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第16話
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そう言えば男です、って部分がスルーされた気がするけど、タルト美味しい。
にこにこしながら食べてたらイラリオさんに温かい目で見られた。
デザートを食べ終わるとする事が無い。
食材は普段通り定期的に届く契約だし、様々な支給品も同じ。
なのでただ品揃えを見て歩くだけ。
他の服屋さん、靴屋さん、八百屋さん、肉屋さん、魚屋さん、雑貨屋さん、アクセサリー屋さん、武器屋さん。
…武器屋さん!!
異世界だ!
隣に防具屋もある。人間相手に戦う訳じゃないからフルプレートメイルは非売品だった。
軽装鎧がメインだな。
武器は普通に片手剣、両手剣、斧、弓、短剣、槍。
「砦の中で剣を持っている人、見た事ないよ?」
ふと疑問に思って聞いて見た。
「砦に入る時に保管部屋に置くんだよ。手入れもそこでする。でないと喧嘩になった時困るでしょ?」
そっか、あれば使いたくなるのか。
「訓練とかしてるの?」
「もちろん。」
「わぁ!今度見に行っていい?」
「隊長の許可が必要だけど、まぁ、許可するだろうね。」
クスクス笑いながら言う。なんでだろう?
「よう、イラリオ!またナンパしたのか?」
「よしてくれ。本気なんだ。」
「は?可愛い子にはお前の毒牙にかからんように事実を教えてやらにゃぁいかんだろう。」
「じ、事実って…」
武器屋の奥から出て来た人の言葉に歯切れの悪いイラリオさん。チャラそうだと思ったけど本当にチャラいのか。裏切らない人だな。
「イラリオさんはナンパした相手を武器屋さんに連れて来るんですか?」
女の子を連れて来る場所としては向いてないと思うんだけど。
「いや、ここに来なくたって噂になるからな。」
「そんなに成功率が高いって事ですか。羨ましいですね。」
「男も女もひょいひょいひっかけて「嫌われたらどうしてくれる!?」
慌てて店主さんの言葉を遮るイラリオさんがちょっと可愛い。
「それくらいで嫌いになんてなりませんよ。」
「嬢ちゃん、ダメだ!こんなやつ止めとけって!」
ここで男だと言うべきかお茶を濁すべきか…
愛想笑いにしておこう。
「「!!」」
「嫁に来てくれ!」
ぶぅっ!
突然何を言い出すのか。
「あんた最愛の妻はどうしたんだよ!?」
「恋人作って逃げた女房をいつまでも思ってたって仕方ないだろ!」
「死別したんじゃなかったのか!?」
「うるせぇ!語るべきでない真実ってのもあるんだよ!!」
沈黙は金てやつデスネ。
「嬢ちゃん、どうだ?成人したらおっちゃんのお嫁さんになってくれないか?」
「…成人は…してます…」
断ったら傷付けちゃうのかな?いや、このノリは冗談とかお愛想とかかな?うーん…
あれ?男だって言えば良くね?
「絶対ダメ!この子はウチの砦の癒しの魔獣なんだから!」
待って!そこは妖精とか天使とか!!…あぁぁぁぁ、それはおれに合わなかったわ。
だいたい魔獣は敵意があるんでしょう!?そんなの無いよ!
「なんで魔獣なんですか…?」
「無自覚にみんなを魅了してるから。」
みんなって、3人だけだよ。モテ期としてはじゅうぶんだけどさ。
「ちょっと待て!こんな可愛い子が砦にいるのか!?あんな男だらけの所に?」
「す、すみません…おれ、男なんです…」
趣味でもないこんなカッコで言うのはめっちゃ恥ずかしいな。
「男!?…いやいやいや、それでもそんなに可愛かったらダメだろう!」
「隊長が囲いたがってるからいい加減な気持じゃ近寄れないよ。」
「あの隊長がか?」
普段のガウルさんとは違うのかな?
「ガウルさん結構ヤキモチ焼きですよ?」
「それはヨシキだけだよ。今まではお気に入りの男娼くらいはいたけど、この中ならコイツ、って程度で全然執着しなかったからね。」
「マジなのか…」
「だからヨシキに手を出したら公私混同されて仕事がなくなるよ?」
「うぐぐ…」
それは絶対良くない。
「もうそろそろガラの店に寄って宿に帰ろうか?」
「うん。ちゃんと宣伝効果はあったかな?」
「ガラの店の宣伝?」
「この服を着て町を歩けば宣伝になるから僕の服をタダにしてくれるって約束なんです。」
「良いなそれ!ウチも…」
「武器は持った事が無いので…」
店主が驚いて試しに片手剣を持ってみろ、って渡されたけど切っ先がぐらぐらする。短剣は持てるけど1番軽い弓でも弦が引けない。どうにか弦を引こうと頑張ったら滑って指が切れた。
「大丈夫か!?」
「商品を汚しちゃってごめんなさい!」
「それより血が!」
ちょっとした擦り傷なのに大げさに驚かれて指を含まれた。
「…っ! あ…、あの…もう…」
舐め方がいやらしいんですけど!?
そんな変な舐め方されたら気持良くなっちゃうから止めて。
「うん。薬塗ろうね?」
「あの薬滲みるから…これくらい放っといても大丈夫だよ?」
「じゃぁもっと舐めちゃおうかな?」
「やぁ!」
ふんわりスカートのおかげで目立たないけど、既に少し大きくなっちゃってるから勘弁して下さい。
「目の毒だ!どっか他所でやれーーーーーーーーーーー!」
武器屋さんの叫びが夕暮れの町に溶けた。
にこにこしながら食べてたらイラリオさんに温かい目で見られた。
デザートを食べ終わるとする事が無い。
食材は普段通り定期的に届く契約だし、様々な支給品も同じ。
なのでただ品揃えを見て歩くだけ。
他の服屋さん、靴屋さん、八百屋さん、肉屋さん、魚屋さん、雑貨屋さん、アクセサリー屋さん、武器屋さん。
…武器屋さん!!
異世界だ!
隣に防具屋もある。人間相手に戦う訳じゃないからフルプレートメイルは非売品だった。
軽装鎧がメインだな。
武器は普通に片手剣、両手剣、斧、弓、短剣、槍。
「砦の中で剣を持っている人、見た事ないよ?」
ふと疑問に思って聞いて見た。
「砦に入る時に保管部屋に置くんだよ。手入れもそこでする。でないと喧嘩になった時困るでしょ?」
そっか、あれば使いたくなるのか。
「訓練とかしてるの?」
「もちろん。」
「わぁ!今度見に行っていい?」
「隊長の許可が必要だけど、まぁ、許可するだろうね。」
クスクス笑いながら言う。なんでだろう?
「よう、イラリオ!またナンパしたのか?」
「よしてくれ。本気なんだ。」
「は?可愛い子にはお前の毒牙にかからんように事実を教えてやらにゃぁいかんだろう。」
「じ、事実って…」
武器屋の奥から出て来た人の言葉に歯切れの悪いイラリオさん。チャラそうだと思ったけど本当にチャラいのか。裏切らない人だな。
「イラリオさんはナンパした相手を武器屋さんに連れて来るんですか?」
女の子を連れて来る場所としては向いてないと思うんだけど。
「いや、ここに来なくたって噂になるからな。」
「そんなに成功率が高いって事ですか。羨ましいですね。」
「男も女もひょいひょいひっかけて「嫌われたらどうしてくれる!?」
慌てて店主さんの言葉を遮るイラリオさんがちょっと可愛い。
「それくらいで嫌いになんてなりませんよ。」
「嬢ちゃん、ダメだ!こんなやつ止めとけって!」
ここで男だと言うべきかお茶を濁すべきか…
愛想笑いにしておこう。
「「!!」」
「嫁に来てくれ!」
ぶぅっ!
突然何を言い出すのか。
「あんた最愛の妻はどうしたんだよ!?」
「恋人作って逃げた女房をいつまでも思ってたって仕方ないだろ!」
「死別したんじゃなかったのか!?」
「うるせぇ!語るべきでない真実ってのもあるんだよ!!」
沈黙は金てやつデスネ。
「嬢ちゃん、どうだ?成人したらおっちゃんのお嫁さんになってくれないか?」
「…成人は…してます…」
断ったら傷付けちゃうのかな?いや、このノリは冗談とかお愛想とかかな?うーん…
あれ?男だって言えば良くね?
「絶対ダメ!この子はウチの砦の癒しの魔獣なんだから!」
待って!そこは妖精とか天使とか!!…あぁぁぁぁ、それはおれに合わなかったわ。
だいたい魔獣は敵意があるんでしょう!?そんなの無いよ!
「なんで魔獣なんですか…?」
「無自覚にみんなを魅了してるから。」
みんなって、3人だけだよ。モテ期としてはじゅうぶんだけどさ。
「ちょっと待て!こんな可愛い子が砦にいるのか!?あんな男だらけの所に?」
「す、すみません…おれ、男なんです…」
趣味でもないこんなカッコで言うのはめっちゃ恥ずかしいな。
「男!?…いやいやいや、それでもそんなに可愛かったらダメだろう!」
「隊長が囲いたがってるからいい加減な気持じゃ近寄れないよ。」
「あの隊長がか?」
普段のガウルさんとは違うのかな?
「ガウルさん結構ヤキモチ焼きですよ?」
「それはヨシキだけだよ。今まではお気に入りの男娼くらいはいたけど、この中ならコイツ、って程度で全然執着しなかったからね。」
「マジなのか…」
「だからヨシキに手を出したら公私混同されて仕事がなくなるよ?」
「うぐぐ…」
それは絶対良くない。
「もうそろそろガラの店に寄って宿に帰ろうか?」
「うん。ちゃんと宣伝効果はあったかな?」
「ガラの店の宣伝?」
「この服を着て町を歩けば宣伝になるから僕の服をタダにしてくれるって約束なんです。」
「良いなそれ!ウチも…」
「武器は持った事が無いので…」
店主が驚いて試しに片手剣を持ってみろ、って渡されたけど切っ先がぐらぐらする。短剣は持てるけど1番軽い弓でも弦が引けない。どうにか弦を引こうと頑張ったら滑って指が切れた。
「大丈夫か!?」
「商品を汚しちゃってごめんなさい!」
「それより血が!」
ちょっとした擦り傷なのに大げさに驚かれて指を含まれた。
「…っ! あ…、あの…もう…」
舐め方がいやらしいんですけど!?
そんな変な舐め方されたら気持良くなっちゃうから止めて。
「うん。薬塗ろうね?」
「あの薬滲みるから…これくらい放っといても大丈夫だよ?」
「じゃぁもっと舐めちゃおうかな?」
「やぁ!」
ふんわりスカートのおかげで目立たないけど、既に少し大きくなっちゃってるから勘弁して下さい。
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