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第3章
母に似たかったぼくの話⑦
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「ボニファティウス様とお知り合いだったのですか?」
「ううん。長期休暇の初日に突然家に連れて行かれたの」
「突然!?」
フーベルトが怒ってくれるのは嬉しいけど、相手は公爵様だしねぇ。嫌なことをされたわけでもないから、落ち着いて。
「それでその髪飾りですか」
「うん。でもこれのおかげで良いこともあったし、好きな色ならつけても良いよね」
「ディートリント殿下の瞳の色ですね」
「ふぇっ!? な、なんで?」
「アリョーシャ様がディートリント殿下をお慕いしているのを知っていれば、誰でも判ります」
は、恥ずかしい……!!
あわあわしてたら『殿下も兄も気にしていませんけどね』って言われた。複雑……。
翌日から髪はフーベルトが結ってくれることになり、助かった。
そして髪飾りの注文はボニファティウス様宛ての注文箱が管理人室の前に設置され、希望のカラーと種類、注文者氏名を書いて入れると個別に相談を受け付けるらしい。
学校で商売をしてはいけないらしく、ボニファティウス様は相談を受けるだけ。でも相談を受けたら直営の工房に連絡をして、ボニファティウス様が作成して、寮ではなく家に届けるという。それは商売をしているうちに入らない……、の?
宝石や地金の種類によって価格が変わるから、お小遣いで買うのか、家に払ってもらうのかも相談できるって。
軌道に乗るといいね。
*******
年末年始の休暇に入る前に、精通した。
夢の中でディーが抱きしめてキスしてくれて、いつの間にか裸で抱き合ってた。気がついて恥ずかしくて、逃げようとしたのに後ろから抱き竦められて胸やお……むにゃむにゃを撫でまわされて力が抜けて。
あられもないところが痺れるような感じで、気持ち良くて、目が覚めたら胸がドキドキしてて、下着の中がぬるぬるして気持ち悪かった。
これが、夢精。
これで大人になったの?
びっくりするような気待ちの良さだったけど、どこかが変わった様子はない。
汚れた下着を洗濯に出すのは恥ずかしいので、シャワーのついでに自分で洗ってシャワーヘッドに干して部屋を出た。
朝食の前にフーベルトに髪を纏めてもらう。食堂に行くと、珍しく兄のリーンが声をかけてきた。
「家に帰る前に話があるんだ。食事が終わったら部屋に行くから」
「え、うん。分かった」
改まって話がある、なんて珍しいなー、って思っていたら、とんでもない話だった。
「ナートが身篭った」
「……え?」
「だから、ナートが妊娠したんだって」
「にんしん?」
「お子様アリョーシャじゃ話にならないか」
「お子様じゃないもん! でも、だって、ナート様まだ15歳だよ? 結婚もしてないのに?」
リーンとナート様は先月婚約したばかり。結婚してないのにどうして赤ちゃんができるの?
「お前、閨教育の授業、ちゃんと聞いてないな?」
「き、聞いてる、よ? 結婚して閨を共にすれば赤ちゃんができるんでしょ」
「……結婚しなくても、閨事をすれば子供はできるんだ」
え?
なんで?
結婚して孕体(ようたい)のお腹の中に子種を注がれると赤ちゃんができるんだよね? あれ? 結婚は必要じゃないの? ……ナート様って、孕体? でも孕体用の寮『花園』には入ってなかったような……?
「花園に入ってしまったらイチャつけないから隠してたんだ。それで、この前の長期休暇で妊娠したらしい。そろそろ腹が目立ってきて隠しておけなくなったから、家に帰る前に教えておく」
「えっと、2人の結婚は決まってるんだし、問題ない、の?」
たぶん、この後は産むまで休学して、留年してリーンと一緒に卒業することになるだろう、って。それで卒業したらすぐに結婚。
何がなんだか分からない!!
混乱しながらリーンとナート様と、3人で家に帰った。
*******
「父上、母上、お話があります」
夕食前、帰ってきた父様を玄関で迎えたリーンが言った。母様とナート様は客間で待っている。ルネにはまだ早いだろうと叔父様達に預け、客間で話をする。
「父上、ナートが身篭りました。国王陛下と王妃殿下、王太子殿下には伝えてあります」
「リーン、お前は何をしたか理解しているのか?」
「予定が早まっただけです」
「違うっ! 準備期間がなくなったのだ! どちらが産むかは本人同士が決める事だが、仕事はどうする? 見習い騎士にすらなっていないお前が降嫁した王子殿下を養えるか!」
「ナートは贅沢はいらないと言っていますし、俺は騎士にはならず、冒険者になって稼ぎます」
冒険者って、いきなりそんなに稼げるもの? 赤ちゃんのお世話は?
「リーン、母親はね。赤ちゃんを産む前や産んだ後って、心がとても不安定になって、どうでもいいことで泣いたり怒ったりしちゃうんだよ。それを働きながら支えるのは大変だし、泊まりがけの依頼だと側にいられなくなっちゃうでしょう? どうするのが一番、みんなが幸せになれるか、一緒に考えようね」
「……はい」
母様の言葉には素直なリーン。
「それから! しばらく下町に行くのは禁止だからね! ナート様、しっかりリーンを捕まえてて下さいね」
「イク、ありがとう。言われなくてもリーンをしっかり捕まえておくよ」
結婚は成人しないとできないし、父様も母様も結婚には反対はしていない。卒業した後の生活を心配しているだけ。でも冒険者になるならラニーが面倒見てくれる、かな? 危険なことはして欲しくないけど。
ひとまず話を終え、みんなで食事をして、それぞれ部屋へ戻った。ナート様は客間に泊まるのは今更なのでリーンの部屋へ。
そう言えば、結婚しなくても閨事をすれば赤ちゃんができる、ってどういう事だろう? 明日、母様に聞いてみようっと。
*******
「ねぇ、母様。リーンとナート様はまだ結婚してないのにどうして赤ちゃんができたの? 授業では結婚して閨事をすると赤ちゃんを授かる、って教わったのに」
「………………そ、それはね」
朝食を食べた後、母様に教えて欲しいことがある、と言ったらお部屋でお茶を飲みながらね、って言われ、質問をした。
「リーンは閨事をすれば結婚してなくても赤ちゃんはできる、って言うの。どういうこと?」
「アリョは、……もう精通した?」
「う、うん。一昨日」
「そっか。気持ち良かった?」
「うん。ディーが夢で撫でてくれて、すごく気持ちよくなって、びっくりして目が覚めたの。またああなったら良いな、って思った」
「それを自分の手でするのは、教わった?」
「……え?」
母様が言うには授業でも『自慰』について教えているはずなんだって。1週間に1度くらいはした方がいいから、らしい。
「どうしよう……、覚えてない」
「でっ、でも! した方がいいけど、しなくても良いんだよ! 精通の時みたいに自然に夢精するから」
「どうなると『むせい』するの?」
身体に子種が溜まると、外に出したくなって『むせい』するらしい。じゃあ、何もしなくても良いのかぁ。
「それで、赤ちゃんは?」
「う、その、子種を孕体のお腹に注ぐと妊娠する、って分かる?」
「それは聞いた。でもどうやってお腹に注ぐの?」
「うー……」
母様は恥ずかしそうに、孕体(ようたい)のお尻の穴におちんちんを入れると気持ちよくなって子種が出る、って教えてくれた。
お尻におちんちん???
「孕体はね、身体中の気持ちいいところを触ってもらって準備をすると、お尻の中からぬるぬるしたものが出て、おちんちんが入りやすくなるの」
「でも、お尻って汚くない?」
「お風呂に入ってきれいにするんだよ。でもぬるぬるがお尻を綺麗にしてくれるから、汚くないんだよ。アリョは孕体じゃないから、お尻は触らなくて良いし」
つまり、お尻から子種を注ぐと、結婚していなくても赤ちゃんができるのか。
「よく分からない……」
「いいの! まだ分からない方がいいの!! 成人するまではそう言うことしない方がいいし、結婚してからの方がいいんだから!!」
「ううん。長期休暇の初日に突然家に連れて行かれたの」
「突然!?」
フーベルトが怒ってくれるのは嬉しいけど、相手は公爵様だしねぇ。嫌なことをされたわけでもないから、落ち着いて。
「それでその髪飾りですか」
「うん。でもこれのおかげで良いこともあったし、好きな色ならつけても良いよね」
「ディートリント殿下の瞳の色ですね」
「ふぇっ!? な、なんで?」
「アリョーシャ様がディートリント殿下をお慕いしているのを知っていれば、誰でも判ります」
は、恥ずかしい……!!
あわあわしてたら『殿下も兄も気にしていませんけどね』って言われた。複雑……。
翌日から髪はフーベルトが結ってくれることになり、助かった。
そして髪飾りの注文はボニファティウス様宛ての注文箱が管理人室の前に設置され、希望のカラーと種類、注文者氏名を書いて入れると個別に相談を受け付けるらしい。
学校で商売をしてはいけないらしく、ボニファティウス様は相談を受けるだけ。でも相談を受けたら直営の工房に連絡をして、ボニファティウス様が作成して、寮ではなく家に届けるという。それは商売をしているうちに入らない……、の?
宝石や地金の種類によって価格が変わるから、お小遣いで買うのか、家に払ってもらうのかも相談できるって。
軌道に乗るといいね。
*******
年末年始の休暇に入る前に、精通した。
夢の中でディーが抱きしめてキスしてくれて、いつの間にか裸で抱き合ってた。気がついて恥ずかしくて、逃げようとしたのに後ろから抱き竦められて胸やお……むにゃむにゃを撫でまわされて力が抜けて。
あられもないところが痺れるような感じで、気持ち良くて、目が覚めたら胸がドキドキしてて、下着の中がぬるぬるして気持ち悪かった。
これが、夢精。
これで大人になったの?
びっくりするような気待ちの良さだったけど、どこかが変わった様子はない。
汚れた下着を洗濯に出すのは恥ずかしいので、シャワーのついでに自分で洗ってシャワーヘッドに干して部屋を出た。
朝食の前にフーベルトに髪を纏めてもらう。食堂に行くと、珍しく兄のリーンが声をかけてきた。
「家に帰る前に話があるんだ。食事が終わったら部屋に行くから」
「え、うん。分かった」
改まって話がある、なんて珍しいなー、って思っていたら、とんでもない話だった。
「ナートが身篭った」
「……え?」
「だから、ナートが妊娠したんだって」
「にんしん?」
「お子様アリョーシャじゃ話にならないか」
「お子様じゃないもん! でも、だって、ナート様まだ15歳だよ? 結婚もしてないのに?」
リーンとナート様は先月婚約したばかり。結婚してないのにどうして赤ちゃんができるの?
「お前、閨教育の授業、ちゃんと聞いてないな?」
「き、聞いてる、よ? 結婚して閨を共にすれば赤ちゃんができるんでしょ」
「……結婚しなくても、閨事をすれば子供はできるんだ」
え?
なんで?
結婚して孕体(ようたい)のお腹の中に子種を注がれると赤ちゃんができるんだよね? あれ? 結婚は必要じゃないの? ……ナート様って、孕体? でも孕体用の寮『花園』には入ってなかったような……?
「花園に入ってしまったらイチャつけないから隠してたんだ。それで、この前の長期休暇で妊娠したらしい。そろそろ腹が目立ってきて隠しておけなくなったから、家に帰る前に教えておく」
「えっと、2人の結婚は決まってるんだし、問題ない、の?」
たぶん、この後は産むまで休学して、留年してリーンと一緒に卒業することになるだろう、って。それで卒業したらすぐに結婚。
何がなんだか分からない!!
混乱しながらリーンとナート様と、3人で家に帰った。
*******
「父上、母上、お話があります」
夕食前、帰ってきた父様を玄関で迎えたリーンが言った。母様とナート様は客間で待っている。ルネにはまだ早いだろうと叔父様達に預け、客間で話をする。
「父上、ナートが身篭りました。国王陛下と王妃殿下、王太子殿下には伝えてあります」
「リーン、お前は何をしたか理解しているのか?」
「予定が早まっただけです」
「違うっ! 準備期間がなくなったのだ! どちらが産むかは本人同士が決める事だが、仕事はどうする? 見習い騎士にすらなっていないお前が降嫁した王子殿下を養えるか!」
「ナートは贅沢はいらないと言っていますし、俺は騎士にはならず、冒険者になって稼ぎます」
冒険者って、いきなりそんなに稼げるもの? 赤ちゃんのお世話は?
「リーン、母親はね。赤ちゃんを産む前や産んだ後って、心がとても不安定になって、どうでもいいことで泣いたり怒ったりしちゃうんだよ。それを働きながら支えるのは大変だし、泊まりがけの依頼だと側にいられなくなっちゃうでしょう? どうするのが一番、みんなが幸せになれるか、一緒に考えようね」
「……はい」
母様の言葉には素直なリーン。
「それから! しばらく下町に行くのは禁止だからね! ナート様、しっかりリーンを捕まえてて下さいね」
「イク、ありがとう。言われなくてもリーンをしっかり捕まえておくよ」
結婚は成人しないとできないし、父様も母様も結婚には反対はしていない。卒業した後の生活を心配しているだけ。でも冒険者になるならラニーが面倒見てくれる、かな? 危険なことはして欲しくないけど。
ひとまず話を終え、みんなで食事をして、それぞれ部屋へ戻った。ナート様は客間に泊まるのは今更なのでリーンの部屋へ。
そう言えば、結婚しなくても閨事をすれば赤ちゃんができる、ってどういう事だろう? 明日、母様に聞いてみようっと。
*******
「ねぇ、母様。リーンとナート様はまだ結婚してないのにどうして赤ちゃんができたの? 授業では結婚して閨事をすると赤ちゃんを授かる、って教わったのに」
「………………そ、それはね」
朝食を食べた後、母様に教えて欲しいことがある、と言ったらお部屋でお茶を飲みながらね、って言われ、質問をした。
「リーンは閨事をすれば結婚してなくても赤ちゃんはできる、って言うの。どういうこと?」
「アリョは、……もう精通した?」
「う、うん。一昨日」
「そっか。気持ち良かった?」
「うん。ディーが夢で撫でてくれて、すごく気持ちよくなって、びっくりして目が覚めたの。またああなったら良いな、って思った」
「それを自分の手でするのは、教わった?」
「……え?」
母様が言うには授業でも『自慰』について教えているはずなんだって。1週間に1度くらいはした方がいいから、らしい。
「どうしよう……、覚えてない」
「でっ、でも! した方がいいけど、しなくても良いんだよ! 精通の時みたいに自然に夢精するから」
「どうなると『むせい』するの?」
身体に子種が溜まると、外に出したくなって『むせい』するらしい。じゃあ、何もしなくても良いのかぁ。
「それで、赤ちゃんは?」
「う、その、子種を孕体のお腹に注ぐと妊娠する、って分かる?」
「それは聞いた。でもどうやってお腹に注ぐの?」
「うー……」
母様は恥ずかしそうに、孕体(ようたい)のお尻の穴におちんちんを入れると気持ちよくなって子種が出る、って教えてくれた。
お尻におちんちん???
「孕体はね、身体中の気持ちいいところを触ってもらって準備をすると、お尻の中からぬるぬるしたものが出て、おちんちんが入りやすくなるの」
「でも、お尻って汚くない?」
「お風呂に入ってきれいにするんだよ。でもぬるぬるがお尻を綺麗にしてくれるから、汚くないんだよ。アリョは孕体じゃないから、お尻は触らなくて良いし」
つまり、お尻から子種を注ぐと、結婚していなくても赤ちゃんができるのか。
「よく分からない……」
「いいの! まだ分からない方がいいの!! 成人するまではそう言うことしない方がいいし、結婚してからの方がいいんだから!!」
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