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行ってみたいな異世界へ
3 だるまさん
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ノックの音で目が覚める。
お昼なのでミーティスさんが呼びに来てくれたようだ。
まだ少しお互いに気まずい。
「ミーティスさん、ストゥディウムさん、さっきはすみませんでした」
むやみに抱きついてしまった事を改めて謝ると、苦笑いで返された。
「俺の事はストゥで良いぞ」
「私の事はティスで。こちらこそ暴走してしまって申し訳ありません。ただ、私達の反応は間違いなく一般的な物です。ですからあまり気安く密着したりするのは気をつけて下さいね」
良かった、落ち着いてる。
笑顔で頷くとその笑顔も……、とかごにょごにょ言ってるけど笑顔を封印したらストレスでおかしくなりそうなので聞かなかった事にする。多少は異世界補正があるのかな。
お昼を食べ終えたら午後は俺の持ち物を見せて欲しいと言われた。人だけでなく、物だけでこちらに届く事もあるが、多くはゴミで使える物は貴重らしい。
部屋から荷物を持ってまだ入った事のない部屋に案内される。研究室だ。
最初に頭を撫でたがった人がいた。
名前は確か……。
「アールデンスさん」
「名前を覚えてくれたんですね! ありがとうございます! 嬉しいです!!」
頬を染めて俺の手を両手で包み込むように持ち、目を潤ませて大きな声で言う。この人は初めからこうだなぁ。
「いつもそう言う感じなんですか?」
苦笑いしながら聞いてしまう。
「……………………」
聞いてないし。
手を握ったまま熱い眼差しで見つめ続ける。居た堪れなくなって来て、ティスさんに視線で助けを求める。
「アールデンスはだいたいいつもそんな感じです。仕事をして下さい。」
そう言いながら引き離してくれた。
荷物をリュックから出してテーブルに並べる。
テントと寝袋とフローティングマット、ペットボトルと缶詰めとシリアルバーと甘味、着替えと軍手とアルミ毛布、救急セットと笛とソーラーライト、簡易コンロと手まわし充電器とスマホ、と何となく関連してそうな物を分けて並べる。
テントは広げた方が良いのかな?
「これ、会った時に大事そうに抱えてたヤツだよな」
ストゥさんがフローティングマットを指差した。大事に、と言うかロール状にしてリュックの上に括り付けて運ぶのが通常なんだけど、その余裕が無くて抱えてただけ。縋る物が欲しかったし。
アールデンスさんが何故か着替えに興味を示している。
広げて良いか聞かれて頷くと……、下着に注目された。ヤメて!!
こちらの下着はトランクスタイプらしく、ボクサーパンツは小さくて違和感があるようだ。ニット生地はないのかな?伸縮性がある事を手で引っ張って説明したけど履いた所を見たいと言われて引いた。この部屋でパンツ見せるために脱ぐのは羞恥プレイ以外のなにものでもないので断固拒否。
前に来た人は15年くらい前の人でガラケーだったらしく、スマホも初めて見たようだ。圏外で通信が必要な物は使えないが、ゲームを見せたら驚かれた。写真を撮って見せたらガラケーでもできた事だけど、実際に見たのが初めてだったようで喜ばれた。あと友達とプールに行った時の写真を見せたら食いつきが凄かった。神々の楽園……、とか誰かが呟いたけど誰の言葉かは分からなかったし、どうでも良かった。
他の物も質問されて分かる範囲で答えていたら夕飯の時間になった。
就業時間過ぎちゃったんじゃない? 住み込みだから割といいかげんらしい。
「住み込みで研究なんて大変ですね。」
と言うと、全員志願して来ているとの事。
理由は客人にいち早く会える可能性があるからだ。
そこで新たな情報が! この世界の髪や瞳の色は実はファンタジー世界らしく金髪はもちろん、青髪も緑髪もピンク髪も存在する。黒に近い色の方が少ないらしい。でも日本から来る客人は日本人に近い外見でないと不安がるし、70~80年前の人なんて金髪碧眼の人に襲いかかって大変だったからこの施設で働けるのは日本人ぽい外見の選ばれし人になる。うん、70~80年前は世界大戦中だからね。討ちてし止まん、だね。この世界の人は関係ないのに申し訳ないです。
で、客人に早く会いたい理由は小柄で若々しく肌が美しい客人はこちらの世界の人たちの憧れで超絶レアだから。いちいち肌がきれいって褒め言葉に入ってくるのが気になるけど、気にし過ぎかな?それとも肌フェチ??? 聞くのが恐い。
そんな訳でいち早く会って少しでも仲良くなりたいんだそうだ。
食堂につくと他の人たちは食べ終わっていて、ゆったり飲み物を飲んでいた。
バイキング形式で好きな料理を自分で盛りつけるが、見た目がおかしな料理はなく、材料は分からないがだいたい和食だった。今度はちゃんと味噌汁があった! 漬け物もある!!
醤油や味噌は過去に来た客人が伝えたようだ。残念ながら鰹節は作り方が伝わってないので、煮干しか昆布の出汁になるが。
客人が滞在する間は基本、和食になるがここを出ると和食以外が多くなるそうなので感謝しつつしっかり味わっておこう。
魚の煮付けの煮汁にアルコールが少し残っていたのと漬け物が奈良漬けだっただけで少し頬が熱くなってしまった。父親譲りの下戸だったようだ。
明日は王都へ向けて出発だから、もう一度温泉に入っておこうと着がえを準備してから今朝の2人の反応を思い出して戸惑う。どうしよう。……ま、大丈夫かな?
まだ少しアルコールでふわふわしているので水を飲んでおく。たしか、アルコールは水で薄めるのが一番だったはず!(母情報)
温泉には誰もいなかった。
貸切だー! とうきうきしながら服を脱いでいたら他の人達も入って来た。少し残念……、と思う間も無く、飛びつくようにアールデンスさんが近づいて来た。
「これがあの下履きですね!!」
ガシッと腰を掴まれてビビる。
勝手に撫でるな! 揉むな! 引っ張るな!!
動揺して固まる俺に好き放題する。
「っちょっ、やめっ「なんのつもりだ?」」
割って入ってアールデンスさんを止めてくれた人は……。
「あ、えっと……、ウェントゥスさん、ありがとうございます。」
ホッとして笑顔でお礼を言う。
冒険者で臨時職員のこの人は角刈りでストゥさん程ではないがかなり筋肉質で背も高い。
この時期、この森でしか採れない素材を採集してこの研究所に納品しているんだって。
「研究です! いたたたたっ!!」
堂々と自分の行動の正当性を主張するアールデンスさんは腕を後ろ手にひねり上げられる。
「尻を撫で回して客人の機嫌を損ねる事が国益に繋がるとでも?」
「ち、違います! タケル様の下履きがとても伸縮性があり肌触りも良い生地なので、これが作り出せれば特産品として交易できると~!!」
触り方が微妙だったから疑わしいけど、言ってる事はまるっきりでまかせではないかも知れない。
後で予備のをあげても良いけど、個人に渡すべきか公に渡すべきか悩むな。後でミーティスさん達に聞いてみよう。
もう失礼な事すんなよ、と釘を刺してアールデンスさんを解放するウェントゥスさん。心配そうに見ていた他の人達の雰囲気も緩む。
なんだか脱ぎ辛らくなってしまった。
パンツ盗まれないよね?
もたもたしてたらみんながお先に! って言ってアールデンスさんを連行するように入って行った。気を使ってくれたのかな?
うん、入ろう。
意を決して浴室に入ると、アールデンスさんが目隠しされていた。
「タケル様! これ取ってくれるように言ってもらえませんか? 勝手に触らないと誓いますから!」
ウェントゥスさんとカルブンさんとグラーナさんが良い笑顔でサムズアップしている。
「もう少しそのままでいて下さい。」
そう言いながら掛け湯をして湯舟に浸かる。
アールデンスさんがうるさいと言って誰かが声を封じる遮音結界を発動。
静かになった。
そう言えば……。
「ミーティスさん達と話をしていて気になったのですが、こちらでは肌がキレイな事は特別視される事なんですか?」
「「「っ…………!!」」」
3人の目が泳ぐ。聞いたらマズい事だったのかな?
「そ、その…………、我々の多くは3歳の誕生日に母の元を離れ「少年の家」で集団で育てられます。そこで読み書きと集団生活を学び、10歳になると学校へ入ります。15歳で卒業して1年の職業訓練をし、成人を迎えて独り立ちします。」
「3歳までの記憶ははっきりしませんが、しっとり柔らかな肌の感触への憧れがずっと心に残っています。その為か肌の柔らかさや美しさはこの国のほとんどの人間の美の基準となっています」
「そして日本の方々は大抵、我々より皮膚が薄く、大人と子供くらい柔らかさが違うと言われています。だから……、だから!! あの、手を触らせて下さい!!」
最後の方は懇願になっていた。
そっか、言いづらそうだったのはアールデンスさんに触るなと言っておいて自分たちも触ってみたかったからか。でも手ぐらいならなんでもないし、俺も違いに興味ある。
「良いですよ。皆さんの手も触らせて下さいね。」
笑顔で両手を差し出すと目を輝かせて俺の手を取る。
うん、まず大きさが大人と子供。(涙)
で、確かにみんな掌の皮が厚くて……。俺の踵より堅いんじゃないだろうか。ひょいと片足を上げて足の裏でもこんなものですよーと見せたらすごく驚かれた。
面白い。でも触りまくられてくすぐったさを堪えきれずに身を捩ると更に驚かれた。こちらの世界の人は足の裏は擽ったい場所ではないらしい。
そんな感じで戯れていたら放置されたアールデンスさんが目隠しを外して羨ましそうに涙目で見ていたが、目をそらす。
と、ここでまた1人入って来た。見ると短いクルクルとした赤い巻き毛で太い眉、すっごいギョロ目で厳つい顔、もみあげから続く顔の下3分の1を覆うヒゲのおじさんだった。こんなインパクトのある人、居たっけ!? 全然日本人っぽくないよ。なんて言うか、達磨さんに似てる。願い事して目を書き込む方じゃなくて達磨大師の方。あ、元は同じか?
「料理長、珍しいねー」
グラーナさんが声をかける。料理長は夕飯の片付けと明日の仕込みをしてから入るからいつももっと遅いらしい。
「……客人に味の感想が聞きたくてな」
「あ! タケルです。食事とっても美味しいです。ありがとうございます!」
お昼なのでミーティスさんが呼びに来てくれたようだ。
まだ少しお互いに気まずい。
「ミーティスさん、ストゥディウムさん、さっきはすみませんでした」
むやみに抱きついてしまった事を改めて謝ると、苦笑いで返された。
「俺の事はストゥで良いぞ」
「私の事はティスで。こちらこそ暴走してしまって申し訳ありません。ただ、私達の反応は間違いなく一般的な物です。ですからあまり気安く密着したりするのは気をつけて下さいね」
良かった、落ち着いてる。
笑顔で頷くとその笑顔も……、とかごにょごにょ言ってるけど笑顔を封印したらストレスでおかしくなりそうなので聞かなかった事にする。多少は異世界補正があるのかな。
お昼を食べ終えたら午後は俺の持ち物を見せて欲しいと言われた。人だけでなく、物だけでこちらに届く事もあるが、多くはゴミで使える物は貴重らしい。
部屋から荷物を持ってまだ入った事のない部屋に案内される。研究室だ。
最初に頭を撫でたがった人がいた。
名前は確か……。
「アールデンスさん」
「名前を覚えてくれたんですね! ありがとうございます! 嬉しいです!!」
頬を染めて俺の手を両手で包み込むように持ち、目を潤ませて大きな声で言う。この人は初めからこうだなぁ。
「いつもそう言う感じなんですか?」
苦笑いしながら聞いてしまう。
「……………………」
聞いてないし。
手を握ったまま熱い眼差しで見つめ続ける。居た堪れなくなって来て、ティスさんに視線で助けを求める。
「アールデンスはだいたいいつもそんな感じです。仕事をして下さい。」
そう言いながら引き離してくれた。
荷物をリュックから出してテーブルに並べる。
テントと寝袋とフローティングマット、ペットボトルと缶詰めとシリアルバーと甘味、着替えと軍手とアルミ毛布、救急セットと笛とソーラーライト、簡易コンロと手まわし充電器とスマホ、と何となく関連してそうな物を分けて並べる。
テントは広げた方が良いのかな?
「これ、会った時に大事そうに抱えてたヤツだよな」
ストゥさんがフローティングマットを指差した。大事に、と言うかロール状にしてリュックの上に括り付けて運ぶのが通常なんだけど、その余裕が無くて抱えてただけ。縋る物が欲しかったし。
アールデンスさんが何故か着替えに興味を示している。
広げて良いか聞かれて頷くと……、下着に注目された。ヤメて!!
こちらの下着はトランクスタイプらしく、ボクサーパンツは小さくて違和感があるようだ。ニット生地はないのかな?伸縮性がある事を手で引っ張って説明したけど履いた所を見たいと言われて引いた。この部屋でパンツ見せるために脱ぐのは羞恥プレイ以外のなにものでもないので断固拒否。
前に来た人は15年くらい前の人でガラケーだったらしく、スマホも初めて見たようだ。圏外で通信が必要な物は使えないが、ゲームを見せたら驚かれた。写真を撮って見せたらガラケーでもできた事だけど、実際に見たのが初めてだったようで喜ばれた。あと友達とプールに行った時の写真を見せたら食いつきが凄かった。神々の楽園……、とか誰かが呟いたけど誰の言葉かは分からなかったし、どうでも良かった。
他の物も質問されて分かる範囲で答えていたら夕飯の時間になった。
就業時間過ぎちゃったんじゃない? 住み込みだから割といいかげんらしい。
「住み込みで研究なんて大変ですね。」
と言うと、全員志願して来ているとの事。
理由は客人にいち早く会える可能性があるからだ。
そこで新たな情報が! この世界の髪や瞳の色は実はファンタジー世界らしく金髪はもちろん、青髪も緑髪もピンク髪も存在する。黒に近い色の方が少ないらしい。でも日本から来る客人は日本人に近い外見でないと不安がるし、70~80年前の人なんて金髪碧眼の人に襲いかかって大変だったからこの施設で働けるのは日本人ぽい外見の選ばれし人になる。うん、70~80年前は世界大戦中だからね。討ちてし止まん、だね。この世界の人は関係ないのに申し訳ないです。
で、客人に早く会いたい理由は小柄で若々しく肌が美しい客人はこちらの世界の人たちの憧れで超絶レアだから。いちいち肌がきれいって褒め言葉に入ってくるのが気になるけど、気にし過ぎかな?それとも肌フェチ??? 聞くのが恐い。
そんな訳でいち早く会って少しでも仲良くなりたいんだそうだ。
食堂につくと他の人たちは食べ終わっていて、ゆったり飲み物を飲んでいた。
バイキング形式で好きな料理を自分で盛りつけるが、見た目がおかしな料理はなく、材料は分からないがだいたい和食だった。今度はちゃんと味噌汁があった! 漬け物もある!!
醤油や味噌は過去に来た客人が伝えたようだ。残念ながら鰹節は作り方が伝わってないので、煮干しか昆布の出汁になるが。
客人が滞在する間は基本、和食になるがここを出ると和食以外が多くなるそうなので感謝しつつしっかり味わっておこう。
魚の煮付けの煮汁にアルコールが少し残っていたのと漬け物が奈良漬けだっただけで少し頬が熱くなってしまった。父親譲りの下戸だったようだ。
明日は王都へ向けて出発だから、もう一度温泉に入っておこうと着がえを準備してから今朝の2人の反応を思い出して戸惑う。どうしよう。……ま、大丈夫かな?
まだ少しアルコールでふわふわしているので水を飲んでおく。たしか、アルコールは水で薄めるのが一番だったはず!(母情報)
温泉には誰もいなかった。
貸切だー! とうきうきしながら服を脱いでいたら他の人達も入って来た。少し残念……、と思う間も無く、飛びつくようにアールデンスさんが近づいて来た。
「これがあの下履きですね!!」
ガシッと腰を掴まれてビビる。
勝手に撫でるな! 揉むな! 引っ張るな!!
動揺して固まる俺に好き放題する。
「っちょっ、やめっ「なんのつもりだ?」」
割って入ってアールデンスさんを止めてくれた人は……。
「あ、えっと……、ウェントゥスさん、ありがとうございます。」
ホッとして笑顔でお礼を言う。
冒険者で臨時職員のこの人は角刈りでストゥさん程ではないがかなり筋肉質で背も高い。
この時期、この森でしか採れない素材を採集してこの研究所に納品しているんだって。
「研究です! いたたたたっ!!」
堂々と自分の行動の正当性を主張するアールデンスさんは腕を後ろ手にひねり上げられる。
「尻を撫で回して客人の機嫌を損ねる事が国益に繋がるとでも?」
「ち、違います! タケル様の下履きがとても伸縮性があり肌触りも良い生地なので、これが作り出せれば特産品として交易できると~!!」
触り方が微妙だったから疑わしいけど、言ってる事はまるっきりでまかせではないかも知れない。
後で予備のをあげても良いけど、個人に渡すべきか公に渡すべきか悩むな。後でミーティスさん達に聞いてみよう。
もう失礼な事すんなよ、と釘を刺してアールデンスさんを解放するウェントゥスさん。心配そうに見ていた他の人達の雰囲気も緩む。
なんだか脱ぎ辛らくなってしまった。
パンツ盗まれないよね?
もたもたしてたらみんながお先に! って言ってアールデンスさんを連行するように入って行った。気を使ってくれたのかな?
うん、入ろう。
意を決して浴室に入ると、アールデンスさんが目隠しされていた。
「タケル様! これ取ってくれるように言ってもらえませんか? 勝手に触らないと誓いますから!」
ウェントゥスさんとカルブンさんとグラーナさんが良い笑顔でサムズアップしている。
「もう少しそのままでいて下さい。」
そう言いながら掛け湯をして湯舟に浸かる。
アールデンスさんがうるさいと言って誰かが声を封じる遮音結界を発動。
静かになった。
そう言えば……。
「ミーティスさん達と話をしていて気になったのですが、こちらでは肌がキレイな事は特別視される事なんですか?」
「「「っ…………!!」」」
3人の目が泳ぐ。聞いたらマズい事だったのかな?
「そ、その…………、我々の多くは3歳の誕生日に母の元を離れ「少年の家」で集団で育てられます。そこで読み書きと集団生活を学び、10歳になると学校へ入ります。15歳で卒業して1年の職業訓練をし、成人を迎えて独り立ちします。」
「3歳までの記憶ははっきりしませんが、しっとり柔らかな肌の感触への憧れがずっと心に残っています。その為か肌の柔らかさや美しさはこの国のほとんどの人間の美の基準となっています」
「そして日本の方々は大抵、我々より皮膚が薄く、大人と子供くらい柔らかさが違うと言われています。だから……、だから!! あの、手を触らせて下さい!!」
最後の方は懇願になっていた。
そっか、言いづらそうだったのはアールデンスさんに触るなと言っておいて自分たちも触ってみたかったからか。でも手ぐらいならなんでもないし、俺も違いに興味ある。
「良いですよ。皆さんの手も触らせて下さいね。」
笑顔で両手を差し出すと目を輝かせて俺の手を取る。
うん、まず大きさが大人と子供。(涙)
で、確かにみんな掌の皮が厚くて……。俺の踵より堅いんじゃないだろうか。ひょいと片足を上げて足の裏でもこんなものですよーと見せたらすごく驚かれた。
面白い。でも触りまくられてくすぐったさを堪えきれずに身を捩ると更に驚かれた。こちらの世界の人は足の裏は擽ったい場所ではないらしい。
そんな感じで戯れていたら放置されたアールデンスさんが目隠しを外して羨ましそうに涙目で見ていたが、目をそらす。
と、ここでまた1人入って来た。見ると短いクルクルとした赤い巻き毛で太い眉、すっごいギョロ目で厳つい顔、もみあげから続く顔の下3分の1を覆うヒゲのおじさんだった。こんなインパクトのある人、居たっけ!? 全然日本人っぽくないよ。なんて言うか、達磨さんに似てる。願い事して目を書き込む方じゃなくて達磨大師の方。あ、元は同じか?
「料理長、珍しいねー」
グラーナさんが声をかける。料理長は夕飯の片付けと明日の仕込みをしてから入るからいつももっと遅いらしい。
「……客人に味の感想が聞きたくてな」
「あ! タケルです。食事とっても美味しいです。ありがとうございます!」
7
「連れて行きたい日本へ」で
ストゥとタケルがラブホに行った時のいちゃいちゃが読めます。
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