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第1章
SS【幸せを呼ぶ妖精】
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イクが日に日に美しくなる。
肌つやは元々良かったが伸びた髪を結い上げると細い首と白いうなじに視線が吸い寄せられる。抱かれる程に色香が増すのは孕体ホルモンによるものだと言われている。
初めて抱いた翌朝の変化は劇的だった。
他者の目に触れさせたくなくて馬車の中でしていた事が皆にバレたと言ったが、そんな事で態度を変えるような輩は雇っていない。
臨時雇いの冒険者2人は別だが。
そして彼らもイクの変化に目を瞠っていた。
イクは人を疑う事をしない。
とても大切に育てられ、害意のある人間と関わった事がないのだろう。そのため私の戯れ言を信じ、与えられる快楽にまんまと流され、私のものになった。
イクの人の良さに付け込んでしまったが、私でなければここまで美しくなったイクを守る事は出来なかったと思う。
『王宮に住む子育てする妖精に会うと幸せになれる』
そんな噂が聞こえて来た。
家事や育児を手伝う妖精と言えば子供の見た目の小人が有名だが王宮に住む妖精はとても可憐な少年だそうだ。
イクの事で間違いない。
噂に惹かれた不埒者が正門や通用門の周りをウロついているようだが、イクはうちの馬車で出入りしているから姿を見られる事はない。だが、最低限、社交パーティーに出席する必要があるので警戒はしておかないとな。
「どうかしました?」
「……今日、会うと幸せになれる子育てする妖精の噂を聞いたんだ」
「そんな妖精がいるんですか?」
「いるだろう」
「フォルク様、会った事あるんですか!?」
自分の事だと気づいていないイクが可愛い。
「会ってみたいなぁ。でも会ったら幸せになれる妖精なら、ぼく、気づかないうちに会ってるかも知れませんね」
「なぜそう思うんだ?」
「だってぼく、今とっても幸せですから」
きらめく笑顔でそう答えるイクが愛おしくて堪らない。
「私もその妖精と会えたからこんなに幸せになれたのだ。イク、愛している」
「あ……いして……います」
恥ずかしさを堪えて愛していると言葉にするイクは間違いなく、私を幸せにする妖精だ。
神でも運命でもまじないでも。
イクとの出会いをもたらした全ての存在に、私は生涯感謝を忘れる事はないだろう。
【 終 】
肌つやは元々良かったが伸びた髪を結い上げると細い首と白いうなじに視線が吸い寄せられる。抱かれる程に色香が増すのは孕体ホルモンによるものだと言われている。
初めて抱いた翌朝の変化は劇的だった。
他者の目に触れさせたくなくて馬車の中でしていた事が皆にバレたと言ったが、そんな事で態度を変えるような輩は雇っていない。
臨時雇いの冒険者2人は別だが。
そして彼らもイクの変化に目を瞠っていた。
イクは人を疑う事をしない。
とても大切に育てられ、害意のある人間と関わった事がないのだろう。そのため私の戯れ言を信じ、与えられる快楽にまんまと流され、私のものになった。
イクの人の良さに付け込んでしまったが、私でなければここまで美しくなったイクを守る事は出来なかったと思う。
『王宮に住む子育てする妖精に会うと幸せになれる』
そんな噂が聞こえて来た。
家事や育児を手伝う妖精と言えば子供の見た目の小人が有名だが王宮に住む妖精はとても可憐な少年だそうだ。
イクの事で間違いない。
噂に惹かれた不埒者が正門や通用門の周りをウロついているようだが、イクはうちの馬車で出入りしているから姿を見られる事はない。だが、最低限、社交パーティーに出席する必要があるので警戒はしておかないとな。
「どうかしました?」
「……今日、会うと幸せになれる子育てする妖精の噂を聞いたんだ」
「そんな妖精がいるんですか?」
「いるだろう」
「フォルク様、会った事あるんですか!?」
自分の事だと気づいていないイクが可愛い。
「会ってみたいなぁ。でも会ったら幸せになれる妖精なら、ぼく、気づかないうちに会ってるかも知れませんね」
「なぜそう思うんだ?」
「だってぼく、今とっても幸せですから」
きらめく笑顔でそう答えるイクが愛おしくて堪らない。
「私もその妖精と会えたからこんなに幸せになれたのだ。イク、愛している」
「あ……いして……います」
恥ずかしさを堪えて愛していると言葉にするイクは間違いなく、私を幸せにする妖精だ。
神でも運命でもまじないでも。
イクとの出会いをもたらした全ての存在に、私は生涯感謝を忘れる事はないだろう。
【 終 】
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