【不定期更新】ラッキースケベに憧れて 〜明るく楽しい異世界生活〜

香月ミツほ

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記憶喪失……?

2-3 バイトと言えば飲食店

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ドンドンドン!

「おい、起きろ」
「ふぁいっ!!」
「んー……」

結構な勢いで扉を叩かれ、ハリーが飛び起きる。オレはベッドの中でぼんやりしている。

「手ぇ出してないだろうな」
「うぃっす!」

あれぇ……?
この部屋、鍵かかってなかった……?
船長が入ってきてるけど、まぁいいか。

「せんちょ、おはよー……」
「……おう。着替えてメシ食ったら出港だ」
「はぁい……」
「てめぇは見るな!」
「はいっ!」

寝起きでぼんやりしながら寝間着を脱いだらハリーが何か言われてた。一緒にシャワー浴びたんだし、今更だけど船長としては客人扱いだから気になるのかな。

昨日買ってもらった服に着替えて食堂へ降りる。船長以外はもう船に行ったらしい。

「船乗りが寝坊とかありえねぇぞ」
「すんません……」

まだ若いから、酔って抜いてスッキリしたら熟睡しちゃうよね。それにオレも朝は弱いし。

「船長、次の港までは船で寝起きするんだよね? オレはまたハリーと同室?」
「船では俺の部屋だ。他の部屋は2人部屋で全部埋まってる」

船長室のベッドはセミダブル1つだったけど。一緒に寝るの? オレ、寝相悪いけど。

「ソファとかある?」
「俺と同じベッドは嫌か?」
「ううん、オレ、寝相悪いから迷惑かけるかも、って」
「寝相、わりぃの?」

ハリーが意外そうに訊いてくる。1人で寝る分には問題ないんだけど、誰かと一緒に寝るとベタベタ絡みついちゃうんだよね。そして暑くなって布団蹴り飛ばして、寒くなってひっつくとか、そんな感じだと思う。

「あまりにも酷かったら考えるさ」

船の中だとハンモックとかかな?
船長とタカラが一緒に……? とか言いながらハリーが顔を赤くしてるけど、シャワーを思い出してる?

港へ向かう道で、こっそりシャワー気持ち良かったね、って言ったらその場にしゃがみ込んでしまい、船長に怒られてた。しばらくからかえそうだ。

他人のを触った事ないから擦り付けられて結構ドキドキしたけど、ハリーのキャラ的に嫌な感じはしなかった。でも抱かれたいとは思わないな。



*******



船旅3日目の朝。
夢精そそうしました。

性欲強いから1週間も禁欲したらそうなるんだけど、何日くらいしてなかったんだろ? いつから出してないのかはっきりしない。でも今朝出したなら次はまた1週間後あたりかな。

実は洗濯は浄化魔法陣でもできるらしい。
身体より衣類の方が魔力消費が激しいから普通は洗濯屋に出すんだけど、パンツ1枚ならそこまででもない、と言うので魔力の使い方と一緒に教えてもらった。

身体の中の魔力を意識して手に集め、魔法陣のスイッチ部分に流し込む。その時、上手に汚れがきれいに落ちるイメージを流し込むと仕上がりが良くなる。

繊維の隙間から汚れが切り離される~!
匂いの元も切り離される~!!

ぽわわわわん

魔法陣がきれいに光って消えた。

「お、やるな」
「きれいになってる!」

粗相したのを他の人に知られたくないので、現場を見ている船長に魔法陣の使い方を指導してもらっています。

「心配していた寝相もそれほどでもないし、コレ••も自分でどうにかできるし、良かったな」
「……寝相、大丈夫?」
「かわいいもんだろ」

そう、やっぱりやらかした。
寝ぼけてもちもちの胸筋を揉みしだいたり、ご立派な朝勃ちに頬擦りしてたり、お尻を擦り付けてみたり。ビッチとしか思えない行動をしているオレです。

確かに以前は好みのタイプなら誰でもいいから突っ込んでくれないかなー、とか考えていたけど、いつの間にか好きな人じゃないと虚しいと思うようになっていた。なのにその寝ぼけ方……。

でも粗相したのは今朝が初めてで、寝ぼけて色々するのもほんの一瞬ですぐ寝てしまうから船長は気にしてないって言ってくれる。

優しい!!

船長がノンケだからってのもあるのかも知れないけど、助かるのでひたすら感謝しています。

そして今日は入港して荷下ろしをして、すぐに次の荷があれば積み込む。なければ客待ち。

行き先によってはオレの身元捜索に合致しないため、どうするべきか話し合わないとならないんだよね。

着ていた服から考えると手がかりは大陸の北、現在地の反対側。でもそこから流れ着くには遠すぎるので、流されたのは大陸の南側のどこかからだと考えられる。

だから港町で情報屋に訊いているんだけど、万が一、拐われて売られたとかだとカタギの商人である船長では教えてもらえないらしい。

裏の情報は裏の世界の住人だけに。

そりゃそうか。

しかもそもそも異世界から来たオレは出身地もへったくれもないから辿りようもないのでは?  と考えてしまう。

ただ、髪がここまで伸びるくらいの期間お世話になった人がいるなら探してくれているかも知れない。見つかるといいな。



*******



2つめの港町は拠点の一つらしい。船には趣味で居着いているじいちゃん先生ともう1人が残り、他は宿に泊まる。またハリーと相部屋かと思ってたら、ハリーはこの町に実家があるので家に泊まるんだって。

じゃあ、オレはどうしよう?

「別に1人でだって眠れるだろ」

そう言われ、船長行きつけの高級宿に個室を取ってもらった。船長は馴染みの女性たちのところを転々とするらしい。

それはいいんだけど。

文無しは寂しい。
船長から借りてるけどできれば自力で稼ぎたい。数日いるなら日雇いの仕事とかないかな?

「タカラ仕事したいの?」
「うん。オレにもできる仕事ってないかな?」
「あるある! 酒場の給仕やってよ」
「酒場?」
「うん。おいらの姉ちゃんの店なんだけど、帰ると手伝わされるんだよ。おいらはタダ働きだけどタカラは給金もらえるように交渉するからさ!」

船長に相談したら小遣いが足りないのかと言われたけど自分で稼ぎたいのだと説明する。そしてハリーと一緒にいるなら安心か、と許可が降りた。シャワーのために宿はとっておいてもらうなんて、贅沢してるけどね!!



*******



「ねーちゃん、看板息子連れてきた!」
「はぁ? アンタ、バカだバカだと思ってたけど、本物のバカだったんだね!」
「なんでだよ! ほら、美人だろ? 働きたいんだって」
「あら……、確かに美人……、って! そうだけどそうじゃないっ! 看板息子ってのは働いているうちにお客さんが言い出すもんなんだよ!」
「いってー!!」

連れてきてもらったハリーのお姉さんのお店は15席の、小さな酒場だった。お姉さんは元気いっぱい。ハリーに似たオレンジ色の髪に白い肌とそばかす。クリッとした目と太い眉が意志の強さを示しているかのようだった。

「初めまして、タカラです。この町に何日いるか分からないので日雇いでお願いできれば、とお邪魔したんですがダメならどこか紹介してもらえませんか?」
「数日かい? ならうちで雇うよ。紹介するにしても働きっぷりを見てからじゃないとね」

お姉さんはいたずらっぽく笑ってパチリとウインクをした。

あれ?
結婚してるって聞いたけどお姉さんが決めちゃっていいの?

「アニキはねーちゃんの言いなりだからヘーキヘーキ」
「言いなりなんかじゃないよ! ゼンプクの信頼ってやつさ」
「仲良しなんですね」
「もちろんさ!」

お兄さん出てこないけどそのうち会えるだろう。まずは見習いとして日当銀貨5枚。働き具合を見てもらって銀貨8枚まで上げてもらえるらしい。貨幣価値が分からなくて聞いたら昼定食がだいたい銅貨5枚、夜の定食は銅貨7~10枚。銅貨10枚で銀貨1枚だから銀貨1枚\1,000あたりかな?

見習いで日当\5,000、上限が\8,000?
だいたいそのくらいかな。

買い物に出ていたお兄さんに挨拶をして、エプロンを借りて。

働きます!!
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