30 / 101
5 敵を退けるため、動き出すエルベス大公家
策謀は続く
しおりを挟む
ニーシャがアドラフレンに依頼した、カンファッテとは…。
厳選された身分の者が集い、親密な催し物を隠密に行う。
昔より使用されている、幾つかある隠れ家的別荘で、数日間を楽しく過ごす。
招待を受けないと…最新の大切な情報を聞き逃す事が多い。
とあって、忙しくて出かけられない者ですら、代理の者を遣わす程…。
身分高い者らには、大切な集いだった。
ニーシャは、ここの常連。
皆、彼女を両手を広げて迎え入れる。
しかし集いを管理している者は、昔から代々カンファッテを取り仕切る、表向きは目立たないが由緒ある家柄の者で、秘密厳守。
更に対立する者同士だろうが、中での諍いは御法度。
どこの勢力にも付かない、中立を保ち続ける者。
集いに参加できる者は厳選され、無作法な者など決して入れない。
なので例え、王宮警備の長であるアドラフレンですら、招待状の発行者には、気を遣わなくては成らなかった。
「…ゼフィス様…。
ですか。
あまり、評判のよろしくない女性ですね?
残念ながら、そのような方はどれ程の御方の推薦状があろうが、招待状を送る訳には、まいりません」
アドラフレンが、口を開きかけた時。
彼はにっこり笑った。
「ですが、「左の王家」の王族で王宮警備隊長であらせられる、アドラフレン様のご要望。
フランデラッテ(偽の、カンファッテ)なら、招待状が作れます」
アドラフレンはつい、そう言った男の顔を見た。
フランデラッテとは、カンファッテに出たい。と要望を受けるものの、招待できないような相手の時、頼み込んで幾らかの大金を積み、偽の、カンファッテをでっちあげる事。
場所や接待はカンファッテと同様だが、招待客を自由に選べる。
カンファッテ出席者なら、招待状の横にある印で、フランデラッテだと知る事が出来て、誰を騙すのか、楽しみに来るカンファッテ常連客も多い。
アドラフレンは、頷くと言った。
「招待客リストを、直ぐに届けさせる」
が、別荘に戻ってニーシャにフランデラッテの事を告げると、直ぐ様ニーシャはアドラフレンを睨んだ。
「…カンファッテは、ロスフォール大公も常連なんだから。
彼から知らせが行けば、直ぐフランデラッテだって、ゼフィスにバレるじゃないの」
「招待主をレナーテ公爵にすれば、カンファッテのブログナ(個人が主催者で、カンファッテの出席者の幾人かを招待する。カンファッテ出席前の、新人の品定めに、良く使われる)に出来る。
カンファッテで無くても、ブログナでも十分、名誉な事だろう?」
ニーシャはアドラフレンの、用意周到な返答に、不満げにその端正な顔を見つめた。
「…確かに主催者がレナーテ公爵のブログナなら、ロスフォール大公もゼフィスも、私達が張った罠だなんて思わなくて、警戒しないでしょうね」
「それは賛成と。
受け取っていいのかな?」
ニーシャはにっこり笑う、品は良いけど陰謀に長けた王族の顔を、睨んだ。
「…仕方無いわね。
招待者リストはこちらで作って、届けさせるわ。
あなたの配下は誰を寄越すの?」
アドラフレンは、目を見開いた。
「…私の方からも、監視を寄越さないとダメかい?」
「当然でしょう?
お役人が動いてくれないと、困る事もあるかもしれないから。
素早く手配できるあなたの配下が来てくれないと」
アドラフレンは、ため息交じりに頷いた。
「では、サランフォール公爵を」
ニーシャは、頷いた。
翌朝、アイリスはとうとう気絶した少年をようやく、寝台に横たえた。
「(しかし、半端ない精力…。
一晩で何回射精したんだろう…?
数えるのが面倒で、最後は止めたから…。
覚えてるだけで、30は超してた気がする)」
目を瞑る少年の頬が、少しやつれて見える。
「(平常の時って、何回なのかな?
やっぱ今夜私って、彼を煽りすぎ?)」
微かな寝息しか聞こえない、正体を無くして眠る少年の寝顔を見て、アイリスはちょっと、ぞっとした。
「(まずい…。
垂らし込む事ばっか考えて、惚れ込まれすぎて彼に離して貰えなくなったらどうしよう。
って時の対処法を、考えてなかった…。
ずっとご指名され続けたら、流石の私でも枯渇する…)」
けれど常に前向きのアイリスは思った。
「(臨時の要請なら、ディンダーデンだってギュンターだって居る。
噂に寄るとディンダーデンって、サスベスに負けず劣らずの精力の持ち主で…常にがんがん突っ込みたい男だそうだし。
ギュンターは…暗殺されるよりよっほどマシで、更にローランデにこれ以上の迷惑は、かけたくないだろう?
と脅してやれば、多分私の言いなりになってサスベスを犯してくれるはず)」
アイリスは一先ず、解決方法を思いついて、ほっとして…サスベスの横に、身を横たえた。
情事を共にした相手とは常にする、腕に抱き寄せて包み込んで共に眠る。
の体勢に入り…結局そのまま、寝入った。
昼前には、アイリスは目覚めた。
が、サスベスはまだ起きない。
室内に、こっそりレスルがやって来ては、様子を伺う。
「…良かった。
彼、生きてましたね。
途中諍いがあって、殺してしまわれたかと」
アイリスはまだ裸で、シーツを腰にひっかけたまま、びっくりして問うた。
「どうして、そう思ったの?」
レスルは小声で返答する。
「サスベスがこんな時間まで、眠っていた試しが無いからです。
一体、何回抜いたら、ここまで眠らせられるんです?」
アイリスも、レスルに身を寄せて、こっそり囁く。
「最後に覚えているので、確か32回。
その後も…彼って私が一度の時、多いと最中、五度も射精してるから」
アイリスはその時、レスルがあんぐり口を開け、かなりなマヌケ面して呆れるのを見た。
「…それであなたは、何度挿入したんです?」
アイリスは、くすくすと笑った。
「私はサスベス程じゃないから、左程でも無いよ。
10回よりは少ない。
他に口も手も使ってイかせてるし」
けれどレスルは、真顔で言った。
「…私はあなたが、サスベスより余程精力満々だと思いますがね」
アイリスは困惑した表情を、その美しい顔の上に浮かべた。
「…確かに常人よりは強いとは思う。
けれどサスベスより強い。
って言うのは…どうかな?
いくら何でも、褒めすぎだ」
「褒めてません。化け物に近い。
って感想ですから」
アイリスは口を開けたまま固まり、レスルは無言で背を向け、部屋を出て行った。
アイリスはこっそり衣服を手に持ち、シーツで腰を巻いたまま、レスルの後に続く。
「…退出されるのですか?」
「姿を消して、サスベスの反応が見たい」
レスルはため息を吐いた後、アイリスを自室に入れて、精力剤のスープを処方した。
間もなく、レスルの部屋の扉を、家臣が血相変えて叩く。
「お前の紹介した、侍従見習いはここに居るか?!」
レスルは扉を開け、暖炉の前の椅子に座るアイリスを見せる。
家臣はほっとした様子を見せ、けれど直ぐ怒鳴った。
「サスベス様がお呼びだ!!!
お前の姿が無いと。
狂乱して叫ばれている!!!」
アイリスはにっこり笑うと
「今直ぐ、お側に」
そう言って、椅子を立ち上がった。
扉を閉め様、室内のレスルに微笑みかける。
扉が閉まると、レスルは直ぐ部下を呼び寄せ、大公家への報告を言付けた。
“ゼフィスがこの城に立ち入り禁止となるのは間近”
と。
厳選された身分の者が集い、親密な催し物を隠密に行う。
昔より使用されている、幾つかある隠れ家的別荘で、数日間を楽しく過ごす。
招待を受けないと…最新の大切な情報を聞き逃す事が多い。
とあって、忙しくて出かけられない者ですら、代理の者を遣わす程…。
身分高い者らには、大切な集いだった。
ニーシャは、ここの常連。
皆、彼女を両手を広げて迎え入れる。
しかし集いを管理している者は、昔から代々カンファッテを取り仕切る、表向きは目立たないが由緒ある家柄の者で、秘密厳守。
更に対立する者同士だろうが、中での諍いは御法度。
どこの勢力にも付かない、中立を保ち続ける者。
集いに参加できる者は厳選され、無作法な者など決して入れない。
なので例え、王宮警備の長であるアドラフレンですら、招待状の発行者には、気を遣わなくては成らなかった。
「…ゼフィス様…。
ですか。
あまり、評判のよろしくない女性ですね?
残念ながら、そのような方はどれ程の御方の推薦状があろうが、招待状を送る訳には、まいりません」
アドラフレンが、口を開きかけた時。
彼はにっこり笑った。
「ですが、「左の王家」の王族で王宮警備隊長であらせられる、アドラフレン様のご要望。
フランデラッテ(偽の、カンファッテ)なら、招待状が作れます」
アドラフレンはつい、そう言った男の顔を見た。
フランデラッテとは、カンファッテに出たい。と要望を受けるものの、招待できないような相手の時、頼み込んで幾らかの大金を積み、偽の、カンファッテをでっちあげる事。
場所や接待はカンファッテと同様だが、招待客を自由に選べる。
カンファッテ出席者なら、招待状の横にある印で、フランデラッテだと知る事が出来て、誰を騙すのか、楽しみに来るカンファッテ常連客も多い。
アドラフレンは、頷くと言った。
「招待客リストを、直ぐに届けさせる」
が、別荘に戻ってニーシャにフランデラッテの事を告げると、直ぐ様ニーシャはアドラフレンを睨んだ。
「…カンファッテは、ロスフォール大公も常連なんだから。
彼から知らせが行けば、直ぐフランデラッテだって、ゼフィスにバレるじゃないの」
「招待主をレナーテ公爵にすれば、カンファッテのブログナ(個人が主催者で、カンファッテの出席者の幾人かを招待する。カンファッテ出席前の、新人の品定めに、良く使われる)に出来る。
カンファッテで無くても、ブログナでも十分、名誉な事だろう?」
ニーシャはアドラフレンの、用意周到な返答に、不満げにその端正な顔を見つめた。
「…確かに主催者がレナーテ公爵のブログナなら、ロスフォール大公もゼフィスも、私達が張った罠だなんて思わなくて、警戒しないでしょうね」
「それは賛成と。
受け取っていいのかな?」
ニーシャはにっこり笑う、品は良いけど陰謀に長けた王族の顔を、睨んだ。
「…仕方無いわね。
招待者リストはこちらで作って、届けさせるわ。
あなたの配下は誰を寄越すの?」
アドラフレンは、目を見開いた。
「…私の方からも、監視を寄越さないとダメかい?」
「当然でしょう?
お役人が動いてくれないと、困る事もあるかもしれないから。
素早く手配できるあなたの配下が来てくれないと」
アドラフレンは、ため息交じりに頷いた。
「では、サランフォール公爵を」
ニーシャは、頷いた。
翌朝、アイリスはとうとう気絶した少年をようやく、寝台に横たえた。
「(しかし、半端ない精力…。
一晩で何回射精したんだろう…?
数えるのが面倒で、最後は止めたから…。
覚えてるだけで、30は超してた気がする)」
目を瞑る少年の頬が、少しやつれて見える。
「(平常の時って、何回なのかな?
やっぱ今夜私って、彼を煽りすぎ?)」
微かな寝息しか聞こえない、正体を無くして眠る少年の寝顔を見て、アイリスはちょっと、ぞっとした。
「(まずい…。
垂らし込む事ばっか考えて、惚れ込まれすぎて彼に離して貰えなくなったらどうしよう。
って時の対処法を、考えてなかった…。
ずっとご指名され続けたら、流石の私でも枯渇する…)」
けれど常に前向きのアイリスは思った。
「(臨時の要請なら、ディンダーデンだってギュンターだって居る。
噂に寄るとディンダーデンって、サスベスに負けず劣らずの精力の持ち主で…常にがんがん突っ込みたい男だそうだし。
ギュンターは…暗殺されるよりよっほどマシで、更にローランデにこれ以上の迷惑は、かけたくないだろう?
と脅してやれば、多分私の言いなりになってサスベスを犯してくれるはず)」
アイリスは一先ず、解決方法を思いついて、ほっとして…サスベスの横に、身を横たえた。
情事を共にした相手とは常にする、腕に抱き寄せて包み込んで共に眠る。
の体勢に入り…結局そのまま、寝入った。
昼前には、アイリスは目覚めた。
が、サスベスはまだ起きない。
室内に、こっそりレスルがやって来ては、様子を伺う。
「…良かった。
彼、生きてましたね。
途中諍いがあって、殺してしまわれたかと」
アイリスはまだ裸で、シーツを腰にひっかけたまま、びっくりして問うた。
「どうして、そう思ったの?」
レスルは小声で返答する。
「サスベスがこんな時間まで、眠っていた試しが無いからです。
一体、何回抜いたら、ここまで眠らせられるんです?」
アイリスも、レスルに身を寄せて、こっそり囁く。
「最後に覚えているので、確か32回。
その後も…彼って私が一度の時、多いと最中、五度も射精してるから」
アイリスはその時、レスルがあんぐり口を開け、かなりなマヌケ面して呆れるのを見た。
「…それであなたは、何度挿入したんです?」
アイリスは、くすくすと笑った。
「私はサスベス程じゃないから、左程でも無いよ。
10回よりは少ない。
他に口も手も使ってイかせてるし」
けれどレスルは、真顔で言った。
「…私はあなたが、サスベスより余程精力満々だと思いますがね」
アイリスは困惑した表情を、その美しい顔の上に浮かべた。
「…確かに常人よりは強いとは思う。
けれどサスベスより強い。
って言うのは…どうかな?
いくら何でも、褒めすぎだ」
「褒めてません。化け物に近い。
って感想ですから」
アイリスは口を開けたまま固まり、レスルは無言で背を向け、部屋を出て行った。
アイリスはこっそり衣服を手に持ち、シーツで腰を巻いたまま、レスルの後に続く。
「…退出されるのですか?」
「姿を消して、サスベスの反応が見たい」
レスルはため息を吐いた後、アイリスを自室に入れて、精力剤のスープを処方した。
間もなく、レスルの部屋の扉を、家臣が血相変えて叩く。
「お前の紹介した、侍従見習いはここに居るか?!」
レスルは扉を開け、暖炉の前の椅子に座るアイリスを見せる。
家臣はほっとした様子を見せ、けれど直ぐ怒鳴った。
「サスベス様がお呼びだ!!!
お前の姿が無いと。
狂乱して叫ばれている!!!」
アイリスはにっこり笑うと
「今直ぐ、お側に」
そう言って、椅子を立ち上がった。
扉を閉め様、室内のレスルに微笑みかける。
扉が閉まると、レスルは直ぐ部下を呼び寄せ、大公家への報告を言付けた。
“ゼフィスがこの城に立ち入り禁止となるのは間近”
と。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
【BL】僕(18歳)、イケメン吸血鬼に飼い慣らされる。
猫足02
BL
地下室に閉じ込められていた吸血鬼の封印が解け、王族は絶体絶命。このままでは国も危ないため、王は交換条件を持ちかけた。
「願いをひとつなんでも聞こう。それでこの城と国を見逃してはくれないか」
「よかろう。では王よ、お前の子供をひとり、私の嫁に寄越せ」
「……!」
姉が吸血鬼のもとにやられてしまう、と絶望したのも束の間。
指名されたのは、なんと弟の僕で……!?
普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。
かーにゅ
BL
「君は死にました」
「…はい?」
「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」
「…てんぷれ」
「てことで転生させます」
「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」
BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる