ほんのちょっと言語チート、くっださーいな!

香月ミツほ

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おお!っと王都で驚いた

思いやりが大切?

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「ままー! だっこ!」
「ハルトただいま。ぎゅー!」
「チサトおかえりなさい。ダンスたのしい?」
「楽しいよ! アレクも踊る?」
「かあさまとおどるよ。ぼくじょうずだよ」
「すごいねぇ。後で踊ってくれますか?」
「よろこんで!」

ハルトを腰に乗せるように抱き、1、2、3、とリズムを取りながら歩く。するとアレクも1、2、3、とリズムを刻む。疲れてるけど子供達とリズム良く歩くのは楽しかった。

庭に出ていつの間にかできていたミニアスレチックで遊ぶ2人を眺める。ハルトはまだ小さいから板で作った坂道を上り下りしたり、段差によじ登ったりするだけ。でもアレクは柱を登ったりロープにぶら下がって揺れて遠くへ飛んだり、活発だ。

そろそろ騎士団に復帰するため鍛錬に余念がないエミールさんは地道に筋トレしてる。逆さ腹筋?とか逆立ち腕立て伏せとか。

……おれは木登りはできるけど逆立ちはできない。羨ましい。

「チサト、疲れてるなら孫たちは私が見るから休みなさい」
「ザシャさん。疲れてるけど眺めてるだけだから大丈夫です。これ、良いですね」
「この子達が遊べるように、ってトラウとオットーが作ったんだ。まったく、どっちが子供なんだか」

辻馬車の馭者のオットーさんは昔、お父さんがデーメル家の馭者さんだった縁でトラウゴットさんの幼なじみ。おとなしいオットーさんが強くてかっこいいトラウゴットさんに憧れるのは当然だったんだけど、恋愛的な憧れではないと言う。

でも仲が良くてすぐ2人で遊びに行っちゃうからザシャさんは面白くないらしい。オットーさんの伴侶がいた頃はその人がザシャさんのファンでザシャ様を独り占め! 2人の時間! って色々楽しんでたみたいなんだけど、その人が病気で亡くなってからはオットーさんも王都を離れてしまったと言う。

……フィールが死んじゃったりしたらどうしよう? って考えて涙が出てきてしまった。考えたくない!!

だから久々に会えてまた遊びまくるのは仕方ないんだけど、仲が良すぎるって。こんな時は男性しかいない世界って、誰とでも浮気できるから安心できない、のかも知れない。

2つ目のミニアスレチックができる日も近い。(笑)





2度目のダンスの授業。

ザシャ先生のお眼鏡に適ったのは8人だったので前回踊れなかった最後の1人と最初に踊り、またハラルドくんから順に踊った。

先週苦労してた4番手がとても上手に踊れて楽しかった。

「納得いきません!」

9番目の子がザシャ先生からダメ出しくらって怒ってる。8番目の子は良くて自分がダメなのは納得いかないようだ。どこがダメなんだろ?

「お前さんはフォローを振り回すだろう。独りよがりだ。それだとドレスの裾が邪魔になってチサトが危険だ」
「そんなはずは!」

「ザシャ先生、試しに踊ってみましょうか?」
「怪我させたらテオフィールがもうここへ来させなくなるよ」
「怪我なんてさせません!!」

と、9番目の彼が言うので試しに踊ってみた。

一歩が大きくてついていくのが大変だし、突然回されたり引っ張られたり。ダンスってこんなに大変だっけ?

「わっ!」
「しまっ!」

ドレスの裾に脚が絡まり、転びそうになった。9ちゃん(勝手に命名)が抱き込んで回転してクッションになってくれたから怪我はしなかったけどびっくりした。

「ごめん! 重いよね。守ってくれてありがとう」
「軽……いえ、……大丈夫ですか?」

大丈夫だと思ったけど、緊張を強いられていたせいか膝が笑って立てなかった。

「せんせー、医務室行く? 連れて行ってあげるよ!」
「わぁ! だ、大丈夫だから! 少し休めば歩けるよ」
「そんなに大変だった?」
「うーん、とにかくドレスの裾が絡まるのが怖くて緊張しっぱなしだったかな? わ!」

9ちゃんの胸の上に乗る形になってたおれをハラルドくんがお姫様抱っこで抱き上げて隅っこに座らせてくれた。9ちゃんが悔しそうな顔をしているけど、これから上達すれば良いんだよ。

「チサト先生軽い~!かわいい~!」
「そう言うのいいから。かわいいのはハルトだよ」
「ハルト、また抱っこしたいなぁ」
「連れては来られないけど遊びに来る?」
「良いの!?」
「良いと思うけど、家の人に聞いてみるね」
「やった!」

9ちゃんはその後は相手に合わせる踊り方に変化していた。



授業が終わる頃、歩けるようにはなったけどふらつくので今度はザシャさんに抱っこしてもらった。情けない……。

「そうだ、フォローの練習っていつ練習するんですか?」
「1年の時だよ」
「……なら1年生を相手に合同で練習すれば人手は足りるのでは?」
「……!! そうか!」

校舎が少し離れているし、カリキュラムが違うから、と別々にしていたのを伝統として続けていたらしい。すぐに手配するって。

「……チサト、合同練習になったとしても来てくれる?」
「もちろんです。でもお邪魔じゃないですか?」
「学生はご褒美があった方がやる気が出るからね」

ご褒美って事は当然ドレスだよね。ザシャさんが笑ってる……。
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