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結婚しても
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ーー チサト side ーー
アーベルの家は絵に描いたような幸せ家族で、おれの憧れそのものだった。
「しっかし、成人してるようには全然見えないな」
「そりゃあこの国の人達は大きいですけど」
「他から来たのか?」
「はい。だからまだこちらの常識に疎くて」
「そうか。ならオレが教えてやる!まずは酒の味を覚えろ!」
「いや、弱いん……うぶっ!」
「こんぐれぇ飲めんだろ!」
確かにおちょこ1杯くらいだけど結構強い……フィールの居ないところで飲んじゃダメって言われてるのに……
口の中も顔も一気に熱くなった。
「……こりゃ止めといた方がいいな」
「うぅ……怒られる……」
「怒られるのか? 過保護だなー」
「過保護ですよね!」
水をもらってお酒を薄めつつ、アーベルの「かほごってなぁに?」の質問に「心配し過ぎって事だよ」と説明した。
赤ちゃんかわいい。
「チサトせんせー、おとうさんちからもちなの! みてみて!」
「わ、すごい! 良いなー!」
「せんせいもやってもらう?」
「良いの?」
誘われるままアーベルと交代したりバルドゥルと交代したりして肩に乗せてもらった。
「ヴィルギルさんすごい! かっこいい!」
「力競べなら隊長に勝てそうなんだがな」
「こんど、うでずもうやって! たいちょーさんと!」
「頼んでみるか」
がははと豪快に笑うヴィルギルさんに担ぎ上げられているとフィールが迎えに来た。
トントントン
「警備隊隊長、デーメルだ。チサトの迎えに来た」
「おかえりなさーい!」
担がれていなかったアーベルが扉を開けてフィールを迎え入れた。この家は玄関入ってすぐに広めのリビングがあるので、リビングのドアを開け放すと玄関につながる。
「フィール、おかえりなさい。ヴィルギルさん力持ちなの!」
「おとうさんすごいの! チサトせんせいも かついじゃうの!」
「試合は負けたが力比べなら負けないぞ!」
子供達と一緒になって担がれてるおれを見て、フィールが呆れてる……?
「隊長さん、うちのダンナが調子に乗っててすみません。成長した息子を見るようでかわいくなっちゃって」
「……もしかして酒を?」
「ほんの少しだったんですけど……弱いんですね」
「お酒はちょっとしか飲んでない! ダイジョーブ!」
心配させないように言ったけど信じてない?ホントに大丈夫だよ!
お母さんとフィールの話を聞いてたらもうドレスは着なくて良さそうで安心!
「ありがとう。では」
「「チサトせんせー、おやすみなさーい」」
「おやすみなさーい」
「気ぃつけて帰れよー」
2人で歩く帰り道、ずっと考えていた不安を口にした。
「おれ、赤ちゃん……産めないと思うよ……」
「急にどうしたんだ?」
転生じゃないし、おれの身体に女性の機能はない。だから結婚しても子供は望めない。アーベルの家のような幸せは望めない。フィールはそれで良いのかな。
「私はチサトを独り占めしたくて結婚したいんだ。だから子供はできてもできなくても良い」
「産めなくても良い……?」
「チサトが側にいてくれるならそれ以上の事は望まない。子供が欲しくなったら孤児院から引き取る手もあるだろう」
こちらでもなかなか子供ができない夫婦も普通にいるし、そこは気にしなくて良いって。純粋におれを欲しがってくれる。
……すごく嬉しい。
「うふふ……フィール、ありがと」
おれは夕飯をご馳走になったからフィールだけ簡単な物を食べてお風呂に入った。疲れているだろうから洗ってあげたんだけど、何となくイタズラしちゃってやり返されて、お風呂を出る前に我慢ができなくなってしまった。
快感を教え込まれた後孔が疼いて堪らない。
「あのね、も……入れて欲しいの」
「だがここでは上気せるぞ?」
「ん。だから、あの……入れて、そのまま運んで?」
なぜこんな事をねだったのか。
いわゆる「駅弁」。
抱きつきたくて繋がりたくて選んだ、のだと思うけど、深く小刻みに突かれて浴室からベッドまでの短時間でイってしまった。
勝手に気持ち良くなっちゃって恥ずかしく思ってたらフィールも限界だったらしい。
「悪いが、私も限界だ」
「ひゃうっ!!」
イったばかりのおれを気遣っての事なのかどうか分からないけど、敏感過ぎるポイントを狙わないような抽送を繰り返す。それが寧ろ寸止めになってしまってるのに!
結局その後、2回絶頂し、イキっ放しを経験したような気がする。……たぶん。
うぐぐぐぐ……
は……!
恥ずかしいぃ!!
おれ甘え過ぎ!
いくらなんでも甘え過ぎ!!
うぅぅ……でも気持ち良かった。思い出すとお腹というか腰というか、とにかくその辺がきゅうっとなる。でも謝られるのは絶対違う。
……気持ち良かった。
そして着替えていると昨夜気づかなかったキスマークが目に入った。今夜は孤児院に泊まる日なのに……ここ、自分からねだったような気がしなくもない。
恥ずかし過ぎる事は忘れる!!
覚えてない!おれは覚えてないんだ!!
今夜、思い出しちゃったらどうしよう……。
孤児院ではカイがちゅーしてくれなくなり、他の子もブームが去ったかのように何も言ってくれなくなった。昨夜えっちしたから明日の朝までは大丈夫なはず。
と思ってたんだけど。
朝になっても言葉は分かるままだった。
アーベルの家は絵に描いたような幸せ家族で、おれの憧れそのものだった。
「しっかし、成人してるようには全然見えないな」
「そりゃあこの国の人達は大きいですけど」
「他から来たのか?」
「はい。だからまだこちらの常識に疎くて」
「そうか。ならオレが教えてやる!まずは酒の味を覚えろ!」
「いや、弱いん……うぶっ!」
「こんぐれぇ飲めんだろ!」
確かにおちょこ1杯くらいだけど結構強い……フィールの居ないところで飲んじゃダメって言われてるのに……
口の中も顔も一気に熱くなった。
「……こりゃ止めといた方がいいな」
「うぅ……怒られる……」
「怒られるのか? 過保護だなー」
「過保護ですよね!」
水をもらってお酒を薄めつつ、アーベルの「かほごってなぁに?」の質問に「心配し過ぎって事だよ」と説明した。
赤ちゃんかわいい。
「チサトせんせー、おとうさんちからもちなの! みてみて!」
「わ、すごい! 良いなー!」
「せんせいもやってもらう?」
「良いの?」
誘われるままアーベルと交代したりバルドゥルと交代したりして肩に乗せてもらった。
「ヴィルギルさんすごい! かっこいい!」
「力競べなら隊長に勝てそうなんだがな」
「こんど、うでずもうやって! たいちょーさんと!」
「頼んでみるか」
がははと豪快に笑うヴィルギルさんに担ぎ上げられているとフィールが迎えに来た。
トントントン
「警備隊隊長、デーメルだ。チサトの迎えに来た」
「おかえりなさーい!」
担がれていなかったアーベルが扉を開けてフィールを迎え入れた。この家は玄関入ってすぐに広めのリビングがあるので、リビングのドアを開け放すと玄関につながる。
「フィール、おかえりなさい。ヴィルギルさん力持ちなの!」
「おとうさんすごいの! チサトせんせいも かついじゃうの!」
「試合は負けたが力比べなら負けないぞ!」
子供達と一緒になって担がれてるおれを見て、フィールが呆れてる……?
「隊長さん、うちのダンナが調子に乗っててすみません。成長した息子を見るようでかわいくなっちゃって」
「……もしかして酒を?」
「ほんの少しだったんですけど……弱いんですね」
「お酒はちょっとしか飲んでない! ダイジョーブ!」
心配させないように言ったけど信じてない?ホントに大丈夫だよ!
お母さんとフィールの話を聞いてたらもうドレスは着なくて良さそうで安心!
「ありがとう。では」
「「チサトせんせー、おやすみなさーい」」
「おやすみなさーい」
「気ぃつけて帰れよー」
2人で歩く帰り道、ずっと考えていた不安を口にした。
「おれ、赤ちゃん……産めないと思うよ……」
「急にどうしたんだ?」
転生じゃないし、おれの身体に女性の機能はない。だから結婚しても子供は望めない。アーベルの家のような幸せは望めない。フィールはそれで良いのかな。
「私はチサトを独り占めしたくて結婚したいんだ。だから子供はできてもできなくても良い」
「産めなくても良い……?」
「チサトが側にいてくれるならそれ以上の事は望まない。子供が欲しくなったら孤児院から引き取る手もあるだろう」
こちらでもなかなか子供ができない夫婦も普通にいるし、そこは気にしなくて良いって。純粋におれを欲しがってくれる。
……すごく嬉しい。
「うふふ……フィール、ありがと」
おれは夕飯をご馳走になったからフィールだけ簡単な物を食べてお風呂に入った。疲れているだろうから洗ってあげたんだけど、何となくイタズラしちゃってやり返されて、お風呂を出る前に我慢ができなくなってしまった。
快感を教え込まれた後孔が疼いて堪らない。
「あのね、も……入れて欲しいの」
「だがここでは上気せるぞ?」
「ん。だから、あの……入れて、そのまま運んで?」
なぜこんな事をねだったのか。
いわゆる「駅弁」。
抱きつきたくて繋がりたくて選んだ、のだと思うけど、深く小刻みに突かれて浴室からベッドまでの短時間でイってしまった。
勝手に気持ち良くなっちゃって恥ずかしく思ってたらフィールも限界だったらしい。
「悪いが、私も限界だ」
「ひゃうっ!!」
イったばかりのおれを気遣っての事なのかどうか分からないけど、敏感過ぎるポイントを狙わないような抽送を繰り返す。それが寧ろ寸止めになってしまってるのに!
結局その後、2回絶頂し、イキっ放しを経験したような気がする。……たぶん。
うぐぐぐぐ……
は……!
恥ずかしいぃ!!
おれ甘え過ぎ!
いくらなんでも甘え過ぎ!!
うぅぅ……でも気持ち良かった。思い出すとお腹というか腰というか、とにかくその辺がきゅうっとなる。でも謝られるのは絶対違う。
……気持ち良かった。
そして着替えていると昨夜気づかなかったキスマークが目に入った。今夜は孤児院に泊まる日なのに……ここ、自分からねだったような気がしなくもない。
恥ずかし過ぎる事は忘れる!!
覚えてない!おれは覚えてないんだ!!
今夜、思い出しちゃったらどうしよう……。
孤児院ではカイがちゅーしてくれなくなり、他の子もブームが去ったかのように何も言ってくれなくなった。昨夜えっちしたから明日の朝までは大丈夫なはず。
と思ってたんだけど。
朝になっても言葉は分かるままだった。
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