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おお!っと王都で驚いた
武闘派の祭り
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この日焼けであの服はダメか……。
あ、違う、肌を晒すのがダメなんだった。半裸だもんね。でもハルト達のも肩と背中は出るよ?
ふと見るとエーギンハルトさんがハラルドくんをいやらしい目で見てる! やっぱり上半身半裸はやめた方が良いな。
「肌を晒さない着方もあるよ」
リーシュがそう言って侍従さんに指示を出すとマオカラーの白い長袖シャツが出て来た。それを着てアレクと同じ不思議なズボンを履いて腰に帯を締める。
これなら大丈夫!!
と、見回した時、エーギンハルトさんの残念そうな視線と、それに気づいたマインラートくんの悲しそうな顔。……マインラートくん、エーギンハルトさんの事、本気で好きになっちゃったの?
あ、子供達に負けてハラルドくんがかわいい方の服、着せられた。少しごついけど似合うよ!
───────────────────
「エーギンハルト! 手合わせしてもらえませんか?」
「んぁ? おお、良いぞ。けどガキばっかじゃつまんねぇから王太子の護衛ともやらせてくれ。トラウゴットのじーさんもやろうぜ」
ディトマールくんなら当然そう言うだろう。
そしてエーギンハルトさんもそうなるよね。
て言うかトラウゴットのじーさん?
「お前、いつまで子供のつもりだ」
「少しは強くなったぜ?」
「わしの出る幕なんぞなかろう。王太子の護衛、なかなか強いぞ」
トラさんが一時期剣術指南していて、エーギンハルトさんは門下生だったらしい。やんちゃそう。(笑)
トラさんの高評価にリーシュもリーシュの護衛の人も嬉しそうだ。手合わせは怖いけど見たい気もする。だって護衛の人の剣、曲刀だよ? タルワールかな?
「一体、何がどうしたんだ?」
「あ、フィール! お帰りなさい」
「とた! おかりー!」
「テオフィールさん、すごいんです! えいゆうのたたかいが みられるんです!」
「えいゆうでしゅ!」
子供達に大きい人から英雄に格上げ(?)されたエーギンハルトさん。お前もやるか? ってフィールを誘ってるけどおれが怖がるからって断ってる。
「フィール、ごめんね? 信じてない訳じゃないんだけど心配で……」
「強さをひけらかす趣味はないから構わない」
フィールが怪我しないか気が気じゃなくて泣きそうになっちゃうんだよね。強いのは分かってるんだけど強い人同士の対戦なんて何もわからないし、前は隊員の実力向上の為だったし。
手合わせ自体は嫌いじゃないけど、フィールは教える方が好きなんだって。だからディトマールくんとハラルドくんの成長には興味津々だ。
「あの! 異国の剣術にも興味があります! 先にエーギンハルトと護衛の方で手合わせして見せて下さいませんか?」
ディトマールくんの提案に嬉々として乗るエーギンハルト。あ、護衛の人、ターバンの影と濃い褐色の肌の中にギラリと光る瞳。ライバルを見つけた感じ?
何故かタイミング良く帰って来たザシャさんとギュンターさんとエミールさんが子供達(おれとマインラートくん含む)が危なくないよう、守りを固めてくれた。
中庭で即席の闘技大会が始まる。
「子供達が見るにふさわしい美しい試合を」
リーシュの言葉で前に進み出たエーギンハルトさんと護衛さんが剣を抜き、顔の前に掲げて見つめ合う。
「それでは、始め!」
リーシュの鋭い掛け声にキンッ! と軽やかな金属音を奏でて離れる。次は打ち込み? 立ち位置を入れ替わっただけ? 目まぐるしく動く2人に視力が追いつかない。
漠然とエーギンハルトさんが直線的、護衛の人が円を描いている、ように感じる。……たぶん。
ターバンから垂れた布がひらひらと舞い踊り、踊っているようにも見える。なんだか幻想的。
対等に渡り合っているように見えてたけど護衛の人だけ動きが見やすくなって来た。疲れて来たのかな? やがて試合終了の声がかかり、引き分けとなった。
「「かっこいいーーーー!!」」
「すごい! すごい……♡」
ディトマールくん達は声を揃え、マインラートくんは感極まっている。子供達はきゃーきゃーと喜び、フィールがウズウズしている。やっぱりフィールも武闘派だ。
「テオフィール、私達もひと勝負してからそいつらと手合わせ願わんか?」
「……だが」
「フィール、無理を言うけどおれを心配させないで? それなら手合わせして良いよ」
同じくウズウズしちゃったギュンターさんが最初の2人の疲労を考え、対等に勝負するための提案をして来た。
「わざわざそんな事しないで来いよ」
「ほう。負けて言い訳するなよ」
「ワタシもかまいません」
少しカタコトの護衛さんが乗ってくる。
エーギンハルトさん対ギュンターさん、フィール対護衛さん。
ディトマールくん達が置いてきぼりになってしまった。
「手合わせ、お預けだね」
「この勝負を見られるのならそのくらい構いません!」
「俺たちじゃまだ、全然本気を出してもらえそうもないから、見るだけでも良いです」
少し自信をなくしてしまったのか、ハラルドくんが弱気な発言をした。
「なっさけないねぇ!」
ザシャさんとトラさんが後で指導してくれるって約束してた。早起きして朝稽古に来るんだって。睡眠はちゃんととってね。
あ、違う、肌を晒すのがダメなんだった。半裸だもんね。でもハルト達のも肩と背中は出るよ?
ふと見るとエーギンハルトさんがハラルドくんをいやらしい目で見てる! やっぱり上半身半裸はやめた方が良いな。
「肌を晒さない着方もあるよ」
リーシュがそう言って侍従さんに指示を出すとマオカラーの白い長袖シャツが出て来た。それを着てアレクと同じ不思議なズボンを履いて腰に帯を締める。
これなら大丈夫!!
と、見回した時、エーギンハルトさんの残念そうな視線と、それに気づいたマインラートくんの悲しそうな顔。……マインラートくん、エーギンハルトさんの事、本気で好きになっちゃったの?
あ、子供達に負けてハラルドくんがかわいい方の服、着せられた。少しごついけど似合うよ!
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「エーギンハルト! 手合わせしてもらえませんか?」
「んぁ? おお、良いぞ。けどガキばっかじゃつまんねぇから王太子の護衛ともやらせてくれ。トラウゴットのじーさんもやろうぜ」
ディトマールくんなら当然そう言うだろう。
そしてエーギンハルトさんもそうなるよね。
て言うかトラウゴットのじーさん?
「お前、いつまで子供のつもりだ」
「少しは強くなったぜ?」
「わしの出る幕なんぞなかろう。王太子の護衛、なかなか強いぞ」
トラさんが一時期剣術指南していて、エーギンハルトさんは門下生だったらしい。やんちゃそう。(笑)
トラさんの高評価にリーシュもリーシュの護衛の人も嬉しそうだ。手合わせは怖いけど見たい気もする。だって護衛の人の剣、曲刀だよ? タルワールかな?
「一体、何がどうしたんだ?」
「あ、フィール! お帰りなさい」
「とた! おかりー!」
「テオフィールさん、すごいんです! えいゆうのたたかいが みられるんです!」
「えいゆうでしゅ!」
子供達に大きい人から英雄に格上げ(?)されたエーギンハルトさん。お前もやるか? ってフィールを誘ってるけどおれが怖がるからって断ってる。
「フィール、ごめんね? 信じてない訳じゃないんだけど心配で……」
「強さをひけらかす趣味はないから構わない」
フィールが怪我しないか気が気じゃなくて泣きそうになっちゃうんだよね。強いのは分かってるんだけど強い人同士の対戦なんて何もわからないし、前は隊員の実力向上の為だったし。
手合わせ自体は嫌いじゃないけど、フィールは教える方が好きなんだって。だからディトマールくんとハラルドくんの成長には興味津々だ。
「あの! 異国の剣術にも興味があります! 先にエーギンハルトと護衛の方で手合わせして見せて下さいませんか?」
ディトマールくんの提案に嬉々として乗るエーギンハルト。あ、護衛の人、ターバンの影と濃い褐色の肌の中にギラリと光る瞳。ライバルを見つけた感じ?
何故かタイミング良く帰って来たザシャさんとギュンターさんとエミールさんが子供達(おれとマインラートくん含む)が危なくないよう、守りを固めてくれた。
中庭で即席の闘技大会が始まる。
「子供達が見るにふさわしい美しい試合を」
リーシュの言葉で前に進み出たエーギンハルトさんと護衛さんが剣を抜き、顔の前に掲げて見つめ合う。
「それでは、始め!」
リーシュの鋭い掛け声にキンッ! と軽やかな金属音を奏でて離れる。次は打ち込み? 立ち位置を入れ替わっただけ? 目まぐるしく動く2人に視力が追いつかない。
漠然とエーギンハルトさんが直線的、護衛の人が円を描いている、ように感じる。……たぶん。
ターバンから垂れた布がひらひらと舞い踊り、踊っているようにも見える。なんだか幻想的。
対等に渡り合っているように見えてたけど護衛の人だけ動きが見やすくなって来た。疲れて来たのかな? やがて試合終了の声がかかり、引き分けとなった。
「「かっこいいーーーー!!」」
「すごい! すごい……♡」
ディトマールくん達は声を揃え、マインラートくんは感極まっている。子供達はきゃーきゃーと喜び、フィールがウズウズしている。やっぱりフィールも武闘派だ。
「テオフィール、私達もひと勝負してからそいつらと手合わせ願わんか?」
「……だが」
「フィール、無理を言うけどおれを心配させないで? それなら手合わせして良いよ」
同じくウズウズしちゃったギュンターさんが最初の2人の疲労を考え、対等に勝負するための提案をして来た。
「わざわざそんな事しないで来いよ」
「ほう。負けて言い訳するなよ」
「ワタシもかまいません」
少しカタコトの護衛さんが乗ってくる。
エーギンハルトさん対ギュンターさん、フィール対護衛さん。
ディトマールくん達が置いてきぼりになってしまった。
「手合わせ、お預けだね」
「この勝負を見られるのならそのくらい構いません!」
「俺たちじゃまだ、全然本気を出してもらえそうもないから、見るだけでも良いです」
少し自信をなくしてしまったのか、ハラルドくんが弱気な発言をした。
「なっさけないねぇ!」
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