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9 復活を果たすエルベス大公家とギュンター
やっと最愛のローランデを腕に抱けて、食事同様がっつくギュンター
しおりを挟むその夜。
待ち構えていたギュンターの元へ、黒装束のマントを付けたオーガスタスが、ローランデを連れて訪れた。
ギュンターと一緒に待っていたローフィスとディングレーは、無言で見守る。
ギュンターは再会の挨拶もせず、ローランデの腕を取るなり寝室に、連れ込む。
「!ギュンター!
話ぐらい…!」
ローランデの叫び声を残し
バタン!
寝室は閉まる。
室内は、沈黙に包まれる中。
オーガスタス、だけが。
「狼の口に、羊を放り込んだ気分だ」
と呟き
「気分も何も、その通りだろう?」
と、ディングレーに突っ込まれた。
間もなく。
「あ…っ!ギュンター!嫌…。
もっとゆっくり…あ…ああっ!」
と。
隣部屋まで聞こえる、ローランデの激しい拒絶の言葉が響き、室内は再び、鎮まり返る。
オーガスタスは、帰りのローランデを送る為、椅子を引いて腰おろし、待機の姿勢。
ローフィスはオーガスタスに付き合う体勢で、ディングレーはローフィスに、付き合った。
ローランデは寝台に押し倒され、あっという間に股間を探られ。
握られて息が上がり、必死で身もがく。
「や…嫌っ!
ギュンター止めて…」
もう、唇が寄って、直ぐ口づけで塞がれながらも首を横に振り、外して。
のしかかって来るギュンターの、身の下でもがいた。
「やっ…止めて…止めてっ!
あ…あ…んっ!」
もう、胸をはだけられ、乳首をきつく吸われて、甘い喘ぎを上げる。
ギュンターの片手は後腔の、蕾に潜り込み…。
刺激を受けると、ローランデは涙目で身もがいた。
ギュンターはのし掛かり、ローランデを攻め立て、一気に煽り立てる。
ギュンターが、一旦身を起こすと。
ローランデは体が火照りきって、ぐったりと寝台に身を横たえ、熱い吐息をひっきりなしに、吐き出していた。
直ぐ、ギュンターに腿を掴まれ、足を開かされて焦る。
「嫌…ギュンター、お願い…っ!
っ…あ!
ああああっ!!!」
「………………………………………」
絶叫の響く隣室では、沈黙だけが支配していた。
「う…んっ…ん…っ!!!」
ギュンターが、突き始めたのか。
ローランデのくぐもった喘ぎ声。
ローランデはもう、久しぶりに激しく抉られて、体が灼熱の中に叩き込まれたように煮えたぎってるように感じ、必死にギュンターの首に腕を回し、しがみつく。
「んっ!!!
ギュ…ン…もっ…とゆっ…あ…あっ!!!」
ローランデの懇願の言葉とは裏腹に、きつく激しく。
そして情熱的に刺し貫かれて、ローランデの頬に、涙が滴る。
「あっ!!!あ…っ!!!
…ん………ギュ…ンター……………」
甘い、掠れ声で、ローランデがギュンターに、身を明け渡したことを、別室一同が知る。
「ギュ…ンター…ギ…ュン…ター……………」
甘い、囁き声と共に、やっと。
激しい気配は消え。
皆、ほっ…と息を吐き出す。
ローフィスは、オーガスタスにグラスを差し出し、酒を注ごうとした。
が、オーガスタスはグラスの上に手で蓋をし、首を横に振る。
「放っとけば、朝までだ。
だが今のヤツの体力で朝までローランデと過ごさせたら。
朝、頭領の元に、ヤツは発てない」
ローフィスが、頷く。
「じゃ俺は、ギュンターのグラスに一服盛る」
オーガスタスが、大きく頷く。
やがてローランデが正気を取り戻し、泣き濡れた声で抗議する声音が聞こえた。
「ひ…どいじゃないか!!!
毒を盛られて死にかけたと聞いて!!!
どれだけ心配したか、分かってるのか?!
なのにこんな…。
私の正体を、そんなに無くさせたいのか?!!!!」
「…ちゃんと、生きて元気だってたった今、示したろう?」
ぱんっ!
ギュンターの、思い切り頬を張られた音に、オーガスタス、ローフィス、ディングレーの三人は同時に、くすくすと忍び笑った。
オーガスタスは即座に立ち上がり、寝室の扉を開ける。
ローフィスとディングレーは中を見たくなくて、同時に背を向け…。
ディングレーがこっそり、ローフィスに告げた。
「…勇気ある行動だ…」
ローフィスも、頷く。
「どうしてオーガスタスが、大勢の信頼を得てると思う?
通常、誰もがしたくない事を、奴は先陣切ってやって退けるからだ」
ディングレーは、心からその見解に、同意した。
「ヤツは、偉大だ」
ローフィスも、大きく頷いた。
ギュンターは、夢に描いたローランデを腕に抱き、甘い時を邪魔する侵入者、オーガスタスを睨み据える。
が、オーガスタスは直ぐ寄ると、ローランデの腕を引いて寝台から引き離し、殴りかかろうとした、ギュンターの足に足を引っかけ
どっすん!
と、ギュンターを床に転ばせ、ローランデをマントの中に抱き寄せて囁く。
「衣服を直せるか?」
ローランデは火照った頬で、今だ起き上がろうとするギュンターを見つめ続ける、オーガスタスを見上げた。
返答無く、オーガスタスはマントを素早く、脱ぐ。
「羽織ってろ」
そして起き上がり様、狙いきって殴りかかる、ギュンターの素早い拳を
さっ!
と避け、軽く(オーガスタスからしたら)みぞおちをはたいた。
ばんっ!!!
ぐっ………!
と、ギュンターは身を折り、体を前に倒したまま、顔を上げない。
「…ディングレー!
頼む!!!」
オーガスタスの咆吼に従い、ディングレーが室内に飛び込んで来る。
マントにくるまれたローランデを見、咄嗟、肩に腕を回し抱き寄せ、部屋から連れ去る。
「…!!!」
ギュンターが室内から消えるローランデの姿に目を剥き、息を吹き返して目前に立ちはだかる、オーガスタスに殴りかかる。
オーガスタスはギュンターの殴りかかる腕の下から、腕を入れて拳を避け…。
た、所で突然、ギュンターはぐったりし…。
そのまま、オーガスタスの胸に倒れ込んだ。
ギュンターを抱き止めながらも、オーガスタスが振り向くと。
ローフィスは指を弾く姿勢のまま、言った。
「…飲み物に盛るつもりだったが。
飛ばし針に睡眠薬塗った方が、この場合、適切だと思って」
オーガスタスは、大きく頷いた。
「ヤツが本気で牙剥いて来るから。
俺もヤツの腹に、マジで拳、入れる寸前で。
…本当に、助かった」
ローフィスは、頷いて言った。
「…お前がマジで殴ったら。
ギュンターは明日の朝、間違いなく発てない」
オーガスタスも無言で、同意の頷きをした。
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