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おお!っと王都で驚いた
肖像画
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出航準備が整ったので船を降り、手を振って見送った。
「行っちゃったね」
「そうだな。初めは手を焼いたが私が護衛になってからはチサトのお陰で大人しくなっていて、楽だった。ありがとう、チサト」
おれは友達になっただけなのに感謝されてしまった。トラさんはもちろん、王様や護衛担当者達からも感謝されてるらしい。
実はリーシュには認識阻害とかいう能力があって、抜け出そうとすればすれ違う人全てに意識されなくなるんだって。青いロボットの持ってた便利な帽子みたい。
だから本人の意識を変えるしかなかった。
それから少子化問題に悩むシーヴァティ国では兄弟の中で最初に跡継ぎを設けた方が王太子になると言う。だからリーシュは正式な王太子じゃなかったんだって。対外的には第1子を王太子とするのが慣例だし、弟がまだ未成年だから仮の王太子なのだそうだ。
国の事はよく分からないけど、リーシュ達の船が天候に恵まれますように、と祈りながら帰った。
数日後、家族の肖像画が届いた。
割と大きい……。1m 四方くらい?
また引っ越す可能性があるから小さめにしたと言う。充分大きいです! どこに飾るのかと思ったら今、住んでいる離れの階段の踊り場だって。
写実的だけど写真と違って写りが悪いなんて事がないのでありがたい。……と言うか、自分が美化されてるように感じる。
フィールは格好良くてハルトは天使!!
ハルトの誕生日までカーテンで隠しておく事になった。
「これは『天使シリーズ』の試作品。商品化しても良いかな?」
「天使! 本当に天使だ!!」
銅版画ってやつかな?
細い線で描かれた子供達。アレク、ヨハン、ハルトが仲良く顔を寄せ合って微笑んでいる。髪型が少しアレンジされているけど、間違いなくうちの子達だ。
「ぼくたち?」
「これ、ヨハンでしゅ!」
「はーと?」
「リヴァさん……、すごいです……」
子供達が目を輝かせている。トラさんとザシャさん、マインラートくんもうっとりだ。
早くフィールにも見せたい!!
販売についてはフィールとギュンターさん、エミールさん、ヨハンの両親に確認を取らないと返事はできない、と伝えた。
「シーヴァティへのお土産にチサトの絵が欲しい、って言われたんだけど、聞いてる?」
「えぇっ!?」
「あ、聞いてない? 完成してなかったし断ったらスケッチでも良いから、って食い下がられて本人たちの了承があれば、と後で習作を渡したんだけど」
「どんなの?」
「あ、これの習作だよ」
見せてくれたのはノートくらいの小さな絵。笑顔全開のハルトがおれにキスしててフィールがおれの髪にキスしてる絵。なるほど。
「シーヴァティの王太子殿下はおれとフィールが仲良くしてるのを見るのが好き、って言ってたからそれでかな?」
「……今更取り返せないけど大丈夫?」
「友達だから大丈夫」
ちょっと恥ずかしいけど家族の肖像画にほのぼのするのは何の問題もない。もう一枚描いてもらってちゃんとしたのも贈る事にした。
「クリシュナ王太子とオスヴァルト殿下の絵は描こうと思わなかったの?」
「イマイチだった」
リヴァさんは子供も好きだし、かわいい系が好きなのかな?
アレク達の家族の肖像画はまだ仕上がってないと言って帰って行った。来週のハルトの誕生日にもちゃんと誘った。
9月の初めにアレクが幼年学校へ入学してから、ヨハンが寂しそうにしている。ハルトとの服の褒め合いも飽きてきたようだ。家庭教師の先生の夏休みは終わったのに、勉強にも身が入らない。先生もしばらく勉強は休みにしてゆっくり行きましょう、って言ってくれた。
ハルトはドレスを着て素振りをすると言うマイペースさだ。最近は打ち込みもしている。
朝の鍛錬にはディトマールくんとハラルドくんも来るし、アレクはうきうきだ。ヨハンはどうしたら元気になるかなぁ?
「新しい友達が必要なのかも知れないな」
年齢的に幼稚園か。
おれはまだ施設にいた頃かな? 覚えてないや。
相談した結果、教会が運営する公民館みたいな「こどもひろば」に行ってみる事になった。初日はヨハンのお母さんも一緒に行く。最近、忙しかった仕事が一段落したそうでヨハンの面倒も見られるとの事。
ヨハンも嬉しそうだ。
こどもひろばは孤児院並みに天国だった。
ちびっこがたくさん!!
「あー、ヨハン!」
「ハルトだー」
おお、双子ちゃんがいる。お母さんは来てないの?
「おかあさん、いそがしいからぼくたちだけ」
「カスパーといっしょだからへーき!」
双子ちゃんは同じ歳だから置いて行かれる事もなく、ずっと仲良しでいられるのかな? 2人は率先してヨハンとハルトを友達に紹介してくれる。お母さん達にはおれを「ぽかぼかすーすーの歌」の人だよー、と紹介してくれたので何人かからお礼を言われた。
役に立てて嬉しい。
富裕層はまず来ない場所なのでヨハンとハルトの服が浮いている……。でも大人達は子供は気に入ると毎日着たがって洗濯させてくれないよねー、って笑ってる。
よそ行きの服を毎日着たがって苦労する事はよくある事らしい。
万が一、子供に対抗心を燃やされると親に申し訳ないので次に来る時はもう少し抑えめの服にしよう。こちらでも孫に甘いおじいちゃん、おばあちゃんがよそ行きをくれるので派手好きな子は結構ひらひらだけど。
お昼寝スペースまであるのでそこで寝かせ、起きたらまた遊ばせる。
午前中だけで帰る親子、午後から来る親子、お弁当を持って来て1日中いる親子。自由だ。しばらくは様子を見ながら週2で通う事にした。
「行っちゃったね」
「そうだな。初めは手を焼いたが私が護衛になってからはチサトのお陰で大人しくなっていて、楽だった。ありがとう、チサト」
おれは友達になっただけなのに感謝されてしまった。トラさんはもちろん、王様や護衛担当者達からも感謝されてるらしい。
実はリーシュには認識阻害とかいう能力があって、抜け出そうとすればすれ違う人全てに意識されなくなるんだって。青いロボットの持ってた便利な帽子みたい。
だから本人の意識を変えるしかなかった。
それから少子化問題に悩むシーヴァティ国では兄弟の中で最初に跡継ぎを設けた方が王太子になると言う。だからリーシュは正式な王太子じゃなかったんだって。対外的には第1子を王太子とするのが慣例だし、弟がまだ未成年だから仮の王太子なのだそうだ。
国の事はよく分からないけど、リーシュ達の船が天候に恵まれますように、と祈りながら帰った。
数日後、家族の肖像画が届いた。
割と大きい……。1m 四方くらい?
また引っ越す可能性があるから小さめにしたと言う。充分大きいです! どこに飾るのかと思ったら今、住んでいる離れの階段の踊り場だって。
写実的だけど写真と違って写りが悪いなんて事がないのでありがたい。……と言うか、自分が美化されてるように感じる。
フィールは格好良くてハルトは天使!!
ハルトの誕生日までカーテンで隠しておく事になった。
「これは『天使シリーズ』の試作品。商品化しても良いかな?」
「天使! 本当に天使だ!!」
銅版画ってやつかな?
細い線で描かれた子供達。アレク、ヨハン、ハルトが仲良く顔を寄せ合って微笑んでいる。髪型が少しアレンジされているけど、間違いなくうちの子達だ。
「ぼくたち?」
「これ、ヨハンでしゅ!」
「はーと?」
「リヴァさん……、すごいです……」
子供達が目を輝かせている。トラさんとザシャさん、マインラートくんもうっとりだ。
早くフィールにも見せたい!!
販売についてはフィールとギュンターさん、エミールさん、ヨハンの両親に確認を取らないと返事はできない、と伝えた。
「シーヴァティへのお土産にチサトの絵が欲しい、って言われたんだけど、聞いてる?」
「えぇっ!?」
「あ、聞いてない? 完成してなかったし断ったらスケッチでも良いから、って食い下がられて本人たちの了承があれば、と後で習作を渡したんだけど」
「どんなの?」
「あ、これの習作だよ」
見せてくれたのはノートくらいの小さな絵。笑顔全開のハルトがおれにキスしててフィールがおれの髪にキスしてる絵。なるほど。
「シーヴァティの王太子殿下はおれとフィールが仲良くしてるのを見るのが好き、って言ってたからそれでかな?」
「……今更取り返せないけど大丈夫?」
「友達だから大丈夫」
ちょっと恥ずかしいけど家族の肖像画にほのぼのするのは何の問題もない。もう一枚描いてもらってちゃんとしたのも贈る事にした。
「クリシュナ王太子とオスヴァルト殿下の絵は描こうと思わなかったの?」
「イマイチだった」
リヴァさんは子供も好きだし、かわいい系が好きなのかな?
アレク達の家族の肖像画はまだ仕上がってないと言って帰って行った。来週のハルトの誕生日にもちゃんと誘った。
9月の初めにアレクが幼年学校へ入学してから、ヨハンが寂しそうにしている。ハルトとの服の褒め合いも飽きてきたようだ。家庭教師の先生の夏休みは終わったのに、勉強にも身が入らない。先生もしばらく勉強は休みにしてゆっくり行きましょう、って言ってくれた。
ハルトはドレスを着て素振りをすると言うマイペースさだ。最近は打ち込みもしている。
朝の鍛錬にはディトマールくんとハラルドくんも来るし、アレクはうきうきだ。ヨハンはどうしたら元気になるかなぁ?
「新しい友達が必要なのかも知れないな」
年齢的に幼稚園か。
おれはまだ施設にいた頃かな? 覚えてないや。
相談した結果、教会が運営する公民館みたいな「こどもひろば」に行ってみる事になった。初日はヨハンのお母さんも一緒に行く。最近、忙しかった仕事が一段落したそうでヨハンの面倒も見られるとの事。
ヨハンも嬉しそうだ。
こどもひろばは孤児院並みに天国だった。
ちびっこがたくさん!!
「あー、ヨハン!」
「ハルトだー」
おお、双子ちゃんがいる。お母さんは来てないの?
「おかあさん、いそがしいからぼくたちだけ」
「カスパーといっしょだからへーき!」
双子ちゃんは同じ歳だから置いて行かれる事もなく、ずっと仲良しでいられるのかな? 2人は率先してヨハンとハルトを友達に紹介してくれる。お母さん達にはおれを「ぽかぼかすーすーの歌」の人だよー、と紹介してくれたので何人かからお礼を言われた。
役に立てて嬉しい。
富裕層はまず来ない場所なのでヨハンとハルトの服が浮いている……。でも大人達は子供は気に入ると毎日着たがって洗濯させてくれないよねー、って笑ってる。
よそ行きの服を毎日着たがって苦労する事はよくある事らしい。
万が一、子供に対抗心を燃やされると親に申し訳ないので次に来る時はもう少し抑えめの服にしよう。こちらでも孫に甘いおじいちゃん、おばあちゃんがよそ行きをくれるので派手好きな子は結構ひらひらだけど。
お昼寝スペースまであるのでそこで寝かせ、起きたらまた遊ばせる。
午前中だけで帰る親子、午後から来る親子、お弁当を持って来て1日中いる親子。自由だ。しばらくは様子を見ながら週2で通う事にした。
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