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ギュンターの来訪

切ない時間

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「君も…?」
その言葉にいきなりギュンターが、立ち上がる。
ローランデはつい、そんな彼を見上げた。
そっ…。と彼の手が、柔らかく腕を掴む。
その感触が優しくて、ローランデはギュンターを見続けた。
ギュンターが、言った。
「自分で確かめるか?」
ローランデは途端、彼がその気だと解った。
いつもなら…振り払っていた。
それにいつもなら…先にそれを臭わせる言葉をギュンターは、言ったりしない。
大抵…衣服の中にその手が入り込み…彼に抗えない状態でそう、聞かれる筈だ。
でもその時のローランデはそうと解っても…彼の腕を振り解けなかった。
あんまり…切ない紫の瞳で見つめられて………。

「ん…あっ!」
どさっ!
腕の中に抱きすくめられ、口付けられただけでギュンターの包み込む体温に、のぼせたようにくらくらとし…寝室に移動した事すら良く覚えて無い。
寝台に押し倒された時はもうとっくに衣服の中でギュンターがまるで…確かめるように性急にその熱い手を這わせていて…ローランデは慣れた彼の愛撫に、とっくに息が上がりその身を抱くギュンターの腕の中で、くねらせていた。
「い…あっ!」
敏感な部分を無造作に掴まれ、容赦無い愛撫で追い立てられ、喉がひりついてがくがくと身を揺する。
途端、胸の上着が広げられ…冷たい外気に晒されると突然ギュンターの、熱い唇が降って来る。
「あああっ!」
ギュンターの身を感じただけで、まるで彼を迎え入れる熟れた果実のように敏感に成りきる胸の突起を突然吸われ、それだけでは全然足りない。と言わんはかりに唇に含まれて舌先で転がされ、ローランデはギュンターの腕の中でもがく。
獲物の急所を知り尽くしているように、ギュンターはローランデの股間を握る手を、更に煽り立てる為に動かし続け、ローランデは疼く股間と両のの乳首への容赦無い愛撫で息が上がりきって、白い喉を晒す。

 ローランデの独特の色…濃い栗毛と明るい栗毛の混じった…長い髪が、寝台の上に散らばり、彼が首を振る度艶めかしくシーツにすれる。ギュンターは再び彼の、晒した胸に顔を降ろすと、過敏過ぎる反応を示すそこを舌先で可愛がりつづけた。
どれだけ欲し、飢え…そして飽きる程可愛がってやりたい。と思ってるかを、知らしめるようにギュンターは時に身を倒しローランデの動きを自身の胸板で押し遮り、ずらす足の間に自分の膝を滑り込ませ、絡ませて自分の熱い高まりを、彼に押しつける。
その熱を感じると途端、ローランデの反応は更に…熱に浮かされたように成り…喘ぎ声は上ずり、泣きそうにその真っ白な肌の端正な顔を歪め…そしてその様は、愛らしさを増す。
ギュンターは自分で煽り立てたとは言え、ローランデのその反応に煽られ切って身を震わせ…そして抱きすくめて口付けをしてようやく…捕らえたローランデの股間を離す。

 ローランデは熱い空気に包まれ、のぼせたように唇を貪る野獣の口づけを受けた。が、直接敏感な部分に触れられる愛撫とは違う筈なのに…ギュンターの熱を吹き入れられるように唇を貪る彼の熱い唇と口の中でくねる舌に、必死で首を横に振って、顔をずらそうとした。
だが直ぐ追いかけて来るギュンターの、唇で塞がれる。
「ん…あ…んっ……んんっ…う………」
幾度…首を左右に振って彼の唇を外した事だろう?
なのに…ギュンターは甘い吐息で直ぐに彼の、柔らかな唇を塞ぐ。時にその唇を、擦りつけるように触れ、頬に首筋に余韻を残し…それを、甘い。と感じると次には突然、唇を奪うように押しつけそして…熱くくねる舌を滑り込ませ、絡め取ろうとする。
「ん………っ!」
泣き出しそうだった。
気づくとギュンターの裸の胸板が胸に当たる。
そして…抱きすくめられ再び股間を握られ…身を、捩ってる間に衣服を剥がれ…気づいた時にはもう腿から、ズボンを滑り落とされていた。
その作業の間、少しも気を逸らさず…どころか熱を増す愛撫。
肌と肌が触れあうと、ギュンターの“熱”に怯える。
「や…やっ!」
気づくとローランデは、腕の中で抱きすくめて逃げ場を塞ぐその手から、必死で逃げ出そうと身を、くねらせていた。

 ギュンターは右手でローランデの股間を可愛がり続け…その身でのし掛かるように彼の逃げ場を塞ぎ足を絡めて反撃を塞ぎながら左手をそっ…と、脱ぎ捨てた衣服のポケットに忍ばせる。
金属製の丸い小さな容器をその手に握り、蓋を横にズラして中の粘液を掬うと、両膝を擦り上げてローランデの股間を開かせ…愛撫している右手に握る彼の熱い高まりのその下。
双丘の間の蕾を探り当て、一気に塗り込むように指を滑り入れる。
途端、ローランデが鋭い声を上げて喉を晒す。
「ああああっ!」
ギュンターはもう…今ではそんなもの(塗り薬)なんか、使わなくても自分が肌を合わせ…体を絡ませただけで慣れた体のローランデが自分を欲するのを感じていたが、それでも…不安だった。
体だけの繋がり。
それが無ければ何処で…自分がローランデをこれ程必要とし、欲しているかを示せばいいのだろう?
ローランデを侮辱する奴らを殴るのは、最高に気分が良かった。
例えその後、激戦地帯に囮として送り込まれようが…。
どれだけ傷を作り、死に面したとしても自分を説得出来た。
自分が“したい”事を押し通した見返りだ。
納得ずくだろう?…と。
時にローランデが言ったように…自分の愛を受け入れぬ彼に意地で…誓いを死を賭しても護り続けているのか?と自問した事がある。
ローランデがそう…感じていたので。
だが自分の中からは暖かな…ローランデへの愛と労りしか、沸いては来ずにほっとした。
意地でしているとしたら、俺は自分に言い聞かせる。
“馬鹿だな?彼と自分を苦しめる意地は、張る必要があるのか?”と。
もし意地を張っているんならとっくに、ローランデを自分から解放し、自分ですら、ローランデから解放した筈だ。
とっとと別の相手に乗り換え…そしてその相手を幸福の絶頂へと導いて、自分の愛を受け入れなかったローランデが愚かだと、見せつけた筈だ。
それで…万が一ローランデが苦しんだとしたら…でもそれでもギュンターは、胸が痛んだ事だろう……。
なぜなら近衛の激戦の間、絶えず自分に問い続けた。
死地に送られ続け、戦い続けながら…この戦いには、意味があるのか?と。
ローランデが理由でその誓いを成就する為死ぬ事に、本当に意味が…あるのか。と…幾度もそう。
だが…その時思い浮かべるローランデの姿はいつも光に包まれ、愛おしくてたまらず…そんな…“想い”を自分に抱かせるローランデには感謝の気持ちしか沸かず…彼に立てた誓いの為に殉死するのは、心底誇らしかった…。
“誓い”を破り…ローランデを無理矢理抱こうとする男達を横目で見過ごし…自分の保身を計りローランデが無残にも、残忍な男達に最低の侮蔑で引き裂かれたとしたら…。
きっとその後どれ程長生きをしたとしても、俺は自分を許せず惨めな末路を、迎える事だろう…。
それを、確信していた。
そして誰にも明かさない決意を…オーガスタスもディンダーデンも、知っていたからこそ二人共黙って
“処置無しの馬鹿”
とそれでも…俺のする事を無言で見守り必要な時、いつも手助けしてくた。

 指で彼の内壁を探る…。
もうすっかり覚えたそこに指先を滑らすと、ローランデは見た事も無い程美しい、艶やかで感じる表情を晒す。
その…美しい髪をしとねの上に長く垂らして滑らせ、潤んだ青の瞳と興奮に包まれた、赤く染まる頬と唇。
それが…得も言われず甘く、狂おしい事を俺は…知ってる。

 ギュンターは腕の中に居る彼が、幻影で無い事を確かめるのに必死だった。
彼を煽り立て…彼の真っ赤な唇から喘ぎが切れ切れに洩れ、腕の中で身もがく感触を…それでも感じようと、必死に…彼を登り詰める。
「あ…んっ!あああっ!」
ローランデが幾度その白い喉を晒し顔を退け反らせても…。
必死で、愛撫する手にその手を降ろし、押し退けようとしても、聞かなかった。
「や…っ!ギュンター!ギュ…ンター………」
気づくと、ローランデの頬に涙が、滴っていた。
ローランデは切れ切れの吐息の中、ギュンターがその手の動きを止めるのに気づき…熱い…空気が一瞬、途切れた隙にうわごとのように掠れた声で、ささやく。
「おね…がいだ……。もう少し…ゆっくり…………」
ギュンターは一瞬…顔を、揺らした。
いつも…いつも、忘れる。
ローランデを捕まえて置くのに…そして彼に、自分の“想い”を示すのに夢中に成って…ローランデの、普段堂とした貴公子の姿に隠された彼の艶やかな愛らしさと美しさに圧倒されて我を見失い毎度…ローランデにとっては、この行為が“強姦”に近いものだと言う、その事を…………。

…昔…旅先でまだ少年の頃…孤独な少女と愛し合った。
叔父の知り合いの館でいつも独りぼっちで…孤独に慣れ孤独を友とする事に成功した、冷ややかな透けた凍りのようなアイスブルーの瞳をした少女と。
ギュンターに、いつもぶっきらぼうで冷たい態度を、取った。
『どうせ…その容姿で幾らでも女が釣れると…そう思ってるでしょう?』
ギュンターは思い返すとつぶやく。
俺は彼女にこう言った。
『容姿で釣れる程、女が甘いか?
寝技が下手だと直ぐ、突き放される。
最初、憧れの主のように頬を赤らめて迎え入れられ、次に二度と顔も見たく無いわ!と冷たい瞳を投げられる惨めさが、解って無いだろう?』
『…じゃ貴方、上手いの?』
『自分で確かめればいいだろう?』
彼女は…処女じゃ無かった。
丸で…戯れのように、館に出入りする男と、関係を持っていた。
だから…彼女が本気で憧れている家庭教師が彼女の気持ちに気づかなかったとしても、無理は無い。
ある日…叔父と買い物を済ませ館に戻り、頼まれた物を届けようと彼女の居場所を召し使いに尋ねた。
彼女は温室で泣いていて…振り向き様俺に、両腕広げて抱きついた。
正直…胸が、どくん!と鳴った。
ただ、寝るだけよりそん風に…俺で無くては。と必要とされるのは…やはり、特別な気が、したからだった。
俺達は…恋人同士のように愛し合った。
お互いを貪り愛撫し、時に熱烈に抱き合い………。
一晩中。
そして…朝日の中、彼女の寝顔を見つめながらシャツを羽織り…居間に出向いた。
女中達は夢中で騒いでいた。
彼女の思い人、その…家庭教師の結婚話に。
瞬間、察した途端胸が寒々と、冷えた。
彼女が愛し合ったのは俺の姿をした…彼だと、気づいたからだ。

…俺はだから毎度、言い訳を作る。慌てて。
だってお前だって…少なくともお前の体は俺が“欲しい”と言ってるじゃないか…。
俺の愛撫で感じ…そして俺を煽ってる。
“もっと…!”と………。
だが同時に違う事も、知ってる。
彼が俺に煽られ、ただ…反応してるだけだと…。
それでも時折、口付けた時頬に残る彼の柔らかな唇の感触や…首を振りながら投げかけて来る視線や…その瞳が……俺を間違い無く受け入れていてだから…俺は、止まらないんだ。そう…彼に何度、言ってやろうかと思った事か…。
だが…。
言えば彼を、追い詰めるだけだ。
彼は俺を“頼りに成る先輩”
その枠に閉じ込めて置き友達にも両親にも胸張って紹介出来る、“お上品なお付き合い”がしたいんだから…。
「…苦しかったか………?」
尋ねる…俺の声も…掠れていた。
ローランデの青の瞳が瞬間見開かれ…その、ぐったりとした腕が上がり次に…首に巻き付いた時、俺は不覚にも、泣きそうに成った。
ローランデが首筋にその顔を…絡ませて抱きつく。
それが…愛を返す。と言うより労るようで…俺は自分がどんな表情を彼に、して見せたのかをぼんやり…感じた。

 ローランデは必死で…自分を抱くで無く貪るのでも無く………確かめようと行為をし続けるギュンターに抱きついた。
だって尋ねるように覗うその瞳は…本当に、そこに自分が居るのだろうか。と…問う視線でもしそれが、裏切られたらどうしよう。幻だったら…?
その事に恐怖を感じる…そんな、不安に満ちた哀切漂わせる瞳だったからだ………。
今迄ギュンターに出会って一度だって彼の、そんな弱気な表情(かお)を、見た事が、無い。
ローランデはどうして…ギュンターが自分と抱き合いたいのかが、ぼんやりと解った。
自分をさらけ出すのを…ギュンターは拒んだ事が無い。
これが俺で…どう偽ろうと、虚飾を張ろうと…その事実から逃げられはしないのだから、無駄だろう?
そんな風に。
表情に、滅多に出ない彼がそんなに切なげに…自分を失ったらどうしよう…。そんな風に狼狽えたように見せる気弱な表情に…ローランデは胸が、詰まった。
言いたかった。
『愛している』と。
それが…彼の望む、恋人同士の愛で無いとしても…。
彼に、どうしても言いたかった。
が…彼を『想いを受け入れられた』とカン違いされるよりはマシだ。どれ程…口を突いてその言葉を吐き出しそうに成ったとしても。
彼の望む物が手に入った。とその喜びを、否定するよりは………。
だからローランデはただ無言で、ギュンターを包むように抱いてその気持ちを示した。
とても…とても愛してるのだと。
だがそれは…恋人のように過ごす事を決して…容認出来る愛じゃなく…ただ…彼の存在がこの上無く、愛おしいだけなのだ。と…………。

 ギュンターはそっ…とローランデの腕から顔を、上げる。
その愛おしい青の瞳は、濡れていた。
抱き合ったら、偽りも無駄か…。
彼の姿が消えた時の自分の体たらくを思い出すと、それが瞳に表情に現したとしたら、ローランデが動揺しない筈が無い。
彼が北領地[シェンダー・ラーデン]に去ってからずっと…自分でも気づかず視線を彷徨わせていた。
部下に「誰かまだ、来るんですか?
でもここに、全員居ますけど?」
そう…怪訝そうに尋ねられ、俺はああ…。と思い返す。
ローランデの荷物を、荷馬車の御者に渡した手の重みを、ぼんやり思い出して。
御者はそれを、馬車の屋根に、積み上げていた。
そして……そして彼が青冷めた顔で窓からその…澄んだ青の瞳を俺に向け…微かに微笑んだのも…確かに見た記憶がある。
だがその前の晩…ローランデを、彼が気絶する程抱き…殆ど気を失いかけた彼の頬に頬を寄せた、その感触が突然蘇ると狼狽えて足元が消えて無くなる。
俺は隣で報告を始める部下に、馬鹿な事を言った。
「地面が、揺れているか?」と………。
どこを探しても、幻だけだった。
いや。あれはただの“影”だ。
俺の瞳に残った、そこに彼が居た時に見た彼の姿の、残像。
探すつもりが無くてもいつも…視線が定まらない。
どこにその姿を求めても…空しい“影”が自分を、突き抜けて行く。
何度…俺は自分に言い聞かせたろう?
ローランデは北領地[シェンダー・ラーデン]に居る…。
その事を。

 ギュンターはそっ…とローランデを抱き返すと、その唇に顔を寄せる。
触れるか、触れないか程近く唇を寄せ…その吐息を感じゆっくり…唇を、重ねる。
ローランデの唇は、微かに震えていた。
それは…ギュンターに決して…自分はこの地から、去れはしない。…そう…教えた。
ギュンターの胸に鉛が詰まる。
それはこの先、彼無しで生を生きろ…。
そう、覚悟を促す事だったからだ。
ギュンターですら…震えながら顔を上げてささやく。
「…俺が…突然会いに来ても拒まないな?」
ローランデはもう、涙を溢れさせて言った。
「絶対生身で来ると…そう誓うのなら!」
ギュンターは瞬間顔を泣きそうに歪め…が、暫く後彼の言葉を思い返し、眉を寄せて顔を離す。
「生身?」
ローランデはまだ震えていたが、ギュンターがロマンチックや幻影とは程遠い、現実的な男だと思い出す。
がそれでも…つぶやき続けた。
「…だっ…て……いとこのシャーロッテの恋人は護衛連隊で命を落とし…けど彼が死んだその晩、シャーロッテは帰還した彼を迎え入れそして…共に一夜を過ごしたと………。
朝、彼の姿が消えていて不思議に思ったが、玄関のベルが鳴り…扉を開けると、仲間の護衛連隊の騎士達が彼の訃報を伝え…『昨日の戦いで彼は命を落とし、昨夜彼は息を引き取った』
それを聞いた途端彼女は気絶した。と…。
そして騎士らは気づいた彼女に告げた。
『夕べは一晩中彼の遺体の横に居たし、遺体は今、戸板に乗って彼の生家へ運ばれた』
そして彼女に、こうも聞いた。
『夕べ共に居た彼の体は、透けてはいなかったか?』
と………」
ギュンターの、深いため息が聞こえた。
「…そりゃ俺だって…体が透けてもお前を抱きに来たい気持ちはあるが…………」
が途端、ギュンターはその優美な美貌の眉根を寄せる。
「それってどうなんだ?
死んだ事が無いから解らないが…。
生身で抱けないんだろう?
実際…死んでも生きてる時みたいに、感じるもんなのか?」
ローランデは咄嗟に怒鳴ってた。
「私に、解る訳無いだろう?!
幽霊に聞け!」
 
 ギュンターは自分を押し退けようとするローランデの腕を掴み再び彼の股間を探る。
馬鹿な話を持ち出すから、折角八切れそうだったそこは少し、萎えていた。
手に握り込んで、たっぷり彼のいい場所を指の腹で擦り上げてやると、途端ローランデは起こした背を再び寝台に倒し、可愛らしい表情で首を振って感じ始め、ギュンターはもう、ごたくはいい。と示すように彼の蕾に塗り薬を救った指を、潜り込ませて探る。
途端…男としての快感を手放し、ぞくり…と股間を直撃する女のような艶を纏い出す彼に、ギュンターは唇を降らし、頬を伝い首筋へと滑らせる。
ローランデは泣きそうに表情を歪め、必死で…その尻の穴への愛撫から、逃げようとするが感じている彼には力なんか丸で出ず…腕の中でいたいけに身を振る感触があんまり…愛らしく感じてつい、思い切り煽られ…彼の腰の真横に両膝滑り込ませて彼の股間を思い切り開かせ、彼が腰を捻る間を与えず自分を、ねじり入ませた。
「あっ!…あ………ああっん………っ!」
めり込む圧迫。
奥まで進んでやると、ローランデは泣きそうに表情を歪めて艶を、増更にす。
「…ここが……良いんだろう?」
そんな可愛い彼を見下ろしながら、ゆっくり擦り上げてやると、ローランデは喉を鳴らし瞳に涙を、溢れさす。
「…うっ……ん……っ……ぅ…んっ!」
まるで小さな子供がいやいや。をしているようないたいけな彼に、普段見せる端正な白面の凄腕の剣士。の面影は跡形も無く消え、ついそのあまりの色っぽさに煽られ切って腰を進めると途端、ローランデは激しく身もがく。
「あっ…!あああっ!」
その反応につい…薬を塗りすぎたのか。と表情を覗うが、ローランデはがくがくと顎を震わせ、顔を横向けてぐったりとするのでギュンターはつい…自分の欲求のまま彼を煽り立てるのを、止めた。
出来る限り我慢しそっ…と腰を、進める。
なぜるだけのようだがそれすらも…ローランデは首を横に振って仰け反り…感じる表情を晒した。
つい…彼の反応に、ギュンターの喉がごくり。と鳴る。

 そっと…でも少し早く突き上げられ、ローランデはそれが丸で
“自分だけのもので居てくれ…”
そう…ギュンターが自分に懇願しているように感じ、泣き出しそうに成る。
いつもなら…ギュンターは股間を縛り上げて早い自分を押し止め、存分に腰を使って気が狂いそうに感じさせ…気絶寸前で解放する。
それはそれで…耐え難かったが…ギュンターに抱きすくめられるとその強烈な刺激と快感に…いつも導かれて抗えない自分に打ちのめされる。
けどギュンターはそんな感傷とは無縁の男だったから、いつも素っ気なく
「凄く、良かったろう?」
と真顔で言うので、不甲斐ない自分を責め、落ち込む暇も無い。
そんな風に激しく腰を使う彼は…呵めた。
(ギュンターがその呵めに、堪えるかどうかは別として)
だがこんな風に…懇願のように腰を使われると…たまらなくなる。
「あ…あ……ん……っ!」
適度な強さで…なぜるように擦り上げられるともう…誤魔化せない。
いつも“君が勝手に…そして強引に奪うんだろう?”と言えた。
けどこんな風にされると…自分もそれを、欲していると…認めざるを得ない風体を彼の前に晒しそして…彼の望む、恋人同士のような行為に変貌を遂げ…更に、ギュンターの気持ちを自分に引き寄せる事に内心怯えるのに体は…体はそのとろけそうな快感に、抗えずつい……。

 ローランデの腕が伸び、子供のように首に縋り付かれ、ギュンターは感激で一瞬顔をくっ!と歪める。
高まりきった彼が解放を望んでそうするのだと…知ってはいたがそれでも…頬に感じる彼の吐息の余りの甘やかさに、息が止まりそうに成る。
彼の上体を抱きすくめそして、右腿を抱え上げて腕の中にくるみそのまま…下から突き上げてやると快感が体中を満たし…まるで翼が生えて空に、駆け上るような錯覚に陥る。
いつも…最後決まってローランデの時はそんなイメージだった…。
まるで地面から解放されるような…。
天空のイメージ。
実は彼は天使で、地の底の俺を救う為にこの地に降りて来たんじゃないか。
…そんな馬鹿な事を考える程…彼の、擦り寄せる頬は柔らかくその体は甘く…切ない程愛おしく…そして天上の者のようにその気品が損なわれた試しが、無かった。
高貴な女はたくさん抱いたが大抵寝室に入ると、娼婦と変わらない。なのに…。
ローランデはどれだけ乱れても…その高貴な気品は彼の身から、離れたりはしない…。
香り高い高級な美しい華が香(かぐわ)しい芳香を放つのを堪能するように、熱を帯びた彼の身を抱きすくめ、天空を駆け上るように光を浴びて解放感と恍惚感に包まれる………。
彼の体から力が抜け…そして自分にも解放後の脱力が訪れる時いつも決まって…泣き出しそうな感激に、襲われる………。
ギュンターはそうしてそっ…と大切そうにローランデの身を…しとねに横たえ…それでその後もまだ…彼の身を、押し潰さないよう気遣いながらも自身の身で覆い、被さり腕の中に止めそして…その額に頬に、微かに触れる程の口づけを、した……………。

 いつも…ローランデは意識を手放していたがその時は微かにささやく。
「…ギュン…ター」
その声音があんまり甘く、ギュンターは胸の鼓動がどくん…!とあんまり大きく鳴って飛び上がりそうに感じ、必死で自分を抑える。
まるで…決して手に入る事の無い高貴な華が自分の場所迄降りて来て…その手を取る栄誉を、与えられた光栄に感激で気が狂いそうに成り、どうにかなって激しく取り乱しそうだったので。
だがローランデは、決して認めたりはしない。
自分を…恋人のように愛し、欲している。等とは………。
それは違う。と頑なに自分の思いを否定し、彼にとっての恋人は女性以外無く、“男の恋人”は存在するとさえ、彼は思ってはいない様子だったから。
そういう男を…ギュンターは嫌っていた。
愛し合ってる筈なのに自分が男だと言うそれだけの理由で…この関係は遊びで、恋愛も結婚も女とする。と酷く心を傷付けられた少年達と幾度も肌を、重ねて来たので。
物の解った少年は言った。
「彼は絶対それが恋愛だとは、認めないんだ」
遠い、瞳をして。
倍、切ないな。
ギュンターはその時彼にそう告げた。
彼は諦めたように吐息を吐き、少し笑って…けれども寂しそうに俯き、言った。
「…また…時々慰めてくれる?」
ギュンターは勿論…首を縦に振った。
頭の固い…許容範囲の狭い男に惚れた悲劇だな。
そう…批評した事すらあったが自分が同じ目に合うとは…。
確かに…倍どころか幾倍も辛かった。
心から愛し合ってる相手と熱烈な時を過ごしその後…そんなものは存在しない。と毎度、否定されるのだから……………。
だがギュンターは横たわるローランデに顔を寄せ、ささやいた。
「…喉が渇いたんだろう?」
ローランデは子供のように、こっくり。と頷いた。



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