13 / 64
13.知らんぷりしてください
しおりを挟む
厨房へ入って探査魔法を使う。
ここには問題がないようだ。……たぶん。
殺気立つ料理人たちのせいで魔力のさざなみが乱れている、わけじゃ……、ない、とも言えないこともない。
まぁ、いいや。
料理の乗ったワゴンを押して大広間へ戻ろう。
「どんな料理かな?」
好奇心から銀色のカバー……、クロッシュだっけ? を持ち上げ、中を見ると鳥の丸焼きだった。
つまみ食いできそうもないので蓋をして、ほかの給仕に聞いて切り分けと盛り付け担当の人に届けた。いい匂い……。
気を取り直して空いたグラスを回収して回る。
「こちら、お下げしてもよろしいでしょうか?」
「あぁ、頼む」
「おや、きれいな子だね。うちで働かないか?」
「身に余る光栄ですが、まだまだ未熟者ですのでご容赦くださいませ」
「ふふふ、充分熟れているようだがな」
セクハラかよ!
舐め回すような視線をこちらに向けながら距離を詰められたけど、しつこくされなくて助かる。ロニーは少し距離をとっているから助けに来ると目立っちゃうもんね。
お?
女の子が青い顔をしている。
具合が悪いのかな?
ロニーに目配せをして声をかけた。
「お客様、お加減はいかがですか?」
「は……、はい、その……、少し疲れてしまって……」
「それでは休憩室へご案内いたします。必要があれば治癒士もお呼びいたしますが……」
「いいえっ! 少し休めば大丈夫です!」
空いたグラスを他の給仕係に頼み、休憩室へ案内する。ベッドはないけどカウチがあるのでそこに座らせ、備え付けのグラスに水を満たした。
あ! この子の身分が高かったらこの部屋じゃない方が良かった!?
ドキドキしながら見守っていると、彼女は震えながら水を一気に飲み干した。
「はぁ……………………」
オレはこのままここにいていいのか、1人になりたいと思っているのか悩む。でもお貴族様なら使用人なんて気にしないよね。
「飲み物かお食事をお持ちしますか?」
「あっ、いいえ」
「では何かありましたら扉の外に衛兵がおりますので、お声掛けください」
「まっ! ……待ってください。そ、そのぅ、聞いていただきたいことが……」
「私がお聞きしてもよろしいのですか?」
ただの平民……、じゃないか。ここでは使用人だった。それでもいいの?
「はい。実は私にはこちらの王宮で働く友人がおりまして……」
話を聞くと、 その王宮で働く友人にこの子はいい香りのする粉を渡したという。異国から来た商人から買ったもので、匂い袋として身につけるよう勧めたらしいのだが、その友人はとてもいい香りなのでおもてなしとして化粧用パフに振りかけたと言った。
その後、家の化粧用パフにこの粉を振りかけて使っていたらこの子の姉が酷くかぶれたので使うのをやめるよう手紙を出したが届かず。今日会えるかもしれないと考えて父についてきたらしい。でも友人には会えず、不安で押しつぶされそうになっていたところをオレに気遣われた、と。
「友人が傷ついていたらと考えると不安で……」
ロニーに相談しよう!!
「私から伝えましょう。毒ではないのですからあまり心配なさらずともよろしいかと存じます」
令嬢はかなり安心した様子で、少ししたら大広間に戻ると言った。相手の名前を聞いて急いでロニーに知らせなきゃ!
と意気込んだら扉の前で待っててくれた。
「ロニー、あの香木を持ち込んだ人が分かったかも。王宮掃除係のベリト = イェルリンを探して欲しい」
「イェルリン……、子爵家ですね。その人物が犯人なのですか?」
「いや、害意はなかったみたいだから参考程度にね。それよりこの部屋にいる子の家に香木を持ち込んだ商人の方が怪しいよ」
「分かりました。すぐに手配します」
ロニーの側を離れてはいけないと言われたので、ついて回る。以前、ベイセルの腹心の部下と紹介された4人のうちの1人に話をして、大広間に戻った。
あ、貴族の正装をしてるけど、ベイセルの部下でイケオジの……、たしかセーデル……なんとかだ。
「この方は辺境伯の弟君ですので給仕が専属でついてもおかしくありません。しばらくこのセーデルブラード副師団長と共にいてください」
「はい」
あ、そうだセーデルブラード副師団長だ。名前長いよ。精出る血族って覚えよう。
厨房はとりあえず大丈夫そうだから、こっちにいよう。オレが手持ち無沙汰にならないよう、副師団長は取ってくる料理を指示してくれる。一緒に行ってあれこれ注文するので、それを受け取りテーブルに運んだ。
食事用の席は空いている席に勝手に座る形式だ。
「そなた見覚えがあるな」
「そ、それは、ありがとうございます」
姫!
女装中のオレに話しかけちゃダメ!!
変装の意味なくなっちゃうじゃないか。
といっても姫とオレの接点なんてほとんどの人が知らないから問題にはならないか。落ち着こう。
……あれ?
香木の気配が……、姫のあらぬところに!
大丈夫!?
「妾の顔になにかついておるのか?」
「いいえ、不躾ながら姫のお可愛らしさに見惚れておりました」
「その割に百面相しておったようだが……」
「ヴィルヘルミーナ、トルスティ殿下を置いてどこへ行く気なの」
会話に割って入ったのは第一王女殿下だな。お供を連れているとはいえ、食事コーナーに自ら来る王女達。なかなか気さくだ。
「食べて欲しい料理を持っていくのです」
「あらそう? ではどれを勧めるの?」
「……これから選びます」
そんなやりとりをしていたら、王族の方々が集まってきた。さすがに気軽過ぎだろう!!
「イングヴァル、綺麗どころを見つけたようだな」
「これは王太子殿下」
「見ない顔だね」
げっ!
第一王子に怪しまれている?
「王太子殿下、この者はフェルンストレーム将軍の推薦で入りました。以後、お見知り置きください」
そういうの、先に紹介するべきだった?
でも給仕全員王族に紹介したりしないよね?
「む、そちは! 思い出したぞ。そうかそうか。父上、この者が妾の傷を治してくれたのです」
「おぉ、やはりそうか。このわがまま娘を宥めてくれたのだな。礼を言う」
「いえ! もったいなきお言葉にございます」
何かを察した王様は家族に目配せをして離れてくれた。ふぅ、やれやれ。
ん?
第二王子もあのトイレ使ったのか。
大丈夫かな? 少し動きがぎこちない気もするけど、気のせいだよな。
*******
晩餐会は滞りなく終わり、王族が会場を出た後、オレは副師団長とロニーと共にベイセルの仕事部屋に行った。掃除係の子の話を聞くためだ。
「ベイセル、タカラ殿に聞かせていいのか?」
「あぁ。大事にするほどではなかったからな」
部下、って言ってたのに副師団長はベイセルを呼び捨てにしてる。それにベイセルも気安い感じだ。
「掃除係の彼女は香りづけとして良かれと思って行動しただけだった。今のところ被害が出ていないから厳重注意で済むが、もし被害がでていたらどうなるか」
「あー、あの、ベイセル。あのね……」
「どうした?」
「第二王子殿下と第二王女殿下からあの香木の気配がしたんだけどね。王子殿下の方、もしかしたら少し違和感が出てるんじゃないかな、って……」
「なんだと!?」
慌てたベイセルは副師団長を走らせ、王子様に確認をした。
「フェルンストレーム師団長、セーデルブラード副師団長がお呼びです」
ほどなくして近衛兵がやってきた。
あぁ、被害が出てしまったのか……。
ベイセルは何かを懐に入れて、3人で近衛についていく。大きな扉を通り抜けると、調度が豪華になったから王族の居住スペースに入ったのだろう。
遠くから声が聞こえてくる。
「……い! あぁぁぁぁ! 痒いぃぃぃぃ!!!!」
「殿下! 薬を……」
「うわぁぁぁっ!」
うわぁ……。
痒いのって辛いよね。それもきっと掻きむしるレベルの痒みが……、股間に。想像しただけで泣きそうだ。
「殿下! 治癒士から預かった特別な薬がございます! 今すぐに!!」
「うわぁぁぁっ!!」
ここには問題がないようだ。……たぶん。
殺気立つ料理人たちのせいで魔力のさざなみが乱れている、わけじゃ……、ない、とも言えないこともない。
まぁ、いいや。
料理の乗ったワゴンを押して大広間へ戻ろう。
「どんな料理かな?」
好奇心から銀色のカバー……、クロッシュだっけ? を持ち上げ、中を見ると鳥の丸焼きだった。
つまみ食いできそうもないので蓋をして、ほかの給仕に聞いて切り分けと盛り付け担当の人に届けた。いい匂い……。
気を取り直して空いたグラスを回収して回る。
「こちら、お下げしてもよろしいでしょうか?」
「あぁ、頼む」
「おや、きれいな子だね。うちで働かないか?」
「身に余る光栄ですが、まだまだ未熟者ですのでご容赦くださいませ」
「ふふふ、充分熟れているようだがな」
セクハラかよ!
舐め回すような視線をこちらに向けながら距離を詰められたけど、しつこくされなくて助かる。ロニーは少し距離をとっているから助けに来ると目立っちゃうもんね。
お?
女の子が青い顔をしている。
具合が悪いのかな?
ロニーに目配せをして声をかけた。
「お客様、お加減はいかがですか?」
「は……、はい、その……、少し疲れてしまって……」
「それでは休憩室へご案内いたします。必要があれば治癒士もお呼びいたしますが……」
「いいえっ! 少し休めば大丈夫です!」
空いたグラスを他の給仕係に頼み、休憩室へ案内する。ベッドはないけどカウチがあるのでそこに座らせ、備え付けのグラスに水を満たした。
あ! この子の身分が高かったらこの部屋じゃない方が良かった!?
ドキドキしながら見守っていると、彼女は震えながら水を一気に飲み干した。
「はぁ……………………」
オレはこのままここにいていいのか、1人になりたいと思っているのか悩む。でもお貴族様なら使用人なんて気にしないよね。
「飲み物かお食事をお持ちしますか?」
「あっ、いいえ」
「では何かありましたら扉の外に衛兵がおりますので、お声掛けください」
「まっ! ……待ってください。そ、そのぅ、聞いていただきたいことが……」
「私がお聞きしてもよろしいのですか?」
ただの平民……、じゃないか。ここでは使用人だった。それでもいいの?
「はい。実は私にはこちらの王宮で働く友人がおりまして……」
話を聞くと、 その王宮で働く友人にこの子はいい香りのする粉を渡したという。異国から来た商人から買ったもので、匂い袋として身につけるよう勧めたらしいのだが、その友人はとてもいい香りなのでおもてなしとして化粧用パフに振りかけたと言った。
その後、家の化粧用パフにこの粉を振りかけて使っていたらこの子の姉が酷くかぶれたので使うのをやめるよう手紙を出したが届かず。今日会えるかもしれないと考えて父についてきたらしい。でも友人には会えず、不安で押しつぶされそうになっていたところをオレに気遣われた、と。
「友人が傷ついていたらと考えると不安で……」
ロニーに相談しよう!!
「私から伝えましょう。毒ではないのですからあまり心配なさらずともよろしいかと存じます」
令嬢はかなり安心した様子で、少ししたら大広間に戻ると言った。相手の名前を聞いて急いでロニーに知らせなきゃ!
と意気込んだら扉の前で待っててくれた。
「ロニー、あの香木を持ち込んだ人が分かったかも。王宮掃除係のベリト = イェルリンを探して欲しい」
「イェルリン……、子爵家ですね。その人物が犯人なのですか?」
「いや、害意はなかったみたいだから参考程度にね。それよりこの部屋にいる子の家に香木を持ち込んだ商人の方が怪しいよ」
「分かりました。すぐに手配します」
ロニーの側を離れてはいけないと言われたので、ついて回る。以前、ベイセルの腹心の部下と紹介された4人のうちの1人に話をして、大広間に戻った。
あ、貴族の正装をしてるけど、ベイセルの部下でイケオジの……、たしかセーデル……なんとかだ。
「この方は辺境伯の弟君ですので給仕が専属でついてもおかしくありません。しばらくこのセーデルブラード副師団長と共にいてください」
「はい」
あ、そうだセーデルブラード副師団長だ。名前長いよ。精出る血族って覚えよう。
厨房はとりあえず大丈夫そうだから、こっちにいよう。オレが手持ち無沙汰にならないよう、副師団長は取ってくる料理を指示してくれる。一緒に行ってあれこれ注文するので、それを受け取りテーブルに運んだ。
食事用の席は空いている席に勝手に座る形式だ。
「そなた見覚えがあるな」
「そ、それは、ありがとうございます」
姫!
女装中のオレに話しかけちゃダメ!!
変装の意味なくなっちゃうじゃないか。
といっても姫とオレの接点なんてほとんどの人が知らないから問題にはならないか。落ち着こう。
……あれ?
香木の気配が……、姫のあらぬところに!
大丈夫!?
「妾の顔になにかついておるのか?」
「いいえ、不躾ながら姫のお可愛らしさに見惚れておりました」
「その割に百面相しておったようだが……」
「ヴィルヘルミーナ、トルスティ殿下を置いてどこへ行く気なの」
会話に割って入ったのは第一王女殿下だな。お供を連れているとはいえ、食事コーナーに自ら来る王女達。なかなか気さくだ。
「食べて欲しい料理を持っていくのです」
「あらそう? ではどれを勧めるの?」
「……これから選びます」
そんなやりとりをしていたら、王族の方々が集まってきた。さすがに気軽過ぎだろう!!
「イングヴァル、綺麗どころを見つけたようだな」
「これは王太子殿下」
「見ない顔だね」
げっ!
第一王子に怪しまれている?
「王太子殿下、この者はフェルンストレーム将軍の推薦で入りました。以後、お見知り置きください」
そういうの、先に紹介するべきだった?
でも給仕全員王族に紹介したりしないよね?
「む、そちは! 思い出したぞ。そうかそうか。父上、この者が妾の傷を治してくれたのです」
「おぉ、やはりそうか。このわがまま娘を宥めてくれたのだな。礼を言う」
「いえ! もったいなきお言葉にございます」
何かを察した王様は家族に目配せをして離れてくれた。ふぅ、やれやれ。
ん?
第二王子もあのトイレ使ったのか。
大丈夫かな? 少し動きがぎこちない気もするけど、気のせいだよな。
*******
晩餐会は滞りなく終わり、王族が会場を出た後、オレは副師団長とロニーと共にベイセルの仕事部屋に行った。掃除係の子の話を聞くためだ。
「ベイセル、タカラ殿に聞かせていいのか?」
「あぁ。大事にするほどではなかったからな」
部下、って言ってたのに副師団長はベイセルを呼び捨てにしてる。それにベイセルも気安い感じだ。
「掃除係の彼女は香りづけとして良かれと思って行動しただけだった。今のところ被害が出ていないから厳重注意で済むが、もし被害がでていたらどうなるか」
「あー、あの、ベイセル。あのね……」
「どうした?」
「第二王子殿下と第二王女殿下からあの香木の気配がしたんだけどね。王子殿下の方、もしかしたら少し違和感が出てるんじゃないかな、って……」
「なんだと!?」
慌てたベイセルは副師団長を走らせ、王子様に確認をした。
「フェルンストレーム師団長、セーデルブラード副師団長がお呼びです」
ほどなくして近衛兵がやってきた。
あぁ、被害が出てしまったのか……。
ベイセルは何かを懐に入れて、3人で近衛についていく。大きな扉を通り抜けると、調度が豪華になったから王族の居住スペースに入ったのだろう。
遠くから声が聞こえてくる。
「……い! あぁぁぁぁ! 痒いぃぃぃぃ!!!!」
「殿下! 薬を……」
「うわぁぁぁっ!」
うわぁ……。
痒いのって辛いよね。それもきっと掻きむしるレベルの痒みが……、股間に。想像しただけで泣きそうだ。
「殿下! 治癒士から預かった特別な薬がございます! 今すぐに!!」
「うわぁぁぁっ!!」
35
お気に入りに追加
339
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
美しき父親の誘惑に、今宵も息子は抗えない
すいかちゃん
BL
大学生の数馬には、人には言えない秘密があった。それは、実の父親から身体の関係を強いられている事だ。次第に心まで父親に取り込まれそうになった数馬は、彼女を作り父親との関係にピリオドを打とうとする。だが、父の誘惑は止まる事はなかった。
実の親子による禁断の関係です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる