ほんのちょっと言語チート、くっださーいな!

香月ミツほ

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約束

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ーー デーメル side ーー

チサトと触れ合える小さな湯船は素晴らしい。
多少、反応したがチサトは意識しつつも嫌がりはしなかった。

そして湯上りに着て見せてくれた服はやはりとても良く似合っていた。だがほっそりとした白い足が剥き出しで視線が吸い寄せられる。あの時はロングパンツにして正解だった。

チサトは自分が性的な目で見られる事に慣れていないようで、恥ずかしがる理由は子供っぽいからだと言う。確かに多くの人間はチサトを気に入ったとしても成長したら結婚してくれ、と将来性に期待するだけでいきなり欲情する事はない、と思う。

「フィールの方がなんでも似合うよ?」
「……私にそのショートパンツが?」
「似合う、かも……知れない……かな?」
「「ぷっ!!」」

とぼけてみれば楽しげに笑う。
そして気にかかっていたのかギゼを勝手に誘ったことを謝罪した。

「我慢はしたが嫌だった訳ではない。私だってギゼが寂しいなら慰めたいと思う」
「ありがとう」

ソファに並んで座り、頭を肩に乗せてくる。優しく撫でれば心地良さそうにうっとりと目を閉じた。

「眠るなら着替えるか?」
「ん…… むー…… 着替えさせてぇ……」
「しかたないな」

余程疲れたのか珍しい甘え方をする。こんな要求ならいくらでも叶えたい。

服を脱がせ、シルクの寝間着を着せる。下着はいつものふんどしだった。このタイプは横から覗けてしまうので破壊力が……困る。ドレスの時の布面積の少ない下着もそそるが万が一誰かに見られたら嫌だし、成人なのだからトランクスに替えよう。

「……ぁ、ん……」

……っ!!
ダメだ! 本人の意識がないのに勝手な事をするなんて!!
堪えきれずに触れてしまった胸を隠すように寝間着のボタンを留めた。
そして腕の中で安心しきってすやすやと眠っているにも関わらず、寝返りを打って滑らかな足を絡めてくるので理性と欲望が戦うことになり、なかなか寝付けなかった。




ふにふにとした感触と、それに続く小さく柔らかいものがぬるりと唇の隙間に入り込む感触。

「ちゅ……んふぅ……ぁん……」
「……ん、はぁ……おはようチサト。素敵な起こし方だね」

「えへへ……昨日は寝ちゃってごめんなさい」

疲れていたんだろうに謝るなんて。わざわざ抱きしめて良いか聞くと、良い返事をして抱きついてきた。良い朝だ。

「それで、実はもう1日休みを取ってあるんだ。今日は2人でゆっくりしよう」
「えっ!? そうなの?」

私はお飾りとは言え護衛だったので仕事をしていた事になる。だから今日は休暇だ。

「まずは何をしたい?」
「朝ごはん! あと洗濯!」

朝食は芋にベーコンとチーズをのせてオーブンで焼いた物とリュコのスープ。温野菜サラダ。今日も美味しい。
一緒に洗濯をして干せば次は2人で外出だ。

「そう言えばコリンに会いに来てくれとオルトが言ってたな」
「コリンさん! 行きたい!」
「いつでも来いと言っていたが、今日は都合を聞くだけ聞いてみるか?」
「うん!」

コリンは実家の店を手伝っているはずなので、店の方へ行く。

「こんにちは~」
「いらっしゃ…… あ! チサトくん!!」
「コリンさん! こんにちは」

色々な生活用品を売る雑貨屋で奥の椅子にちょこんと腰掛けるコリンがチサトを見て立ち上がった。

「ぅわっ! ととと……」
「どうしたんですか?」
「いやぁ、新商品を試してくれって言われてね。体が弾んで早く歩ける靴らしいんだけどバランスが取りにくくて困ってるんだ」
「ドクターNのぴょんぴょんシューズ……広い所で遊べたら楽しそうですね……」
「ぴょんぴょんシューズ……?」
「あ、似たものを見た事があって……」
「それは危なくなかった? これ足で着地できないと怪我するんだよ?」
「…………………………ええと」

新商品だと言っているのに見た事があるのか?
車椅子といいこれに似たものといい、向こうの世界には色々な物があるようだ。

「コリン、オルトが飲みに来いと言っていたんだがいつが良い? 都合の良い日を聞かせてくれ」
「いつでも良いよ! でも2~3日前に言ってくれると得意料理の仕込みができるかな?」
「どんな料理なんですか?」
「燻製だよ。つまみには最適なんだから!」
「食べたいです!」
「じゃぁ明後日の夜に来て。美味しいの作って待ってるから!」
「はい!!」

オルトもコリンの燻製肉が絶品だと自慢していたな。良い酒を持って行こう。

それから1番小さなトランクスを買って店を出て、酒屋で酒を注文し、昼をどこかで食べようと町を歩いている時だった。

「わぁ、かわいい」
「ん?」
「ほら、あの子」

5歳くらいの小さな子供がさらに小さな3歳くらいの子供の手を引いている。可愛らしいが親はどこにいるのか?

「あぁ! 泣き出しちゃった! 行こう!」

小さな方が大きすぎるカゴを持て余して買った卵と果物を落としてしまったようだ。オロオロする兄も今にも泣きそうだ。

「大丈夫? お手伝いして良い?」
「……だれ?」
「孤児院の先生だよ。あと、こっちの人は警備隊の隊長さん」
「けいびたい……」
「確かに隊長さんだよ。隊長さん、この子達はもうすぐ弟が産まれるから2人で頑張ってるんだ」
「弟が?えらいね! 手伝っても良いかな?」
「や! じぶんで!!」

チサトの申し出は小さい方の子に拒否されてしまった……。
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