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行ってみたいな異世界へ
11 ティスに片思い
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ローブを着ないとジャンパースカートみたいに見えるベストはどうにも違和感があるので短いやつに着替えた。細身のスラックスは意外と履き心地が良い。
ブーツは慣れないので室内用の楽な履物も買って来ようと思いつつスニーカーを履く。買って来た荷物を整理し終えたところで2人が誘いに来た。
ヒノ村みたいな騒ぎになっても困るから食事の前にお風呂に入る。幸い、まだ誰もいなかった。
食堂には守護石っぽい物があり、食券を買うようにタッチパネル方式で注文する。料理名を見てもよく分からないのでパンとシチューと肉料理の本日のオススメセットとりんごジュース合計800円にした。
残高から自動で引き落とされるのを見ると電子マネーに見えて来る。このシステムはこの国ならどんな田舎でも店がある限り利用できるらしい。これがない場合は物々交換だ。
でも毎晩この出費は痛い。
先に飲み物を受け取り空いている席に座る。そう遅くもない時間だから半分くらい空いている。
席に着いてすぐ、すでに酔っ払っている人が声をかけて来た。
「よう!ストゥにティス!
そのちっこいのは、まさか嬢ちゃんか?」
ストゥさんとティスさんの間に顔を出して俺の顔をジロジロと見る。怖い感じはしないけどすでに酒臭い。
「タケルと言います。男です。」
「ずいぶん可愛い坊主だな。客人か?」
隠す事ではないのかも知れないけど、ヒノ村の事もあるし、どう答えようか戸惑っていると、ストゥさんが言った。
「何でそう思う?」
「お前らの今回の仕事が時期、容姿、ランクから客人の迎えだと噂になっている。そして門を通過するストゥが護衛する王宮の馬車から黒髪黒目のかわい子ちゃんが顔を出した、って目撃情報があるんだよ。」
「オレはそこまで顔売れてないぞ。」
ストゥさんが言うと
「目撃情報の出所は俺だからな。」
と言って豪快に笑う。
お前かよ、と呆れ顔のストゥさん。
「タケルは酒に弱いんですから酒臭い人は近づかないで下さい。」
何だかティスさんが厳しい。テーブル挟んで向かい側なら匂いくらい大丈夫だけど、口実っぽい気がする‥‥
「タケル、俺は中級冒険者のアラケル。ティスの恋人だからよろしくな。」
「えぇっ!?」ボカッ!!
俺が思わず大きな声を出してしまったと同時にティスさんの拳が炸裂した。
「少し失礼します。」
と言ってアラケルさんを引きずってギルドから出て行くティスさん。呆然と見送る俺。
「アラケルは3年前に冒険者になって3ヶ月程ティスが指導してたんだ。ずいぶん懐いたと思ったら告白して来て、何度断られても諦めないんだ。あんまりしつこいから1人部屋だと心配になって俺とルームシェアする事にしたんだよ。」
ティスさん優しくてカッコいい細身の美形だからモテて当然だよなー。でもアラケルさんもがっちり系のイケメンだったよ。好みじゃないのかな?あ、戻って来た。
「失礼しました。ちょうど料理が来たようですね。いただきましょう。」
何事もなかったようなティスさん。
入り口の方からアラケルが落ちてるとか通行の邪魔だからギルドの中に転がしておけとか聞こえて来るけど良いのか。
毎日では高いと思った食事は予想の倍の量があった。パンもシチューも肉料理もデカ盛りサイズ。さすが冒険者向け!
半分も食べられないと思う‥‥味は美味しいけどどうしよう?
「食べ切れなきゃ食べてやるぞ。」
「私たちの皿から取り分けるだけで足りてしまいそうですね。」
ありがたいけど、それじゃあずっと独り立ちできません。
「いっそ3人で住める家買って住むか?俺もティスも料理はイマイチだけどな。」
「ストゥはイマイチじゃなくてまるっきりでしょう?半ナマの焦げ肉や酸っぱ臭いスープなんて食材への冒涜です。」
「ティスの火は通したから味は自分で付けろ、ってのも大概だろうが!」
冗談まじりのお誘いに心が温かくなる。会ってまだ10日しか経ってないのに‥‥社交辞令の可能性もあるけどとりあえず素直に喜んでおこう。2人の料理の腕は体験したくないな。
「簡単な料理ならできますけど、家賃が払えるかなぁ?」
くすくす笑いながら返すと中級になりゃ簡単だと言う。中級になるのが簡単なのかどうか分からないよね‥‥
こんな話をしながら食べていたら半分も食べないうちにお腹いっぱいになってしまった。残りをストゥさんが食べてくれる。時間とともに増えた人達が集まって来た。
「坊主、ちっちぇえなあ。」
それしか食わないからだとかこっちも味見してみろとか酒飲むかとか周り中から声をかけられる。みんなから少しずつ味見させてもらったらタダ?とか考えてしまった浅ましさを反省する。でもいざとなったらやっちゃおうか?森の王の加護で毒無効だし。酒が毒扱いになればザルになれるけど、薬扱いならダメだよなぁ。後で試してみよう。
言葉遣いは冒険者らしい乱暴さだけどみんな面倒見が良さそうな人達だ。ストゥさん達が会話を引き受けてくれているが、やたらと酒を勧められて困るので早々に部屋に戻る事にした。
席を立ってこれからよろしくお願いします、と挨拶すると野太く大きな歓声が上がり、まるで鬨の声のようだった。
**********************
部屋で飲み直し、と言うか市場で買った虹ブドウを摘みながら味見する。もちろん2人はお酒を飲んでいる。虹ブドウの味は普通の美味しいブドウ。粒ごとに色が違うが紫が一番甘く、赤、オレンジ、黄色になるにつれて酸っぱくなる。ツマミには紫は甘過ぎるらしい。試しにウィーヌムベリーを並べてみても見た目は同じで少し小振りかな?もしかして色によってアルコール度数が違うんだろうか?そう考えて黄色い粒を食べてもらった。酸味が抜けて、普通のブドウジュースになっていると言う。複数ある赤も食べてもらったらこっちは酒の味がするそうだ。紫を味見したい!!でもアルコール度数が強かったらまた酔って何かやらかすかも知れない。一粒を半分にすれば大丈夫じゃないか?と言ってみる。2人は微妙な空気で顔を見合わせた後、やめておけと言った。
ウィーヌムベリーの紫の粒は1つしかないのでちゃんと自分で味見したいし、4分の1にして‥‥うーん‥
ドンドンドンドンッ!!
突然ドアが激しく叩かれて驚き、2人を見るとティスさんがジト目になっていた。ストゥさんもあちゃー、って顔してる。居留守を使おうとしたけどあまりにうるさくて隣の部屋の人からコイツを回収しろと苦情が来た。
仕方なく部屋の扉を開けるとまた大声を出す。
「あーーーー!その坊主が弱いから酒臭いやつは側に来るなって言ったくせに!」
ズカズカと踏み込んでソファに勝手に座る。二人分しかない1人掛けのソファだ。椅子が足りないと思ってたらストゥさんが部屋の隅から2人掛けのソファを出して来た。さっきまでベッドに座っていた俺がそのソファに座るとティスさんが隣に座るとアラケルさんの表情が険しくなった。
「何しに来たんですか?」
冷たくてもティスさんからの言葉であれば嬉しいらしく、でれっとにやける。
「客人を歓迎したくて土産を持って来たんだよ。」
そう言って女の子が喜びそうな淡いきれいな色の磨りガラスの様な砂糖菓子をくれた。
一応お礼を言って受け取る。
と、勝手にウィーヌムベリーに手を伸ばし、あろうことか紫の実を食べようとする。
「だ、ダメです!!それは俺が食べるんです!」
慌てて立ち上がり、小さなテーブルを挟んで向かいに座るアラケルの今にも紫の実を口に放り込みそうなその手を掴んで引っ張る。
「何だよ、本当にガキだな。」
と言って呆れ顔で俺の口に紫の実を放り込んだ。
思わず噛むと中から溢れる果汁はワインにしてはかなり強く、喉が焼ける様に熱い。俺はあわてて虹ブドウの紫の実を食べる。心配して慌てる2人に眉をひそめるアラケル。
ティスさんが持って来てくれた水を飲んで漸く落ち着いた。
「‥‥食い意地が張ってるんじゃないのか?」
解決しない疑問に答えを求める。ウィーヌムベリーと虹ブドウの見た目は同じだもんね。赤い実を1つ取って薦める。受け取ったそれを口に入れたアラケルが驚いている。ストゥさんが説明してくれているのを聞いているうちに体が重くなって来た。
2人掛けなのを良い事にティスさんに寄りかかると頭をなでてくれた。胸に頬ずりしたらそのままずるずると滑って膝枕になる。更に優しく撫でてくれる。あー‥‥気持ち良い‥‥
「あっっ!てめぇ、何してやがる!!」
慌てた声を出すアラケルにティスさんからぺいっと引き剥がされる。ジャマにされた俺はふらふらとストゥさんの膝に横向きに座る。酔ってんな?と聞かれ、ふふっと笑って首に手を回し頬ずりする。ため息をつきながら頭を撫でてくれる。きもちいーなー‥‥
「なぁ、俺に何が足りないのか言ってくれ!いくらでも努力するから!!」
「‥‥以前にも言ったはずですが覚えてないのですか?」
何なんだろう??ぼーっとしながら聞き耳を立てる。
「背が高くて筋肉質で胸板が厚い。」
それは褒め言葉じゃないの?
「そして‥‥胸毛が生えている!」
女子か。
クラスの女子も胸毛嫌がってたなぁ‥‥
俺はあってもなくても良いと思うんだけど。
「そんなに胸毛濃いのー?」
ストゥさんの膝から降りて落ち込むアラケルの顔を覗き込む。元々緩められていたシャツのボタンを2つ勝手に外して胸を肌ける。
薄っすらしか生えてないよ?
「ティスさん、これしか生えてないよー。これでもダメなの?」
「‥‥以前ならばともかく、タケルの肌を見てしまった今!タケル以外ではダメなんです!!」
そんな事言うからアラケルがギラギラになって俺を見てるよー。
「見せろ‥‥」
って黒い瘴気が立ち昇る幻が見える。
服を破きそうな勢いのアラケルから俺を抱き込むように引き離すティスさん。頭の上で睨み合っている‥‥何かデジャブ‥‥
俺の肌、見たいの?
ブーツは慣れないので室内用の楽な履物も買って来ようと思いつつスニーカーを履く。買って来た荷物を整理し終えたところで2人が誘いに来た。
ヒノ村みたいな騒ぎになっても困るから食事の前にお風呂に入る。幸い、まだ誰もいなかった。
食堂には守護石っぽい物があり、食券を買うようにタッチパネル方式で注文する。料理名を見てもよく分からないのでパンとシチューと肉料理の本日のオススメセットとりんごジュース合計800円にした。
残高から自動で引き落とされるのを見ると電子マネーに見えて来る。このシステムはこの国ならどんな田舎でも店がある限り利用できるらしい。これがない場合は物々交換だ。
でも毎晩この出費は痛い。
先に飲み物を受け取り空いている席に座る。そう遅くもない時間だから半分くらい空いている。
席に着いてすぐ、すでに酔っ払っている人が声をかけて来た。
「よう!ストゥにティス!
そのちっこいのは、まさか嬢ちゃんか?」
ストゥさんとティスさんの間に顔を出して俺の顔をジロジロと見る。怖い感じはしないけどすでに酒臭い。
「タケルと言います。男です。」
「ずいぶん可愛い坊主だな。客人か?」
隠す事ではないのかも知れないけど、ヒノ村の事もあるし、どう答えようか戸惑っていると、ストゥさんが言った。
「何でそう思う?」
「お前らの今回の仕事が時期、容姿、ランクから客人の迎えだと噂になっている。そして門を通過するストゥが護衛する王宮の馬車から黒髪黒目のかわい子ちゃんが顔を出した、って目撃情報があるんだよ。」
「オレはそこまで顔売れてないぞ。」
ストゥさんが言うと
「目撃情報の出所は俺だからな。」
と言って豪快に笑う。
お前かよ、と呆れ顔のストゥさん。
「タケルは酒に弱いんですから酒臭い人は近づかないで下さい。」
何だかティスさんが厳しい。テーブル挟んで向かい側なら匂いくらい大丈夫だけど、口実っぽい気がする‥‥
「タケル、俺は中級冒険者のアラケル。ティスの恋人だからよろしくな。」
「えぇっ!?」ボカッ!!
俺が思わず大きな声を出してしまったと同時にティスさんの拳が炸裂した。
「少し失礼します。」
と言ってアラケルさんを引きずってギルドから出て行くティスさん。呆然と見送る俺。
「アラケルは3年前に冒険者になって3ヶ月程ティスが指導してたんだ。ずいぶん懐いたと思ったら告白して来て、何度断られても諦めないんだ。あんまりしつこいから1人部屋だと心配になって俺とルームシェアする事にしたんだよ。」
ティスさん優しくてカッコいい細身の美形だからモテて当然だよなー。でもアラケルさんもがっちり系のイケメンだったよ。好みじゃないのかな?あ、戻って来た。
「失礼しました。ちょうど料理が来たようですね。いただきましょう。」
何事もなかったようなティスさん。
入り口の方からアラケルが落ちてるとか通行の邪魔だからギルドの中に転がしておけとか聞こえて来るけど良いのか。
毎日では高いと思った食事は予想の倍の量があった。パンもシチューも肉料理もデカ盛りサイズ。さすが冒険者向け!
半分も食べられないと思う‥‥味は美味しいけどどうしよう?
「食べ切れなきゃ食べてやるぞ。」
「私たちの皿から取り分けるだけで足りてしまいそうですね。」
ありがたいけど、それじゃあずっと独り立ちできません。
「いっそ3人で住める家買って住むか?俺もティスも料理はイマイチだけどな。」
「ストゥはイマイチじゃなくてまるっきりでしょう?半ナマの焦げ肉や酸っぱ臭いスープなんて食材への冒涜です。」
「ティスの火は通したから味は自分で付けろ、ってのも大概だろうが!」
冗談まじりのお誘いに心が温かくなる。会ってまだ10日しか経ってないのに‥‥社交辞令の可能性もあるけどとりあえず素直に喜んでおこう。2人の料理の腕は体験したくないな。
「簡単な料理ならできますけど、家賃が払えるかなぁ?」
くすくす笑いながら返すと中級になりゃ簡単だと言う。中級になるのが簡単なのかどうか分からないよね‥‥
こんな話をしながら食べていたら半分も食べないうちにお腹いっぱいになってしまった。残りをストゥさんが食べてくれる。時間とともに増えた人達が集まって来た。
「坊主、ちっちぇえなあ。」
それしか食わないからだとかこっちも味見してみろとか酒飲むかとか周り中から声をかけられる。みんなから少しずつ味見させてもらったらタダ?とか考えてしまった浅ましさを反省する。でもいざとなったらやっちゃおうか?森の王の加護で毒無効だし。酒が毒扱いになればザルになれるけど、薬扱いならダメだよなぁ。後で試してみよう。
言葉遣いは冒険者らしい乱暴さだけどみんな面倒見が良さそうな人達だ。ストゥさん達が会話を引き受けてくれているが、やたらと酒を勧められて困るので早々に部屋に戻る事にした。
席を立ってこれからよろしくお願いします、と挨拶すると野太く大きな歓声が上がり、まるで鬨の声のようだった。
**********************
部屋で飲み直し、と言うか市場で買った虹ブドウを摘みながら味見する。もちろん2人はお酒を飲んでいる。虹ブドウの味は普通の美味しいブドウ。粒ごとに色が違うが紫が一番甘く、赤、オレンジ、黄色になるにつれて酸っぱくなる。ツマミには紫は甘過ぎるらしい。試しにウィーヌムベリーを並べてみても見た目は同じで少し小振りかな?もしかして色によってアルコール度数が違うんだろうか?そう考えて黄色い粒を食べてもらった。酸味が抜けて、普通のブドウジュースになっていると言う。複数ある赤も食べてもらったらこっちは酒の味がするそうだ。紫を味見したい!!でもアルコール度数が強かったらまた酔って何かやらかすかも知れない。一粒を半分にすれば大丈夫じゃないか?と言ってみる。2人は微妙な空気で顔を見合わせた後、やめておけと言った。
ウィーヌムベリーの紫の粒は1つしかないのでちゃんと自分で味見したいし、4分の1にして‥‥うーん‥
ドンドンドンドンッ!!
突然ドアが激しく叩かれて驚き、2人を見るとティスさんがジト目になっていた。ストゥさんもあちゃー、って顔してる。居留守を使おうとしたけどあまりにうるさくて隣の部屋の人からコイツを回収しろと苦情が来た。
仕方なく部屋の扉を開けるとまた大声を出す。
「あーーーー!その坊主が弱いから酒臭いやつは側に来るなって言ったくせに!」
ズカズカと踏み込んでソファに勝手に座る。二人分しかない1人掛けのソファだ。椅子が足りないと思ってたらストゥさんが部屋の隅から2人掛けのソファを出して来た。さっきまでベッドに座っていた俺がそのソファに座るとティスさんが隣に座るとアラケルさんの表情が険しくなった。
「何しに来たんですか?」
冷たくてもティスさんからの言葉であれば嬉しいらしく、でれっとにやける。
「客人を歓迎したくて土産を持って来たんだよ。」
そう言って女の子が喜びそうな淡いきれいな色の磨りガラスの様な砂糖菓子をくれた。
一応お礼を言って受け取る。
と、勝手にウィーヌムベリーに手を伸ばし、あろうことか紫の実を食べようとする。
「だ、ダメです!!それは俺が食べるんです!」
慌てて立ち上がり、小さなテーブルを挟んで向かいに座るアラケルの今にも紫の実を口に放り込みそうなその手を掴んで引っ張る。
「何だよ、本当にガキだな。」
と言って呆れ顔で俺の口に紫の実を放り込んだ。
思わず噛むと中から溢れる果汁はワインにしてはかなり強く、喉が焼ける様に熱い。俺はあわてて虹ブドウの紫の実を食べる。心配して慌てる2人に眉をひそめるアラケル。
ティスさんが持って来てくれた水を飲んで漸く落ち着いた。
「‥‥食い意地が張ってるんじゃないのか?」
解決しない疑問に答えを求める。ウィーヌムベリーと虹ブドウの見た目は同じだもんね。赤い実を1つ取って薦める。受け取ったそれを口に入れたアラケルが驚いている。ストゥさんが説明してくれているのを聞いているうちに体が重くなって来た。
2人掛けなのを良い事にティスさんに寄りかかると頭をなでてくれた。胸に頬ずりしたらそのままずるずると滑って膝枕になる。更に優しく撫でてくれる。あー‥‥気持ち良い‥‥
「あっっ!てめぇ、何してやがる!!」
慌てた声を出すアラケルにティスさんからぺいっと引き剥がされる。ジャマにされた俺はふらふらとストゥさんの膝に横向きに座る。酔ってんな?と聞かれ、ふふっと笑って首に手を回し頬ずりする。ため息をつきながら頭を撫でてくれる。きもちいーなー‥‥
「なぁ、俺に何が足りないのか言ってくれ!いくらでも努力するから!!」
「‥‥以前にも言ったはずですが覚えてないのですか?」
何なんだろう??ぼーっとしながら聞き耳を立てる。
「背が高くて筋肉質で胸板が厚い。」
それは褒め言葉じゃないの?
「そして‥‥胸毛が生えている!」
女子か。
クラスの女子も胸毛嫌がってたなぁ‥‥
俺はあってもなくても良いと思うんだけど。
「そんなに胸毛濃いのー?」
ストゥさんの膝から降りて落ち込むアラケルの顔を覗き込む。元々緩められていたシャツのボタンを2つ勝手に外して胸を肌ける。
薄っすらしか生えてないよ?
「ティスさん、これしか生えてないよー。これでもダメなの?」
「‥‥以前ならばともかく、タケルの肌を見てしまった今!タケル以外ではダメなんです!!」
そんな事言うからアラケルがギラギラになって俺を見てるよー。
「見せろ‥‥」
って黒い瘴気が立ち昇る幻が見える。
服を破きそうな勢いのアラケルから俺を抱き込むように引き離すティスさん。頭の上で睨み合っている‥‥何かデジャブ‥‥
俺の肌、見たいの?
4
「連れて行きたい日本へ」で
ストゥとタケルがラブホに行った時のいちゃいちゃが読めます。
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