が側にいない事も多い。近衛は主に外国からの賓客を守るために存在しているようだ。
実際、時折みんなの手が残像を残して消えるので攻撃が来たのかな?と思う。もしかして持ってるグラスの中身の揺れが少ない程、実力があると言う事だろうか‥‥
あれ、絶対グラスを浮かせて攻撃を防いでグラスを受け取めてるよね。全く動いてるように見えないけど。
「‥‥あの攻防戦はいつ終わるんですか?」
「満開になったら終了よ。もう9分咲きでしょう?陛下達はどれだけ長く戦えるかを楽しんでいるのよ。」
枝に巻き付かれると一気に魔力を吸い取られて勝負が終わってしまうの、とウィオラねえさまが笑う。
「それよりほら、食べさせてあげる!」
ウィオラねえさまの膝に座らされて一口サイズのキッシュを食べさせられる。最近、家で甘やかされまくってるから全く抵抗がなくなってしまった。
「美味しいです。」
と笑顔を向けると可愛い~~~!!と抱きしめられた。
「私の事はウルと呼んでね?」
と言いながら第三王子殿下がねえさまの膝に座ったままの俺にマッシュポテトのベーコン巻きを差し出す。素直に口に入れるとかわいいかわいいと頭を撫でられた。子供扱いし過ぎー。
「タケルが幼くなってる気がする‥‥」
ウェーヌ様がショックを受けた様な言い方をするけど、毎日ストゥさんとティスさんに同じ事をされてるなんて説明しづらいな。
と、考えている時
精霊樹がぱぁぁぁぁっと光を放った。
「満開じゃ。」
王妃殿下の言葉で戦いの場を見ると王子2人は座り込み、前王は片膝をついているが現王は雄々しく佇んでいる。一番長く戦ってたのに‥‥
ようやくみんな揃って食べ始めると、メインディッシュなのかデカ盛り肉料理が次々と運ばれて来た。一口サイズのお弁当は全て前菜だったようだ。もう結構お腹ふくれてるんだけど。
ペットのように取り合いをされ、王様の肩に乗せられたり手の上に乗せられたりまでした。口を出せないストゥさん達がハラハラしながら見てるのが分かる。
おもちゃにされるの断った方が良いかなぁ?
「先日の腕相撲大会で優勝したのじゃからわしがタケルを好きにして良い筈じゃな。」
と、前王陛下が言い出した。
好きにって何されるの!?
「腹筋、背筋、腕立て伏せ、それぞれ200回ずつじゃ!」
ほれ、共にやらんか!ってさっきの闘いからもう回復したの?鍛えてやるって言われてもせいぜい30回ずつしかできないよ!!
腕立て伏せに関しては10回で潰れた‥‥。
みんなで囲んでつつかないで下さい。
泣きますよ‥‥‥。
こんな形で本日の花見は終了。
俺はウェーヌ様に姫抱きで運ばれて馬車に乗せられ家に送ってもらった。3人で住んでるって言ったら目に涙が溜まってた。
女の人を泣かせちゃった?ごめん。
**********************
体が動かないせいでお風呂に入れてもらった。介護‥‥。
そしてお風呂から上がる頃、治癒魔術で治す事を勧められた。早く言ってよ!!
くっ!
2人してニヤニヤして‥‥!
「治癒!」
疲れは治らない事もあるらしいけど、筋肉痛と言うより肉離れに近かったみたいでスッキリ治って助かった。
3人でベッドに入り左右からおやすみのキスをされる。いつもはこのまま寝るんだけど、これくらいは良いかな?と2人の頬に触れるだけのキスを返した。
「おやすみなさい!」
あはは、ちょっと‥‥結構‥‥恥ずかしいな、これ。
2人の反応は怖くてみられなくて知らんぷり。やっぱり疲れていたのかそれほど時間はかからずに眠れた。
**********************
苦しい。金縛り‥‥?
と言うのはお約束。左右からがっちりホールドされてる。
「起きたか?」
近い!顔が近い!!
「お、おはようございます。あの、近過ぎて身動きできないんですが…。」
苦情を言うと悪いと言いながら離してくれる。ん?先に起きてたなら離れてても良くない?
「ティスが離れないから張り合ってた。」
子どもか。朝ごはんを作るためにティスさんに離してもらわないとな。
「ティスさん、お早うございます!」
大きめの声で言うと
「‥‥おはようの口づけは?‥‥」
狸寝入りか!!
しない!ティスさんてアホの子だったんだね!!
ストゥさんに引き離してもらって着替えて朝ご飯を作る。
豆腐とワカメの味噌汁と豆ご飯と白身魚の西京焼、春キャベツのおひたし、あと漬け物。
俺1人なら味噌汁とご飯と漬け物で済ませてたよな。美味しいって食べてくれる人がいる幸せ‥‥。
「そうだ。言ってなかったが花見の後は大規模討伐があるんだが、治癒が出来るようになったなら参加するか?」
4日後に南西の平原と北東の山間部に現地集合で大規模討伐が始まる。これは毎年、冬眠から醒めた動物をエサに魔獣が増えるから数を減らしておくためだ。それぞれ100人くらいずつ参加する。7割が討伐隊で1割が斥候と結界班、1割が医療班、残り1割が生活支援班だ。魔力量の多い治癒術師は町で医者をやっている事が多いので討伐に出張できる人が足りないらしい。現地までは馬車で2日かかるが専用の乗り合い馬車も利用できる。馬で行っても良い。
「まだ死体見るの怖いけど‥‥」
俺が不安を口にすると医療班は後衛だからほぼ大丈夫らしい。討伐班の誰かが死ぬ可能性も無い訳じゃないが周りの誰かが助けるしそこまで強い魔獣も出ないと言う。
「それに上級冒険者はよっぽどの理由が無いと強制参加なので私とストゥは参加が決まってるんです。」
討伐は3日間なので1週間は留守になるって‥‥
留守番くらい出来ると思うけど、やっぱり参加します!
2日後に出発するのでそれまでに遠征の準備。武器防具の装備はもちろん、ポーションとかの消耗品も自前で準備。食事は出るけど足りないので少しはもって行く。討伐が始まれば肉はどんどん手に入るから野菜や調味料が大事。あと鍋は持って行けないからアウトドア料理か。アルミホイルがあれば便利なのになぁ。テント生活になるって言うから久々にマット持って行こう。
ふと転移魔術の事を思い出した。無限に入るカバンが作れるかも知れないアレ。日本に帰る気がないからすっかり忘れてた。でもあったら便利だよね。
「ティスさん、転移魔術って属性は何になるんですか?」
「っ!! 帰りたくなったんですか!?」
「いや、全然。こういう遠征の時に荷物を転移で運べたら便利だな、と思って。」
青ざめたティスさんの顔がほっと緩む。
「転移魔術に無属は関係なかったと思います。ただとても魔力を使うので術の完成が難しいとか‥‥
詳しい事は研究者に聞く必要があると思います。ギルドもいろいろな繋がりがあるので伝手があるかもしれません。」
なるほど、まずはギルドで聞いてみるか。
そんなにレアなら無限カバン的な魔道具は売ってなさそうだなー。
「ギルドは今日まで休みだから討伐の手続きは明日な。」
と言う事で今日は買い出し。俺の服は最初に買った後ティスさんがひと揃いプレゼントしてくれたけどなんか手触り良くて高そうで普段着に向いてない。あと新しく3人用のテントも買いたいそうだ。ギルドが用意する大型テントは誰が使うか決まって無いので鼾の凄い人が来ると眠れないんだって。それ、避難所生活の苦労話で聞いた事があります。
今日の昼ご飯は屋台でなく豪快なランチのお店で食べる。1人前すら食べきれないだろうと2人から分けてもらう事になった。サラダとシチューとステーキとパンとピクルス。あと緑茶。
お店のおっちゃんにもっと食べないと大きくなれないぞ!って言われたけどお腹ぱんぱんです。
前に行った古着屋の近くにもう2軒程古着屋があるのでそっちも見てみる。
1軒が子供服専門の古着屋で俺に合うサイズが結構あった。
‥‥悔しくなんてないんだからね!
温かくなって来たので短いフード付きマントとチャイナカラーのシャツ3枚にショート丈のベストにストレートパンツ2枚。靴下5足セットとパンツ3枚セット。
まとめ買いしたのでオマケしてもらって全部で20,000円。奢りたがるティスさんに自立目指してますから!と言っているのを聞いたお店の人が頑張れよ、ってシャツをもう1枚オマケしてくれた。
テントは魔道具屋さんで。結界の魔方陣が描いてあって骨組みはなんと!「大王イカの軟骨」!!と呼ばれている植物の軸で軽くて弾力があって使い勝手がすこぶる良いそうだ。
店主が俺のフローティングマットに良く似たマットを持って来た。
俺のマットを見てストゥさんが天糸瓜つまりヘチマの繊維を使って作ったらどうかと試作してもらってたんだって。この前の馬に乗った時に使ったクッションもこれ。俺のがなるべく痛まないように、と俺の分まで作ってくれてた。お金払おうとしたら試作品だから使ってみて感想が欲しいって。で、使う度に返して改良部分を確認する、と。つまりモニターだな。
ありがたく受け取る。テントはストゥさんが買ったから値段は分からない。
後は出かけるまでの食材と出先で食べられる日持ちのする食べ物とか持って行く野菜とか大量に買い込む。魔術も使って効率よく調理できるようになりたいのでこれから練習だ!
怪獣 vs 暴れる樹木
怪獣がこの国の王様で暴れる樹木はこの国最古の精霊樹。
暴れ桜とでも呼ぶべき入らずの森の精霊樹は長い年月をかけて王族と守護聖獣の魔力を糧とし動けるようになった。歩く事は出来ないけどそのうち歩き出しそうな予感。
王様は上半身裸で湯気立てながら桜の攻撃を躱したり受け止めたり往なしたりする。精霊樹は巻き付いて魔力を吸おうとする。樹木だけあって手数が多く攻防は延々と続く。
ここへ来たときは3分咲きだった花は30分が経過した現在、5分咲きになっている。魔力をエサに戦いを楽しんでいるユーキディウム王。前王陛下や殿下達が酒を飲みながらヤジだか声援だかを送っている。ストゥさんも混ざって応援してる。
うわぁ大迫力ぅ‥‥
あ、前王陛下が乱入した。
格闘技に興味がない俺には早過ぎて何が何だか分からない。ウェーヌ様のそばに座ってごちそうを頂く事しかできない。あ、王太子殿下と第2王子殿下が同時に参戦。
「ウルは参戦しないのか?」
ウェーヌ様の言葉に第3王子殿下はひらひらと手を振って
「こっちにも枝が伸びて来てるから客人と女性陣を守る事にするよ。」
「「「必要ない。」」」
ウェーヌ様とウィオラねえさまと王妃殿下が口を揃える。
この国の王族はこの世界の中でも特に戦闘力が高いので近衛が側にいない事も多い。近衛は主に外国からの賓客を守るために存在しているようだ。
実際、時折みんなの手が残像を残して消えるので攻撃が来たのかな?と思う。もしかして持ってるグラスの中身の揺れが少ない程、実力があると言う事だろうか‥‥
あれ、絶対グラスを浮かせて攻撃を防いでグラスを受け取めてるよね。全く動いてるように見えないけど。
「‥‥あの攻防戦はいつ終わるんですか?」
「満開になったら終了よ。もう9分咲きでしょう?陛下達はどれだけ長く戦えるかを楽しんでいるのよ。」
枝に巻き付かれると一気に魔力を吸い取られて勝負が終わってしまうの、とウィオラねえさまが笑う。
「それよりほら、食べさせてあげる!」
ウィオラねえさまの膝に座らされて一口サイズのキッシュを食べさせられる。最近、家で甘やかされまくってるから全く抵抗がなくなってしまった。
「美味しいです。」
と笑顔を向けると可愛い~~~!!と抱きしめられた。
「私の事はウルと呼んでね?」
と言いながら第三王子殿下がねえさまの膝に座ったままの俺にマッシュポテトのベーコン巻きを差し出す。素直に口に入れるとかわいいかわいいと頭を撫でられた。子供扱いし過ぎー。
「タケルが幼くなってる気がする‥‥」
ウェーヌ様がショックを受けた様な言い方をするけど、毎日ストゥさんとティスさんに同じ事をされてるなんて説明しづらいな。
と、考えている時
精霊樹がぱぁぁぁぁっと光を放った。
「満開じゃ。」
王妃殿下の言葉で戦いの場を見ると王子2人は座り込み、前王は片膝をついているが現王は雄々しく佇んでいる。一番長く戦ってたのに‥‥
ようやくみんな揃って食べ始めると、メインディッシュなのかデカ盛り肉料理が次々と運ばれて来た。一口サイズのお弁当は全て前菜だったようだ。もう結構お腹ふくれてるんだけど。
ペットのように取り合いをされ、王様の肩に乗せられたり手の上に乗せられたりまでした。口を出せないストゥさん達がハラハラしながら見てるのが分かる。
おもちゃにされるの断った方が良いかなぁ?
「先日の腕相撲大会で優勝したのじゃからわしがタケルを好きにして良い筈じゃな。」
と、前王陛下が言い出した。
好きにって何されるの!?
「腹筋、背筋、腕立て伏せ、それぞれ200回ずつじゃ!」
ほれ、共にやらんか!ってさっきの闘いからもう回復したの?鍛えてやるって言われてもせいぜい30回ずつしかできないよ!!
腕立て伏せに関しては10回で潰れた‥‥。
みんなで囲んでつつかないで下さい。
泣きますよ‥‥‥。
こんな形で本日の花見は終了。
俺はウェーヌ様に姫抱きで運ばれて馬車に乗せられ家に送ってもらった。3人で住んでるって言ったら目に涙が溜まってた。
女の人を泣かせちゃった?ごめん。
**********************
体が動かないせいでお風呂に入れてもらった。介護‥‥。
そしてお風呂から上がる頃、治癒魔術で治す事を勧められた。早く言ってよ!!
くっ!
2人してニヤニヤして‥‥!
「治癒!」
疲れは治らない事もあるらしいけど、筋肉痛と言うより肉離れに近かったみたいでスッキリ治って助かった。
3人でベッドに入り左右からおやすみのキスをされる。いつもはこのまま寝るんだけど、これくらいは良いかな?と2人の頬に触れるだけのキスを返した。
「おやすみなさい!」
あはは、ちょっと‥‥結構‥‥恥ずかしいな、これ。
2人の反応は怖くてみられなくて知らんぷり。やっぱり疲れていたのかそれほど時間はかからずに眠れた。
**********************
苦しい。金縛り‥‥?
と言うのはお約束。左右からがっちりホールドされてる。
「起きたか?」
近い!顔が近い!!
「お、おはようございます。あの、近過ぎて身動きできないんですが…。」
苦情を言うと悪いと言いながら離してくれる。ん?先に起きてたなら離れてても良くない?
「ティスが離れないから張り合ってた。」
子どもか。朝ごはんを作るためにティスさんに離してもらわないとな。
「ティスさん、お早うございます!」
大きめの声で言うと
「‥‥おはようの口づけは?‥‥」
狸寝入りか!!
しない!ティスさんてアホの子だったんだね!!
ストゥさんに引き離してもらって着替えて朝ご飯を作る。
豆腐とワカメの味噌汁と豆ご飯と白身魚の西京焼、春キャベツのおひたし、あと漬け物。
俺1人なら味噌汁とご飯と漬け物で済ませてたよな。美味しいって食べてくれる人がいる幸せ‥‥。
「そうだ。言ってなかったが花見の後は大規模討伐があるんだが、治癒が出来るようになったなら参加するか?」
4日後に南西の平原と北東の山間部に現地集合で大規模討伐が始まる。これは毎年、冬眠から醒めた動物をエサに魔獣が増えるから数を減らしておくためだ。それぞれ100人くらいずつ参加する。7割が討伐隊で1割が斥候と結界班、1割が医療班、残り1割が生活支援班だ。魔力量の多い治癒術師は町で医者をやっている事が多いので討伐に出張できる人が足りないらしい。現地までは馬車で2日かかるが専用の乗り合い馬車も利用できる。馬で行っても良い。
「まだ死体見るの怖いけど‥‥」
俺が不安を口にすると医療班は後衛だからほぼ大丈夫らしい。討伐班の誰かが死ぬ可能性も無い訳じゃないが周りの誰かが助けるしそこまで強い魔獣も出ないと言う。
「それに上級冒険者はよっぽどの理由が無いと強制参加なので私とストゥは参加が決まってるんです。」
討伐は3日間なので1週間は留守になるって‥‥
留守番くらい出来ると思うけど、やっぱり参加します!
2日後に出発するのでそれまでに遠征の準備。武器防具の装備はもちろん、ポーションとかの消耗品も自前で準備。食事は出るけど足りないので少しはもって行く。討伐が始まれば肉はどんどん手に入るから野菜や調味料が大事。あと鍋は持って行けないからアウトドア料理か。アルミホイルがあれば便利なのになぁ。テント生活になるって言うから久々にマット持って行こう。
ふと転移魔術の事を思い出した。無限に入るカバンが作れるかも知れないアレ。日本に帰る気がないからすっかり忘れてた。でもあったら便利だよね。
「ティスさん、転移魔術って属性は何になるんですか?」
「っ!! 帰りたくなったんですか!?」
「いや、全然。こういう遠征の時に荷物を転移で運べたら便利だな、と思って。」
青ざめたティスさんの顔がほっと緩む。
「転移魔術に無属は関係なかったと思います。ただとても魔力を使うので術の完成が難しいとか‥‥
詳しい事は研究者に聞く必要があると思います。ギルドもいろいろな繋がりがあるので伝手があるかもしれません。」
なるほど、まずはギルドで聞いてみるか。
そんなにレアなら無限カバン的な魔道具は売ってなさそうだなー。
「ギルドは今日まで休みだから討伐の手続きは明日な。」
と言う事で今日は買い出し。俺の服は最初に買った後ティスさんがひと揃いプレゼントしてくれたけどなんか手触り良くて高そうで普段着に向いてない。あと新しく3人用のテントも買いたいそうだ。ギルドが用意する大型テントは誰が使うか決まって無いので鼾の凄い人が来ると眠れないんだって。それ、避難所生活の苦労話で聞いた事があります。
今日の昼ご飯は屋台でなく豪快なランチのお店で食べる。1人前すら食べきれないだろうと2人から分けてもらう事になった。サラダとシチューとステーキとパンとピクルス。あと緑茶。
お店のおっちゃんにもっと食べないと大きくなれないぞ!って言われたけどお腹ぱんぱんです。
前に行った古着屋の近くにもう2軒程古着屋があるのでそっちも見てみる。
1軒が子供服専門の古着屋で俺に合うサイズが結構あった。
‥‥悔しくなんてないんだからね!
温かくなって来たので短いフード付きマントとチャイナカラーのシャツ3枚にショート丈のベストにストレートパンツ2枚。靴下5足セットとパンツ3枚セット。
まとめ買いしたのでオマケしてもらって全部で20,000円。奢りたがるティスさんに自立目指してますから!と言っているのを聞いたお店の人が頑張れよ、ってシャツをもう1枚オマケしてくれた。
テントは魔道具屋さんで。結界の魔方陣が描いてあって骨組みはなんと!「大王イカの軟骨」!!と呼ばれている植物の軸で軽くて弾力があって使い勝手がすこぶる良いそうだ。
店主が俺のフローティングマットに良く似たマットを持って来た。
俺のマットを見てストゥさんが天糸瓜つまりヘチマの繊維を使って作ったらどうかと試作してもらってたんだって。この前の馬に乗った時に使ったクッションもこれ。俺のがなるべく痛まないように、と俺の分まで作ってくれてた。お金払おうとしたら試作品だから使ってみて感想が欲しいって。で、使う度に返して改良部分を確認する、と。つまりモニターだな。
ありがたく受け取る。テントはストゥさんが買ったから値段は分からない。
後は出かけるまでの食材と出先で食べられる日持ちのする食べ物とか持って行く野菜とか大量に買い込む。魔術も使って効率よく調理できるようになりたいのでこれから練習だ!
1
「連れて行きたい日本へ」で
ストゥとタケルがラブホに行った時のいちゃいちゃが読めます。
→拍手する
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