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空の上から
番外編「あいらとチビの子供達」
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チビがどんなタイミングで産むのか分からないけど、2ヶ月で3個、半年経った今11個目の卵が孵ろうとしている。
家には可愛い毛玉達が元気に飛び回っている。
「みんな、次の子が孵るよ!」
いつの頃からか孵る瞬間はみんなで輪になって出迎える。刷り込みは目ではなく魔力なのだけど、子供達は新しい子が誰に懐くかを楽しみにしている。
アイビーには 1 と 4 と 6 が、 1 には 2 と 3 が、 4 には 5 と 7 が、 5 には 8 と 9 が、 6 には 10 が懐いている。そして産まれた11番目の 11 は俺に懐いた。不思議だけどチビが甘えてた頃みたいで嬉しい。
そんな子供達を連れてティグリスへ行った日。
アイビーに懐いていたカトルがパスカリスと仲良くなった。何がきっかけか分からないけどピィピィ鳴いて離れようとしない。帰ろうとすると。パスカリスも目に涙をいっぱい溜めて離れたくない、と訴える。
先生と相談した結果、カトルはパスカリスと一緒にティグリスに住むことになった。パスカリスはとても羨ましがられ、意地悪される事もあったけどみんなと仲良く過ごしているようだ。
「寂しいね」
『ん……』
年長者らしく振舞っていたアイビーは 4 がパスカリスと仲良くなって離れてから幼児返りして甘えてくる。すると 1 と 6 も真似して甘え、 11 が割り込んで揉める。
寂しいけど取りっこされるのは幸せ。
「アイビー、私には甘えてくれないのですか?」
「ぴゅいぃ……!」
帰ってきたティスが代わってくれる。
ご飯作らなくちゃ!
ストゥも帰って来て他の子達と遊んでくれて一気に賑やかになった。
「まぁ、こいつらもいつか巣立つだろうし、チビはまた産むだろ。いくつ産むかな?」
ストゥが笑顔で励ましてくれる。
俺はチビとの別れがあったから少しは耐性があるけどアイビーには初めての別れだもんね。好きなだけ甘やかしてあげよう。
そしてまた卵が生まれたと知らせが来た。
「チビ、卵はどんな時に生まれるの?」
「楽しい時! 嬉しい時! びっくりした時!」
「びっくりした時にも産まれるの!?」
「ウーナはびっくりしたら産まれたの」
「今度の子は?」
「寝て起きたら産まれてたー」
何と言ったら良いのか。
しかも今回は2個。ペースアップの予感?
翌日、アイビーが成長した。
青緑色の小さなワイバーン姿になったアイビーは何か思うところがあるらしく、弟たちを構いながらも考え込んでいる。
……どうしたのかな?
『ママ、あのね。誰かが呼んでるからお出かけしてくる』
「うん、気をつけてね」
魔力の糸は生まれた時に繋いであるから何かあったら連絡も取れるし駆けつけられる。だから安心して送り出した。
アイビーが出かけてしまってウーナとセスも俺に甘えてる。気を紛らわせるためみんなで買い物にでも行こうか。
『まま、こっち行きたい』
「良いよー。何があるの?」
『誰かか呼んでるー』
ウーナの道案内について行くと、スキエンティア師の研究室だった。
『このひと!』
「ご無沙汰しています」
「なんじゃ、タケルと……ワイバーンの幼体だったか?」
「はい。この子がここに来たがったのですがお邪魔ではありませんか?」
「行き詰まっとったところじゃ。休憩にしよう」
「お茶淹れますね。みんな、気をつけてね」
『はーい』
研究道具が色々あるのでチビ達が飛び回っては覗き込んでるけど大丈夫かな? お茶を淹れてお茶菓子にクッキーを出すと子供達が群がった。
「こちらをどうぞ」
子供達にクッキーを食べ尽くされる事は分かっていたのでスキエンティア師には別に出した。
「ワイバーンの幼体は興味深いな」
「本来は魔力だけで幼成体まで成長して、それから食べ物を食べるらしいのですが、うちの子達は藍鸞が混じっていたり、人間と暮らしているせいで色々違うようです」
「ふむ。適応力が高いんじゃな」
『……これ、食べて?』
「ウーナ、どうしたの? 食べて良いよ?」
『あげたいの』
「ワシにか? ありがとうな」
もしかしてウーナ、スキエンティア師を気に入ったの? 渡したクッキーを食べてもらって嬉しそう。
『まま、ウーナはこのひとが好き』
「スキエンティア師と一緒にいたいの?」
『うん』
「スキエンティア師、この子があなたと共にいたいと言ってるんですが……」
「ほほぅ、ワシの所に来たらどうなるか解っておるのか?」
『なかよしになるー』
スキエンティア師が脅かすような言い方をしたけどウーナには通じなかった。
「仲良しになると言ってます」
「………………」
学者だから色々調べたいらしいけど、酷いことする人じゃないから選ばれたんだろう。
「引き受けてくださるなら契約をして下さい。言葉が分かるようになります」
「何!? そうか、ならば契約しよう!」
スキエンティア師とウーナの魔力を繋ぎ、あいらの加護を願うと2人を淡い光が包む。これで契約完了だ。パスカリスはまだ魔力を使えないので契約はできていない。
「それではウーナをよろしくお願いします」
「任せなさい」
『まま、みんな、またね』
「おお! 聞こえるぞ!! これが 1 の声か」
興奮しながらウーナに話しかけるスキエンティア師に暇を告げ、市場へ行った。
『まま、こっち』
「え!? ドゥオも?」
ドゥオの後をついて行くと、大豆農家のレフェクがいた。梅雨(?)に入る前にお兄さんと2人でお父さんの代わりに大豆を納品しに来たらしい。
『このひと!!』
「ドゥオはレフェクと仲良しになりたいの?」
「タケル…… これ、なに?」
あぁ、ワイバーンの幼体は見た事ないよね。
「ワイバーンの赤ちゃんで、チビの子供達なの」
「これ、全部?」
現在8個体。驚くよね。
「それでね、この子がレフェクと一緒にいたいんだって」
「なんでレフェク!? 俺じゃダメ?」
「兄貴?」
「この子が選んだのがレフェクだから。でも卵は次々生まれてるからお兄さんを選ぶ子が生まれてくるかも知れない」
「次々?」
「半年で13個」
「あのチビが……?」
「そう。驚いた拍子に生まれたり目が覚めたら生まれてたりするんだって」
「「……………………」」
2人とも微妙な顔になってる。……その気持ち、分かる。
「あ、レフェクはどう? ドゥオと契約して育ててくれる?」
「育てるって……」
「食べたがる物を食べさせて魔力を分けてあげれば良いんだけど」
「それくらいなら」
「ほんと!? ありがとう。じゃあ魔力を繋いで……」
スキエンティア師と同じように契約を結び、ドゥオをレフェクに預けた。お兄さんが他の子達にアピールしてるけど残念ながらみんな避けてる。(笑)
買い物をして帰るとストゥが先に帰っていた。
「おかえり」
「ただいま。あのね、アイビーは出かけるって。ウーナはスキエンティア師と契約したから預けて来たよ。ドゥオはレフェクと契約した」
「そうか。まだ幼体なのに巣立つのか」
「……うん、そうみたい」
寂しい、けどまた卵はどんどん生まれるだろうし、保育所としてはこれで良いんだよね。チビに連絡しなくちゃ。
そう思いながらもアイビーは戻って来るかも知れないと淡い期待をして連絡出来ずに2日が過ぎた。
『まま、アイビーはティオと契約したい』
「ティオ? ティオって西の町のサナティオ?」
『そう! チビの事大好きなんだって。会えないの寂しいって言うからアイビーが一緒にいてあげるの』
「分かった。直ぐそっちに行くね」
「すぐね! はやくね!!」
何でそんなに急ぐのかと思ったらティオがめちゃくちゃ泣いてる。その周りをアイビーが飛び回りながらオロオロしてた。
「ティオ、久しぶり」
「ぐすっ……ひっく! うぇ……ちび、また来るって……いっ……ひぐっ!」
「ごめんね。チビは好きな相手ができて遠くに行っちゃったの。結界があって出られないから子供達だけが戻って来てるんだ」
「こども……」
「このアイビーがティオと契約したいんだって。契約するとお話できるしずっと一緒にいられるよ?」
「お話! できるの!?」
ようやく自分を見てくれたティオの問いかけにこくこく頷くアイビー。アイビーは人間の言葉分かってるんだよね。だからアイビーを見てチビを思い出し、泣きだしたティオと話がしたいって思ったのか。
「契約したら魔力と食べ物を分けてあげてね。そしてたくさん可愛がってあげてくれる?」
「かわいがる! 大事にする!! アイビー? ぼくと契約してくれますか?」
「ピュピュイ~!」
2人の契約を完了させてから家の人に了承を得なかったことを思い出した。レフェクはもう直ぐ成人だし、お兄さんがいたから大丈夫だろうけど。
「アイビー? お話しして?」
『ティオ、チビいなくてさびしいね。アイビーがいいこいいこしてあげるからね』
「な、泣いたのは久しぶりだよ! そんなに泣かないから!」
『じゃぁスリスリする~』
いいこいいこは恥ずかしいらしい。
仲良くしている2人と一緒に家の人に挨拶した。家にいるのはお母さんだけだった。
「まぁ! 嬉しいわ。うちも寂しくなってしまって…… もうすぐまた賑やかになるけど」
「わぁ、赤ちゃんできたんですか?」
「私もいよいよおばあちゃんね」
未だにティオのお姉ちゃんで通る見た目でおばあちゃんか。なんだかすごい。
「赤ちゃんのお世話、ぼくとアイビーで手伝う!」
「まぁ嬉しい」
娘3人ともすでに妊娠して孫たち3人、同じくらいに生まれる予定らしい。赤ちゃん! 抱っこさせてもらいに来よう。
こうしてあいらとチビの子供達は順に契約者を見つけ、巣立って行く。うちにいるのが10体を超えると3~5体が巣立つ。その繰り返しで3年後にとうとう100体を超えた。
そしてあいらは少し小さくなった。
強すぎる力を子供達に託し、世界中に馴染ませて魔力の密度を均一化するとか何とか。
……自然な感じで上手く溶け合うのかな?
いつになればあいらの結界が効力をなくすのか、まだ不明だけど。
そう遠くない将来。
あいらとチビもこの世界に戻ってくるはずだ。この世界はとても幸せな世界だから2人の居場所もこっちであるべき!
なんて想いは神様に届くかな?
届くよね。
あの神様は絶対、ハッピーエンドが好きだもの。
~終わり~
家には可愛い毛玉達が元気に飛び回っている。
「みんな、次の子が孵るよ!」
いつの頃からか孵る瞬間はみんなで輪になって出迎える。刷り込みは目ではなく魔力なのだけど、子供達は新しい子が誰に懐くかを楽しみにしている。
アイビーには 1 と 4 と 6 が、 1 には 2 と 3 が、 4 には 5 と 7 が、 5 には 8 と 9 が、 6 には 10 が懐いている。そして産まれた11番目の 11 は俺に懐いた。不思議だけどチビが甘えてた頃みたいで嬉しい。
そんな子供達を連れてティグリスへ行った日。
アイビーに懐いていたカトルがパスカリスと仲良くなった。何がきっかけか分からないけどピィピィ鳴いて離れようとしない。帰ろうとすると。パスカリスも目に涙をいっぱい溜めて離れたくない、と訴える。
先生と相談した結果、カトルはパスカリスと一緒にティグリスに住むことになった。パスカリスはとても羨ましがられ、意地悪される事もあったけどみんなと仲良く過ごしているようだ。
「寂しいね」
『ん……』
年長者らしく振舞っていたアイビーは 4 がパスカリスと仲良くなって離れてから幼児返りして甘えてくる。すると 1 と 6 も真似して甘え、 11 が割り込んで揉める。
寂しいけど取りっこされるのは幸せ。
「アイビー、私には甘えてくれないのですか?」
「ぴゅいぃ……!」
帰ってきたティスが代わってくれる。
ご飯作らなくちゃ!
ストゥも帰って来て他の子達と遊んでくれて一気に賑やかになった。
「まぁ、こいつらもいつか巣立つだろうし、チビはまた産むだろ。いくつ産むかな?」
ストゥが笑顔で励ましてくれる。
俺はチビとの別れがあったから少しは耐性があるけどアイビーには初めての別れだもんね。好きなだけ甘やかしてあげよう。
そしてまた卵が生まれたと知らせが来た。
「チビ、卵はどんな時に生まれるの?」
「楽しい時! 嬉しい時! びっくりした時!」
「びっくりした時にも産まれるの!?」
「ウーナはびっくりしたら産まれたの」
「今度の子は?」
「寝て起きたら産まれてたー」
何と言ったら良いのか。
しかも今回は2個。ペースアップの予感?
翌日、アイビーが成長した。
青緑色の小さなワイバーン姿になったアイビーは何か思うところがあるらしく、弟たちを構いながらも考え込んでいる。
……どうしたのかな?
『ママ、あのね。誰かが呼んでるからお出かけしてくる』
「うん、気をつけてね」
魔力の糸は生まれた時に繋いであるから何かあったら連絡も取れるし駆けつけられる。だから安心して送り出した。
アイビーが出かけてしまってウーナとセスも俺に甘えてる。気を紛らわせるためみんなで買い物にでも行こうか。
『まま、こっち行きたい』
「良いよー。何があるの?」
『誰かか呼んでるー』
ウーナの道案内について行くと、スキエンティア師の研究室だった。
『このひと!』
「ご無沙汰しています」
「なんじゃ、タケルと……ワイバーンの幼体だったか?」
「はい。この子がここに来たがったのですがお邪魔ではありませんか?」
「行き詰まっとったところじゃ。休憩にしよう」
「お茶淹れますね。みんな、気をつけてね」
『はーい』
研究道具が色々あるのでチビ達が飛び回っては覗き込んでるけど大丈夫かな? お茶を淹れてお茶菓子にクッキーを出すと子供達が群がった。
「こちらをどうぞ」
子供達にクッキーを食べ尽くされる事は分かっていたのでスキエンティア師には別に出した。
「ワイバーンの幼体は興味深いな」
「本来は魔力だけで幼成体まで成長して、それから食べ物を食べるらしいのですが、うちの子達は藍鸞が混じっていたり、人間と暮らしているせいで色々違うようです」
「ふむ。適応力が高いんじゃな」
『……これ、食べて?』
「ウーナ、どうしたの? 食べて良いよ?」
『あげたいの』
「ワシにか? ありがとうな」
もしかしてウーナ、スキエンティア師を気に入ったの? 渡したクッキーを食べてもらって嬉しそう。
『まま、ウーナはこのひとが好き』
「スキエンティア師と一緒にいたいの?」
『うん』
「スキエンティア師、この子があなたと共にいたいと言ってるんですが……」
「ほほぅ、ワシの所に来たらどうなるか解っておるのか?」
『なかよしになるー』
スキエンティア師が脅かすような言い方をしたけどウーナには通じなかった。
「仲良しになると言ってます」
「………………」
学者だから色々調べたいらしいけど、酷いことする人じゃないから選ばれたんだろう。
「引き受けてくださるなら契約をして下さい。言葉が分かるようになります」
「何!? そうか、ならば契約しよう!」
スキエンティア師とウーナの魔力を繋ぎ、あいらの加護を願うと2人を淡い光が包む。これで契約完了だ。パスカリスはまだ魔力を使えないので契約はできていない。
「それではウーナをよろしくお願いします」
「任せなさい」
『まま、みんな、またね』
「おお! 聞こえるぞ!! これが 1 の声か」
興奮しながらウーナに話しかけるスキエンティア師に暇を告げ、市場へ行った。
『まま、こっち』
「え!? ドゥオも?」
ドゥオの後をついて行くと、大豆農家のレフェクがいた。梅雨(?)に入る前にお兄さんと2人でお父さんの代わりに大豆を納品しに来たらしい。
『このひと!!』
「ドゥオはレフェクと仲良しになりたいの?」
「タケル…… これ、なに?」
あぁ、ワイバーンの幼体は見た事ないよね。
「ワイバーンの赤ちゃんで、チビの子供達なの」
「これ、全部?」
現在8個体。驚くよね。
「それでね、この子がレフェクと一緒にいたいんだって」
「なんでレフェク!? 俺じゃダメ?」
「兄貴?」
「この子が選んだのがレフェクだから。でも卵は次々生まれてるからお兄さんを選ぶ子が生まれてくるかも知れない」
「次々?」
「半年で13個」
「あのチビが……?」
「そう。驚いた拍子に生まれたり目が覚めたら生まれてたりするんだって」
「「……………………」」
2人とも微妙な顔になってる。……その気持ち、分かる。
「あ、レフェクはどう? ドゥオと契約して育ててくれる?」
「育てるって……」
「食べたがる物を食べさせて魔力を分けてあげれば良いんだけど」
「それくらいなら」
「ほんと!? ありがとう。じゃあ魔力を繋いで……」
スキエンティア師と同じように契約を結び、ドゥオをレフェクに預けた。お兄さんが他の子達にアピールしてるけど残念ながらみんな避けてる。(笑)
買い物をして帰るとストゥが先に帰っていた。
「おかえり」
「ただいま。あのね、アイビーは出かけるって。ウーナはスキエンティア師と契約したから預けて来たよ。ドゥオはレフェクと契約した」
「そうか。まだ幼体なのに巣立つのか」
「……うん、そうみたい」
寂しい、けどまた卵はどんどん生まれるだろうし、保育所としてはこれで良いんだよね。チビに連絡しなくちゃ。
そう思いながらもアイビーは戻って来るかも知れないと淡い期待をして連絡出来ずに2日が過ぎた。
『まま、アイビーはティオと契約したい』
「ティオ? ティオって西の町のサナティオ?」
『そう! チビの事大好きなんだって。会えないの寂しいって言うからアイビーが一緒にいてあげるの』
「分かった。直ぐそっちに行くね」
「すぐね! はやくね!!」
何でそんなに急ぐのかと思ったらティオがめちゃくちゃ泣いてる。その周りをアイビーが飛び回りながらオロオロしてた。
「ティオ、久しぶり」
「ぐすっ……ひっく! うぇ……ちび、また来るって……いっ……ひぐっ!」
「ごめんね。チビは好きな相手ができて遠くに行っちゃったの。結界があって出られないから子供達だけが戻って来てるんだ」
「こども……」
「このアイビーがティオと契約したいんだって。契約するとお話できるしずっと一緒にいられるよ?」
「お話! できるの!?」
ようやく自分を見てくれたティオの問いかけにこくこく頷くアイビー。アイビーは人間の言葉分かってるんだよね。だからアイビーを見てチビを思い出し、泣きだしたティオと話がしたいって思ったのか。
「契約したら魔力と食べ物を分けてあげてね。そしてたくさん可愛がってあげてくれる?」
「かわいがる! 大事にする!! アイビー? ぼくと契約してくれますか?」
「ピュピュイ~!」
2人の契約を完了させてから家の人に了承を得なかったことを思い出した。レフェクはもう直ぐ成人だし、お兄さんがいたから大丈夫だろうけど。
「アイビー? お話しして?」
『ティオ、チビいなくてさびしいね。アイビーがいいこいいこしてあげるからね』
「な、泣いたのは久しぶりだよ! そんなに泣かないから!」
『じゃぁスリスリする~』
いいこいいこは恥ずかしいらしい。
仲良くしている2人と一緒に家の人に挨拶した。家にいるのはお母さんだけだった。
「まぁ! 嬉しいわ。うちも寂しくなってしまって…… もうすぐまた賑やかになるけど」
「わぁ、赤ちゃんできたんですか?」
「私もいよいよおばあちゃんね」
未だにティオのお姉ちゃんで通る見た目でおばあちゃんか。なんだかすごい。
「赤ちゃんのお世話、ぼくとアイビーで手伝う!」
「まぁ嬉しい」
娘3人ともすでに妊娠して孫たち3人、同じくらいに生まれる予定らしい。赤ちゃん! 抱っこさせてもらいに来よう。
こうしてあいらとチビの子供達は順に契約者を見つけ、巣立って行く。うちにいるのが10体を超えると3~5体が巣立つ。その繰り返しで3年後にとうとう100体を超えた。
そしてあいらは少し小さくなった。
強すぎる力を子供達に託し、世界中に馴染ませて魔力の密度を均一化するとか何とか。
……自然な感じで上手く溶け合うのかな?
いつになればあいらの結界が効力をなくすのか、まだ不明だけど。
そう遠くない将来。
あいらとチビもこの世界に戻ってくるはずだ。この世界はとても幸せな世界だから2人の居場所もこっちであるべき!
なんて想いは神様に届くかな?
届くよね。
あの神様は絶対、ハッピーエンドが好きだもの。
~終わり~
20
「連れて行きたい日本へ」で
ストゥとタケルがラブホに行った時のいちゃいちゃが読めます。
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※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
はじめまして❤️チビちゃんのイラストも可愛い❤️素敵な物語ありがとうございます❤️
カヨワイさつき様
感想ありがとうございます!
とても嬉しいです!!
完結できていない作品もいくつかありますが、ちゃんと最後まで書けるようにがんばりますので、これからもよろしくお願いいたします。
昨日こちらの作品を発見し、読破しました。
とても幸せになるお話でありがとうございました😊
ノア吉様
昨日の今日で!?
すごい!!
ありがとうございます。
楽しんでいただけてとても嬉しいです!
初めて書いた作品なので「好き」を詰め込みまくりました。
最近はすっかり遅筆になりましたが書き続けています。
また好みに合いそうな作品があったらぜひ、お読みください。
ありがとうございます!!
この作品…大好きで、すでに何回かリピートさせて頂いてます。
今回、たまたま別の方の感想が目に入ってしまいこの様に感想を書かせて頂きました。
私は、この様に無料で尚且つ作者様の善意で載せている作品に対して何故、上から目線で高圧的に意見を言うのか理解に苦しみます。
気に入らないならただそっと閉じて他の物を見れば良いのに…と
まぁ、何が言いたいかと言いますと…この作品を好きな方は沢山居てあまり気にせずまた書いて頂けると嬉しいです(^-^)
特にここの登場人物は、嫌な人も居ないし優しい世界で癒されます。
チビやパスカリス、ティオなど子供達も可愛くて(*^^*)
完結されてからお時間が経ってますが、続編など書かれる事は無いのでしょうか?
チビが降りて来た後の話などいつか読めたら良いなぁ〜と勝手に期待しております。
花梨様
優しい感想ありがとうございます!
とても嬉しいです。
先の感想は厳しいご意見でしたが自分の地雷じゃないと気がつけないので、タグを教えてもらったと受け止めています。しかもこの作品は初めて書いて、初めて転載したものなのでムーンライトよりタグが適当になってしまっていました。
以前、NL部分が生々しいと指摘されたこともありますがそれも我が道をゆく!とそのままにしています。他作品で「こんなものしか書けないのか」と言われた時もTwitterで厳しいことを言われて悲しんでいる書き手様を慰めるのに使える!と美味しくいただきました。(違)
ここしばらくスランプで書けませんでしたがどうにか秋のBL大賞に参加しようと頑張っています。
応援してくださり、満たされました!
これからも楽しく創作します!!