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玉ねぎはやっぱり目に滲みる!
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『何もしないから』と言われてデ……フィールのベッドで眠った。
まさか本当に何もしないなんて……!!
いや、でも検証実験のためには間を置かないとだし、き、期待していた訳じゃないし!!
で、朝です。
喋れませんでした。
「……ふっ、んぁっ……はっ……」
ちゅっ
「おはよう、チサト」
「はっ……ふっ……うぅ……お……おはようございます」
朝の挨拶くらい言えるようになったのに……
「ダメだったかな?」
「……いえ、助かります」
気持ちよくなっちゃうのが恥ずかしいだけです。
って!! デーメルさんも勃ってる!
「ごく当たり前の反応だから気にしないでくれ」
「そっ、そうですよね! 普通ですよね! 朝食作りますから鍛錬して下さい!」
逃げるように部屋を出て着替えて朝食を作る。冷蔵庫もあるので常備菜とか作れると良いなぁ。あと、この前のツマミ美味しかったな。お店の事、デーメルさん知ってるかな?
「オルトが買って来たからオルトに聞いてみよう」
今度食べる時はしっかり味わって再現するぞー!
いつも通り子供達と仲良く遊んで、夕方は2人とべろちゅーした。
違ったのは昼間、夕飯は店に食べに行くからな、と副隊長さんがわざわざ言いに来てくれた事。あの美味しいツマミを出すお店は料理自慢の酒場で、運が良ければレシピを教えてもらえるらしい。持ち帰り分の夕食は作らずに迎えを待った。
「チサト、お迎えが来ましたよ」
「ありがとうございます。みんな、また明日!」
「「「「「さよーならー!」」」」」
「よう!」
玄関に出てみると迎えに来たのは副隊長さんだった。
デーメルさんは隣町の領主さまの突然の来訪に護衛が足りないと駆り出され、遅れて来ると言う。隣町の領主さまは悪い人ではないんだけどフットワークが軽すぎるらしい。なるほど。
おしゃべりしながら案内されたお店は20人くらい入れそうなお店。
どこの建物もそうだけど石造りで木の扉で窓はあるけど小さい。春先に突風が吹くから大きな窓は危険なんだって。まだ早い時間だからお客さんは6人ほど。
「アライ! こいつに美味いもん食わせてやってくれ」
「うちに不味いものなんかないよ!」
「この前土産に持って行った料理をこいつが美味い美味いって喜んで、また食べたいって言ってな?」
「そう言う事かい。なら腕によりをかけて美味しいもの食べさせてやるからね!!」
「俺は酒、こいつは果実水を頼む」
「あいよ!」
挨拶する隙がなかった……。
アライさん?日本人の名前みたいだけど、そんなはずないよね。顔立ちは……こっちの人だ。
「ほら、たくさんお食べ。副隊長の奢りだから遠慮すんじゃないよ!」
「その通りだ。どんどん食って大きくなれよ」
「あはははは、いただきます」
世話好き2人には逆らいません!(笑)
アライさんは男の人だけどぽっちゃり系で女将さん、って感じ。
いろんな料理が出てきて、副隊長のお腹に見る見る入っていく。ツマミは飲み物じゃないと思うんだけど。全部の味見をさせてもらったらそれだけでお腹いっぱいになってしまった。
「お腹いっぱいです。全部美味しかった~♡」
「量は少ないけど美味しそうに食べてくれたね。ほら、おまけ」
「プーチェ!」
粒が少なくてスカスカしてるけど、間違いなくぶどうだ。前にデーメルさんが孤児院に持ってきてくれたっけ。あの時はカイが汁で手をベタベタにして、その手でパウルに触って喧嘩になったんだっけ。
「ふわぁ、甘~い!」
「……可愛いぃ~! アンタ、成人したらうちで働かないかい? 料理を教えてやるし、いつでも美味いまかないが食べられるよ!」
「……すみません、ぼくもう成人してて孤児院で働いてるんです。料理は覚えたいんですけど……」
「成人してる!?」
驚くアライさんを副隊長さんがにやにやしながら見ていた。
「なら仕方ない。気が変わったらいつでもおいで。なんなら今日も1品くらい作ってみるかい?」
「良いんですか!?」
おれは腰に巻くタイプのエプロンを借り、長いので腰ではなく胸に巻きつけて野菜を切って茹で、肉の塊を焼いた。肉は薄切りにして盛りつける。ローストビーフっぽい。
肉にはオリジナルのミックスハーブが揉み込んであると言う。肉に合う配合だそうでレシピをざっくり教えてくれた。
肉は薄切りと言っても1cmくらい。
もっと薄く切ったらダメ出しされた。
「塩玉ねぎダレも作ってごらん?」
玉ねぎは見慣れた物と同じだった。
自動翻訳バッチリだね!
みじん切りにしてワインビネガーとハーブソルトと果実オイルを混ぜ合わせて完成!なんだけど、玉ねぎだけに目にしみる。
「アンタ包丁さばきは中々だけど、これはまだ難しかったねぇ」
「大丈夫でず……!ぢょっどじみるだげでず」
アライさんにも副隊長さんにも笑われた。
「チサト、どうしたんだ!?」
「あ、デーメルざん……おづがれざまでず……」
おれが泣いてるから心配させてしまったけど、玉ねぎのせいだから仕方ない。
まさか本当に何もしないなんて……!!
いや、でも検証実験のためには間を置かないとだし、き、期待していた訳じゃないし!!
で、朝です。
喋れませんでした。
「……ふっ、んぁっ……はっ……」
ちゅっ
「おはよう、チサト」
「はっ……ふっ……うぅ……お……おはようございます」
朝の挨拶くらい言えるようになったのに……
「ダメだったかな?」
「……いえ、助かります」
気持ちよくなっちゃうのが恥ずかしいだけです。
って!! デーメルさんも勃ってる!
「ごく当たり前の反応だから気にしないでくれ」
「そっ、そうですよね! 普通ですよね! 朝食作りますから鍛錬して下さい!」
逃げるように部屋を出て着替えて朝食を作る。冷蔵庫もあるので常備菜とか作れると良いなぁ。あと、この前のツマミ美味しかったな。お店の事、デーメルさん知ってるかな?
「オルトが買って来たからオルトに聞いてみよう」
今度食べる時はしっかり味わって再現するぞー!
いつも通り子供達と仲良く遊んで、夕方は2人とべろちゅーした。
違ったのは昼間、夕飯は店に食べに行くからな、と副隊長さんがわざわざ言いに来てくれた事。あの美味しいツマミを出すお店は料理自慢の酒場で、運が良ければレシピを教えてもらえるらしい。持ち帰り分の夕食は作らずに迎えを待った。
「チサト、お迎えが来ましたよ」
「ありがとうございます。みんな、また明日!」
「「「「「さよーならー!」」」」」
「よう!」
玄関に出てみると迎えに来たのは副隊長さんだった。
デーメルさんは隣町の領主さまの突然の来訪に護衛が足りないと駆り出され、遅れて来ると言う。隣町の領主さまは悪い人ではないんだけどフットワークが軽すぎるらしい。なるほど。
おしゃべりしながら案内されたお店は20人くらい入れそうなお店。
どこの建物もそうだけど石造りで木の扉で窓はあるけど小さい。春先に突風が吹くから大きな窓は危険なんだって。まだ早い時間だからお客さんは6人ほど。
「アライ! こいつに美味いもん食わせてやってくれ」
「うちに不味いものなんかないよ!」
「この前土産に持って行った料理をこいつが美味い美味いって喜んで、また食べたいって言ってな?」
「そう言う事かい。なら腕によりをかけて美味しいもの食べさせてやるからね!!」
「俺は酒、こいつは果実水を頼む」
「あいよ!」
挨拶する隙がなかった……。
アライさん?日本人の名前みたいだけど、そんなはずないよね。顔立ちは……こっちの人だ。
「ほら、たくさんお食べ。副隊長の奢りだから遠慮すんじゃないよ!」
「その通りだ。どんどん食って大きくなれよ」
「あはははは、いただきます」
世話好き2人には逆らいません!(笑)
アライさんは男の人だけどぽっちゃり系で女将さん、って感じ。
いろんな料理が出てきて、副隊長のお腹に見る見る入っていく。ツマミは飲み物じゃないと思うんだけど。全部の味見をさせてもらったらそれだけでお腹いっぱいになってしまった。
「お腹いっぱいです。全部美味しかった~♡」
「量は少ないけど美味しそうに食べてくれたね。ほら、おまけ」
「プーチェ!」
粒が少なくてスカスカしてるけど、間違いなくぶどうだ。前にデーメルさんが孤児院に持ってきてくれたっけ。あの時はカイが汁で手をベタベタにして、その手でパウルに触って喧嘩になったんだっけ。
「ふわぁ、甘~い!」
「……可愛いぃ~! アンタ、成人したらうちで働かないかい? 料理を教えてやるし、いつでも美味いまかないが食べられるよ!」
「……すみません、ぼくもう成人してて孤児院で働いてるんです。料理は覚えたいんですけど……」
「成人してる!?」
驚くアライさんを副隊長さんがにやにやしながら見ていた。
「なら仕方ない。気が変わったらいつでもおいで。なんなら今日も1品くらい作ってみるかい?」
「良いんですか!?」
おれは腰に巻くタイプのエプロンを借り、長いので腰ではなく胸に巻きつけて野菜を切って茹で、肉の塊を焼いた。肉は薄切りにして盛りつける。ローストビーフっぽい。
肉にはオリジナルのミックスハーブが揉み込んであると言う。肉に合う配合だそうでレシピをざっくり教えてくれた。
肉は薄切りと言っても1cmくらい。
もっと薄く切ったらダメ出しされた。
「塩玉ねぎダレも作ってごらん?」
玉ねぎは見慣れた物と同じだった。
自動翻訳バッチリだね!
みじん切りにしてワインビネガーとハーブソルトと果実オイルを混ぜ合わせて完成!なんだけど、玉ねぎだけに目にしみる。
「アンタ包丁さばきは中々だけど、これはまだ難しかったねぇ」
「大丈夫でず……!ぢょっどじみるだげでず」
アライさんにも副隊長さんにも笑われた。
「チサト、どうしたんだ!?」
「あ、デーメルざん……おづがれざまでず……」
おれが泣いてるから心配させてしまったけど、玉ねぎのせいだから仕方ない。
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