アースルーリンドの騎士達 妖女ゼフィスの陰謀

あーす。

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9 復活を果たすエルベス大公家とギュンター

ディンダーデンと入れ替わるため影の一族の本拠地に入り、呆れるギュンター

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  ギュンターは自分の地元も辺境だが、ここまで熾烈じゃ無いぞ。
と思いつつ、派手に揺れまくる吊り橋を何本も渡り…辿り着いた先で、ディンダーデンにべったりの…自分の暗殺を部下に命令した、銀髪の若き頭領を見つめた。



「(…まるっきり…ディンダーデンの、小鳥じゃ無いか………)」
恋人同士のように見つめ合い。
ディンダーデンにハートマークの瞳を向け続けてる。



ディンダーデンは、ギュンターに向くと告げる。
「ハンナを覚えてるか?」
「ナロー宿場の?」
ディンダーデンは、頷く。
「あの女の好みの体位が、こいつの一番感じる体位だ」

ギュンターは、了承した。と頷く。

ディンダーデンは残念なため息を一つ吐き、椅子から立ち上がる。
横にかけてたサスベスは、そんなディンダーデンを切なげに見つめた。

ディンダーデンは、向かいの椅子に座ってる、ギュンターに首を振る。
「あいつが来る迄、近衛一番の美男は俺だった。
あいつのお陰で…一二を争う美男。
に変更された」

ディンダーデンにそう言われ、今まで視界の外にいたギュンターに、視線を向けた途端…。
あまりの麗しさに、サスベスの目線が吸い付いた。

ギュンターは思わず、その反応に目を見開く。

「(…ここの城下町歩いた時から、思ったが…。
他の土地の連中にも増して、ここの住民全ての視線が、俺に喰い込む。
そんなに美男って…。
ここの連中、見慣れてないのかな?)」

そう思ったギュンターは、横を通り過ぎるディンダーデンに、つい聞いた。
「ここでの美男って…」
「アースルーリンド内では珍しく、この土地の男達はぶ男揃いだから。
俺達なんて、珍獣扱いだ。
だがとても重宝されるし、待遇も良い」

ギュンターはその説明に、頷いた。
がその後、首ひねる。
「…ぶ男揃い…?
俺的には、味があって男らしい顔に見えたが…」

ディンダーデンはその見解に、ため息を吐く。
「まあずっと、その美貌を“柔なツラ”と男どもに見下され、嫉妬の対象にされて来たお前にとって。
ここの奴らの、ゴツい風貌は憧れのマトかもな」

ギュンターは思わず、同意の頷きをディンダーデンに返した。
ディンダーデンが出て行き、応接間らしい室内に、サスベスと二人で取り残され、ギュンターは暫く、沈黙した。

臣下がノックした後、訪れた際。
ついギュンターは
「(こいつ、俺を襲撃した一人かな?)」
と疑心暗鬼に見つめてしまう。

が、臣下は表情を変えず
「食事の支度が出来ました」
と告げる。

ギュンターは立ち上がると
「寝室に、運んでくれ」
と言い、サスベスに手を、差し伸べる。

サスベスは大人しく…ギュンターの美貌に見惚れながら、手を握り返して立ち上がった。

広々とした寝室に入る。
ギュンターは
“流石、一国の王に匹敵する、頭領の寝室…”

と、豪華で天蓋付き寝台の他に、ソファも設えられている、豪奢な絨毯の敷かれた部屋を見回した。

寝台では、整えてる若い女中が入って来る二人に顔を上げ、慌てて金刺繍の織り込まれたシーツを被せ、汚れたシーツを抱え、下がろうと慌てふためいて扉に向かう。

ギュンターはつい、可哀想になってぼそり…と告げる。
「慌てなくていい。
まだ始めないから」

が。
女中はそれを聞いて、二人の情事を思い浮かべたのか。
熟れたリンゴより赤く、頬を染めた。

ギュンターはつい、じっ…と女中を見てしまい、サスベスはそんな、ギュンターを見上げる。

ギュンターは見つめるサスベスに振り向くと、聞いた。
「…マズかったか?」

サスベスは見つめられて。
改めて、ディンダーデンとは違う、美麗な顔立ちに珍しい紫の瞳。
そして金髪の…近寄り難い美貌の男に見惚れつつも、どう返答して良いのか、困った。

アイリスもディンダーデンも。
向こうからどんどん来てくれて、サスベスはロクに口を挟む間も無かった事を改めて思い出すと。
ギュンターにどう接して良いのか分からず、思わず顔を下げた。

「………………………」

ギュンターはその、よそよそしい態度に、顔を傾けて言い諭す。
「確かに俺は、アイリスやディンダーデンより愛想が無い。
だが遠慮は要らない」

サスベスは、びっくりして顔を、上げた。

ギュンターは微笑んで無かった。
すましきった美貌。

けれど…雰囲気は…なんだか優しい感じがして、サスベスは改めてギュンターを、じっ…と見つめた。

アイリスはとても綺麗な顔立ちをしていたけど、常に親しげな雰囲気があって…。
ついこちらから、しなだれかかっても抱き止めてくれる優しさを醸し出していた。

ディンダーデンは、もしいきなり…抱かれなかったら、きっと長身や体格の良さも伴って、怖かったかもしれない。

立ち姿が凄く堂々としていて、格好いい感じなんだけど…振り向くと凄い美男で、目が吸い付いた。

ギュンターは…あまりにも美麗で、近寄り難い美貌だけど…。
横に立ってくれると、親しげな雰囲気を出してくれている。

ギュンターは顔を延々見つめられて、内心汗だった。

「…そんなに…見慣れない顔か?」
ついそう、穴が空くほど見つめるサスベスに聞く。

サスベスは途端、ぼっ!と頬を赤らめて俯くから…。

「(…そうか…。
部下らは皆ゴツイ顔だから。
普段俺が出会う奴らよりももっと、見慣れないのかも)」
と、顔を下げた。
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