ショタ×ショタ♡パラダイス!

香月ミツほ

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その10

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「大丈夫かっ!?」
「いやぁ……いてて……」

脇目も振らずに急いだ結果、曲がり角で自転車にぶつかりかけ、かろうじて避けて転んで擦り傷だらけ。

ズボンも破れてしまった。
とにかく傷を洗えと風呂場に放り込まれ、ぬるま湯で傷を洗われた。

「それで?」
「……実は、ミランと付き合う前に申し込んでたビターキャラメルに行ったんだ」

傷を洗い、破れて血で汚れたズボンを洗濯してもらい、ミランのスウェットを借りてソファに座った。そこでイーファの友達の双子の兄に会い、彼らの勘違いで恋人になれと迫られた事、気持ち良かったのに満たされなかった事をバカ正直に話した。

「浮気して……ごめんなさい」
「……僕は他のやつなんか見て欲しくないし、浮気を許さない。……でも、言葉で縛った所で意味がないとも理解している」
「身体は気持ちいいのに満たされなくて、無性にミランに会いたくなって……これって、ミランに心を縛られたのかな?」
「僕だけがルーを満たせるって事?」
「うん」

俺の返事を聞いたミランが頬に手を添えて優しいキスをくれる。それだけで身も心も震えるほどに幸せで満たされた。

「ルー、どしたの? だいじょうぶ?」
「イー!! う、うん! 大丈夫だよ」
「おじゃまだったかな?」
「……父さん、母さん、おかえり」
「っ!! 初めまして! お邪魔してます!!」

イーファは両親と出かけていたらい。

「ルーが転んで怪我したから手当てしたんだ」
「それでよしよししてたの? イーもよしよししてあげる!」
「ありがとう。イーにナデナデしてもらえたらすぐに治っちゃうな」
「えへへー」

夕飯をご馳走になって楽しくおしゃべりをしてから乾いたズボンを履いて家に帰った。家まで送ってくれたミランに学校を卒業して就職したら結婚しよう、とプロポーズをした。ミランの返事はおれがその時まで心変わりしてなければ結婚する、と言うものだった。

「ミランは心変わりしない?」
「僕は重いんだ。ルーに一目惚れしてから他を見た事なんかないし、ルーが心変わりしても忘れる事なんてできないよ」
「一目惚れ?」
「……3年前、学校見学に来てたろ? その時からずっと見てたよ。元気で可愛くてちょっとバカで……同じ学校になれたけど1年の時はクラスが違ったから気が気じゃなかった。2年になって同じクラスになれたのになかなか話しかけられなくて、ルーから話しかけてもらえるのを期待して学年1位をキープして……」

おれなんかのために学年1位キープ!?

「重いだろ?」
「感動した!! おれ……おれ……もう絶対浮気しない!ミランに相応しくなるよう勉強も頑張る!同じ大学行って安定した職について、それで!!」
「はい、そこまで」
「母さん!!」

いつの間にか家についててマンションの玄関前だった。

「あなたがミランくん?ごめんねぇ、ムードのない息子で」
「ご挨拶が遅れまして申し訳ありません。ミランと申します。ルウェインくんとおつきあいさせていただいてます」
「とりあえず上がって?」

母さんがお茶を入れ、3人で飲みながら改めて挨拶をした。

「ミランくん…… うちの子こんなだけど、良いの?」
「他なんて考えられません」
「若いから当然だけど、いつか気が変わるかもしれないわよ。出会いはこれからいくらでもあるんだし」
「母さん!」
「確かに経験の浅さは否定できません。ですが、今現在の素直な気持ちで答えればルウェインと結婚したいと思っています」
「まぁ、まだ先の話だし。しっかり就職して、それからもう一度プロポーズしてまとまったら教えてちょうだいね」
「ありがとうございます!!」

帰って来た父さんにも挨拶してくれて、なぜか今度イーファも連れてお出かけすることになった。そしてみんなで出かけた日、イーファからプロポーズされた。

「アンガスは?」
「あんがしゅきらい! ちゅーしたり ちんちん もにもにしたり しゅるんだもん!」
「そんなことすんの!?」
「イー、やだっていっても やめてくれないの。イーがしゅきなのは ルーなのに!!」
「お、イーはルーが好きなのか」
「うん! ルーかわいいし、やしゃしいし、だいしゅき!!」
「そこは格好良いにしといて!」

3歳児に可愛がられるおれって……(汗)



そしてイーファの可愛さにきゅんきゅんして盛り上がった両親が弟を作り、その可愛さにめろめろになったイーファがおれから弟に乗り換えたのはまた別の話。

おれとミランは順調に交際を続け、おれの成績も上がって同じ大学に進み、ミランは学者の道へ、おれは児童書の出版社に就職。読み聞かせイベントで子供達に囲まれて充実した日々を過ごしています。

「ルウェイン、僕の気持ちは変わっていない。まだ院生で就職できてないが、准教授になったら結婚して欲しい」
「……遠くない?」
「努力する」
「せめて助教で良くない?」
「ルーの両親は納得してくれるだろうか?」
「たぶん、全然平気だよ。心変わりしないかどうか様子を見てるだけでミランの事否定してるわけじゃないから」

ミランは真面目で、最初の宣言通りおれ以外を見なかった。何度か誘われてるのを見てハラハラしたけど問題なし!!

「ルーは他から誘われたりしない?」
「ちびっ子には大人気だよ。初対面でプロポーズされる事もしょっちゅうだし。でも大人からは全然もてないなー」
「それは良かった」

ニヤリと笑うミランは少し雄くさくてドキドキしてしまった。
3日と開けずワイシャツの襟で隠れるところにキスマークをつけるミラン。虫除けだって。

モテない俺にそんなの必要ないと思いつつ、嬉しいから受け入れている。
転生最高! 超絶至福!! これぞショタ×ショタパラダイス!!!
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