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怒れる水馬の宥め方
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大した魔力もなく魔術師にはなれないはずだった私が、まさかケルピーと恋仲になり、Sランク魔術師になってしまうなんて。
なんだか不思議です。
実家のささやかな領地には小さいけれど美しい湖があり、水の女神が祀られている。年に2回、領主一族の中で最も魔力量の多い者が水底の御神体に魔力を注ぐ。
昨年までは兄がやっていたが、今は私の役目となった。お役目は名誉だけれど、水底に潜るのは歳をとると厳しくなってくるので兄から感謝された。
兄嫁は不満そうだが。
ケルピーのお陰で片道丸1日かかる所を1刻で行けるし、魔力をたっぷり注げるおかげで湖も周りの森もたくさんの恵みを与えてくれる。いくら感謝してもし足りない。
『主人を愛おしむだけで感謝されるとはな』
「お願いを聞いてくれているじゃないですか」
『うむ。強請られるのは心地よい』
「そっ! そのお願いではなくてですねっ!?」
私の魔力が増えた事は情交の結果で、意図したものではなく。私を乗せて運ぶのも水脈が繋がっていれば一瞬で移動できるし、そうでない所だけ走れば済む。だからなんの負担もないらしい。
********************
「コナンさん! ぼくに魔力を分けて下さい!!」
「は……?」
「いとこのグリュックです! 魔力を下さい!」
はい、母方のいとこのグリュックなのは分かります。大きくなっていますが顔立ちは叔父によく似ていますから。
「元気そうですから魔力譲渡の必要はないでしょう?」
「減った分を補充したいのではなく、増やしたいのです!!」
つまり、抱いてくれ、と?
『許さぬ』
「ケルピー! こ、子供の言う事ですから!!」
『コナンは我のものだ。その肌に触れる事は何人たりとも許さぬ』
「うっ、わっ……っ!!」
祭礼が終わり、休憩している所に爆弾を投げ込む1番下のいとこ。ケルピーの魔力が荒れ狂い、空中に水の珠が次々と出現しては床に落ちる。一瞬で家の中がびしょ濡れに……!
そしてグリュックの顔を包むように大きな水の珠が。
「がぼごぼごぼっ!」
「ばっ、ばかものーーー!!」
親族用の客間に末の息子がいない事に気がついた叔父が、何をやらかすか察して飛んできたようだ。
「ケルピー、グリュックが死んでしまいます! 止め……、止めて下さい!!」
『だが』
「お願いです……」
なんとか願いを聞き入れてもらえて、溢れる水は収まった。使用人達が大慌てで家の掃除を始める。グリュックは咽せている。
「この度はバカ息子がとんだ失礼をいたしまして、面目次第もございません。この大馬鹿者がどうなろうと構いませんが、罰は本人と親である私のみでご容赦いただけないでしょうか」
謝罪の言葉が立て板に水。
余程やらかしているのだろう。
酷い目に合わないうちに止めてやるべきだろうに。
「叔父上、グリュックはいつもこのような事を?」
「は……、はい。お恥ずかしい限りです」
「げほっ! げほっ! だ、だって!」
地味な仕事は嫌、怖い仕事も嫌、楽をして稼ぎたい、なんて。成人しているとは思えません。性的な事に興味がある年頃なのは仕方ないにしても。
「……ご存知でしょうがケルピーは高位の水属性魔獣です。彼の機嫌を損ねる事は水の女神を祀るこの領地にとって良い事だと思いますか?」
「「グリュックはちゃんと教育する! だから頼む!! ケルピーを宥めてくれ!」」
叔父を追いかけてきた父と兄が声を揃える。言われなくても故郷を見捨てたりはしませんが、若者の教育は見直してもらわなくては。
父と兄と叔父に厳しく躾けてくれるよう言い置いて、私は湖のほとりの狩小屋へケルピーを誘った。
「メイル。グリュックを殺さずにいてくれてありがとう」
『我が主人の頼みだからな』
「……父からあなたを宥めるよう頼まれましたが、必要ですか?」
『必要はない。が、して欲しい』
以前はとても自己本位だったのに最近は甘えてくるようになったケルピー。甘えられると愛しさが増すのだと知りました。
簡素な作りの狩小屋は調理場と居間、寝室、シャワールームにトイレしかない。全体を包む結界を張っても魔力の消費はごく僅かだ。
「メイル、愛しています」
人型になっても背の高いケルピー。胸に顔を埋めて真名を呟くと、魔力の繋がりが強まるのを感じる。身を屈めて唇をついばみ、ニヤリと笑うケルピーに心を支配されてしまう。そ、その自信満々の悪そうな笑顔に私が弱いのを知っているからって! 私が主人だと言うくせに!!
……言いがかりを付ければくつくつと楽しそうに笑い、次は何をしてくれるのか、と問う。そうでした。宥める……喜ばせなくてはならないのでした。
ケルピーをベッドに寝かせ、服を脱いで覆い被さる。
「喜んでもらえるよう努力しますので、希望があれば言って下さい」
ゆっくりと口づけを交わし、胸に手を滑らせ、反応を探る。胸もちゃんと人型になっているので触っているうちに固くしこる。けれど大した反応はない。
「胸は感じませんか?」
『嫌な感じはしないが取り立てて良くもないな。お前はそこが好きだったな』
「あっ! 今日は私が奉仕するんです!」
『触れては駄目なのか』
「……喜ばせたいんです」
『ならば触れさせろ。そうだ、こちらに尻を向けて私のものに奉仕してくれ』
「それっ……!?」
知識はあるが実際にしたことはない。二つ巴と言う状態で、羞恥心的に難易度が高いからだ。けれど期待に満ちた眼差しで見つめられれば従わざるを得ない。
「こう……、ですか?」
ケルピーの厚い胸を跨ぐと目に前に来たケルピーのものが一気に固くなった。
ケルピーのものは大き過ぎて口では根元までは受け入れられない。
……胎内に受け入れるとあれほど気持ちが良いと言うのに。
『良い眺めだな。ここが震えているぞ』
「ゃあ……」
ケルピーの屹立を見て身体が反応すると、それを指摘される。ここ、と言いながらぬるぬるの指でつつくなんて、いけません!
だめ……、はしたない……!
『もう入れられたいのか?だがもう少し奉仕しろ』
「あ、はい。それ……、は、もちろん……」
するべき事を思い出し、先端を舐めながら空いた手で茎をしごき、袋を柔らかく愛撫する。懸命に奉仕をしているのに、ケルピーのいたずらな指が私の後孔に侵入を試みる。
入れられてしまえば奉仕どころではなくなる。躱さなければいけない。……だと言うのに身体は快楽を求め、動きを止める。
『お前が自ら腰を振るのを見るのは、良いな』
「ふっ、ふってません!」
『そうか。これはくねらせると言うのだったな』
自分では動きを止めているつもりなのに、刺激を求めて動いてしまう。ダメなのに……。
『ほら、こちらも自分で解せ。私の指を使ってな』
「自分で……?」
ケルピーの言葉の意味が理解できるまでほんの少し間が空いた。
『そちらへの奉仕は充分だから、我の手の上に腰を落とせ』
ケルピーの手の上に?
操られるように体の向きを変え、ケルピーの手を後孔に当てがってしゃがむと、太くて長くて、自前のローションをまとった指が期待していた場所を深く抉った。
「あぁぁぁぁっ!……あ、あ、あぁ……」
指を入れただけで力が抜けてしまい、動けなくなる。
『この程度で腰が砕けたか。ほら、もっと強い快楽が欲しくはないのか?』
「もっと、欲し……。でも……」
足に力を入れて動こうとしても、ケルピーが良いところをやわやわと押すから、動けない。
「そこ、ダメ」
『ここか?』
「くぅぅ……っ!」
『ふふふ……、無理なら此度の奉仕は終了だな。我の好きにさせてもらうぞ』
ひっくり返され、舐めまわされながら解されたようだけれど、記憶があやふやです。
目が覚めたら声が枯れていて、動けないので量産に成功したマンドラゴラの皮を使った疲労回復ポーションを飲ませてもらいました。
マンドラゴラを育てるのもポーションを作るのもスイ様なので、気安く下さるけれど高級品です。売り上げはスイ様の物ですが税金が課せられるので領地の財政が潤いました。
ミツアリの蜜は他の町と価格を揃えた上で、領民には割引券を配っているので結果的に安価になり、喜ばれている。
命を助けられ、主人と婚姻して領地を豊かにしていただき、ケルピーと引き合わせて下さったスイ様にはどれだけ感謝してもし足りない。
せめてもの恩返しに誠心誠意仕えよう。
……私がケルピーの子を産んで財を成した話は、いつか機会があれば。
─────────────────────────────
ケルピーが全然怒ってない件
なんだか不思議です。
実家のささやかな領地には小さいけれど美しい湖があり、水の女神が祀られている。年に2回、領主一族の中で最も魔力量の多い者が水底の御神体に魔力を注ぐ。
昨年までは兄がやっていたが、今は私の役目となった。お役目は名誉だけれど、水底に潜るのは歳をとると厳しくなってくるので兄から感謝された。
兄嫁は不満そうだが。
ケルピーのお陰で片道丸1日かかる所を1刻で行けるし、魔力をたっぷり注げるおかげで湖も周りの森もたくさんの恵みを与えてくれる。いくら感謝してもし足りない。
『主人を愛おしむだけで感謝されるとはな』
「お願いを聞いてくれているじゃないですか」
『うむ。強請られるのは心地よい』
「そっ! そのお願いではなくてですねっ!?」
私の魔力が増えた事は情交の結果で、意図したものではなく。私を乗せて運ぶのも水脈が繋がっていれば一瞬で移動できるし、そうでない所だけ走れば済む。だからなんの負担もないらしい。
********************
「コナンさん! ぼくに魔力を分けて下さい!!」
「は……?」
「いとこのグリュックです! 魔力を下さい!」
はい、母方のいとこのグリュックなのは分かります。大きくなっていますが顔立ちは叔父によく似ていますから。
「元気そうですから魔力譲渡の必要はないでしょう?」
「減った分を補充したいのではなく、増やしたいのです!!」
つまり、抱いてくれ、と?
『許さぬ』
「ケルピー! こ、子供の言う事ですから!!」
『コナンは我のものだ。その肌に触れる事は何人たりとも許さぬ』
「うっ、わっ……っ!!」
祭礼が終わり、休憩している所に爆弾を投げ込む1番下のいとこ。ケルピーの魔力が荒れ狂い、空中に水の珠が次々と出現しては床に落ちる。一瞬で家の中がびしょ濡れに……!
そしてグリュックの顔を包むように大きな水の珠が。
「がぼごぼごぼっ!」
「ばっ、ばかものーーー!!」
親族用の客間に末の息子がいない事に気がついた叔父が、何をやらかすか察して飛んできたようだ。
「ケルピー、グリュックが死んでしまいます! 止め……、止めて下さい!!」
『だが』
「お願いです……」
なんとか願いを聞き入れてもらえて、溢れる水は収まった。使用人達が大慌てで家の掃除を始める。グリュックは咽せている。
「この度はバカ息子がとんだ失礼をいたしまして、面目次第もございません。この大馬鹿者がどうなろうと構いませんが、罰は本人と親である私のみでご容赦いただけないでしょうか」
謝罪の言葉が立て板に水。
余程やらかしているのだろう。
酷い目に合わないうちに止めてやるべきだろうに。
「叔父上、グリュックはいつもこのような事を?」
「は……、はい。お恥ずかしい限りです」
「げほっ! げほっ! だ、だって!」
地味な仕事は嫌、怖い仕事も嫌、楽をして稼ぎたい、なんて。成人しているとは思えません。性的な事に興味がある年頃なのは仕方ないにしても。
「……ご存知でしょうがケルピーは高位の水属性魔獣です。彼の機嫌を損ねる事は水の女神を祀るこの領地にとって良い事だと思いますか?」
「「グリュックはちゃんと教育する! だから頼む!! ケルピーを宥めてくれ!」」
叔父を追いかけてきた父と兄が声を揃える。言われなくても故郷を見捨てたりはしませんが、若者の教育は見直してもらわなくては。
父と兄と叔父に厳しく躾けてくれるよう言い置いて、私は湖のほとりの狩小屋へケルピーを誘った。
「メイル。グリュックを殺さずにいてくれてありがとう」
『我が主人の頼みだからな』
「……父からあなたを宥めるよう頼まれましたが、必要ですか?」
『必要はない。が、して欲しい』
以前はとても自己本位だったのに最近は甘えてくるようになったケルピー。甘えられると愛しさが増すのだと知りました。
簡素な作りの狩小屋は調理場と居間、寝室、シャワールームにトイレしかない。全体を包む結界を張っても魔力の消費はごく僅かだ。
「メイル、愛しています」
人型になっても背の高いケルピー。胸に顔を埋めて真名を呟くと、魔力の繋がりが強まるのを感じる。身を屈めて唇をついばみ、ニヤリと笑うケルピーに心を支配されてしまう。そ、その自信満々の悪そうな笑顔に私が弱いのを知っているからって! 私が主人だと言うくせに!!
……言いがかりを付ければくつくつと楽しそうに笑い、次は何をしてくれるのか、と問う。そうでした。宥める……喜ばせなくてはならないのでした。
ケルピーをベッドに寝かせ、服を脱いで覆い被さる。
「喜んでもらえるよう努力しますので、希望があれば言って下さい」
ゆっくりと口づけを交わし、胸に手を滑らせ、反応を探る。胸もちゃんと人型になっているので触っているうちに固くしこる。けれど大した反応はない。
「胸は感じませんか?」
『嫌な感じはしないが取り立てて良くもないな。お前はそこが好きだったな』
「あっ! 今日は私が奉仕するんです!」
『触れては駄目なのか』
「……喜ばせたいんです」
『ならば触れさせろ。そうだ、こちらに尻を向けて私のものに奉仕してくれ』
「それっ……!?」
知識はあるが実際にしたことはない。二つ巴と言う状態で、羞恥心的に難易度が高いからだ。けれど期待に満ちた眼差しで見つめられれば従わざるを得ない。
「こう……、ですか?」
ケルピーの厚い胸を跨ぐと目に前に来たケルピーのものが一気に固くなった。
ケルピーのものは大き過ぎて口では根元までは受け入れられない。
……胎内に受け入れるとあれほど気持ちが良いと言うのに。
『良い眺めだな。ここが震えているぞ』
「ゃあ……」
ケルピーの屹立を見て身体が反応すると、それを指摘される。ここ、と言いながらぬるぬるの指でつつくなんて、いけません!
だめ……、はしたない……!
『もう入れられたいのか?だがもう少し奉仕しろ』
「あ、はい。それ……、は、もちろん……」
するべき事を思い出し、先端を舐めながら空いた手で茎をしごき、袋を柔らかく愛撫する。懸命に奉仕をしているのに、ケルピーのいたずらな指が私の後孔に侵入を試みる。
入れられてしまえば奉仕どころではなくなる。躱さなければいけない。……だと言うのに身体は快楽を求め、動きを止める。
『お前が自ら腰を振るのを見るのは、良いな』
「ふっ、ふってません!」
『そうか。これはくねらせると言うのだったな』
自分では動きを止めているつもりなのに、刺激を求めて動いてしまう。ダメなのに……。
『ほら、こちらも自分で解せ。私の指を使ってな』
「自分で……?」
ケルピーの言葉の意味が理解できるまでほんの少し間が空いた。
『そちらへの奉仕は充分だから、我の手の上に腰を落とせ』
ケルピーの手の上に?
操られるように体の向きを変え、ケルピーの手を後孔に当てがってしゃがむと、太くて長くて、自前のローションをまとった指が期待していた場所を深く抉った。
「あぁぁぁぁっ!……あ、あ、あぁ……」
指を入れただけで力が抜けてしまい、動けなくなる。
『この程度で腰が砕けたか。ほら、もっと強い快楽が欲しくはないのか?』
「もっと、欲し……。でも……」
足に力を入れて動こうとしても、ケルピーが良いところをやわやわと押すから、動けない。
「そこ、ダメ」
『ここか?』
「くぅぅ……っ!」
『ふふふ……、無理なら此度の奉仕は終了だな。我の好きにさせてもらうぞ』
ひっくり返され、舐めまわされながら解されたようだけれど、記憶があやふやです。
目が覚めたら声が枯れていて、動けないので量産に成功したマンドラゴラの皮を使った疲労回復ポーションを飲ませてもらいました。
マンドラゴラを育てるのもポーションを作るのもスイ様なので、気安く下さるけれど高級品です。売り上げはスイ様の物ですが税金が課せられるので領地の財政が潤いました。
ミツアリの蜜は他の町と価格を揃えた上で、領民には割引券を配っているので結果的に安価になり、喜ばれている。
命を助けられ、主人と婚姻して領地を豊かにしていただき、ケルピーと引き合わせて下さったスイ様にはどれだけ感謝してもし足りない。
せめてもの恩返しに誠心誠意仕えよう。
……私がケルピーの子を産んで財を成した話は、いつか機会があれば。
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ケルピーが全然怒ってない件
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