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記憶喪失……?

2-11 裸のおつきあい?

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「半舷上陸になるが、タカラはどうする?」
「半舷上陸って?」
「乗組員を半分残すんだ。もし船が流されても操船できるようにな」

島には入江があって小舟用の船着場はあるけど大きな船が停泊できる港がないこの島では沖に錨を下ろして停泊する。その場合潮流によって船が流される可能性があるらしい。この前、他の港でも半分だけ上陸、ってやってたな。エンジンキーとかないから港があっても船を盗まれる可能性があるのか。

拠点では港の自警団と契約しているいるから船を空にしても大丈夫。ふむふむ。

「揺れない大地が恋しいから降りていい?」
「かまわん。まぁ、船に戻りたくなったら言えよ。出発は3~4日後の見込みだ」
「うん、分かった」

半舷上陸は1泊ずつ交代で船を降りる。
だけど酔わないながら船に慣れていないオレはなるべく地上にいたい。

まともに歩けないからね!

今回はノア船長、ハリー、料理長、ゴリマッチョのマックス、にやけ顔のベニグノ、そしてオレの6人が船を降りた。



*******



「ありが、と、ごザマス」
「あぁ、間に合ったようで良かったよ」
「凪、神のみわざ。もんたいない」

長老っぽい人が船長と喋ってるけど、なんだかカタコトだ。こちらに来て初めてカタコト聞いたけど、どこに行っても同じ言語、って訳じゃないのか。

(良い男だねぇ)
(アタシは向こうの人がいいわ)
(早く宴が始まらないかしら)

ん?
少し離れたところに集まってる女性たちの言葉は流暢だな。長老がカタコトなのはなぜ?

「こんや、うたげ、する。なかよし、たくさん、ほしい」

あれ?
さっき流暢に喋ってた女性が、船長に向かってカタコトで喋ってる。それがここの丁寧語なの?

(すごい美人がいるけど男? 女?)
(もてなしは女の特権だからな。俺達じゃ客人に手は出せないぞ)

周りの男達もやっぱり普通に話してる。
不思議に思って声をかけるととても驚かれた。

『ねぇ、男の人は宴に出られないの?』
『!! この島の言葉が話せるのか?』
『え? 普通に喋ってるよね?』
『いや、ここの言葉を喋ってる』

オレ、言語チートあったの!?

「タカラ、ここの言葉が分かるのか?」
「えっと、うん。そうみたい……」

両方普通の言葉に聞こえるのに、違う言語らしい。なにそれ不思議!!

「ねぇねぇ、歓迎の宴って……」
『分かんねえよ』
『あ、言葉……』
『そう! そっちで喋ってくれ』

どうやら向こうから話しかけてくれないと切り替わらないみたいだ。まぁ、まずは自己紹介からだよね!

『オレはタカラ』

なんとなく胸に手を当てて名乗ると、あちらも同じような仕草をしつつ名前を教えてくれた。

『ガンだ』
『ダー』
『ルバだよ~』

若者3人の名前はガンとダーとルバか。
さっそく実はさっきから1番気になっていたことを質問する。

『ねぇ、その、ここはみんな……、裸なの?』
『そうだ。陰茎と陰嚢は弱いから保護するが、それだけだ』

女の人は腰蓑付けてるけど、男の人は全裸。あれ? 股間は保護してるの?

思わずガン見すると肌の色によく似たカバーがついている。でも形はそのまんまに見えた。

『これがタカラ達が運んでくれた品だ』

股間を突き出して誇らしげに言った。
つまり、ヒトデ!?

魔羅星まらぼしに特別な加工をしたものがこれだ。よく伸びるから興奮しても苦しくないし、衝撃にも強いんだ』
『ふぐりは守り貝で守る』

あのヒトデ、魔羅星っていうのか。
あのヒトデでペニスケース(?)を作って嵌め、貝殻のコットピースをつけている。

……ちょっと真似できないファッションだな。

ん?

『おお、祝福だ』

晴れているのに突然激しい雨が降り出した。
しかもこれって、スコール!?

『お客人、さぁこちらへ!』

ゲリラ雷雨のような土砂降りに慌てるオレ達を長老が誘導する。地面から30cmくらい高くなった大きな平家の建物があって、壁は土で屋根は草葺きだ。

その脇には柱と屋根だけのスペースもある。

まずは、と屋根の下に案内されたオレ達6人は細い竹と蔓で作られた背もたれのない椅子を勧められた。

それより服がびしょびしょで着替えたい。

あ、裸族だと着替え貸してもらえないのか。

少し悩んでから魔法が使えないか考えて、服から水分を取り出す妄……、イメージをした。全身ずぶ濡れだから魔力が身体を包んでいることを意識し、布地に入り込んだ水分子を振動させて繊維から振り落とした。

ぶわりと熱くない湯気が出た。
熱くないなら湯気じゃなくて霧?
超音波振動の加湿器みたいだ。

「大丈夫か!?」
「え?」
「火魔法で乾かすなんて危ないだろう! 火傷したらどうするんだ!!」
「あぁ。これは水の魔法、だと思うから大丈夫。ほら、熱くないでしょ?」
「熱くないし、乾いている……」

驚く船長に続き、船員達に触られ、長老たち島の人たちに囲まれて居た堪れなくなった。

船員はいいよ。知り合いだし前にお爺ちゃん先生が注意してくれたおかげで痛くしないから。でも! ほぼ裸で近づかれるのは恥ずかしい。

女の人や対象外の年齢の人はいいけどさ。
30代くらいの男の人にはドキドキしちゃって目のやり場に困るんだよね。

赤髪の人がいたらもっとヤバかったな。



*******



雨は間も無く上がり、島の人達が活動を再開する。この大きな建物は客用の宿らしく、宴の支度が整うまで休んでいて欲しいと言われた。

客用の宿の室内は細い竹が敷き詰められていて裸足で歩くと気持ちがいい。広い玄関のようなところには水瓶が置かれ、外を裸足で歩いた人が足を洗えるようになっている。

奥に入ると旅館のお膳のような1人用サイズの卓が置かれ、飲み物として水差しとココナッツの実が用意されている。

「船長、歓迎の宴ってオレ達以外男の人は参加しないの?」
「いいや、島民全てが参加するはずだ」
「そうなの? でもさっきガン達がもてなしは女の特権、とか言ってたよ」
「ガン? あの若い男たちか? それはな……」

船長の説明によると、飲み食いする宴の後、男の客は女達が性的な接待をするらしい。

昔、生まれる子がなぜか皆弱くなり、なかなか育たなくて島が滅びかけたことがあった。当時、島の外からやってきた男が自分の種の子供なら強くなるはずだ、と言って島の女達に子を産ませたらしい。

そして生まれた子供達はその男の言う通り、健康で力も強く、見た目も良かったので女達は競い合って彼の子種を求め、子を産んだ。そのおかげで島は安寧を取り戻し、外から客が来たらもてなして子種をもらう習慣ができた。

……地球にも似たような習慣のある島があったけど、その文化のせいで病気もらって絶滅しかけたとか聞いたことがあったな。ここには浄化の魔法があるから大丈夫なんだろうけど。

「そうか、子種をもらうのが目的だから男ばかりの船員をおもてなしするのは女性たちなのか」
「そういうことだ。……タカラは女を抱けるのか?」
「う……、まぁ無理かな。それに最近、相手を選り好みしちゃって、したいと思う人がいないんだよねぇ」
「そりゃ貞淑なこった」



*******



宴会にて。
全裸のちびっ子達におもちゃにされています。

『タカラしろいー』
『かみのけはくろいよ』
『おめめはちゃいろ? くろ?』

上半身は脱がされ、花を編んだ首飾りと花冠をつけられ、腰蓑をつけられた。これ、女装?

『これ、へんー』
『どうやってとるの?』
『脱がなくていいでしょ!』
『あ、とれたー』
『うっきゃー!!』

さらにズボンを剥ぎ取られ、完全にここの女性の服装。ハワイとかポリネシアとか、そっちの方っぽい。

『タ、タカラ……!』
『えっろ……』
『うわぁ、女達よりずっと色っ……、いたっ!』

ルバのうっかり発言はダーのゲンコツによって遮られた。

それほど大きくない島で女性を敵に回すようなこと言っちゃダメでしょ!

でもみんなほぼ裸なのに、この格好がエロいの?


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