可愛がって下さい。

香月ミツほ

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4 モテまくってます。

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お店で隠居さんにカナッペを食べさせてもらってたら、ヤマネさんと、この町の観光案内をしてくれたが何か揉めながら入って来た。その人はメルさんと言う名前だった。

「いらっしゃいませ~!」

2人に声をかけて席を立とうとしたらご隠居さんが

「まだお返ししてもらってないぞ?」

って言うからカナッペをあーんって食べさせた。あれ?ヤマネさん達が驚いてる。

「この店は経営方針を変えたのか?」

「俺がやらせてる訳じゃない、ミッツが楽しく仕事してるだけだぞ。始めは止めてたんだが、雰囲気は悪くなってないし売り上げがかなり増えたから気にしない事にした。」

ぼく、役に立ってるんだ!
お客さんに甘えてるだけだけど。

「ヤマネさん、メルさん、ご注文は?」

「ピザをミッツに食べさせると指を舐めてもらえるサービスが付くぞ。」

「それサービスだったんですか!?
ただのイタズラじゃないですか!!」

お客さんが面白がるからやってたのに。2人はスペシャルピザとデラックスピザを注文してくれた。

「お2人はお友達だったんですね。」

即座に否定が返って来た。マスターがそいつら落とした相手の数を競ってるようなロクデナシだ、と失礼な説明をした。

「お2人共、すごく優しい良い人でしたよ。その上こんなにかっこいいんだからモテるのは当たり前でしょう?」

そう言ったら2人は頬を染めて俯いて気まずそうにしている。ぼく、変な事言ったかな?

「でもマスターの話を聞いてピザ注文したって事は、イタズラは好きなんですね。」

かっこよくて優しくてイタズラ好きなんて最高だと思う。いちゃいちゃしまくれるじゃん!
そんなおしゃべりをしてたらピザができたので運ぶ。先にできたのはメルさんのスペシャルピザ。

「熱いから気をつけて下さいね。」

そう言って口元に一切れ差し出すと、三口で食べて飲み込んでからぼくの指を舐める。れろれろと舐められてちょっと気持良くなっちゃって恥ずかしい。仕返しに動き回るメルさんの舌をぬるぬると撫で回したら、メルさんが甘いため息をついた。色っぽい~~~!

今度は一切れ食べさせてもらって、差し出された指を舐める。やられたように舐め回すとメルさんがどんどん色っぽくなった。

「メルさんそんなに色っぽい顔しちゃダメですよ?」

クスクス笑いながらからかうような事を言ってたらヤマネさんのデラックスピザができた。メルさんにじっくり指を舐められたので手を洗ってからピザを運ぶ。

「メルの後…」

やっぱり気になるみたい。飲食店なんだから洗いましたよ!って言ったらホッとしてる。
はい、あーん。

2口で食べてべろっと舌なめずりみたいにして、目がぎらついてる。それだけでちょっとぞくっとしちゃった。手首を掴まれて指をしゃぶられてワイルドに笑われるとエッチな気分になっちゃいそう。

「やだぁ…恥ずかしい…」
「その手を放せよ、おっさん。やり過ぎなんだよ。」

声の方を見ると優しい癒し系のタヌキの獣人・キアヌさん、だと思うんだけどすごい顔で睨んでて声もドスが利いている。タヌキだけに化けたのかな?
タチバナさんも一緒だ。

「ピザを頼むとミッツの指を舐められるサービスがついて来るとマスターに言われたんだが?」
「いつからそんなシステムに!?」
「今日から。」
「それ思いつきって事ですよね!?」

会話のキャッチボールだ!じゃなくて。

「ミッツが嫌がる事をしなければいいんじゃないか?」

あ、ご隠居さん!

「これほど可愛くて優しくて甘えん坊なんだからモテまくりで当然だろう。」
「あ、あ、あ、甘えん坊って…!!」

その表現は恥ずかしい!事実だから余計に恥ずかしい!!

「嫌じゃないのか?」

キアヌさんが少し怖い。

「あんまり本気で舐められるとエッチな気分になっちゃうから困りますけど、イタズラしあうのは楽しいですよ?」

キアヌさんは急に悲しそうな顔になって仕事の邪魔してごめん、って。心配してくれたんだよね?

「心配してくれて嬉しいです。また泊りに行って良いですか?」
「「「泊るならうちに!」」」

他の3人が口を揃えて言った。

「ミッツはうちに来たいと言ってるんだ。」
「社交辞令だろう?」
「情けない顔してたからでしょ。」
「うちにはまだ泊ってないから来てよ!」

「あの…ヤマネさんあの朝、機嫌悪かったけど、また泊っても良いんですか?」

「あれは!…その…」

ぼくが何か悪い事しちゃったのかと思ってたんだけど、違うのかな?

「違う!…経験なさそうだったから言いくるめて手を出してやろうと思ってたのに、俺が…この俺が!!あんなにすぐイかされるなんて!!って、ショックで自信無くして落ち込んでたんだ!!」

「お前もか!!」

ヤマネさんの告白にキアヌさんが乗っかる。寝ぼけた僕に朝勃ちを扱かれてあっという間にイかされた、って。経験が少ない自覚があったからそこまで落ち込まなかったらしい。

「お前ら直接触られたならまだ良いよ!オレ、押し倒されて首筋と乳首舐められただけでイったんだぞ!どれだけショックだったか…」

「僕も背中や腰を撫で回されて甘噛みされただけでイっちゃったのを、どうにかごまかしたんです!」

え?そうだったの?

「お前、容赦ないな…」

マスター!ぼくが悪いんですか!?悪気なんかひとかけらも無かったのに!

「ご、ごめんなさい…」

仲良くしてただけのつもりだったけど、セクハラだったのかな?悪い事しちゃったな…。

「謝って欲しい訳じゃない!恋人になりたいんだ!」
「独り占めしたい。」
「いちゃいちゃしたい。」
「2人で気持良くなりたい!」

どうしよう。まだ恋人を選ぶには早いと言うか決め手に欠けると言うか、とにかく情報が足りない。

「えっと、もっと良く知らないときちんと選べないので待ってもらえますか?」

「分かった。」
「待ってる。」
「選んでもらえるよう頑張るよ。」
「待ちますね。」

4人の了承を得て、ローテーションで泊めてもらう事になった。今夜はまだ行った事が無いメルさんのおうち。誰を選ぶ事になるか分からないけど、いっぱい可愛がってくれる人が良いな。

「みなさんよろしくお願いします!」

ぺこりと頭を下げたぼくの頭をご隠居さんが撫でながら、よく考えるんだよ、と言ってくれた。
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