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可愛いピンクの薔薇の棘
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眠気が在ったけど、レイファスの姿が消えた事の方が悲しくて…ファントレイユは昨夜したゲームの盤の前で、椅子にかけてぼーーーっとしていた。
女中が昼食を告げ…アリシャを交えた昼食の間も、ファントレイユは眠気と…レイファスが消えたショックでロクに、食べられなかった。
「…ゼイブンは帰る度に五月蠅いわ!
ファントレイユを甘やかしすぎだって!
男の子なのに、こんなに弱そうでどうするんだ?
とか、滅多に帰らない癖に偉そうに言うのよ!!!」
セフィリアの言葉に、ファントレイユは項垂れた。
ゼイブンがそう思ってるんじゃないか。
とは感じてたけど…やっぱり、凄く弱そうに見えるから会う度
『男の心得』
を決まって喋って行くんだ………。
レイファスが居なくなって更に落ち込む言葉に、ファントレイユはフォークを、置きかけた。
アリシャが何気無く囁く。
「あら…。
家のカレアスは何も言わないわ。
最も…カレアスもホラ!
貴方の所のゼイブンと違って、小柄で少年みたいでしょう?
女装したらとっても美人よ?
…レイファスはそのままでも女の子みたいで、いつも間違われるけど」
ファントレイユの、寝ぼけ頭に何かが、引っかかった。
で、眠気頭でぼそり…と呟く。
「…女の子がドレス着ても、女装って言う?」
セフィリアとアリシャが同時に振り向く。
「女の子は…女装って言わないわ」
セフィリアが言うと、アリシャも言った。
「男の子が女の子の格好をする事を言うのよ!
女装って」
ファントレイユは俯いたまま…一つの疑問をその口から、絞り出した。
「レイファスは…女装?」
セフィリアは微笑う。
「女の子の、格好をしたらね!」
アリシャも微笑う。
「レイファスは男の子だから」
ファントレイユはテーブルにフォークを置いた。
落としそうだったから。
がたん。と椅子を立つ。
「ファントレイユ?
まだいっぱい残ってるわよ?」
でもそのままテラスへと出る。
背後でアリシャの
「ファントレイユも、レイファスを女の子と間違えてたりして」
と、くすくす笑い交じりの言葉で囁くのが、聞こえた。
ええと………。
風が、髪を揺らす。
つまり…レイファスは………レイファスは……………。
ファントレイユは初めて、奈落へ落ちた。
深い深い穴で、心はそこへ、落ち続けた。
言い聞かせた。
…つまりレイファスは女の子じゃないから、痛かった時は、痛い。
っていい相手で………。
つまり……。
ファントレイユは用を足しに壺の前に立ち、そっ…と自分の股間を、見た。
つまりレイファスにもこれが…あるって事で………。
なんか、体中から力が抜けて、震え出しそうだった。
セフィリアが、駆け寄ってきて囁く。
「お昼寝の時間よ?
…どうしたの?大丈夫?」
ファントレイユは少しでも具合が悪いと、セフィリアが心配する。
と思って顔、上げて尋ねた。
「レイファスが、男の子だから夕べ一緒の寝台?」
セフィリアが、困ったように微笑った。
「そうよ。
女の子だったら、私とアリシャと一緒の寝台で、夕べ寝かせたわ」
ファントレイユはただ、頷いた。
セフィリアに連れられて、昨日レイファスと一緒に寝た窓辺の籐椅子を見る。
セフィリアを、見上げて告げる。
「…僕…自分の部屋で眠りたい」
セフィリアは微笑って頷いた。
「いいわ」
ファントレイユは、屋根裏部屋に居た。
内緒の、運動場。
男の子ならきっと…ここを見せたら、うわ~って言うな……。
窓の張りに腰掛け、窓の外を見ながらファントレイユはまだ、眠気たっぷりの頭で、そう考える。
そして、蘇る。
パズルを組み立てるように。
「僕。
って普通、男の子が使う言葉だと思わない?」
そして…何て答えたっけ?
「粋な女の子は男の子の服装してる時
“僕”って自分の事、言うんだよね?」
………どう頑張っても、女の子だと思い込んでた事を誤魔化せない。
そして自分の、レイファスに向けて放たれた言葉が蘇る。
「ごめん…僕、同じ年頃の女の子って、初めてで」
「…ドレスは、着ないの?
僕、元気な女の子はドレスを着ないって、聞いた事あるけど君も、そう?」
「あの…おトイレ?
……女の子って…言い出せないって。
でも僕、平気だから。
いつでも言って。
場所、教えるから」
…………駄目だ。
レイファスはでもどうして言ってくれなかったんだろう?
ずっと…女の子扱いしたのに。
途端、ずん!!!と落ち込む自分を見つけ、ファントレイユはいきなり、駆け出した。
その、だだっ広い屋根裏をひたすら。
気が狂ったみたいに端から端まで。
壁で折り返し、何度も。
凄く綺麗で可愛らしくて………。
でもずっと…何か不機嫌だったのは…。
僕に、女の子扱いされたせいだった!!!
レイファスには、言っても良かったんだ!!!
「痛い!」
って…、思いっきり!!!
ファントレイユは走って走って…走り続けた。
でもとうとう足がもつれて…床に転がった途端、意識が無くて。
…気づいて起き上がると、窓の外はすっかり暗くて、庭で松明持つ人達が大勢いて、叫んでた。
「ファントレイユ坊ちゃん!!!」
「ファントレイユ!」
暫くその、必死で探す人々を惚けて見つめ…慌てて階下へ、飛んで行った。
玄関開けて松明持つセフィリアに飛び付く。
「セフィリア!」
「ファントレイユ!!!
もう…どこに居たの?!
心配したのよ!!!」
きつく抱きしめられ、ファントレイユは俯く。
でも横のアリシャが、ぼそっ…と言った。
「…レイファスを、女の子だと思って失恋のショックで人の来ない場所で落ち込んでいたりして………」
ファントレイユがもっと顔、下げるのをセフィリアは見、叫んだ。
「本当に、そうなの?!」
アリシャが、セフィリアに囁く。
「見て…!」
セフィリアがアリシャを見、アリシャがファントレイユに顎をしゃくり、セフィリアが再びファントレイユに振り向くと、ファントレイユはがっくり。と肩落とし、もの凄く、下を向いていた。
ファントレイユは結果、熱を出さなかった。
帰るアリシャに
「レイファスに謝っておいて。
ずっと女の子扱いした事」
とも、冷静に言えた。
…そして今日、再びアリシャがレイファスを連れて来る。
馬車が止まり…玄関が開く。
玄関に居たファントレイユをレイファスは見つけ、近寄り、呟く。
「よォ…」
ファントレイユは素っ気無く言った。
「久しぶり」
レイファスが、見上げるのでファントレイユは見つめ返す。
レイファスが、じれったくて小声で叫ぶ。
「僕に直接、謝罪は?!」
「…………ごめん。
でも僕も、男の子だと知った時、凄いショックだった」
「僕は、騙してない!」
「知ってる。
言わなかっただけだ。
…だって酷いと思う。
あれだけ僕が『女の子』
って言ってても、否定しないだなんて」
ファントレイユはレイファスをじっ…と見、レイファスもファントレイユをじっ…と見た。
そして言った。
「…凄く、言いたかったけど癇癪起こしそうで。
君、病弱だって聞いてたし。
ぶっ倒れたら。と思って、怒鳴り付けられなかった」
「………君って、癇癪起こすと凄いの?」
「………めちゃめちゃ凄い」
ファントレイユがまだ見るので、レイファスは言った。
「物とか、めちゃめちゃ壊すし」
ファントレイユが、頷く。
「怒鳴るし叫ぶし。
物投げたりするし」
ファントレイユはまた、頷く。
「…凄く口が汚くなって、君を罵り倒してた」
「…それは、聞きたくない」
「…だろ?」
結果二人は肩並べ、ファントレイユの部屋に辿り着くまで互いの事を、喋り続けた。
END
女中が昼食を告げ…アリシャを交えた昼食の間も、ファントレイユは眠気と…レイファスが消えたショックでロクに、食べられなかった。
「…ゼイブンは帰る度に五月蠅いわ!
ファントレイユを甘やかしすぎだって!
男の子なのに、こんなに弱そうでどうするんだ?
とか、滅多に帰らない癖に偉そうに言うのよ!!!」
セフィリアの言葉に、ファントレイユは項垂れた。
ゼイブンがそう思ってるんじゃないか。
とは感じてたけど…やっぱり、凄く弱そうに見えるから会う度
『男の心得』
を決まって喋って行くんだ………。
レイファスが居なくなって更に落ち込む言葉に、ファントレイユはフォークを、置きかけた。
アリシャが何気無く囁く。
「あら…。
家のカレアスは何も言わないわ。
最も…カレアスもホラ!
貴方の所のゼイブンと違って、小柄で少年みたいでしょう?
女装したらとっても美人よ?
…レイファスはそのままでも女の子みたいで、いつも間違われるけど」
ファントレイユの、寝ぼけ頭に何かが、引っかかった。
で、眠気頭でぼそり…と呟く。
「…女の子がドレス着ても、女装って言う?」
セフィリアとアリシャが同時に振り向く。
「女の子は…女装って言わないわ」
セフィリアが言うと、アリシャも言った。
「男の子が女の子の格好をする事を言うのよ!
女装って」
ファントレイユは俯いたまま…一つの疑問をその口から、絞り出した。
「レイファスは…女装?」
セフィリアは微笑う。
「女の子の、格好をしたらね!」
アリシャも微笑う。
「レイファスは男の子だから」
ファントレイユはテーブルにフォークを置いた。
落としそうだったから。
がたん。と椅子を立つ。
「ファントレイユ?
まだいっぱい残ってるわよ?」
でもそのままテラスへと出る。
背後でアリシャの
「ファントレイユも、レイファスを女の子と間違えてたりして」
と、くすくす笑い交じりの言葉で囁くのが、聞こえた。
ええと………。
風が、髪を揺らす。
つまり…レイファスは………レイファスは……………。
ファントレイユは初めて、奈落へ落ちた。
深い深い穴で、心はそこへ、落ち続けた。
言い聞かせた。
…つまりレイファスは女の子じゃないから、痛かった時は、痛い。
っていい相手で………。
つまり……。
ファントレイユは用を足しに壺の前に立ち、そっ…と自分の股間を、見た。
つまりレイファスにもこれが…あるって事で………。
なんか、体中から力が抜けて、震え出しそうだった。
セフィリアが、駆け寄ってきて囁く。
「お昼寝の時間よ?
…どうしたの?大丈夫?」
ファントレイユは少しでも具合が悪いと、セフィリアが心配する。
と思って顔、上げて尋ねた。
「レイファスが、男の子だから夕べ一緒の寝台?」
セフィリアが、困ったように微笑った。
「そうよ。
女の子だったら、私とアリシャと一緒の寝台で、夕べ寝かせたわ」
ファントレイユはただ、頷いた。
セフィリアに連れられて、昨日レイファスと一緒に寝た窓辺の籐椅子を見る。
セフィリアを、見上げて告げる。
「…僕…自分の部屋で眠りたい」
セフィリアは微笑って頷いた。
「いいわ」
ファントレイユは、屋根裏部屋に居た。
内緒の、運動場。
男の子ならきっと…ここを見せたら、うわ~って言うな……。
窓の張りに腰掛け、窓の外を見ながらファントレイユはまだ、眠気たっぷりの頭で、そう考える。
そして、蘇る。
パズルを組み立てるように。
「僕。
って普通、男の子が使う言葉だと思わない?」
そして…何て答えたっけ?
「粋な女の子は男の子の服装してる時
“僕”って自分の事、言うんだよね?」
………どう頑張っても、女の子だと思い込んでた事を誤魔化せない。
そして自分の、レイファスに向けて放たれた言葉が蘇る。
「ごめん…僕、同じ年頃の女の子って、初めてで」
「…ドレスは、着ないの?
僕、元気な女の子はドレスを着ないって、聞いた事あるけど君も、そう?」
「あの…おトイレ?
……女の子って…言い出せないって。
でも僕、平気だから。
いつでも言って。
場所、教えるから」
…………駄目だ。
レイファスはでもどうして言ってくれなかったんだろう?
ずっと…女の子扱いしたのに。
途端、ずん!!!と落ち込む自分を見つけ、ファントレイユはいきなり、駆け出した。
その、だだっ広い屋根裏をひたすら。
気が狂ったみたいに端から端まで。
壁で折り返し、何度も。
凄く綺麗で可愛らしくて………。
でもずっと…何か不機嫌だったのは…。
僕に、女の子扱いされたせいだった!!!
レイファスには、言っても良かったんだ!!!
「痛い!」
って…、思いっきり!!!
ファントレイユは走って走って…走り続けた。
でもとうとう足がもつれて…床に転がった途端、意識が無くて。
…気づいて起き上がると、窓の外はすっかり暗くて、庭で松明持つ人達が大勢いて、叫んでた。
「ファントレイユ坊ちゃん!!!」
「ファントレイユ!」
暫くその、必死で探す人々を惚けて見つめ…慌てて階下へ、飛んで行った。
玄関開けて松明持つセフィリアに飛び付く。
「セフィリア!」
「ファントレイユ!!!
もう…どこに居たの?!
心配したのよ!!!」
きつく抱きしめられ、ファントレイユは俯く。
でも横のアリシャが、ぼそっ…と言った。
「…レイファスを、女の子だと思って失恋のショックで人の来ない場所で落ち込んでいたりして………」
ファントレイユがもっと顔、下げるのをセフィリアは見、叫んだ。
「本当に、そうなの?!」
アリシャが、セフィリアに囁く。
「見て…!」
セフィリアがアリシャを見、アリシャがファントレイユに顎をしゃくり、セフィリアが再びファントレイユに振り向くと、ファントレイユはがっくり。と肩落とし、もの凄く、下を向いていた。
ファントレイユは結果、熱を出さなかった。
帰るアリシャに
「レイファスに謝っておいて。
ずっと女の子扱いした事」
とも、冷静に言えた。
…そして今日、再びアリシャがレイファスを連れて来る。
馬車が止まり…玄関が開く。
玄関に居たファントレイユをレイファスは見つけ、近寄り、呟く。
「よォ…」
ファントレイユは素っ気無く言った。
「久しぶり」
レイファスが、見上げるのでファントレイユは見つめ返す。
レイファスが、じれったくて小声で叫ぶ。
「僕に直接、謝罪は?!」
「…………ごめん。
でも僕も、男の子だと知った時、凄いショックだった」
「僕は、騙してない!」
「知ってる。
言わなかっただけだ。
…だって酷いと思う。
あれだけ僕が『女の子』
って言ってても、否定しないだなんて」
ファントレイユはレイファスをじっ…と見、レイファスもファントレイユをじっ…と見た。
そして言った。
「…凄く、言いたかったけど癇癪起こしそうで。
君、病弱だって聞いてたし。
ぶっ倒れたら。と思って、怒鳴り付けられなかった」
「………君って、癇癪起こすと凄いの?」
「………めちゃめちゃ凄い」
ファントレイユがまだ見るので、レイファスは言った。
「物とか、めちゃめちゃ壊すし」
ファントレイユが、頷く。
「怒鳴るし叫ぶし。
物投げたりするし」
ファントレイユはまた、頷く。
「…凄く口が汚くなって、君を罵り倒してた」
「…それは、聞きたくない」
「…だろ?」
結果二人は肩並べ、ファントレイユの部屋に辿り着くまで互いの事を、喋り続けた。
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