【不定期更新】ラッキースケベに憧れて 〜明るく楽しい異世界生活〜

香月ミツほ

文字の大きさ
2 / 66

2.脱出・逃走・保護

しおりを挟む
「だから、わたくしに服従させたらよろしいでしょう!」
「恐れながら王妃様では不可能です」
「なぜなの!?」
「服従させるためには精を注がねばならぬのです。ですからあやつに煮湯を飲まされ続けた総団長が適任なのです!」
「でも総団長は無類の女好きではないですか!」
「そこは精力剤で……」
「呪いを改良して私に服従する様になさい!」
「それでは間に合いませぬ!」

外から聞こえる会話。これは呪いをかけた呪術師と王妃様の会話か? 他にも誰かいるみたい。

とりあえず扉の脇の暗がりに隠れて様子を見ることにした。ちなみに師団長は鎖を掴んで繋がれてるフリをしている。

王妃を人質にして脱出かな?
それにしても、服従させるには突っ込まなきゃいけないのか。じゃあガチネコのオレでは無理じゃないか。エロゲにしては中途半端だなぁ。両方アリにしろよ! いや、……やっぱりエロゲじゃないのかな。

「総団長、やれるか?」
「……薬に頼らざるを得ないだろう。が、あいつを這いつくばらせるためならその程度、何でもない」

えー?
こんなイケオジ捕まえて萎えるとかあるの?
オレだって突っ込むより突っ込まれたいけど、渋く喘がれたら萎えたりはしないと思うけどな。

好みは人それぞれか。




鍵を開ける音がして、扉を開けて人が入ってくる。4人。呪術師と王妃と総団長と……、牢番かな? やべ!

いや、薄暗いから大丈夫か。

「ん? んんんんっ!? な、何故だっ!! なぜ呪いが消えているんだ!!」
「何ですって!」
「どういうことだ!!」
「神のお導き、ってやつらしいぞっ!!」
「ぐあっ!」
「ひいっ!!」
「ぐえっ!」
「がぁっ!!!」

強い!
師団長、強い!!

呪術師の足を払い、王妃を牢番に向けて突き飛ばし、総団長の拳を避けて背後に回って締め上げる。気を失った王妃にのしかかられてジタバタする牢番の首を軽く締めて気を失わせて終了。

思わず拍手しちゃった。

「強い! かっこいい!!」
「当たり前だ。それより私は逃げるが、お前はどうする?」
「連れていってくだひゃい!!」

あ、噛んだ。
でもこんなアホそうな人達の国なんてやだよ。解呪しちゃったの怒られるだろうし。

縋り付いたら笑って頷き、ベイセル= フェルンストレームって名前を教えてくれた。




牢番から鍵束を取り上げて、全裸のベイセルは総団長の、オレは比較的清潔そうな王妃の服を剥ぎ取って着込む。といっても服がたくさん重なっててよく分からなかったからスカートだけもらった。唯一の持ち物のパジャマを羽織ればファッション的にはウケ狙いにしか見えないけど、夜だし、問題ない。

裸足が辛いけど。

でもどうやって逃げ出すんだろう?

「こっちだ」

ここは地下牢のような気がするのに、階段を下に降りていく。抜け道でもあるのかな?

「ここ……、はその服装じゃ無理だな。しがみつけ」
「はい!」

途中で壁についていたランプを拝借して辿り着いたのはやけに天井の高い行き止まりの何もない部屋。

いや、行き止まりと思ったけど小人がホチキスの針を梯子にしていたようなものが壁にあるから、やっぱり抜け道なんだろう。

スカートが邪魔で自力では登れそうもないので、ベイセルの背中にしがみ付いてそこを登ってもらう。躍動する筋肉にうっとりしている間に外に出た。

「よし。少し待ってろ」

ぴゅぅーーーーーーーひゅっ、ひゅっ……。

逃げてきたのに指笛なんか吹いていいの!?

見つかるんじゃないかとオロオロするオレを、面白そうに眺めるイケオジ。夜だけど半月が2つもあるからそれなりに見える。はぁ、かっこいい。

などと呑気に見惚れていたら、馬のような動物の足音が聞こえてきた。ドガガッ! ドガガッ! って、結構派手な音。

「師団長、ご無事でしたか!」
「当たり前だ」
「もちろん、心配はしていませんでした。ところでそちらは?」
「よく分からんが、私にかけられた呪いを解いてくれた恩人だ。保護する」

迎えにきた人がベイセルの馬を連れてきてくれたので、それで平原に設営された天幕に運ばれた。



迎えにきてくれた人は16歳のロニーというベイセルの従卒。淡い金髪にオリーブグリーンの瞳の美少年。でもわりとぞんざいな口をきく。

ベイセルは部下達と会議だそうなので、オレはロニーにお世話してもらうことになった。

傷だらけになった足も手当てしてもらい、桶にお湯を沸かしてくれたからそれで身体を清めた。ラフな着替えを借り、パンとスープとサイコロステーキという食事をもらってひと心地。

なんでもすでに戦争は停戦の話し合いが始まっていて、内容を詰めているところだった。でもまだ燻ってる向こうの総団長の暴走を知り、利用して条約を有利にしようとわざと捕まったらしい。それでもあの呪いは想定外で困っていたらオレが現れ、解呪してくれたので恩人になった、と。

オレ、美味しいとこ取り?

「タカラ殿はとてもお美しいですね」
「そう? まぁ、そこそこ言われるけど」

きれい系とは言われる。
だけど好みの人(男)からモテたことはない。ちなみに男にしては長めの黒髪ショートカットで色白、身長は169cm、体重48kgです。

田舎で同性愛者なんてバレたら社会的に死ぬしな。

「ここでは男同士の恋愛って、どんな感じ?」
「女兵士は少ないので戦場では男同士の方が多いと思います。町では男女の方が多いかと」

ここでなら当たり前なのか。
じゃあベイセルも性別にこだわりはないのかな?

「師団長は女性は壊れそうで怖い、ともっぱら男を相手にしています。ちなみに特定の相手はおられませんよ」
「いないの? あ、モテるから?」
「いえ、付き合いきれないと振られます」
「絶倫!?」
「はい」

え、なにそれ理想なんですけど?
恩を返せ、ってまた乗っかるか。

「タカラ殿、危険ですからそんな顔しないでください」
「え? どんな顔してる?」
「いやらしい顔です」
「ロニー……、はっきり言うね」
「僕でさえ散々狙われて辟易しているんです。タカラ殿みたいな方がいやらしい顔していたら、通りすがりの兵士たちが全員が口説きにきますよ」
「それは……、面倒くさいな」

ロニーの忠告を受け入れ、ベイセルの天幕からなるべく出ないことにしてベッドで休ませてもらった。


*******


「ん……?」
「起きたか。メシはどうだ」
「たべる……」

いつの間にか朝で、ベイセルが……。

オレの下にいた。
抱き枕にするなら分かるとして、なんでオレ逆さに乗っかってるの?

あ、でっかいちんちんだー。すりすり。

「こら、今日は仕事でゆっくりできないんだ。帰ってきたら相手してやる」
「んー……。あれ?」
「なんだ、寝ぼけただけか?」

イケボが股下から聞こえる朝。
なんだこれ?

「そら、服を着てメシだ」
「はぁい……」

もそもそ起き上がると、ロニーが服と洗面器を持ってきてくれていた。

「あ、ごめん……。すぐ……」
「朝食はこちらに持って参りますので、慌てなくて大丈夫です」

歳下に世話を焼かせるなんて、オレってやつは。

用意された遊牧民ぽい服を着て、絨毯に座るとお盆に足が生えたようなミニテーブルに乗ったパンと大きな肉が入ったスープが出てきた。パンは少し硬いけど、美味しい。

でも食べきれない……。

「残してごめんなさい……」
「その身体には多すぎたな。食べてやるから気にするな」

オレの倍食べて、オレの食べきれなかった分まで食べるとか、さすがだな。

「そうだ、調印式の前に幹部たちにお前の顔を紹介しておくから、食べ終わったら呼ぶぞ」
「あ、うん。分かった」

適当に返事をしたけど、入ってきた幹部たちは20代から50代の幅広いイケメンと男前と美丈夫と美人。なにこれ、やっぱりゲームなの?

乙女ゲームなのかBLゲームなのか。

これぞ目の正月!

「こいつは文字通り降って湧いた謎の人物だが、害はない。それに昨日も言ったように私の恩人でもある。丁重にな」
「よよよ、よろしくおねがいします!!」

はぅはぅ、こ、呼吸困難!

「ふぅん、こいつらも好みか?」
「そりゃあ、これだけ美形が集まってたら嬉しくなるだろ!」
「別に顔で選んだわけじゃないんだがな」

ベイセルの軽口にも慣れているのだろう、和やかな雰囲気で顔合わせは終わった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

冷酷無慈悲なラスボス王子はモブの従者を逃がさない

北川晶
BL
冷徹王子に殺されるモブ従者の子供時代に転生したので、死亡回避に奔走するけど、なんでか婚約者になって執着溺愛王子から逃げられない話。 ノワールは四歳のときに乙女ゲーム『花びらを恋の数だけ抱きしめて』の世界に転生したと気づいた。自分の役どころは冷酷無慈悲なラスボス王子ネロディアスの従者。従者になってしまうと十八歳でラスボス王子に殺される運命だ。 四歳である今はまだ従者ではない。 死亡回避のためネロディアスにみつからぬようにしていたが、なぜかうまくいかないし、その上婚約することにもなってしまった?? 十八歳で死にたくないので、婚約も従者もごめんです。だけど家の事情で断れない。 こうなったら婚約も従者契約も撤回するよう王子を説得しよう! そう思ったノワールはなんとか策を練るのだが、ネロディアスは撤回どころかもっと執着してきてーー!? クールで理論派、ラスボスからなんとか逃げたいモブ従者のノワールと、そんな従者を絶対逃がさない冷酷無慈悲?なラスボス王子ネロディアスの恋愛頭脳戦。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日
BL
大量の魔獣によって国が襲われていた。 最後の手段として行った召喚の儀式。 儀式に巻き込まれ、別世界に迷い込んだ拓。 剣と魔法の世界で、魔法が使える様になった拓は冒険者となり、 鍛えられた体、体、身体の逞しい漢達の中で欲望まみれて生きていく。 マッチョ、ガチムチな男の絡みが多く出て来る予定です。 苦手な方はご注意ください。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

処理中です...