いつまででも甘えたい

香月ミツほ

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第2話

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既に夕食の時間だそうで、夕飯を食べてから片付けを手伝う事になった。見習いだー。

メニューは堅いパンとブラウンシチューだけ。
パンはシチューに浸して食べる。シチューには肉と根菜っぽい物がごろごろ入っているので充分お腹が膨れた。

「ごちそうさまでした。」

手を合わせてそう言ったら不思議がられたので説明したら更に不思議がられた。
食後の酒盛りを横目で見ながら皿洗いをする。料理長は無愛想だけど良い人だと思う。だって料理美味しかったから。(根拠不明)

皿洗いが終わったら今日はもう良いから明日来いと言われた。
もちろんちゃんと来ます!
セサルさんに声を掛けると一緒に飲めとお酒をもらったけど強くて口内が痛い。ぷるぷるしてたら料理長が無言で果実酒を出してくれた。甘酸っぱくて美味しい。周りを囲まれて質問攻めにあっているうちに酔いが回ってつい、本音がこぼれた。

「誰か甘やかしてくれないかなぁ…」

いい歳してこんな事考えてるのも恥ずかしいけど、7人兄弟のの真ん中に生まれ育った僕は存在感の薄さを嘆きながら育って来た。
注目されたい、必要とされたい、構って欲しい。料理を頑張ったのはそう言う理由もあった。

とは言えすでに28歳。
無理だよね…
でもここは異世界らしいから、価値観が違うかもしれないし、物好きもいるかも知れない。それに期待してしまう。

「何して欲しいの?」

セサルさんが笑いを含みながら聞いてくれたのでさっきみたいに頭を撫でて欲しいと言ったらみんなで代る代わる撫でてくれた。良い人ばっかりだ。

お酒を飲み終わったので洗い場に運び、料理長に「美味しかったです、ごちそうさまでした」って言ったら頭を撫でられた。うわぁ、料理長の大きな手、気持ち良い。嬉しい。

それからセサルさんに連れられて行った先はセサルさんの部屋。
ここの砦は物資の補給が滞る事もしばしばなので、せめてもとそれぞれ個室が与えられてる。もちろん僕は監視されるので1人にはなれない。大家族育ちだから相部屋も気にならないけど、おじゃましても良いのかな?

戸惑う僕を他所に1つ伸びをしてから服を脱いでパンツと肌着だけになってベッドに入るセサルさん。この部屋にはベッドが1つ。机と椅子が1組、クローゼットが1つ。

時々残業が終わらなくて会社で寝てたみたいに机に突っ伏して寝れば良いか、と椅子に向かうとセサルさんが不思議そうに声をかけた。

「ベッドで寝る習慣は無いのか?」
「あります。でもお邪魔じゃないですか?」

セミダブルくらいのベッドでもセサルさんが大きいからあまり余裕があるように見えない。

「邪魔だなんてことはないよ。毎日の仕事で癒しが欲しいんだ。おいで。」

癒し系の人が僕なんかに癒しを求めている。ナデナデ気持ちいいし、僕なんかが癒しになるなら喜んで添い寝します。

セサルさんに倣って肌着とパンツになってベッドに潜り込む。

そうしたら…

なんと!

抱きしめられた!!

家族以外に抱きしめられたのなんて初めてだ。セサルさんが「役得」と呟いた気がしたけど、他人の温もりに安心してすぐに眠りに落ちた。



社畜の朝は早い。兵士の朝も早い。

朝日と共に目覚めると隣の人がそれはそれは立派なテントを張っていた。僕のが1人用ならセサルさんのは3人用。

「おはようございます。」
「おはよう。よく眠れた?」
「はい。」

にこやかに朝の会話を交わしながらおさまらない股間が気になって仕方がない。

「あの…トイレへ…」
「手伝って良い?」
「へっ?」

グイグイと引っ張られてトイレに連れていかれ、洋式便座に向かって後ろから抱き込まれる。でもセサルさんは前かがみにならないと身長差で僕の股間に手が届かなかった。

「あのっ!?なんで…?」

すでに立ち上がっているそこをパンツの上からやわやわと揉み込まれる。他人に触られたことのないそこはすぐに透明な雫を滲ませる。

「撫でられるの気持ち良いんでしょ?」

そうだけど!
気持ち良いけど!!
ちっちゃいけど元気一杯なんて感想は言わなくていいから!

初めての刺激にロクな抵抗もできまいまま、パンツに手を入れられ直接扱かれたらあっという間に達してしまった。

「んぅっ!」

文字通りの三擦り半。

速すぎる。そして自分の口から漏れたと思えない声に呆然とする。

「溜まってた?」

ゾクゾクしちゃうから耳元で優しく囁かないで下さい。
くったりと脱力しながら

「人に触られるの初めてだから…」

と言い訳にもならない説明をすると、腰に当たるセサルさんのが更に大きくなった。

「あの…お返しに…」

振り返って手を伸ばすと嬉しそうに顔を綻ばせる。パンツを下ろして握れば、熱くて大きくて長い。自分のじゃないから力加減が判らず、先走りを利用して亀頭を親指で刺激しながら辿々しく扱いていたらセサルさんが僕の手を包み込むように握って扱いた。

白濁を吐き出した時、セサルさんが今日は速かったって恥ずかしそうに言ったけど、多分、僕の普段の時間より長いよ?

時間がないからと一緒にシャワーを浴びてあちこち洗われた。セサルさんは世話好きみたいだ。
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