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2.脱出・逃走・保護
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「だから、私に服従させたらよろしいでしょう!」
「恐れながら王妃様では不可能です」
「なぜなの!?」
「服従させるためには精を注がねばならぬのです。ですからあやつに煮湯を飲まされ続けた総団長が適任なのです!」
「でも総団長は無類の女好きではないですか!」
「そこは精力剤で……」
「呪いを改良して私に服従する様になさい!」
「それでは間に合いませぬ!」
外から聞こえる会話。これは呪いをかけた呪術師と王妃様の会話か? 他にも誰かいるみたい。
とりあえず扉の脇の暗がりに隠れて様子を見ることにした。ちなみに師団長は鎖を掴んで繋がれてるフリをしている。
王妃を人質にして脱出かな?
それにしても、服従させるには突っ込まなきゃいけないのか。じゃあガチネコのオレでは無理じゃないか。エロゲにしては中途半端だなぁ。両方アリにしろよ! いや、……やっぱりエロゲじゃないのかな。
「総団長、やれるか?」
「……薬に頼らざるを得ないだろう。が、あいつを這いつくばらせるためならその程度、何でもない」
えー?
こんなイケオジ捕まえて萎えるとかあるの?
オレだって突っ込むより突っ込まれたいけど、渋く喘がれたら萎えたりはしないと思うけどな。
好みは人それぞれか。
鍵を開ける音がして、扉を開けて人が入ってくる。4人。呪術師と王妃と総団長と……、牢番かな? やべ!
いや、薄暗いから大丈夫か。
「ん? んんんんっ!? な、何故だっ!! なぜ呪いが消えているんだ!!」
「何ですって!」
「どういうことだ!!」
「神のお導き、ってやつらしいぞっ!!」
「ぐあっ!」
「ひいっ!!」
「ぐえっ!」
「がぁっ!!!」
強い!
師団長、強い!!
呪術師の足を払い、王妃を牢番に向けて突き飛ばし、総団長の拳を避けて背後に回って締め上げる。気を失った王妃にのしかかられてジタバタする牢番の首を軽く締めて気を失わせて終了。
思わず拍手しちゃった。
「強い! かっこいい!!」
「当たり前だ。それより私は逃げるが、お前はどうする?」
「連れていってくだひゃい!!」
あ、噛んだ。
でもこんなアホそうな人達の国なんてやだよ。解呪しちゃったの怒られるだろうし。
縋り付いたら笑って頷き、ベイセル= フェルンストレームって名前を教えてくれた。
牢番から鍵束を取り上げて、全裸のベイセルは総団長の、オレは比較的清潔そうな王妃の服を剥ぎ取って着込む。といっても服がたくさん重なっててよく分からなかったからスカートだけもらった。唯一の持ち物のパジャマを羽織ればファッション的にはウケ狙いにしか見えないけど、夜だし、問題ない。
裸足が辛いけど。
でもどうやって逃げ出すんだろう?
「こっちだ」
ここは地下牢のような気がするのに、階段を下に降りていく。抜け道でもあるのかな?
「ここ……、はその服装じゃ無理だな。しがみつけ」
「はい!」
途中で壁についていたランプを拝借して辿り着いたのはやけに天井の高い行き止まりの何もない部屋。
いや、行き止まりと思ったけど小人がホチキスの針を梯子にしていたようなものが壁にあるから、やっぱり抜け道なんだろう。
スカートが邪魔で自力では登れそうもないので、ベイセルの背中にしがみ付いてそこを登ってもらう。躍動する筋肉にうっとりしている間に外に出た。
「よし。少し待ってろ」
ぴゅぅーーーーーーーひゅっ、ひゅっ……。
逃げてきたのに指笛なんか吹いていいの!?
見つかるんじゃないかとオロオロするオレを、面白そうに眺めるイケオジ。夜だけど半月が2つもあるからそれなりに見える。はぁ、かっこいい。
などと呑気に見惚れていたら、馬のような動物の足音が聞こえてきた。ドガガッ! ドガガッ! って、結構派手な音。
「師団長、ご無事でしたか!」
「当たり前だ」
「もちろん、心配はしていませんでした。ところでそちらは?」
「よく分からんが、私にかけられた呪いを解いてくれた恩人だ。保護する」
迎えにきた人がベイセルの馬を連れてきてくれたので、それで平原に設営された天幕に運ばれた。
迎えにきてくれた人は16歳のロニーというベイセルの従卒。淡い金髪にオリーブグリーンの瞳の美少年。でもわりとぞんざいな口をきく。
ベイセルは部下達と会議だそうなので、オレはロニーにお世話してもらうことになった。
傷だらけになった足も手当てしてもらい、桶にお湯を沸かしてくれたからそれで身体を清めた。ラフな着替えを借り、パンとスープとサイコロステーキという食事をもらってひと心地。
なんでもすでに戦争は停戦の話し合いが始まっていて、内容を詰めているところだった。でもまだ燻ってる向こうの総団長の暴走を知り、利用して条約を有利にしようとわざと捕まったらしい。それでもあの呪いは想定外で困っていたらオレが現れ、解呪してくれたので恩人になった、と。
オレ、美味しいとこ取り?
「タカラ殿はとてもお美しいですね」
「そう? まぁ、そこそこ言われるけど」
きれい系とは言われる。
だけど好みの人(男)からモテたことはない。ちなみに男にしては長めの黒髪ショートカットで色白、身長は169cm、体重48kgです。
田舎で同性愛者なんてバレたら社会的に死ぬしな。
「ここでは男同士の恋愛って、どんな感じ?」
「女兵士は少ないので戦場では男同士の方が多いと思います。町では男女の方が多いかと」
ここでなら当たり前なのか。
じゃあベイセルも性別にこだわりはないのかな?
「師団長は女性は壊れそうで怖い、ともっぱら男を相手にしています。ちなみに特定の相手はおられませんよ」
「いないの? あ、モテるから?」
「いえ、付き合いきれないと振られます」
「絶倫!?」
「はい」
え、なにそれ理想なんですけど?
恩を返せ、ってまた乗っかるか。
「タカラ殿、危険ですからそんな顔しないでください」
「え? どんな顔してる?」
「いやらしい顔です」
「ロニー……、はっきり言うね」
「僕でさえ散々狙われて辟易しているんです。タカラ殿みたいな方がいやらしい顔していたら、通りすがりの兵士たちが全員が口説きにきますよ」
「それは……、面倒くさいな」
ロニーの忠告を受け入れ、ベイセルの天幕からなるべく出ないことにしてベッドで休ませてもらった。
*******
「ん……?」
「起きたか。メシはどうだ」
「たべる……」
いつの間にか朝で、ベイセルが……。
オレの下にいた。
抱き枕にするなら分かるとして、なんでオレ逆さに乗っかってるの?
あ、でっかいちんちんだー。すりすり。
「こら、今日は仕事でゆっくりできないんだ。帰ってきたら相手してやる」
「んー……。あれ?」
「なんだ、寝ぼけただけか?」
イケボが股下から聞こえる朝。
なんだこれ?
「そら、服を着てメシだ」
「はぁい……」
もそもそ起き上がると、ロニーが服と洗面器を持ってきてくれていた。
「あ、ごめん……。すぐ……」
「朝食はこちらに持って参りますので、慌てなくて大丈夫です」
歳下に世話を焼かせるなんて、オレってやつは。
用意された遊牧民ぽい服を着て、絨毯に座るとお盆に足が生えたようなミニテーブルに乗ったパンと大きな肉が入ったスープが出てきた。パンは少し硬いけど、美味しい。
でも食べきれない……。
「残してごめんなさい……」
「その身体には多すぎたな。食べてやるから気にするな」
オレの倍食べて、オレの食べきれなかった分まで食べるとか、さすがだな。
「そうだ、調印式の前に幹部たちにお前の顔を紹介しておくから、食べ終わったら呼ぶぞ」
「あ、うん。分かった」
適当に返事をしたけど、入ってきた幹部たちは20代から50代の幅広いイケメンと男前と美丈夫と美人。なにこれ、やっぱりゲームなの?
乙女ゲームなのかBLゲームなのか。
これぞ目の正月!
「こいつは文字通り降って湧いた謎の人物だが、害はない。それに昨日も言ったように私の恩人でもある。丁重にな」
「よよよ、よろしくおねがいします!!」
はぅはぅ、こ、呼吸困難!
「ふぅん、こいつらも好みか?」
「そりゃあ、これだけ美形が集まってたら嬉しくなるだろ!」
「別に顔で選んだわけじゃないんだがな」
ベイセルの軽口にも慣れているのだろう、和やかな雰囲気で顔合わせは終わった。
「恐れながら王妃様では不可能です」
「なぜなの!?」
「服従させるためには精を注がねばならぬのです。ですからあやつに煮湯を飲まされ続けた総団長が適任なのです!」
「でも総団長は無類の女好きではないですか!」
「そこは精力剤で……」
「呪いを改良して私に服従する様になさい!」
「それでは間に合いませぬ!」
外から聞こえる会話。これは呪いをかけた呪術師と王妃様の会話か? 他にも誰かいるみたい。
とりあえず扉の脇の暗がりに隠れて様子を見ることにした。ちなみに師団長は鎖を掴んで繋がれてるフリをしている。
王妃を人質にして脱出かな?
それにしても、服従させるには突っ込まなきゃいけないのか。じゃあガチネコのオレでは無理じゃないか。エロゲにしては中途半端だなぁ。両方アリにしろよ! いや、……やっぱりエロゲじゃないのかな。
「総団長、やれるか?」
「……薬に頼らざるを得ないだろう。が、あいつを這いつくばらせるためならその程度、何でもない」
えー?
こんなイケオジ捕まえて萎えるとかあるの?
オレだって突っ込むより突っ込まれたいけど、渋く喘がれたら萎えたりはしないと思うけどな。
好みは人それぞれか。
鍵を開ける音がして、扉を開けて人が入ってくる。4人。呪術師と王妃と総団長と……、牢番かな? やべ!
いや、薄暗いから大丈夫か。
「ん? んんんんっ!? な、何故だっ!! なぜ呪いが消えているんだ!!」
「何ですって!」
「どういうことだ!!」
「神のお導き、ってやつらしいぞっ!!」
「ぐあっ!」
「ひいっ!!」
「ぐえっ!」
「がぁっ!!!」
強い!
師団長、強い!!
呪術師の足を払い、王妃を牢番に向けて突き飛ばし、総団長の拳を避けて背後に回って締め上げる。気を失った王妃にのしかかられてジタバタする牢番の首を軽く締めて気を失わせて終了。
思わず拍手しちゃった。
「強い! かっこいい!!」
「当たり前だ。それより私は逃げるが、お前はどうする?」
「連れていってくだひゃい!!」
あ、噛んだ。
でもこんなアホそうな人達の国なんてやだよ。解呪しちゃったの怒られるだろうし。
縋り付いたら笑って頷き、ベイセル= フェルンストレームって名前を教えてくれた。
牢番から鍵束を取り上げて、全裸のベイセルは総団長の、オレは比較的清潔そうな王妃の服を剥ぎ取って着込む。といっても服がたくさん重なっててよく分からなかったからスカートだけもらった。唯一の持ち物のパジャマを羽織ればファッション的にはウケ狙いにしか見えないけど、夜だし、問題ない。
裸足が辛いけど。
でもどうやって逃げ出すんだろう?
「こっちだ」
ここは地下牢のような気がするのに、階段を下に降りていく。抜け道でもあるのかな?
「ここ……、はその服装じゃ無理だな。しがみつけ」
「はい!」
途中で壁についていたランプを拝借して辿り着いたのはやけに天井の高い行き止まりの何もない部屋。
いや、行き止まりと思ったけど小人がホチキスの針を梯子にしていたようなものが壁にあるから、やっぱり抜け道なんだろう。
スカートが邪魔で自力では登れそうもないので、ベイセルの背中にしがみ付いてそこを登ってもらう。躍動する筋肉にうっとりしている間に外に出た。
「よし。少し待ってろ」
ぴゅぅーーーーーーーひゅっ、ひゅっ……。
逃げてきたのに指笛なんか吹いていいの!?
見つかるんじゃないかとオロオロするオレを、面白そうに眺めるイケオジ。夜だけど半月が2つもあるからそれなりに見える。はぁ、かっこいい。
などと呑気に見惚れていたら、馬のような動物の足音が聞こえてきた。ドガガッ! ドガガッ! って、結構派手な音。
「師団長、ご無事でしたか!」
「当たり前だ」
「もちろん、心配はしていませんでした。ところでそちらは?」
「よく分からんが、私にかけられた呪いを解いてくれた恩人だ。保護する」
迎えにきた人がベイセルの馬を連れてきてくれたので、それで平原に設営された天幕に運ばれた。
迎えにきてくれた人は16歳のロニーというベイセルの従卒。淡い金髪にオリーブグリーンの瞳の美少年。でもわりとぞんざいな口をきく。
ベイセルは部下達と会議だそうなので、オレはロニーにお世話してもらうことになった。
傷だらけになった足も手当てしてもらい、桶にお湯を沸かしてくれたからそれで身体を清めた。ラフな着替えを借り、パンとスープとサイコロステーキという食事をもらってひと心地。
なんでもすでに戦争は停戦の話し合いが始まっていて、内容を詰めているところだった。でもまだ燻ってる向こうの総団長の暴走を知り、利用して条約を有利にしようとわざと捕まったらしい。それでもあの呪いは想定外で困っていたらオレが現れ、解呪してくれたので恩人になった、と。
オレ、美味しいとこ取り?
「タカラ殿はとてもお美しいですね」
「そう? まぁ、そこそこ言われるけど」
きれい系とは言われる。
だけど好みの人(男)からモテたことはない。ちなみに男にしては長めの黒髪ショートカットで色白、身長は169cm、体重48kgです。
田舎で同性愛者なんてバレたら社会的に死ぬしな。
「ここでは男同士の恋愛って、どんな感じ?」
「女兵士は少ないので戦場では男同士の方が多いと思います。町では男女の方が多いかと」
ここでなら当たり前なのか。
じゃあベイセルも性別にこだわりはないのかな?
「師団長は女性は壊れそうで怖い、ともっぱら男を相手にしています。ちなみに特定の相手はおられませんよ」
「いないの? あ、モテるから?」
「いえ、付き合いきれないと振られます」
「絶倫!?」
「はい」
え、なにそれ理想なんですけど?
恩を返せ、ってまた乗っかるか。
「タカラ殿、危険ですからそんな顔しないでください」
「え? どんな顔してる?」
「いやらしい顔です」
「ロニー……、はっきり言うね」
「僕でさえ散々狙われて辟易しているんです。タカラ殿みたいな方がいやらしい顔していたら、通りすがりの兵士たちが全員が口説きにきますよ」
「それは……、面倒くさいな」
ロニーの忠告を受け入れ、ベイセルの天幕からなるべく出ないことにしてベッドで休ませてもらった。
*******
「ん……?」
「起きたか。メシはどうだ」
「たべる……」
いつの間にか朝で、ベイセルが……。
オレの下にいた。
抱き枕にするなら分かるとして、なんでオレ逆さに乗っかってるの?
あ、でっかいちんちんだー。すりすり。
「こら、今日は仕事でゆっくりできないんだ。帰ってきたら相手してやる」
「んー……。あれ?」
「なんだ、寝ぼけただけか?」
イケボが股下から聞こえる朝。
なんだこれ?
「そら、服を着てメシだ」
「はぁい……」
もそもそ起き上がると、ロニーが服と洗面器を持ってきてくれていた。
「あ、ごめん……。すぐ……」
「朝食はこちらに持って参りますので、慌てなくて大丈夫です」
歳下に世話を焼かせるなんて、オレってやつは。
用意された遊牧民ぽい服を着て、絨毯に座るとお盆に足が生えたようなミニテーブルに乗ったパンと大きな肉が入ったスープが出てきた。パンは少し硬いけど、美味しい。
でも食べきれない……。
「残してごめんなさい……」
「その身体には多すぎたな。食べてやるから気にするな」
オレの倍食べて、オレの食べきれなかった分まで食べるとか、さすがだな。
「そうだ、調印式の前に幹部たちにお前の顔を紹介しておくから、食べ終わったら呼ぶぞ」
「あ、うん。分かった」
適当に返事をしたけど、入ってきた幹部たちは20代から50代の幅広いイケメンと男前と美丈夫と美人。なにこれ、やっぱりゲームなの?
乙女ゲームなのかBLゲームなのか。
これぞ目の正月!
「こいつは文字通り降って湧いた謎の人物だが、害はない。それに昨日も言ったように私の恩人でもある。丁重にな」
「よよよ、よろしくおねがいします!!」
はぅはぅ、こ、呼吸困難!
「ふぅん、こいつらも好みか?」
「そりゃあ、これだけ美形が集まってたら嬉しくなるだろ!」
「別に顔で選んだわけじゃないんだがな」
ベイセルの軽口にも慣れているのだろう、和やかな雰囲気で顔合わせは終わった。
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