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おお!っと王都で驚いた
セクシーボイス
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「ありがとう! 楽しかったよー」
「おれも楽しかったです」
なんて会話をしながらフィール達の所に戻ったら大勢の人からダンスを申し込まれて狼狽えた。申し込んでくれた人たちに謝ってフィールの後ろに隠れたらみんな笑って引いてくれた。あぁ、良かった。
すぐに帰るつもりだったけど喉が渇いたので飲み物をもらい、リラックスついでに軽食もいただく。美味しい!!
ユリアヌスさん夫妻はまた踊りに行ったので少し休憩してさぁ帰ろうと思ってたら曲調が変わった。ホールがざっと開いて1人の人がくるくる回転しながら躍り出て、続いて4人も同じように登場した。更にたくさんの人が出てきてみんなで回転したりジャンプしたり複雑なステップを踏んだりしてめちゃくちゃかっこいい! 感動!!
群舞ってかっこいいなぁ。
興奮冷めやらず、ぼうっとホールを眺めていたら豪華な人が豪華な縦ロールを揺らしながら踊っているのが目に付いた。縦ロール! ぴよんぴよんって!!
初めて見る生縦ロールに見入っていたらその人と目が合ってしまった。ジロジロ見てごめんなさい。
「お嬢さん、1曲踊って貰えるかな?」
「え、あの……ごめんなさ……」
顔もスタイルも服装も豪華な人に誘われた。生縦ロールの人!!
「オスヴァルト殿下、申し訳ありませんが私達はそろそろ下がらせていただきます」
「1曲くらい良いじゃないか」
「若者を構いたいならデビュタントにいらっしゃれば良いでしょう」
「こんなに可愛い子、そういないだろう?」
「ご自分で探して下さい」
殿下って事はこの人ってきっと偉い人だよね。そんな対応で良いの?
「殿下、私と踊っていただけませんか?」
「わたくしと踊って下さい!」
「いいえ、ぜひわたくしと」
「あぁ、見つかってしまったな。では順番に」
「「「はい!」」」
ドレスの人とタキシードの人、民族衣装っぽい人のアプローチに応える縦ロールの人。見つかったも何も隠れてないじゃないかと思いながら、興味が他へ移ったと思ってほっとして気が緩んだ瞬間。
ぐいっと手を引かれ耳元で囁かれた。
『それじゃ、またね』
「!!!」
「しまっ!」
ただでさえ耳が弱いおれに低くて甘いセクシーボイスは媚薬のように作用した。身体の奥が痺れ、腰が砕け、半勃ちになっている。完勃ちじゃない。フィール以外の人の声で完勃ちなんて認めない!
「フィー……ル、帰……るぅ……」
「すぐに帰ろう!」
未成年に見せられない顔になったおれを隠すように抱き、大急ぎで馬車に乗って家に帰った。
「テオフィール! あれほど気をつけろと!!」
「オスヴァルト殿下が紛れ込んでいたんだ」
出迎えておれの顔を見たおばあちゃんがフィールのせいだと思って怒った。でもフィールが縦ロールさんの名前を出したらあちゃーって顔してため息をついた。
「フィール、はや、く……」
「あぁ、すぐに休ませてやる。ザシャ、ハルトを頼む」
「はぁ。いいよ、任せなさい」
腰が抜けたままのおれは部屋に運ばれていつも以上の甘々えっちで結局、朝になっても腰は抜けたままです。
「留学中だと聞いていたから説明していなかったのだが、オスヴァルト殿下は公爵家の次男で王位継承権第5位の王族だ。どうも声に魅了魔法を付与する事ができるようで何かとあのようなイタズラをするんだ」
迷惑な! でもそれなら完勃ちも仕方ない。いや、半勃ちだけど。
「パートナーがいる者からは喜ばれている」
「え?」
「妻から激しく求められたら喜ぶだろう?」
きゃー!!
フィールまで耳元で甘い声出さないで!
せっかく落ち着いたのにまた疼いちゃうから!!
もともとあの容姿と立場で引く手数多だからあの能力はあまり使わないらしいんだけど、小柄で華奢な好みの人にパートナーがいるとイタズラする事が多いらしい。
「とっくに成人しているのに子供のイタズラを」
「何歳?」
「18だ」
同い年!
20代半ばに見えたのに同い年!!
本気で困ってる人がいないなら良いけど、成人してるのに。でも人好きのする感じだったから可愛がられてるんだろうな。
「まぁま、かーいい、して?」
3語文! ハルトが成長した!!
またしても朝食に行けず、部屋で食べさせてもらったけど、今日はハルトも一緒。フィールと親子3人で小さなテーブルで食べてます。
そして食べ終わった所で髪飾りのリボンを見つけ、おれにつけろと要求する。初めての3語文おねだりに応えない訳にはいかない!!
「かわいい?」
「まま! かーいい!!」
小さな手でぱちぱちと拍手してくれる。癒される!
「ハルトもかわいいね」
「かーい?」
リボンをハルトの頭に乗せて褒めると、両手でリボンを押さえてにこっと笑う。可愛すぎるぅぅ!!
交代でリボンを乗せて遊んでいたら、フィールが何かを持ってきた。
「ほら、ハルト。ママと一緒だ」
「いっしょ! きゃー♡」
同じ布のリボンをハルトの頭に巻いて上でちょうちょ結びにし、同じようにおれにも結んで鏡を見せてくれた。
「あれく! いく!」
「え!? アレクに見せるの?」
「あい!」
ハルトに引っ張られて恥ずかしい姿で家の中を歩かされた……。
「おれも楽しかったです」
なんて会話をしながらフィール達の所に戻ったら大勢の人からダンスを申し込まれて狼狽えた。申し込んでくれた人たちに謝ってフィールの後ろに隠れたらみんな笑って引いてくれた。あぁ、良かった。
すぐに帰るつもりだったけど喉が渇いたので飲み物をもらい、リラックスついでに軽食もいただく。美味しい!!
ユリアヌスさん夫妻はまた踊りに行ったので少し休憩してさぁ帰ろうと思ってたら曲調が変わった。ホールがざっと開いて1人の人がくるくる回転しながら躍り出て、続いて4人も同じように登場した。更にたくさんの人が出てきてみんなで回転したりジャンプしたり複雑なステップを踏んだりしてめちゃくちゃかっこいい! 感動!!
群舞ってかっこいいなぁ。
興奮冷めやらず、ぼうっとホールを眺めていたら豪華な人が豪華な縦ロールを揺らしながら踊っているのが目に付いた。縦ロール! ぴよんぴよんって!!
初めて見る生縦ロールに見入っていたらその人と目が合ってしまった。ジロジロ見てごめんなさい。
「お嬢さん、1曲踊って貰えるかな?」
「え、あの……ごめんなさ……」
顔もスタイルも服装も豪華な人に誘われた。生縦ロールの人!!
「オスヴァルト殿下、申し訳ありませんが私達はそろそろ下がらせていただきます」
「1曲くらい良いじゃないか」
「若者を構いたいならデビュタントにいらっしゃれば良いでしょう」
「こんなに可愛い子、そういないだろう?」
「ご自分で探して下さい」
殿下って事はこの人ってきっと偉い人だよね。そんな対応で良いの?
「殿下、私と踊っていただけませんか?」
「わたくしと踊って下さい!」
「いいえ、ぜひわたくしと」
「あぁ、見つかってしまったな。では順番に」
「「「はい!」」」
ドレスの人とタキシードの人、民族衣装っぽい人のアプローチに応える縦ロールの人。見つかったも何も隠れてないじゃないかと思いながら、興味が他へ移ったと思ってほっとして気が緩んだ瞬間。
ぐいっと手を引かれ耳元で囁かれた。
『それじゃ、またね』
「!!!」
「しまっ!」
ただでさえ耳が弱いおれに低くて甘いセクシーボイスは媚薬のように作用した。身体の奥が痺れ、腰が砕け、半勃ちになっている。完勃ちじゃない。フィール以外の人の声で完勃ちなんて認めない!
「フィー……ル、帰……るぅ……」
「すぐに帰ろう!」
未成年に見せられない顔になったおれを隠すように抱き、大急ぎで馬車に乗って家に帰った。
「テオフィール! あれほど気をつけろと!!」
「オスヴァルト殿下が紛れ込んでいたんだ」
出迎えておれの顔を見たおばあちゃんがフィールのせいだと思って怒った。でもフィールが縦ロールさんの名前を出したらあちゃーって顔してため息をついた。
「フィール、はや、く……」
「あぁ、すぐに休ませてやる。ザシャ、ハルトを頼む」
「はぁ。いいよ、任せなさい」
腰が抜けたままのおれは部屋に運ばれていつも以上の甘々えっちで結局、朝になっても腰は抜けたままです。
「留学中だと聞いていたから説明していなかったのだが、オスヴァルト殿下は公爵家の次男で王位継承権第5位の王族だ。どうも声に魅了魔法を付与する事ができるようで何かとあのようなイタズラをするんだ」
迷惑な! でもそれなら完勃ちも仕方ない。いや、半勃ちだけど。
「パートナーがいる者からは喜ばれている」
「え?」
「妻から激しく求められたら喜ぶだろう?」
きゃー!!
フィールまで耳元で甘い声出さないで!
せっかく落ち着いたのにまた疼いちゃうから!!
もともとあの容姿と立場で引く手数多だからあの能力はあまり使わないらしいんだけど、小柄で華奢な好みの人にパートナーがいるとイタズラする事が多いらしい。
「とっくに成人しているのに子供のイタズラを」
「何歳?」
「18だ」
同い年!
20代半ばに見えたのに同い年!!
本気で困ってる人がいないなら良いけど、成人してるのに。でも人好きのする感じだったから可愛がられてるんだろうな。
「まぁま、かーいい、して?」
3語文! ハルトが成長した!!
またしても朝食に行けず、部屋で食べさせてもらったけど、今日はハルトも一緒。フィールと親子3人で小さなテーブルで食べてます。
そして食べ終わった所で髪飾りのリボンを見つけ、おれにつけろと要求する。初めての3語文おねだりに応えない訳にはいかない!!
「かわいい?」
「まま! かーいい!!」
小さな手でぱちぱちと拍手してくれる。癒される!
「ハルトもかわいいね」
「かーい?」
リボンをハルトの頭に乗せて褒めると、両手でリボンを押さえてにこっと笑う。可愛すぎるぅぅ!!
交代でリボンを乗せて遊んでいたら、フィールが何かを持ってきた。
「ほら、ハルト。ママと一緒だ」
「いっしょ! きゃー♡」
同じ布のリボンをハルトの頭に巻いて上でちょうちょ結びにし、同じようにおれにも結んで鏡を見せてくれた。
「あれく! いく!」
「え!? アレクに見せるの?」
「あい!」
ハルトに引っ張られて恥ずかしい姿で家の中を歩かされた……。
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