行ってみたいな異世界へ

香月ミツほ

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行ってみたいな異世界へ

19 初歩魔術

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ギルドに戻って採集したサンプルを渡し、撒き散らすタイプの毒は無いがミツバチが集まるせいで紅染蜂べにぞめばちが来ると伝える。調査報告書は2日以内に提出する。紅染蜂べにぞめばちは肉食で昆虫も人も動物も魔獣もお構いなしに食いちぎって肉団子を作り巣に持ち帰る。ミツバチがいればそちらを好むので人を襲う事は少ないが今回のように攻撃態勢に入ってしまうと見境が無くなる事も多い。と帰り道で聞いて青くなった俺。

帰ったらティスさんに魔術の手ほどきをしてもらう約束をしたので部屋に戻って教えてもらう。
そう言えばストゥさんは火属性なんだけど戦闘中は考えるより先に体が動くから使えないそうだ。魔力も少ないから魔術はほとんど使わないそうだ。


**********************


基本中の基本、浄化魔術。
イメージと魔力で術を発動するのでどの属性でも使えるが、地属性には苦手な術。
水属性なら洗ってキレイにするイメージ、風属性なら汚れを吹き飛ばすイメージ、火属性なら汚れを焼いてしまうイメージ。

確かに地属性でキレイにするイメージは難しい。泥汚れのイメージの方が強いもんなぁ。

洗濯機みたいな魔道具は水・火・風の魔法陣が書き込まれているので除菌も煮沸消毒もできてしまう。めっちゃ便利!!

俺は光と地と火だから汚れを見つけて分子レベルで火で焼くイメージでやるか?

指先から魔力を紡いで全身を繭のように覆い、汚れを見つけて焼く練習。

昼間浄化したばかりなので汚れを見つけられない。初めてなので目で見える汚れの方がイメージしやすいだろうと先に夕飯を作って道具を洗う事にした。

今夜は何を作ろう?

リクエストを聞いたら肉料理。
見た目を裏切らないストゥさん。ティスさんも頷いていたのでメインは七輪で網焼きステーキに決定。後は市場で食材を見ながら考えよう。

ティスさんが報告書をまとめてしまうそうなのでストゥさんと市場へ行く。八百屋さん(?)のおススメでカブのスープ、ニラ玉、蕗。豆腐と油揚げも買って来よう。

豆腐を買いに料理屋さんへ行く途中、グラウィスさんに会った。明日の引越しに向けて荷造りをしているけど、なかなか終わらなくて気分転換に出て来たと言う。それならば、と後で一緒に食べる事になった。ブイヨンの作り方を教えてもらおう!

店では羊肉を勧められたのでラムステーキ。マトンステーキかな?スパイスとハーブと岩塩を擦り込んで寝かせておく。蕗を茹でてアクを抜き、油揚げと煮る。八百屋の隣で牛乳も売っていたのでカブはミルクスープにする。残りの料理は直前で良いのでここで浄化魔術の練習。

ミルクスープをかき回していた金属のおたまを見つめ魔力の糸を絡ませる。
おたまに付いた白いしずくを燃やす!

「浄化!」

「あつっっっ!」

しずくは一瞬で蒸発し、そこに含まれる脂質やタンパク質を焼尽す、までは良かったのだが出力が強過ぎておたまが熱くなって取り落とした。流しに張った水の中に落ちたお玉はじゅっと音を立てた。指先に小さな水ぶくれ‥‥

これが服だったら‥‥一瞬で燃えて素っ裸?いやん。
いや、火傷かな?

「汚れとおたまの間に膜を作っておたまを保護して下さい。」

なるほど。分子レベルの膜を作って滑り込ませて発火‥‥

「浄化!」

パチッと静電気みたいな感覚があっておたまはピカピカになっていた。しばらくは声を出して気合いを入れないとできそうもないけど出来た!

ティスさんに褒められてもう1回チャレンジ。今度は包丁。

「浄化!」

成功。続けてまな板も成功。

手を濡らして「浄化!」、成功。
油を垂らしてチャレンジ。熱い!でも火傷する程ではなかったから成功。

油は水より保護膜をしっかりしないと危ないんだな。

服の浄化にも挑戦!
水がはねた部分を魔力の糸でドーム状に囲み、繊維の奥まで意識する。衣料用洗剤のCMで見ていたからイメージし易かったのが幸いした。

ちゃんと綺麗になって乾いた。

そう言えば俺は光属性で治癒も出きるんだっけ。
火傷を治すイメージ‥‥よく解らないけど自然治癒を速める感じ?

自分の体なので糸を紡がず、火傷部分に魔力を集め古い角質が新しい角質に代謝して行くイメージをする。これもCMで良くやっている映像を参考にする。

「治癒!」

ふわっと傷口を包んだ魔力が吸い込まれて行く。

成功した。赤みも痛みも熱さも残っていない。
病気や大きなケガは自信がないけど、とりあえず経験を積もう。魔術の本をたくさん読もう。

ストゥさんが凄い凄いと持ち上げる。物理的に持ち上げているので高い高いだよ、これ。光属性の魔力を持っていて魔力量が多い人は稀なので治癒魔術師は貴重らしい。2%程度だそうだ。

まぁ、あの王様の治める国だから小さなケガどころか単純骨折なら知らんぷりで治す!って、それで良いの?‥‥良いんだ。


**********************


良い時間になったので肉を焼き始める。大きいサイズの七輪だけど、1度に焼ける肉は2枚。1枚はローストビーフっぽいのも作ろうかな?鍋をかぶせてオーブン代わりにして肉が中まで温まったら紙で包んで保温。時々魔力で包んで温める。その間にコンロでご飯を炊く。
ステーキを焼いているうちにグラウィスさんが来たのでニラ玉を作って出し、スープは魔力で温め直す。調理に火の魔術はおススメだね!

手土産にツマミを持って来てくれて出してくれる。盛りつけがきれいでカッコいい!

ステーキは2枚をそれぞれカットして四人で分けて食べながら追加を焼く。ローストマトンもなかなか上手く行ったようだ。ニラ玉に興味を持ったグラウィスさんに作り方を教えると簡単だったからとても喜ばれた。

今日も奪い合うように食べてくれて、あっという間に完食。

お皿も浄化魔術の練習で俺が綺麗にした。

ブイヨンの作り方を聞いてから見送った。
明日の午前中で家が空くから、その後ならすぐに引っ越して来て良いと言われた。

大浴場は混んでいるだろうとシャワーで済ませてまた一緒に眠る。
今日はティスさんと。


**********************


朝目覚めると生理現象が起きていた。
そんなに溜まっている自覚はなかったんだけど‥‥。
男同士でも気づかれたら恥ずかしいからさっさとシャワーを浴びてしまおう。

ベッドからそっと抜け出そうとしたらぐっと抱き寄せられ、ぽふぽふと確認される。
ダメー!!それ以上、下触っちゃダメ!!
体をくの字に曲げ、横向きでガードする。

ギリギリで触られずに済んでホッとしたのも束の間、腕を掴まれ仰向けに転がされる。俺を組敷くように覆い被さったティスさんは寝ぼけているようだ。

「おはよう‥‥」

「‥‥おはようございます。」

寝ぼけながら色気を放つティスさんの下からなんとか抜け出した所でストゥさんと目が合った。

「お早うございます‥‥」

仰向けに転がされた時、見られた?

「おう。シャワー浴びてこい。」

見られた!バレたぁぁぁ!!
仕方ないけど恥ずかしい。早くシャワー浴びて押さえよう。

「手伝います‥‥」

って、ティスさんにもバレた!
俺は顔を真っ赤にしながら断って大慌てでシャワーに向かった。


**********************


「タケル?具合でも悪いんですか?」

なかなか戻って来ない俺を心配して顔を洗ったティスさんが声をかけてくれる。
なんで?普通の朝勃ちなら時間が経てば治まるのに、1度抜いても治まらないし体が火照るしぞわぞわする。

「それが‥‥その‥‥」

心配してシャワールームの扉を開けたティスさんはバスタブで座り込む俺を見て怪訝な顔をする。

「顔が赤くて目が潤んでいますよ。熱でもあるんですか? それとも魔力切れ‥‥ いや、起きたばかりで魔力切れはありえませんね。」

「ちがっ、違います!何だか体が熱いけど休めば治ります!!」

ストゥさんも見に来て心配してくれる。

「もしかして‥‥昨日のツタの樹液に媚薬効果があったのかも知れないぞ。」

「その可能性もあるんですか?」

俺は自分の意地汚さに呆れてうなだれる。

「もう1度出せば治るかも知れません。任せて下さい。」

ティスさんが頬を紅潮させ目をキラキラさせながら言った。
いや、任せてと言われても!!ストゥさん、俺が手伝おうか?じゃないです!!

「ストゥは前にしたんだから譲れません。」

何言ってるの?脱ぎださないで!
ティスさんはストゥさんを追い出してから全部脱いでバスタブに入って来た。

「全部任せてくださいね。」

断りきれず流される俺は絶対おかしい。
でも体を縮こめたまま抱き上げられティスさんの足の上に座らされ、背中から抱きすくめられたら体温に安心してしまった。媚薬効果だろうか?

優しく抱きしめられ頭を撫でられて体の力を抜いてしまった。やんわりと右耳の耳輪をまれ、ぺろりと耳の裏を舐められる。

「ん‥‥」

ぞくぞくとした快感が背を駆け下りる。身を捩って晒された首筋の左側を右手がなぞる。右手はそのまま鎖骨をなぞり、ゆっくりと下に降りて胸の飾りの縁取りに触れる。

そして中心には触れずに周りをゆるゆると這い回る。それから更に降りて行き脇腹を通って左足の腿の外側を撫で擦る。膝をまわって内股を滑りこちらも中心には触れずに右足の内股へと進む。

最も強い快楽を与える場所から遠ざかる手に寂しさと安堵が入り交じる。

そしてまた腿の外側を通って臀部の側面を撫でながら下腹に添えるように留まる。その間、左手は頬をなぞり右手と同じように首筋から鎖骨、右の縁取りを掠めてへその周りを回って胸に戻る。

胸の突起に触れそうで触れないじれったい動きに期待が高まり、触ってもいないのにぷっくりと膨らんだ。

「‥‥ん‥ふっ‥‥ぅうん‥‥あっ‥胸‥‥痛いぃ‥‥」

刺激への期待に膨らんだ2つの薄紅色の粒は充血して痛みを訴える程になっている。両手の親指と人差し指がゆっくりゆっくり近づいて追いつめる‥‥かと思えば色の変わる辺りで止まってしまう。焦らされてタケルの目から一粒の涙が溢れた。

「ふやぁぁぁぁん!」

溢れる涙に催促されたティスの繊細な指先が左右同時に摘むと、背をしならせてほんの少し白濁がこぼれる。それから漸く下腹部へ手を伸ばし優しく擦り上げた。

「あぁぁぁぁっ!!!!」

あっという間に登り詰め吐き出した精を愛おしそうに見つめるティスに弱々しく抗議する。

「そんなの早く‥流して‥」

ぐったりと脱力しながら手首を押さえてシャワーで洗う。

「どうですか?」

聞かれて確認すると俺の体は治まっていた。そして代わりにティスさんが硬くなっている。

「あ‥の‥‥俺も‥‥手伝います‥」

気を使わなくても良いですよ、と言われたけどしてもらうばかりでは申し訳がないので、向き直って跪く。日本人の平均より一回りは大きいソレをそっと握り、ゆっくり上下に動かしてみるとティスさんが手を重ねて誘導してくれた。

先走りでぬるぬるの感触に自分がされている様な錯覚を引き起こす。想像を遥かに超えた羞恥に何も考えられなくなる。徐々に速くなるリズムに更に質量を増してソレは白濁をまき散らした。向かい合わせで跪いていた俺の顔にも届いた精液は胸にも腹にも飛び散っている。

嫌悪感は全くなくてむしろ興奮したのは媚薬のせい?元からの性癖?

遅い!と見に来たストゥさんにシャワーで全身隈無く洗われている間、ティスさんは恍惚の表情で自分の世界に引きこもっていた。

「バカティスは放っとけ。」
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