40 / 45
第三章
人を救う剣 二
しおりを挟む
ライルが船に囚われてから数日が経過してた。
「ソフィア、無事かなぁ 」
ライルは、食糧庫の天井を見つめながら呟く。
ソフィアにはまだ会えていなかった。だがご飯を運んで来る船員達に聞いた話によると特に手を出してはいない様だ。
むしろ今のソフィアならばこの船の船員に負けることはないだろう。少なくともバルフリートと二人の副官が出て来なければ。
「さて、そろそろ脱出する方法を考えないと…… 」
ライルは手枷をじゃらじゃらと振るとふと、思いつく。
(そういえば俺の剣聖は剣しか使えないのだろうか? )
ライルは女神にこの力を貰った時の事を思い出す。
『ライル、勇者となった貴方には魔王を倒すべき力を与えます。その名は剣聖、私が最初に創った魔族に対する武器。その力は万物に宿る魔力の内剣に宿る魔力を爆発させるもの 』
「剣か…… 」
ライルは周りを見渡す。しかし食糧庫には剣は見当たらない。
昔魔王を倒す旅に出ていた頃アレクシスに尋ねられて試したことがあった。
剣しかこの力は使えないのかと。
なのでライルが戦場で使っていたナイフで試したところ剣聖は発動した。しかし槍では発動しなかった。
なので槍を折って剣の様にしたところ剣聖は発動した。
では武器の長さが発動条件か?
それは違った。斧では発動しない、メイスも同様。
なら何が発動条件だろうか?
ライルは考える。
「……そうか、認証力。俺が剣と認識したならばこの力は…… 」
ライルは手枷に魔力を込める。
「剣聖解放! 」
手枷が淡い緑色に輝く。やがて手枷は灰になって壊れる。
「よし外れた。これでソフィアの所に、っとなんだこれくらくらする……そうか魔力を使い過ぎたのか 」
どうやら剣以外に剣聖を使うと余計に魔力を消費するらしい。
「……それでもまぁ、親父と戦うのに魔力は使わない 」
ライルは頬を両手で強く叩くと
「よし、いくか 」
そう言って食糧庫の階段を上がった。
「ライルは小さい頃どんな子供だったんですか? 」
ソフィアは船長室の広いテーブルの向かいに座るバルフリートに聞く。
「ん?ライルか?あ~そうだなぁ、結構やんちゃだったぞ、よく船員に悪戯してたしな 」
バルフリートはグラスに入ったぶどう酒を転がしながら答える。
それを聞いてソフィアはふふふと笑う。
「確かに分かる気がします、私も同じ様な事をされましたから 」
「はは、十一年経っても変わらんもんだな。……なぁ嬢ちゃん、なんで毎日俺なんかの所に来るんだ?他の船員とも話したらどうだ? 」
するとソフィアは笑顔で言う。
「それは、ただ知りたいからです。ライルはあまり自分の事を話してくれないので 」
「好きだねぇあいつの事 」
「ち、違います!これはその…… 」
「どこがいいんだ、あいつの?確かにあいつは妻に似て顔は良い、だが金もなけりゃお前を守る力無い 」
「ライルは強いです! 私を何度も守って来れました!」
「だが俺からは守れなかった 」
「いいえ、守りました。私に剣を教えたのはライルです、ライルがいなければ私は今頃貴方達に殺されていたでしょうから 」
「ははは、そうか、そういうことにしとこう 」
その時船長室の扉が開く。
「キャプテン、ライルの小僧が食糧庫を脱出して甲板に!キャプテンに会わせろと言っています! 」
それを聞いたバルフリートは目を見開き立ち上がる。
「な、まさか本当に腕でも引き千切ったてのか!まあいい、あいつの人殺しの剣じゃ俺に届かんからなぁ 」
それを聞いたソフィアは首を振る。
「いいえ、私は彼の剣が人を救う英雄の剣だという事を知っていますよ 」
「はは、それはおもしれぇ、なら試してみるか 」
そう言ってバルフリートは船長室を出た。
「ソフィア、無事かなぁ 」
ライルは、食糧庫の天井を見つめながら呟く。
ソフィアにはまだ会えていなかった。だがご飯を運んで来る船員達に聞いた話によると特に手を出してはいない様だ。
むしろ今のソフィアならばこの船の船員に負けることはないだろう。少なくともバルフリートと二人の副官が出て来なければ。
「さて、そろそろ脱出する方法を考えないと…… 」
ライルは手枷をじゃらじゃらと振るとふと、思いつく。
(そういえば俺の剣聖は剣しか使えないのだろうか? )
ライルは女神にこの力を貰った時の事を思い出す。
『ライル、勇者となった貴方には魔王を倒すべき力を与えます。その名は剣聖、私が最初に創った魔族に対する武器。その力は万物に宿る魔力の内剣に宿る魔力を爆発させるもの 』
「剣か…… 」
ライルは周りを見渡す。しかし食糧庫には剣は見当たらない。
昔魔王を倒す旅に出ていた頃アレクシスに尋ねられて試したことがあった。
剣しかこの力は使えないのかと。
なのでライルが戦場で使っていたナイフで試したところ剣聖は発動した。しかし槍では発動しなかった。
なので槍を折って剣の様にしたところ剣聖は発動した。
では武器の長さが発動条件か?
それは違った。斧では発動しない、メイスも同様。
なら何が発動条件だろうか?
ライルは考える。
「……そうか、認証力。俺が剣と認識したならばこの力は…… 」
ライルは手枷に魔力を込める。
「剣聖解放! 」
手枷が淡い緑色に輝く。やがて手枷は灰になって壊れる。
「よし外れた。これでソフィアの所に、っとなんだこれくらくらする……そうか魔力を使い過ぎたのか 」
どうやら剣以外に剣聖を使うと余計に魔力を消費するらしい。
「……それでもまぁ、親父と戦うのに魔力は使わない 」
ライルは頬を両手で強く叩くと
「よし、いくか 」
そう言って食糧庫の階段を上がった。
「ライルは小さい頃どんな子供だったんですか? 」
ソフィアは船長室の広いテーブルの向かいに座るバルフリートに聞く。
「ん?ライルか?あ~そうだなぁ、結構やんちゃだったぞ、よく船員に悪戯してたしな 」
バルフリートはグラスに入ったぶどう酒を転がしながら答える。
それを聞いてソフィアはふふふと笑う。
「確かに分かる気がします、私も同じ様な事をされましたから 」
「はは、十一年経っても変わらんもんだな。……なぁ嬢ちゃん、なんで毎日俺なんかの所に来るんだ?他の船員とも話したらどうだ? 」
するとソフィアは笑顔で言う。
「それは、ただ知りたいからです。ライルはあまり自分の事を話してくれないので 」
「好きだねぇあいつの事 」
「ち、違います!これはその…… 」
「どこがいいんだ、あいつの?確かにあいつは妻に似て顔は良い、だが金もなけりゃお前を守る力無い 」
「ライルは強いです! 私を何度も守って来れました!」
「だが俺からは守れなかった 」
「いいえ、守りました。私に剣を教えたのはライルです、ライルがいなければ私は今頃貴方達に殺されていたでしょうから 」
「ははは、そうか、そういうことにしとこう 」
その時船長室の扉が開く。
「キャプテン、ライルの小僧が食糧庫を脱出して甲板に!キャプテンに会わせろと言っています! 」
それを聞いたバルフリートは目を見開き立ち上がる。
「な、まさか本当に腕でも引き千切ったてのか!まあいい、あいつの人殺しの剣じゃ俺に届かんからなぁ 」
それを聞いたソフィアは首を振る。
「いいえ、私は彼の剣が人を救う英雄の剣だという事を知っていますよ 」
「はは、それはおもしれぇ、なら試してみるか 」
そう言ってバルフリートは船長室を出た。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
名も無き農民と幼女魔王
寺田諒
ファンタジー
魔王を倒すため、一人の若き農民が立ち上がった。ようやく魔王のいる神殿を訪れたものの、そこにいたのは黒髪の幼女魔王。
戦いを経て二人は和解し、共に旅をするようになった。世間知らずの幼い魔王は色々なことを学びながら成長し、やがて自分を倒しに来たはずの農民に対して恋心を抱くようになる。女の子は自分の恋を叶えるため、あの手この手で男の気を引こうと躍起になるが、男は女の子を恋の相手として見ようとしない。
幼い女の子と若く逞しい農民のほのぼのラブコメディ。
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です
女神の白刃
玉椿 沢
ファンタジー
どこかの世界の、いつかの時代。
その世界の戦争は、ある遺跡群から出現した剣により、大きく姿を変えた。
女の身体を鞘とする剣は、魔力を収束、発振する兵器。
剣は瞬く間に戦を大戦へ進歩させた。数々の大戦を経た世界は、権威を西の皇帝が、権力を東の大帝が握る世になり、終息した。
大戦より数年後、まだ治まったとはいえない世界で、未だ剣士は剣を求め、奪い合っていた。
魔物が出ようと、町も村も知った事かと剣を求める愚かな世界で、赤茶けた大地を畑や町に、煤けた顔を笑顔に変えたいという脳天気な一団が現れる。
*表紙絵は五月七日ヤマネコさん(@yamanekolynx_2)の作品です*
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる