1 / 2
前編
しおりを挟むその日、アメリアは朝からツキまくっていた。
朝目覚めてすぐに淹れたお茶にはなんと三本の茶柱が立っていたし、朝食を買おうと出掛けた先で朝市の中でも美味しいと有名なパン屋の一日二十個限定惣菜パンをラスイチで購入することができた。
今まで買えたのは一度で良いから食べてみたいと開店前から並んだ時のみであったので、これだけでもアメリアはとってもハッピーだった。朝から幸先が良過ぎる。
ホクホクした気持ちで惣菜パンを食べ歩いていると、魔術学校同級生のエルラ・シャイニーとバッタリ出逢った。彼女はなぜだかアメリアをライバル視していて、試験が終わる度にアメリアの元に現れては成績勝負を仕掛けてくるのだ。アメリアは元々勉強が嫌いな性質ではないし、予習復習に余念がないので成績は上位をキープしており、エルラとは毎回良い勝負を繰り広げている。
エルラは勝つとそれはそれは嬉しそうに「私の勝ちですわね!このまま突き放してやりますわ!」と言ってスキップのように軽やかな足取りで立ち去るし、負けると「くっ……つ、次こそは負けませんわ…!首を洗って待ってらっしゃい!」と涙目で走り去っていくのだ。とても可愛らしい人である。良い好敵手であり良い友だ、とアメリアは思っている。
先日などは、「貴女は成績は優秀ですけれど浮いた噂は何一つございませんね?それとも、自己評価が高すぎて男性への理想も高くていらっしゃるのかしら?」と恋バナまで振ってくれた。確かにアメリアの想い人は雲上の人であり、それ故に堂々と言うのも憚られたので、アメリアは心の内に留めていたのだ。単に話す相手がいなかったということもある。
恋バナ等初めてであったアメリアはついテンションが上がり、密かに憧れていた稀代の天才魔道具師との呼び声高いカルロス・マードナーについて小一時間程語ってしまったのだが、エルラは律儀にもちゃんと全部聞いてくれた上で「……良い趣味をしてますわね」と褒めてくれた。アメリアとしては是非ともあと数時間はカルロスの素晴らしいところを語り合いたかったのだが、流石に聞いてもらってばかりはまずいと思いエルラのタイプも聞いた。
どうやら彼女は魔術学校の一学年先輩でありこの国の王太子でもあるラサエル・ストリーチのことが好きらしい。
エルラは気さくにアメリアに話し掛けてくれるが、身分としては公爵令嬢であり、王太子であるラサエルとも幼い頃から親交があるのだとか。アメリアもエルラと共に一度だけ挨拶をしたことがあるが、金髪碧眼でキラッキラした正に王子!というラサエルの風体は、正直アメリアの好みではない。良い人だとは思っているし、学友としては良いけれど恋愛対象ではないのだ。
エルラにそれを伝えたところ、信じられないと返されたがその顔は明らかにホッとしていた。そうは見えないけれど、案外ヤキモチやきなのかもしれない。本当に可愛い人だ。
ちなみに、アメリアとエルラは何度か恋バナを嗜んだが、その内数回はエルラから見えないところでラサエルが会話の内容を盗み聞いていた。様子を見るにラサエルもエルラのことが好きなようなので、くっつくのは時間の問題だろう。
他人の好意を勝手に伝えるのは良くないのでエルラには隠しているけれども、早く交際してエルラをデートなどに連れ出してあげてほしい。きっと喜ぶことだろうし、出来ればデート後のエルラと恋バナをしたい。楽しそうである。
「こんなところで会うなんて奇遇ですわね。……って、貴女、食べ歩きなんて行儀が悪いですわよ。ほら、口元に屑がついて…」
世話焼きで優しいエルラが、呆れた表情をしつつも綺麗なハンカチを出し、それで口元を拭ってくれる。肌をするりと撫ぜる触り心地の良いハンカチは、公爵令嬢たるエルラが持つに相応しい値がすることだろう。そんな品をアメリアのために躊躇なく使ってくれるとは、本当に優しい女性だ。アメリアはエルラに対して何度目かも分からない感銘を受けた。
しかも。
「そんなにお腹が空いていらっしゃるなら、甘いものでも食べに行きませんこと?ああ、勿論嫌ならそう仰って構いませんわよ、私は一人だって行けるのですし。ただ、そうですわね、きっと庶民である貴女は簡単には入れない処ですから、この機会にと……いえ、庶民を馬鹿にしているわけではなくて」
こんな風に、早口で頬を赤らめながらアメリアをお茶に誘ってくれるのだ。しかも、生粋の貴族令嬢であるエルラは、決して家柄で人を蔑むことはしない。時折ふとアメリアが平民であることに触れるけれども、すぐに「言い方が不味かったのではないか」と自分で考えてこちらが何かを言う前に訂正してくれる。貴い身分であるのに腰が低い。今回の発言だって、庶民であるアメリアが簡単に入れない場所があるのは確かだし、何一つ間違いはないというのに、エルラは申し訳なさそうな表情を浮かべている。なんて心根が優しいのだろうか。
アメリアはエルラの誘いに笑顔で応じると、ルンルン気分で少し早足で先を進むエルラを追った。ツンと澄ました顔をするエルラの口元は、いつもよりも緩んでいるように見える。綺麗なのに可愛いとは、本当にエルラは素敵な人だ。
◇
「おや、奇遇だね」
エルラに着いていった店でそう声を掛けてきたのは、件の――エルラの想い人であり、この国の王太子である――ラサエルであった。エルラもまさかラサエルに会うとは思っていなかったのか、「ラサエル様!?」と驚いた表情を浮かべている。その頬が赤く染まっているのは、休みの日に偶然会えた嬉しさが滲み出ているのだろう。
一方のラサエルも、エルラに会えたのが嬉しいのか満面の笑みを浮かべている。早くくっつけばいいのに、とアメリアは思ったが、まあ二人には二人のペースがある。第三者であるアメリアが口出しできることではないので、勿論そんな素振りは見せずに「こんにちは」とだけ挨拶の言葉を口にした。
「二人は本当に仲が良いね。ここへはお茶をしに?」
「そうなんです!エルラ様が誘ってくださって」
「べ、別に仲が良いだなんて。ただ、その、アメリアがお腹を空かせていてみっともないからと……」
「ふふ、そんなに照れなくても良いのに」
「エルラ様って照れ屋で可愛いですよね」
「本当にね」
「っ、か、かわ…!?ラサエル様も、アメリアも、人を揶揄うのはお止めになって!」
顔を真っ赤にするエルラは、やはり可愛い。そんなエルラのことを、ラサエルはやはり好意的に思っているらしい。ラサエルとは殆ど話したことはないけれど、いつかエルラの可愛さについて語り明かしてみたいものだ。きっと話が合うことだろう。
「良かったら、一緒にお茶でもどうだい?私にも一人ツレがいるから、人数もちょうど良いと思うんだが」
「い、一緒にですの?ですが……」
ちらり、とエルラの視線がアメリアに向く。ご一緒したいだろうにこうして戸惑ったようにアメリアに視線を寄越すのは、自分から誘った手前勝手に判断するのは悪いと思ってのことだろう。アメリアのことなど気にしなくても良いのに、と思いながら了承の意を伝えようと口を開こうとすると、それよりも先にラサエルが口を開いた。
「きっと、アメリア嬢も彼と話したいんじゃないかな」
「っ、おい、ラサエルお前何勝手なことを……!」
「え?――あっ!」
ラサエルは自身の後ろにいた(ラサエルに気を取られて気付かなかった)男の腕を引いた。男は三白眼をこれでもかというくらいに見開いている。うねった黒髪が揺らめいて、アメリアはハッとした。瘦せ型の、190cmはあろうかという高身長の男は、アメリアの憧れの人――カルロスそのひとであったからだ。
相変わらず顔色が青白く、そして若干頬がこけている。身長が高い故に目立つそのひょろりと痩せた身体。本人の体質も影響しているだろうが、それらが寝食を疎かにしてまでも熱心に魔道具を研究するが故であることをアメリアは(一方的に)知っている。
「カルロス様!わ、私、アメリアっていいます!その、えっと、す、好きです!握手してください!」
「は?え、…ああ、どうも…?」
「わー…ありがとうございます…!」
突然の告白と握手の要求に関わらず、カルロスは戸惑いながらもおずおずと手を差し出してくれた。アメリアはその手をひしと握る。白くて細いけれど、筋張っていて指は長く、手の平はアメリアのそれよりも随分と広い。男の人だなあ、と当たり前のことに頬を赤くし、アメリアはうっとりとしながらカルロスの手をじっくり堪能する。この手が人々の生活に役立つ魔道具を開発しているのだと思うと、崇め奉りたい。勿論カルロスに引かれるだけだと思うのでやらないけれども。
まさか、見つめるだけで良いと思っていた雲上の人と握手まで出来るとは思わなかった。これはお茶に誘ってくれたエルラとこの機会を与えてくれたラサエルに最上級の感謝をせねばなるまい。アメリアは後日お礼をしようと考えながら、後ろ髪を引かれる思いでゆっくりとカルロスの手を離した。
今日は絶対に手を洗わない。そんな決意を胸にしながら、今度はカルロスの顔を見上げる。獲物を睨みつける猛禽類のように鋭い瞳は、見つめられるだけでぞくぞくとしてしまうかっこよさである。すっとまっすぐに通る鼻はとても整っているし、少し薄紫がかった唇は不健康そうではあるものの色気があってセクシーだ。毛量が多くうねる黒髪は艶々としており、じっと見ていたら思わず触ってしまいたくなる魅力がある。
これ以上見ているのは危険だと判断したアメリアは、恍惚としてしまっているであろう表情を意識的に引き締めた。いくら憧れの人との対面とはいえ、流石にだらしない顔を見せすぎてしまったと反省する。
「良かったねえ、アメリア嬢」
「はい!憧れのカルロス様に会えるなんて、本当に今日はツイてます!今日は朝から運が良いんですよ」
「それは何よりだ。それで、麗しいレディー達と一緒にお茶をする栄光を賜っても良いかい?」
「エルラ様が良ければ、ぜひ!」
「私もアメリアが良いのであれば。…カルロス様もよろしいですか?」
「え、あ、……か、構わない」
「わあ、ありがとうございます。カルロス様とお茶だなんて嬉しいです!一生の思い出にします」
なんと、会って握手をするだけでなくお茶をする等という夢のような事態に発展してしまった。朝からツイてるとは言ったものの、それらが霞む程の幸運である。ラサエルは好みではない等と庶民の分際で失礼なことを考えてしまっていたが、もうラサエルの――王宮の方向には今後足を向けて寝られない。自室の寝台はどの方角を向いていただろうか、等と考えつつ、アメリアは再びカルロスを見つめた。
(障害物なしで見るカルロス様、かっこよすぎる…。しかも、私のことを認識してくれてるなんて、どんな奇跡?)
こうしてこの距離でカルロスを見るのは初めてであるが、窓ガラス越しであればアメリアは頻回にカルロスを見つめている。具体的に言えば、週1回程度で。もっと言えば、アメリアは昨日もカルロスを一方的に拝見したばかりだ。
何故そんなことが可能かと言えば、それは目の前のカルロスが人格者だからである。基本的に魔道具師の技術というのは門外不出で、師匠から弟子へと伝わるものだ。その中で、カルロスは異質だった。誰からも師事を受けず、過去の古い文献を元に独学で魔道具師となった。既に世に出回っている魔道具の作製は勿論、新たな魔道具の開発にも余念がない。すごいのは、そのどれらも品質が最高級ということだ。それなのに驕らず良心的で、品質からすればもっと高値を付けても良いのに、一般的な流通価格で魔道具を下ろしている。勿論、アメリアが所持する魔道具は全てカルロスが作製したものだ。
そして、基本的には門外不出の技術を、カルロスは全ての人に開放しているのだ!カルロスの工房は一室が一面大きな窓ガラスになっており、誰でもカルロスが魔道具を製作する工程を見学することが出来る。週に1回許されているそれに、アメリアは毎週通っているのだ。皆遠慮しているのか時折遠巻きに見学に来る魔道具師らしき者くらいしか見かけないが、アメリアは窓ガラスに張り付くレベルで毎回見学している。アメリアは何も魔道具作製をしたいわけではない。ただ、憧れのカルロスが真剣に仕事に取り組む様を見たいのである。不純極まりないが、あまり見学者がいないので良いと思うことにしている。もし迷惑なら、きっとカルロス本人から注意を受けるだろう。
ちなみに、アメリアはカルロスと話したのは正真正銘これが初めてだ。特に幼い頃彼に助けられたことがあるわけではなく、運命的な出会いをしたわけではない。ただ、品質が高く価格も安い魔道具を作っているカルロスが技術を開放しているという噂を聞き興味半分冷やかし半分で見学に行った結果、あまりにも好みな外見をしたカルロスに一目惚れしてしまったのだ。後から独学で魔道具師になった努力家なところや高品質な魔道具を安価で販売している慈愛の精神があるところ、そして知識や技術を惜しげもなく公開する親切で豪胆な性格を知り、益々好きに――崇拝するように――なってしまったわけだが。
「ふふ。アメリア嬢、そんなに見つめていてはカルロスに穴が空いてしまうよ」
「――はっ!も、申し訳ありません!」
「っ、おいラサエル…!」
「アメリア、殿方をそのように見つめるなんてはしたないですわよ」
ラサエルとエルラに注意され、アメリアは羞恥に顔を染めた。カルロスもそこはかとなく頬が赤く、瞳がきょろきょろと忙しなく漂っている。どうやら、居心地を悪くさせてしまったらしい。
アメリアは憧れのカルロスを困らせてしまったことを猛省し、その後は出来る限りカルロスを視界に入れないよう気を配った。極端かもしれないが、一度視界に入れてしまえばまたカルロスを困らせるレベルで見つめてしまう自信さえあった。今度は逆にカルロスからの視線を感じたような気がしたが、カルロスを視界に入れまいとするアメリアに真偽は分からなかった。カルロスからの視線を受けているかもしれないという緊張で変な汗をかいたし、恐らく変な顔をしていたのだろう、エルラには呆れたような表情をされた。それでも見捨てず時折話題を振ってくれたエルラは、本当に優しい。アメリアは改めてエルラを尊敬した。
1
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
女性が少ない世界へ異世界転生してしまった件
りん
恋愛
水野理沙15歳は鬱だった。何で生きているのかわからないし、将来なりたいものもない。親は馬鹿で話が通じない。生きても意味がないと思い自殺してしまった。でも、死んだと思ったら異世界に転生していてなんとそこは男女500:1の200年後の未来に転生してしまった。
娼館から出てきた男に一目惚れしたので、一晩だけ娼婦になる。
sorato
恋愛
ある日、ミーナは鮮烈な一目惚れを経験した。
娼館から出てきたその男に抱いてもらうため、ミーナは娼館に駆け込み1日だけ働けないか娼館の店主へと交渉する。ミーナがその男に娼婦としてつくことになったのは、「仮面デー」と呼ばれるお互い素顔を隠して過ごす特殊な日で――……。
※男は太っていて脂ぎっている方がより素晴らしいとされ、女は細く印象の薄い方がより美しいとされる美醜逆転的な概念の異世界でのお話です。
主人公のミーナは異世界転生していますが、美醜観だけ影響する程度でありそれ以外の大きな転生要素はありません。
!直接的な行為の描写はありませんが、そういうことを匂わす言葉はたくさん出てきますのでR15指定しています。苦手な方はバックしてください。
見なくても全く影響はありませんが、「気付いたら異世界の娼館に売られていたけど、なんだかんだ美男子に救われる話。」と同じ世界観のお話です。
※小説家になろうさんでも投稿しています。
私が美女??美醜逆転世界に転移した私
鍋
恋愛
私の名前は如月美夕。
27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。
私は都内で独り暮らし。
風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。
転移した世界は美醜逆転??
こんな地味な丸顔が絶世の美女。
私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。
このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。
※ゆるゆるな設定です
※ご都合主義
※感想欄はほとんど公開してます。
モブに転生したので前世の好みで選んだモブに求婚しても良いよね?
狗沙萌稚
恋愛
乙女ゲーム大好き!漫画大好き!な普通の平凡の女子大生、水野幸子はなんと大好きだった乙女ゲームの世界に転生?!
悪役令嬢だったらどうしよう〜!!
……あっ、ただのモブですか。
いや、良いんですけどね…婚約破棄とか断罪されたりとか嫌だから……。
じゃあヒロインでも悪役令嬢でもないなら
乙女ゲームのキャラとは関係無いモブ君にアタックしても良いですよね?
長女は悪役、三女はヒロイン、次女の私はただのモブ
藤白
恋愛
前世は吉原美琴。普通の女子大生で日本人。
そんな私が転生したのは三人姉妹の侯爵家次女…なんと『Cage~あなたの腕の中で~』って言うヤンデレ系乙女ゲームの世界でした!
どうにかしてこの目で乙女ゲームを見届け…って、このゲーム確か悪役令嬢とヒロインは異母姉妹で…私のお姉様と妹では!?
えっ、ちょっと待った!それって、私が死んだ確執から姉妹仲が悪くなるんだよね…?
死にたくない!けど乙女ゲームは見たい!
どうしよう!
◯閑話はちょいちょい挟みます
◯書きながらストーリーを考えているのでおかしいところがあれば教えてください!
◯11/20 名前の表記を少し変更
◯11/24 [13] 罵りの言葉を少し変更
処刑直前ですが得意の転移魔法で離脱します~私に罪を被せた公爵令嬢は絶対許しませんので~
インバーターエアコン
恋愛
王宮で働く少女ナナ。王様の誕生日パーティーに普段通りに給仕をしていた彼女だったが、突然第一王子の暗殺未遂事件が起きる。
ナナは最初、それを他人事のように見ていたが……。
「この女よ! 王子を殺そうと毒を盛ったのは!」
「はい?」
叫んだのは第二王子の婚約者であるビリアだった。
王位を巡る争いに巻き込まれ、王子暗殺未遂の罪を着せられるナナだったが、相手が貴族でも、彼女はやられたままで終わる女ではなかった。
(私をドロドロした内争に巻き込んだ罪は贖ってもらいますので……)
得意の転移魔法でその場を離脱し反撃を始める。
相手が悪かったことに、ビリアは間もなく気付くこととなる。
気づいたら異世界で、第二の人生始まりそうです
おいも
恋愛
私、橋本凛花は、昼は大学生。夜はキャバ嬢をし、母親の借金の返済をすべく、仕事一筋、恋愛もしないで、一生懸命働いていた。
帰り道、事故に遭い、目を覚ますと、まるで中世の屋敷のような場所にいて、漫画で見たような異世界へと飛ばされてしまったようだ。
加えて、突然現れた見知らぬイケメンは私の父親だという。
父親はある有名な公爵貴族であり、私はずっと前にいなくなった娘に瓜二つのようで、人違いだと言っても全く信じてもらえない、、、!
そこからは、なんだかんだ丸め込まれ公爵令嬢リリーとして過ごすこととなった。
不思議なことに、私は10歳の時に一度行方不明になったことがあり、加えて、公爵令嬢であったリリーも10歳の誕生日を迎えた朝、屋敷から忽然といなくなったという。
しかも異世界に来てから、度々何かの記憶が頭の中に流れる。それは、まるでリリーの記憶のようで、私とリリーにはどのようなの関係があるのか。
そして、信じられないことに父によると私には婚約者がいるそうで、大混乱。仕事として男性と喋ることはあっても、恋愛をしたことのない私に突然婚約者だなんて絶対無理!
でも、父は婚約者に合わせる気がなく、理由も、「あいつはリリーに会ったら絶対に暴走する。危険だから絶対に会わせない。」と言っていて、意味はわからないが、会わないならそれはそれでラッキー!
しかも、この世界は一妻多夫制であり、リリーはその容貌から多くの人に求婚されていたそう!というか、一妻多夫なんて、前の世界でも聞いたことないですが?!
そこから多くのハプニングに巻き込まれ、その都度魅力的なイケメン達に出会い、この世界で第二の人生を送ることとなる。
私の第二の人生、どうなるの????
気付いたら異世界の娼館に売られていたけど、なんだかんだ美男子に救われる話。
sorato
恋愛
20歳女、東京出身。親も彼氏もおらずブラック企業で働く日和は、ある日突然異世界へと転移していた。それも、気を失っている内に。
気付いたときには既に娼館に売られた後。娼館の店主にお薦め客候補の姿絵を見せられるが、どの客も生理的に受け付けない男ばかり。そんな中、日和が目をつけたのは絶世の美男子であるヨルクという男で――……。
※男は太っていて脂ぎっている方がより素晴らしいとされ、女は細く印象の薄い方がより美しいとされる美醜逆転的な概念の異世界でのお話です。
!直接的な行為の描写はありませんが、そういうことを匂わす言葉はたくさん出てきますのでR15指定しています。苦手な方はバックしてください。
※小説家になろうさんでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる