ほんのちょっと言語チート、くっださーいな!

香月ミツほ

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おお!っと王都で驚いた

ご褒美係 1、2、3!

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あーちゃんが生後1ヶ月になり、外出許可が下りた。と言っても敷地内とお隣さんまで。まだ体力がないので充分です。

お隣の老夫婦を訪ね、お茶を飲む。息子さんが使っていたゆりかごにあーちゃんを寝かせ、アスレチック公園で遊ぶ子供達を眺めながらお話を聞くのが楽しい。あーちゃんもお2人に構ってもらえて嬉しそうだ。

ハルトは遊具を1つクリアするとあーちゃんに報告、また次の遊具をクリアして報告。いい運動になりそう。


───────────────────


マインラートくんは本当にギリギリまで来てくれて、うちで産気づいた。心配して1週間前から付いて来ていたエーギンハルトさんと一緒に帰る。安産でありますように!!

あーちゃんは生後2ヶ月。
ドロテアはアスレチックとこども広場の他に、ハルトとヨハンと追いかけっこしたりかくれんぼしたりと元気に遊んでくれている。若いって良いね。

「チサト先生だって若いじゃないですか」
「でも今は体力が落ちてるし、駆け回る山もないし、疲れやすい気がして……」
「山?」
「おれ、山奥の集落で育ったんだ」

話しているうちに甘やかされてあちこちの筋肉が落ちている事が気になり始め、アスレチックを活用よう! と気合を入れた。

……手始めにほんの少し追いかけっこに混ざっただけでバテた。(哀)




腕立て、腹筋、背筋、スクワットを10回ずつ、からスタート。部屋でこっそりやってたらフィールが帰ってきた。

「顔が赤いし、汗をかいて呼吸が乱れているようだが、具合が悪いのか?」
「ちょっと運動してただけ。なんともないよ」
「運動?」

ほんの少し走っただけでバテた事と筋肉が落ちた事を説明すると、フィールが頷いた。

「確かに筋肉が落ちているようだ。だが無理をするなよ」
「筋肉落ちてる? 見てわかる?」
「……実は以前に比べて尻の触り心地が少々物足りない、と感じていた」
「ぅえっ!? お、お尻の……、触り心地?」

見た目に反してもっちりとしてたなんて初めて知った……。

「いっ、今の小さな尻もかわいいから不満はない! だが筋肉を付けたいのなら……、尻を……」
「うん……」

変な空気になってしまった。
でもスクワット頑張る!


───────────────────


フィールの指導により、おれは尻のボリュームアップに成功した。

……「百々知里どうどうちさと? 本当はももじりって読むんだろ?」ってからかわれた事があったから、お尻を気にされるのは少し微妙だったけど、フィールが喜んでくれるなら良い。フィールの好みになれるなら、喜んで桃尻になります!

それはともかく。

お願いされて今年もダンスのパートナー役をやっている。あーちゃんと長時間離れられないので子連れ出勤。授業中はリーデ先生の子のベビーシッターが2人まとめてみてくれる。ザシャさんもいるし、今年から下級生が女性パート(?)をやるのでおれはご褒美係。

上手い子や上達した子、頑張った子1~2人だけ踊る。

……体を動かすと母乳が出てきちゃうからって胸に吸収用のパッドを入れてるから、ますます女装っぽいのが悩みのタネです……。



「チサト先生、ドロテアがご迷惑をおかけしていませんか?」
「真面目にやってくれてるよ。気が利くし、余計な一言がなければモテそうなのにね」
「……やはり、言いますか」
「たまには、ね」

ミュラーが弟を心配して声をかけて来た。困ったなぁ、って顔に書いてあるけど、まだ成人前だし、これからだよ!

あ、いたた……!

授業で踊ったから血行が良くなって胸が張ってきた。早く飲んでもらわないと。ミュラーとの話を切り上げていつものように保健室で授乳させてもらう。もちろんリーデ先生も一緒。ザシャさんは先に帰る。

リーデ先生の子のローラントは活発で、凄い勢いで吸い付いてごっくごっく飲む。ゆっくりのんびり飲むあーちゃんとの違いが微笑ましい。

「そろそろ茶を淹れるぞ」

ラウリ先生が授乳が終わる頃を見計らってお茶を出してくれる。今年はダンスの授業が午後なので、今はおやつタイムだ。

ラウリ先生はさすがの大ベテランで、ローラントもあーちゃんも一瞬で寝かしつけてしまう。それからシッターさんも一緒にお茶を飲んでおしゃべりを楽しむ。だいたい育児の話。

「アルフレートも順調なようじゃな」
「はい、朝晩ハルトが魔力を注いでくれているし、授乳の度に吸い取られる感じが少なくなってきました」
「ハル坊の魔力はこの子のためだったのかも知れんな」

ハルトが居なかったら3~5人体制で魔力を補給してくれる治療院へ入院しなくてはいけなかったらしい。

おれも魔力が欠乏してたから、フィールにも泊まってもらって治療院でごにょごにょしなきゃいけなかったのかと思うと、ハルトへの感謝が増した。

「ほぇぇぇ……」

あーちゃんが起きたらお茶会は終了。ローラントは体力があるせいか一度眠るとなかなか起きないので、適当な時間で起こさないと夜、眠らなくなって困るらしい。

そう言えばあーちゃんも眠る時間が長くなってきてる。成長してるなぁ。
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