ほんのちょっと言語チート、くっださーいな!

香月ミツほ

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おお!っと王都で驚いた

ベビーラッシュ!

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10月。
残暑が去り、爽やかな過ごしやすい季節になった。冬は海が荒れて交易ができなくなるのでその前に、と港には大きな船が忙しなく出入りしているそうだ。

ユリアヌスさん、また忙しいのか。
リーデさんが寂しくならないと良いなぁ。

11月、朝晩の冷え込みを感じ始めた頃、情緒不安定になった。フィールが仕事に行くのを邪魔したり、いつまでも遊びたがるハルトに怒っちゃったり、フィールが休みの日にはずっとくっついて離れなかったり。

「おめでとうございます、2ヶ月目に入った所ですね」
「やはりそうか! チサト、ありがとう」
「赤ちゃん?」
「そうですよ。2人目でしたら分かるでしょう?」

言われてみればハルトを妊娠した時もこんな感じだったな。

「フリーデグントも妊娠したそうだ。賑やかになるな」
「リーデさんも?」

エミールさんも妊娠したし、来年の春は赤ちゃん天国だ!

つわりは魔力の補充で落ち着くのが分かっているのですぐに楽になった。だけどうっすらとしたつわりが終わらない。2回じゃ足りないのかな?

「良いなぁ……」

マインラートくんがため息をついた。遠く離れたら手紙のやり取りもままならないし、遠距離通信なんて一般人には無理だし……。

エーギンハルトさん、どうしてるかな?
帰国はもう少し先だよね。




「よう!」
「エーギンハルトさん!?」
「マインラート借りてくぞ」
「し、仕事中です!」
「良いよな?」

突然訪問してマインラートくんを連れ去ろうとする……。

「マインラートくんが嫌じゃなければ良いですよ? 後で話聞かせてね~!」
「あっ! ちんにく! ちんにくー!!」

ハルト…… 雄っぱい触りたいのは分かるけど、それ音が恥ずかしいから大声で言わないで……。

それにしても片道1ヶ月だから後2週間はかかるはずだったのに、どうやったんどろう?




翌日、マインラートくんはエーギンハルトさんに送られて来た。朝帰りついでの同伴出勤……。

「いや、やらなきゃ溜まるだろ? でもラートがいないから相手もいないし、発散するために体動かすしかなくてな。補助動力回してたら早く着いた」

船の両脇に水車みたいなのが付いてて、そこにつながる歯車を回す。5人分くらい回していたらしい。さすが!!

……意外と一途だったの?

「意外とはなんだ。オレは元から一途だろ?」
「……取り巻きの方々は?」
「あいつらは『英雄と仲良し』が良かったんだ。たまには抱いたりしたが、みんなオレには付き合いきれんそうだ」
「英雄なのに?」
「趣味が合わんとさ」

……コスプレ趣味か。
それで付き合ってくれるマインラートくんに操を立てて禁欲してたなんて、見直した!

「マインラートくん、良かったね!」
「……は、はい……」

あ、マインラートくん、よれよれ……。
今日はエーギンハルトさんが責任を取って子供達の相手をボランティアでしてくれるそうです。

午前中は庭で子供達とじゃれあい、お昼を食べたら子供ひろばへ。

ハルトはひろばへ行くまで抱っこしてもらいながら、ずーっと筋肉雄っぱいの継ぎ目を探していた。外から入れた訳じゃないよ?でも小さな傷がたくさんあるからそれをグリグリ押して確認している。

切れ込みが見つかったら「ちんにく」を引っ張り出して自分の胸に入れたい、って言うんだけどシュール。

ひろばに着くとハルトとヨハンは群がる子供達&保護者たちの羨望の的で、得意げに抱っこを譲っていた。両腕に3人ずつぶら下げるとか、すごい。15人を3回ずつ投げてキャッチする高い高いをしてあげるのもすごい!!

子供達はお昼寝も忘れて大はしゃぎだった。

「どうだ? 休めたか?」
「……う、はい」
「マインラートくん、いつも真面目にやってくれてるんだからあんまり固く考えなくて良いからね? 具合の悪い時は休んでいいんだよ?」

真面目に頑張ってくれているマインラートくんなので2人で口を揃えて言ったら恐縮させてしまった。まさか昨日、妊娠しててマインラートくんまで2ヶ月違いの子供を産むなんて思わなかった。出産ラッシュだねー。

うちとエミールさん、リーデさんが4月に出産、マインラートくんが6月に出産。こんなに賑やかならうちの近くに「こども広場」を作ろうとかトラさんが言い出したけどお散歩も兼ねてるから止めてもらった。

……代わりにアスレチック公園を作るって言い出した。

細マッチョからゴリマッチョまで、肉体派イケメン達が自主訓練と称して工事をしに来ていたので、工事中は人だかりができていた。そしてそこで出会って成立したカップルがいたとかいなかったとか……。

工事をしに来ていた人たちは工兵って聞いた。けど仕事内容が分からなくて聞いて見たら戦争時に穴を掘ったり橋を架けたりするんだけど、平時はインフラ整備の土木作業を請け負っているんだって。

「普段からやってるのに休みまでやってくれるんですか? 報酬は?」
「わしとオットーでちまちま作ろうと思っていたのにあいつらが勝手に手伝いに来たんだ。報酬なぞいらん」
「仕事だとナンパできないけど、ここならナンパし放題だから良いんじゃないかな?」

トラさん、オットーさんは少し不満げに言うけど色々なアイデアを出されるのは楽しいらしく、結局作りたい物に合わせた資材を楽しそうに手配していた。
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