ほんのちょっと言語チート、くっださーいな!

香月ミツほ

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おお!っと王都で驚いた

仕切り直し!

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王子達は丁重に保護され、連れ戻された。

……デートの続き、って感じじゃなくなっちゃったなぁ、としょんぼりしてたらフィールが改めて着替えを買って仕切り直そう、と言ってくれた。丸一日の予定だから、と宿泊まで予約してあったとか。

この衣装は目立ちすぎるので大きなストールを被って行く。いや、これも目立つけどね? 羞恥心的にないよりマシ。

詰め所に近い最近オープンしたばかりのお店に入ったら双子ちゃんのお父さんのお店だった。

「「チサトだー……?」」
「チサトだよ」
「かおのいろがちがうー」
「へんなふくー」
「こら、お客さんに失礼だぞ」

不思議がっておれの周りをくるくる回る双子ちゃんを注意するお父さん。別に平気なのに。(笑)

「実は海に落ちて、貸してもらった服が落ち着かないので着替えを買おうとお邪魔しました」
「おお、そうでしたか。お世話になっていますから、1割引にいたしましょう!」
「良いんですか?」
「……ダメです」
「え?」
「あなたは恩人なんです!半額にしろとかタダにしろとか、ふっかけて頂かないと!」

北の国では値引き交渉を楽しむのだとフィールが笑いながら説明してくれた。そう言えば壁に張り紙が。でも値引き交渉はおれには難しい……、と言うか正直面倒くさい。

「すまないがチサトは駆け引きを楽しむことができないんだ。言い値で構わないから一揃い用意してくれ」
「残念です……」
「そこでしょんぼりされちゃうと、買い物に来られなくなります……」

釣られてしょんぼり返すと、双子ちゃんがフォロー(?)してくれた。

「やだー!」
「チサトきてー!」
「かわいいふく、あるよ!」
「ほら、みてー?」
「わっ!」

2人にグイグイ引っ張られ、ストールが落ちる。派手な服を見られてしまった。

「へんなふくのなかに、へんなふくー!」
「なかは? へんなふく、もっときてる?」
「普通! 中は普通! きゃー!!」

恥ずかしい下着の事は絶対に秘密だ!って思ったのに腰の巻きスカートをめくられた。

「おとななのに ふんどしだー」
「おしり まるみえー!」
「カッシュ! パト!」
「「きゃはははは!!」」

恥ずかしいから早く着替えたい。シャツ、ズボン、ベスト、サンダル、下着を選び、試着室で着替えた。恥ずかしい下着は衣装の中に入れてストールでぎゅうぎゅうに包んだ。

「これ、かわいいでしょ?」
「こっちのほうがかわいい!」

試着室から出ると双子ちゃんがそれぞれのお勧めの服を持って来て張り合っている。どちらがカスパーでどちらがパトリックか分からないけど、色違いで同じデザインの上下セットだ。

「めちゃくちゃかわいい! どっちもかわいいよ!」
「じゃあこれは?」
「かっこいい!」

今度は騎士服のミニチュア。
ミニチュアの可愛さは誰も否定できないよね。

「それは売り物じゃないだろ?」
「そうなんですか?」
「そいつらの服だ。まぁ、試作品だな」

お母さんが作ったらしい。でも着て行く場所がないんだって。フィールの誕生日に呼びたいなぁ。でも勝手に呼んで良いのかどうか……。

ハルトの誕生日パーティーで呼べないか、相談しよう。

結局3割引になってお礼を言って店を出る。そこに港内警備隊の人が通りかかった。

「あぁっ!? もう着替えちゃったんですか?」
「……あの服を用意した人、ですか?」
「はい……。気に入りませんでしたか?」
「目立ちたくないので、ちょっと…… あ、洗濯してお返ししますね」
「いえ、貰って下さい。実は絶対に恋人と盛り上がるよ!と言われて贈り物として買ったのに、一目見ただけで似合うわけないだろう!と拒否されまして……」

結構な値段だった事もあり、そのまま捨てられずにいたところ、おれを見て絶対似合う!と思って着替えを用意する役を買って出たらしい。

「でも本当に似合ってました! 少ししか見られなかったけど、ありがとうございました!!」

隊員さんは妙なお礼を言いながらパトロールに戻って行った。

変なの。
昼食の前に荷物になる衣装は宿に預かってもらった。




昼食はレストランを、とフィールは考えていたけど、おれがあんまり海鮮の串焼きをキラキラした目で見ているので屋台飯になった。でもそれも想定内だったようで予約はしてなかったんだって。さすがフィール!

だってこっちの串焼き、50cmもある魚なんだよ?巨大な串焼きってワクワクしない?

背びれがビシッと立ち上がったオコゼみたいな魚は頭は硬くて食べられないから買ったら外してくれる。背びれはパリパリして美味しかった。日本だとオコゼって背びれに猛毒があった気がするけど、形は似てても違うらしい。

他にも貝とか果物とか食べてお腹いっぱい。

ようやくフィールへのプレゼントが買える!
港の側はお土産屋さんが多いので街のお店で選ぶそうだ。

「フィールは何が欲しい?」
「チサトからもらえるなら何でも嬉しいが、いつでも身につけていられる飾りボタンをねだろうかと考えていた」
「飾りボタン?」
「あぁ。このシャツのボタンにかぶせて身につける物だ」

連れていかれたのは宝飾店。
実はもう注文してあるそうだ。えっ!?

「一緒に選ぶと言いながら勝手な事をしてすまない。だがどうしてもこれをチサトから贈って欲しかったんだ」
「あははは、良いよ! あ、お金、足りるかな?」
「足りなければ私が払うから気にしないでくれ」
「気にするよ!」

プレゼントなんだからちゃんとおれが払いたい。でも足りなかったら借りる。ちゃんと返す!!
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